共犯の本質と可罰性

共犯の本質と可罰性

曲田 統 著
定価:6,050円(税込)
  • 在庫:
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  • 発行:
    2019年12月20日
  • 判型:
    A5判上製
  • ページ数:
    280頁
  • ISBN:
    978-4-7923-5289-9
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内容紹介

[目 次]

はしがき  i
初出一覧  xi

第1部 共同正犯の捉え方
第1章 共謀共同正犯と共同意思主体説  3
第1節 はじめに  3
第2節 共同意思主体説に向けられてきた批判と、同説における二つの流れ  5
 第1項 団体責任を肯定する理論であるとの批判  5
 第2項 共謀「共同正犯」を根拠づける説になっていないとの批判  6
 第3項 重要な役割をめぐる客観的基準と主観的基準  7
第3節 個人犯原理で共謀共同正犯を基礎づける立場  12
第4節 団体犯原理で共謀共同正犯を基礎づける立場  16
 第1項 いくつかの基本的視座  16
 第2項 狭義の共同意思主体、狭義の一体性  19
第5節 共謀共同正犯の一体性  20
第6節 共同意思主体説の再構成  24
 第1項 従来の共同意思主体概念の問題性  24
 第2項 共同意思主体概念の再構成  27
第7節 おわりに  30

第2章 もう一つの共同意思主体説の展開  32
第1節 はじめに  32
第2節 狭義の共犯の成立に必要となる共同意思主体(広義の共同意思主体)  33
 第1項 狭義の共同意思主体と広義の共同意思主体  33
 第2項 広義の共同意思主体の意義  35
第3節 共謀共同正犯に関する二つの重要判例に関して  37
 第1項 共謀共同正犯否定説を振り返って  37
 第2項 最決平成15年5月1日(刑集57巻5号507頁)について  39
 第3項 最決平成17年11月29日(裁判集[刑事]288号543頁)について  42
 第4項 共謀共同正犯性  48
第4節 おわりに  54

第3章 共同意思主体説の修正と、共謀共同正犯の限定  56
第1節 はじめに  56
第2節 判例の流れ  56
第3節 客観的立場と判例  60
第4節 主観的立場と判例  64
第5節 主観的共同意思主体説とスワット事件  69
第6節 おわりに―さらなる解釈の展開―  70

第2部 狭義の共犯の捉え方
第4章 教唆犯の本質と従属性  75
第1節 はじめに  75
第2節 教唆犯の本質  76
 第1項 法定刑の問題  77
 第2項 共犯従属性説についてのかつての議論  80
 第3項 教唆犯の正犯類似性  87
第3節 教唆犯の従属形式  93
第4節 おわりに  100

第5章 従犯の本質と従属性  101
第1節 教唆犯との差異―制限従属性と従属適格性―  101
第2節 中立的行為との関係―正犯との近接性―  103
第3節 おわりに  111

第6章 従犯の処罰根拠と、教唆犯の処罰根拠  112
第1節 はじめに  112
第2節 共犯の処罰根拠論を振り返って  113
 第1項 責任共犯説、不法共犯説  113
 第2項 惹起説  115
第3節 従犯の本質とその処罰根拠、教唆犯の本質とその処罰根拠  119
 第1項 惹起説の発展可能性  119
 第2項 従犯の処罰根拠  121
 第3項 教唆犯の処罰根拠  125
第4節 おわりに  129

第7章 日常的行為と従犯  131
第1節 はじめに  131
第2節 わが国における議論  132
 第1項 裁判所の判断に関して  132
 第2項 学説に関して  138
第3節 ドイツにおける解決案  148
 第1項 主観説と判例  148
 第2項 客観説  157
 第3項 折衷説―Roxinの見解―  179
第4節 検討  183
 第1項 主観説に関して183
 第2項 社会的相当性説に関して  184
 第3項 職業的相当性説に関して  185
 第4項 Weigendの見解に関して―Jakobs, Rogat, Frisch, Löwe-Krahlの見解も含めて  187
 第5項 Frischの見解に関して―Löwe-Krahl, Meyer-Arndtの見解も含めて  190
 第6項 Schumannの見解に関して  192
第5節 私見  194
第6節 おわりに  208

第8章 Winny事件決定について  210
第1節 問題の所在  210
第2節 Winny事件決定(最決平成23・12・19刑集65巻9号1380頁)  211
 第1項 事実の概要  211
 第2項 決定要旨: 上告棄却。  211
第3節 「中立的行為による幇助」の視点  215
 第1項 前提  215
 第2項 理論の展開  216
第4節 「不特定多数者に対する中立的行為による幇助」の視点  219
 第1項 問題の所在の更新  219
 第2項 学説の動向  220
第5節 本決定について  222
 第1項 提示された規範  222
 第2項 分析  223

第9章 従犯の主観的要件の実体について  229
第1節 はじめに  229
第2節 議論の前提としての「共犯の処罰根拠論」  230
 第1項 純粋惹起説と修正惹起説の問題  230
 第2項 混合惹起説の問題点  233
 第3項 刑罰の正当性に関する議論から見た混合惹起説  237
第3節 共犯抑制規範の本質―特に従犯に関して―  240
 第1項 従犯の主観的要素  240
 第2項 幇助者の無関心の許容範囲  241
第4節 おわりに  247

補章 片面的従犯  249

主要参考文献  252
事項索引  261