新基礎法学叢書⑯
コジェーヴの法哲学
―普遍等質国家における正義―堅田研一 著
定価:6,600円(税込)-
在庫:
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発行:
2019年08月10日
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判型:
A5判上製 -
ページ数:
300頁 -
ISBN:
978-4-7923-0650-2
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内容紹介
[目 次]
はしがき i
初出一覧 ix
序 章 本書の課題 1
第一章 コジェーヴ『法の現象学』における法の定義、法体系の構造 5
1.法の定義 5
2.承認を求める生死を賭けた闘争 8
3.正義の理念の誕生 10
4.第三者の発生 12
5.法体系論 14
6.民事法と刑事法 20
7.国際公法と普遍等質国家 ──第二次大戦後の世界秩序の構想 23
(1)概 略 24
(2)分 析 25
第二章 コジェーヴ=シュミット論争 ──第二次大戦後の世界秩序の構築をめぐって 29
1.往復書簡 29
2.コジェーヴのデュッセルドルフ講演 32
3.問題と検討 36
(1)第二次大戦後の世界における闘争の意味とは──ハウスの見解 37
(2)政治的なものと法的なものとの区別──ピュラノの見解 42
(3)賢者の場所──ケルヴェガンのコジェーヴ解釈 49
(4)検 討 58
第三章 『法の現象学』におけるパラドクス ──本書における議論の概要 65
1.問題設定 66
2.ポトラッチの特異性 69
3.個人的所有と女性 72
4.奴隷と個人的所有 73
5.個人的所有どうしの交換を規制する正義の原理 76
6.平等の正義と等価性の正義との綜合 76
7.主人と奴隷との間の相互作用 77
第四章 貨幣と正義 84
1.本章の課題 84
2.アリストテレスにおける正義、財獲得術、貨幣 84
3.岩井克人における資本主義と信任関係 94
4.レヴィナスにおける貨幣と正義 96
5.貨幣の追求と虚栄心、承認欲望 100
6.コジェーヴの正義論と個人的所有論 104
7.個人的所有の取引と正義 110
第五章 問題設定としての普遍等質国家論 ──グローバリゼーションの理解のために 117
1.問題設定 117
2.『法の現象学素描』の意義 119
3.ハウスとフロストによる『素描』の解釈 125
(1)コジェーヴ的承認の解釈 127
(2)コジェーヴのいう普遍等質国家=「社会主義帝国」に関する解釈 131
4.ビバールによるコジェーヴ解釈 134
(1)「無性的男らしさ」または「マッチョ主義」 135
(2)男性性と女性性との平衡状態 137
5.アーレントとコジェーヴ 142
(1)活動的生 142
(2)活動的生と法 143
6.法の意義 145
(1)法における奴隷性と女性性・特殊性との同一視 145
(2)同一視の問題性 149
7.結語──政治的な正義の理念の修正 149
第六章 アレクサンドル・コジェーヴにおける否定の概念について ──擬制としての正義と法の定立 159
はじめに 159
1.問題の設定 161
2.等価性の問題 166
(1)奴隷的労働 167
(2)「ここといま」からの抽象としての自発的労働 169
(3)貨幣・資本の奴隷としての労働と自発的労働との違い 175
(4)個人的所有物、およびその産出のための労働 176
(5)個人的所有物の、商品への転換 177
3.個人的所有物の取引 178
4.戒能通孝の市民論 181
5.法を作る主体と個人的所有 185
(1)平等の正義について 186
(2)等価性の正義について 190
(3)法を作る主体 190
6.プロレタリアート、つまり立ち上がった女性 193
7.結びに代えて──新たな問題の定立 195
第七章 法における互酬性について ──コジェーヴの法論を基に 200
1.問題設定 200
2.互酬性とは何か 205
3.ヘーゲルのパラドクス 210
4.ジャン=リュック・ナンシーによる性の分析 213
(1)性の構造 213
(2)性と言語活動 215
(3)性と技術 217
(4)性における生と死──死に至らない死への覚悟 220
(5)性における動物性の否定、および他者による媒介、欲望の欲望 222
(6)ナンシーのセックス論とコジェーヴの承認欲望論 225
5.アレクサンドル・コジェーヴにおける愛と承認の問題 227
6.コジェーヴと互酬性 238
7.パラドクスを解消するための第三者 245
終章 具体的身体性の回復 ──「公平の正義」とは何か 249
1.普遍等質国家論と「盲点」 249
2.「盲点」と法 251
3.公平の正義に関する素描 256
文献一覧 275
人名索引 281
事項索引 283