人間と社会
熊本大学法学会叢書16

人間と社会

―自然法研究―
山田 秀 著
定価:8,800円(税込)
  • 在庫:
    在庫があります
  • 発行:
    2019年06月15日
  • 判型:
    A5判上製
  • ページ数:
    492頁
  • ISBN:
    978-4-7923-0646-5
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内容紹介

[目 次]

はじめに
初出一覧

第1章 人間的実存における幸福衝動…1
 初めに 幸福への衝動…1
 第1節 幸福理解の二極(1)―エピクロス、ベンサム、ラスキ―…2
 第2節 幸福理解の二極(2)―プラトンとアリストテレス―…4
 第3節 創造的存在としての人間…7
 第4節 創造的原課題と実存充足…9
 第5節 苦悩と希望と悔悛…12
 結びに代えて…18

第2章 家族と自然法―経験科学と自然法論の架橋の試み―…27
 初めに…27
 第1節 自然法をどう捉えるか(1)―基礎的考察―…28
 第1項 自然法に就いての注意事項…28
(1) 自然法と自然法観(乃至自然法思想)…29
(2) 伝統的自然法論と近代的自然法論…30
 第2項 自然法への接近方法…32
 第3項 人間本性の傾動構造と実存的諸目的…35
 第4項 自然法則(本性法則)と自然法―自然法に就いての注意事項(3)…39
 第2節 自然法をどう捉えるか(2)―共同善について―…41
 第1項 人間の社会的・個人的本性…41
 第2項 共同善に就いての注意事項…42
(1) 社会化、文化化、社会形成力…42
(2) 国家の存立目的としての国家的共同善と共同善の多元的構造の問題…44
 第3節 家族をどう捉えるか(その1)―自然人類学、動物生態学の視点から―…49
 第1項 自然人類学・動物形態学に学ぶ…49
(1) 系統進化、分岐進化、向上進化…49
(2) 人類を人類たらしめたもの…50
 第2項 動物生態学・霊長類学に学ぶ…52
(1) 形態学的観点と生態学的観点…52
(2) 哺乳類離れをした動物…53
(3) 熱帯雨林とは…53
(4) 熱帯雨林への進出戦略…55
(5) サバンナに進出した類人猿…57
(6) 家族の誕生…59
 第4節 家族をどう捉えるか(その2)―家族社会学の視点から―…62
 第1項 家族に就いての注意事項…62
(1) 用語の確認―家族、家庭、世帯、家計(家政)…62
(2) 家族の類型と分類…63
(3) 家族と婚姻の叙述の先後問題…64
 第2項 家族機能の諸問題…64
(1) 集団機能論…64
(2) 家族機能論…65
 第5節 自然法と家族―伝統的自然法論の視点から―…68
 第1項 初めに…68
 第2項 「社会の細胞」としての家族…69
 第3項 自然法の作動の場としての家族の根源的意味…72
 結 論…74

第3章 共同善、社会、国家―トミスムの観点から―…97
 第1節 トミスムと三島『法思想史』―三島『法思想史』の特徴の一端―…97
 第2節 昨今の情況と通説の問題点―国家目的の不在―…99
 第3節 伝統的国家観と国家の存在目的 ―アリストテレスとメスナーに即して―…100
 第4節 社会の存在論的地位(1)―人間の社会的、国家的本性―…105
 第5節 社会の存在論的地位(2)―社会の本性、社会と個人―…111
 第6節 共同善―その本性、機能、地位―…117
 第7節 社会原理と国家の課題―共同善原理と補完性原理、国家の法機能―…124
 結 論 要約と政治の優位…133

第4章 共同善と補完性原理―伝統的自然法論の立場から―…155
初めに…155
 第1節 社会回勅と補完性原理…156
 第1項 社会回勅 Rerum novarum の基本課題と指導原理…156
 第2項 社会回勅 Quadragesimo anno における補完性原理…159
 第2節 伝統的自然法論による人間観及び社会観…162
 第1項 伝統的自然法論の人間観…162
 第2項 伝統的自然法論の社会観…166
 第3項 伝統的自然法論の国家観…168
 第3節 伝統的自然法論による社会構成原理…169
 第1項 社会理論の二つの課題…169
 第2項 伝統的自然法論における共同善理解…171
 第3項 社会構成諸原理…175
 結 論…182

