対抗の法理と信頼保護の法理

対抗の法理と信頼保護の法理

多田利隆 著
定価:6,050円(税込)
  • 在庫:
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  • 発行:
    2019年02月28日
  • 判型:
    A5判上製
  • ページ数:
    298頁
  • ISBN:
    978-4-7923-2727-9
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内容紹介

目  次

はしがき i

第一部 「対抗」問題の信頼保護的構成

Ⅰ 民法第177条の「対抗」問題における形式的整合性と実質的整合性――消極的公示主義構成の試み――……………1
 一 はじめに……………1
 二 形式的整合性と実質的整合性……………2
 三 形式的整合性の問題……………5
  1 対抗のメカニズムからの従来のアプローチ(5)
  2 諸説の検討(9)
  3 対抗のメカニズムと民法第177条(13)
  4 形式的整合性論の帰結(15)
 四 従来の実質的整合性論……………16
  1 真の権利関係合致構成(17)
  2 信頼保護構成(21)
  3 権利喪失構成(24)
  4 法定構成(26)
  5 諸説の検討から導かれること(31)
 五 公示の原則と信頼保護法理……………33
  1 対抗要件主義と信頼保護法理(33)
  2 消極的信頼保護(38)
 六 ドイツ法における消極的公示主義と信頼保護法理……………42
  1 消極的公示主義(消極的公信主義)の意味(42)
  2 消極的公示主義規定の特徴(46)
  3 公示の優越現象の根拠について(50)
 七 実質的整合性論としての消極的公示主義説の適合性……………56
  1 その適合性(56)
  2 その問題点――善意要件不在の問題――(60)
 八 おわりに……………65

Ⅱ 公示方法に対する消極的信頼保護法理の分析――民法第177条の対抗問題とドイツ法の消極的公示主義規定――……………71
 一 はじめに……………71
 二 消極的公示主義の意味と消極的公示主義規定……………75
  1 「公示」と「公信」(75)
  2 「積極」・「消極」の相違(78)
  3 消極的公示主義規定(79)
 三 消極的公示主義の要件および効果……………82
  1 要件(82)
  2 効果(87)
 四 消極的公示主義における公示の優越と信頼保護法理……………87
  1 登記がある場合には善意無過失の第三者にも「対抗しうる」という取り扱い(88)
  2 公示と善意との具体的関連の不要について(90)
  3 帰責事由の抽象的・定型的取り扱い(98)
  4 善意・悪意不問との関係(100)
 五 公簿に対する信頼保護の特殊性と善意・悪意要件……………105
  1 善意要件の有無による形式的分類の問題点(105)
  2 外観としての登記の規範的性格と保護事由・帰責事由の抽象的取り扱い(111)
 六 小括……………116

Ⅲ 民法177条と信頼保護……………120
 一 はじめに……………120
 二 立法者意思について……………121
 三 判例……………123
 四 学説における取り扱い……………127
  1 規定の趣旨・目的と法律構成との区別(従来の通説)(127)
  2 対抗問題の信頼保護的構成(129)
 五 信頼保護構成の可能性――消極的公示主義説に即して――……………135
  1 公示と公信(135)
  2 「対抗することができない」という規定形式(138)
  3 消極的信頼保護(139)
  4 具体的な善意・悪意不問について(140)
  5 177条の適用範囲についての指針(142)
 六 内部化か外部化か……………143
  1 立法者意思との関係(144)
  2 94条2項の類推適用(144)
  3 信頼保護的構成の内容と177条の適用範囲(146)
 七 おわりに……………148

第二部 民法177条の適用範囲について――消極的公示主義構成からのアプローチ――

 一 はじめに……………151
 二 登記がなければ対抗できない第三者の範囲について……………153
  1 対抗規定のメカニズム(形式的整合性論)から導かれる判断基準(153)
  2 消極的公示主義構成(実質的整合性論)から導かれる判断基準――悪意者排除について――(156)
 三 登記がなければ対抗できない物権変動原因について……………161
  1 意思表示による物権変動(161)
  2 共同相続人の登記冒用(163)
  3 取消しと登記(165)
  4 取得時効と登記(171)
 四 消極的公示主義構成と177条の適用範囲……………178
  1 消極的公示主義構成提示の意味(178)
  2 信頼保護の要件と適用範囲の判断基準(180)
  3 94条2項の類推適用との関係(182)

第三部 法改正と物権変動論

Ⅰ 物権変動論からみた改正不動産登記法――不実登記への対応を中心に――……………187
 一 はじめに……………187
 二 改正不動産登記法と不作為型不実登記……………189
  1 物権変動論と不作為型不実登記(189)
  2 オンライン申請導入の影響について(191)
  3 不作為型不実登記中心の物権変動論のあり方について(193)
  4 画一的・定型的取り扱いの修正・緩和という視点(194)
 三 作為型不実登記への対応と物権変動論……………197
  1 登記識別情報及び登記原因証明情報(197)
  2 登記原因証明情報制度と意思主義の内容見直しとの関係(199)
  3 物権変動論への影響(201)
  4 中間省略登記の取り扱いについて(202)
 四 結びに代えて――登記に対する信頼保護との関係――……………208
  1 積極的公信力と消極的公信力(209)
  2 94条2項類推適用論の問題点と公信力立法論(210)

Ⅱ 不動産物権変動法制改正の方向性について――「民法改正研究会」案を手がかりに――……………214
 一 はじめに……………214
 二 不動産物権変動法制改正の必要性……………215
  1 規定内容の明確化(215)
  2 改正のむずかしさ(217)
 三 対抗要件主義から効力要件主義への転換について……………218
  1 研究会副案の考え方(218)
  2 問題点の指摘(220)
  3 適用範囲の問題はどうなるのか(223)
  4 効力要件主義に転換すべきか(225)
 四 適用範囲についての考え方……………232
  1 登記がなければ対抗できない物権変動(232)
  2 登記がなければ対抗できない「第三者」の範囲(252)
 五 不動産登記に対する積極的信頼保護の取り扱い……………272
  1 研究会案の内容(272)
  2 帰責事由の取り扱い(274)
  3 94条2項を原型とする「外観法理」と登記の公信力(275)
六 おわりに……………279