第5章 『百周年回勅』の今日的意義 ―法哲学的観点から―…199
 初めに…199
 第一部 『百周年回勅』の概要…200
 第1節 導入部…200
 第2節 「第1章『レールム・ノヴァールム』の特徴」…201
 第3節 「第2章 今日の『新事態』に就いて」…202
 第4節 「第3章 1989年」…204
 第5節 「第4章 私的所有と財の名宛の普遍性」…206
 第6節 「第5章 国家と文化」…211
 第7節 「第6章 人間こそ教会の道なれ」…214
 第8節 第二部の課題…216

第二部 『百周年回勅』の今日的意義…217
 第1節 万民法…217
 第1項 歴史的意義に於ける万民法…217
 第2項 現代的意義に於ける万民法…218
 第2節 私的所有権と自然法…221
 第1項 伝統的自然法論の私的所有権理論…221
 第2項 「私有共用」という標語…226
(1) 私有対共有…226
(2) 私有対公有(ないし国有)…229
(3) 共用の意味…231
 第3項 伝統的自然法論に於ける所有思想の史的素描…232
(1) クリューバーによる問題提起…232
(2) 諸財の共同使用原理…233
(3) 私的所有権擁護論…234
(4) トマス説の検討…236
 結びに代えて…240

第6章 孟子、共同善、洞見知…263
 初めに―自然法論の問題意識―…263
 第1節 孟子の生きた時代背景…265
 第1項 政治・社会状況…265
 第2項 思想状況…269
 第2節 孟子思想への接近方法…273
 第1項 体系的論述と思想発展史的論述…273
 第2項 『孟子』本文の構成…275
 第3項 発展史的論述の実例…280
 第3節 孟子に於ける共同善思想…284
 第1項 仁義の高唱とその本旨―仁義に本づく対楊【墨】宣言―…284
 第2項 王道の具体的内容―政治に於ける共同善―…289
 第3項 王道可能性と性善説及び四端説 ―家族に於ける共同善―…299
 第4節 孟子思想の根柢に在るもの…307
 第1項 民本思想とその派生原理…307
 第2項 孟子に於ける人間理解(1)―「浩然之氣」を巡って―…315
 第3項 孟子に於ける人間理解(2)―良心論、修養論を中心に―…324
 結論―要約と新しい解釈の提示―…332

第7章 生命への畏敬と教育の根源―林竹二博士の人と教育哲学―…363
 初めに…363
 第1節 林竹二博士の人と思想―誕生から復員軍人・軍学徒大学受験講習会まで―…364
 第1項 誕生からキリスト教との出合いまで…364
 第2項 角田桂獄とジョン・G・メイチェン…365
 第3項 哲学研究と復員軍人・軍学徒大学受験講習会…368
 第2節 大学紛争の渦中における林竹二の行動とそれを支えたもの…371
 第1項 東北大学時代…371
 第2項 宮城教育大学学長就任と大学封鎖…373
 第3項 学長時代の大学諸改革…377
 第3節 授業研究から授業巡礼へ ―授業実践の深化と問題提起―…379
 第1項 授業実践を始める…379
 第2項 授業に「病みつき」になる…381
 第3項 「授業を根本から考え直す」ことを訴える…385
 第4項 授業とは何なのかを考える…390
 第5項 学ぶとは何なのかを考える…392
 結 論 教育の根底にあるもの…396

Anhang Ⅰ Philosophische Überlegungen über die Menschenrechte und -würde…407
Anhang Ⅱ Der Mensch als Familienwesen in der Naturrechtslehre und in der personalen Psychologie, in tiefer Verbundenheit zum Gedenken an Frau Dr. Annemarie Buchholz-Kaiser gewidmet
…421
Anhang Ⅲ Einige Gedanken zum Thema “Rechtlichkeit stärken”…429
Anhang Ⅳ “・・・in Richtung auf mehr Menschlichkeit zu führen.”Interview mit Prof. Dr. jur. Hideshi Yamada…437

おわりに…449
参考文献…456
欧文目次…469