日本国憲法と合理的配慮法理
杉山有沙 著
定価:6,050円(税込)-
在庫:
在庫があります -
発行:
2020年02月10日
-
判型:
A5判上製 -
ページ数:
304頁 -
ISBN:
978-4-7923-0656-4
書籍購入は弊社「早稲田正門店インターネット書店」サイトでの購入となります。
内容紹介
[目 次]
初出一覧 viii
序 日本国憲法論における合理的配慮法理の可能性 …… 1
第1節 弱者像の転換と合理的配慮法理 …… 1
1 いわゆる「社会的弱者」の再考(1)
2 個人像の変更に伴う平等権保障としての 「合理的配慮」 の要請(3)
第2節 本書の構成 …… 4
第1部 無力化された「強い個人」の発見
第 1 章 生存権対象者と無力化された「強い個人」 …… 10
第1節 無力化された「強い個人」という個人像の可能性 …… 10
1 憲法学が想定する弱者(10)
2 "無力化された「強い個人」"(13)
3 "無力化された"の意味(15)
4 障害者と当事者主権(16)
第2節 憲法が想定する個人像 …… 17
1 憲法が想定する個人の議論概要(17)
2 樋口陽一「強い個人」像(18)
3 樋口説の分析(20)
4 樋口説への批判(21)
第3節 障害差別禁止法理が想定する個人像 …… 23
1 非障害者と対等な存在としての障害者(23)
2 障害差別禁止法理が前提とする個人像(25)
3 障害差別禁止法理の克服対象(27)
4 個人像の転換と社会構造の再検討・是正の要請(29)
5 「強い個人」+合理的配慮(31)
第4節 平等権保障としての合理的配慮と生存権保障としての障害者福祉 …… 32
1 無力化された「強い個人」のフィクション性(32)
2 合理的配慮と障害者福祉(34)
第5節 無力化された「強い個人」の位置づけ …… 36
第 2 章 英国平等法の基本構造 …… 38
第1節 検討素材としての英国型合理的配慮法理 …… 38
第2節 英国平等法の概要 …… 39
1 英国差別禁止・平等立法の基本的変遷(39)
2 英国平等法の制定経緯(40)
第3節 サービス・公的機能領域 …… 42
第4節 英国平等法における「障害」 …… 44
1 分析軸としての障害モデル …… 44
2 英国平等法における障害者 …… 47
3 インペアメント …… 48
4 社会的障壁 …… 51
5 「障害者」の意味 …… 57
第5節 禁止される差別 …… 58
第6節 平等促進措置 …… 60
第7節 禁止される差別と平等促進措置 …… 62
第2部 平等取扱いの保障
第 3 章 起因差別の規範構造と意義 …… 64
第1節 起因差別と社会的障壁 …… 64
第2節 起因差別の条文構造 …… 66
第3節 起因差別の導入経緯 …… 67
1 DDA関連差別の採用理由(67)
2 DDAの関連差別規定(70)
3 関連差別から起因差別へ(71)
4 小括(73)
第4節 起因差別の認定 …… 74
1 不利な取扱いの意味(74)
2 正当化の審査(78)
3 公的機能領域における起因差別の限界(80)
第5節 起因差別の意義 …… 82
第 4 章 間接差別の構造的位置づけ …… 83
第1節 間接差別と起因差別 …… 83
第2節 英国平等法制定以前の間接差別概念 …… 83
1 間接差別法理の多義性(83)
2 EU法と間接差別(85)
3 小 括(87)
第3節 英国平等法における間接差別の条文構造 …… 87
第4節 障害を理由とした間接差別をめぐる裁判例 …… 89
第5節 障害差別禁止領域における間接差別概念の変容 …… 92
1 DDA制定時(92)
2 2003年DDA改正規則と雇用枠組指令の影響(93)
3 Malcolm判決と英国平等法制定(94)
4 英国平等法における起因差別と間接差別の関係(96)
第6節 障害差別禁止法理における間接差別の構造的意味 …… 96
第 5 章 直接差別、障害起因差別、間接差別の関係と平等観 …… 98
第1節 差別行為者の「取扱い」を問題にする差別類型 …… 98
第2節 直接差別と間接差別の関係性に関する議論状況 …… 98
1 形式的平等と実質的平等(98)
2 直接差別と間接差別の関係性(100)
3 DDAにおける障害関連差別の異質性(101)
第3節 英国平等法における差別構造 …… 103
1 直接差別(103)
2 起因差別(106)
3 間接差別(110)
4 3つの差別類型の関係(113)
第4節 3つの差別類型と平等観 …… 116
第3部 英国型合理的配慮法理
第 6 章 反応型合理的配慮法理と社会的排除 …… 120
第1節 社会構造的差別の存在 …… 120
第2節 反応型合理的配慮法理の規範構造 …… 122
1 DDA(122)
2 英国平等法(125)
3 小括(128)
第3節 政治的課題としての社会的排除 …… 129
1 社会的排除対策室の創設(129)
2 SEUにおける社会的排除と障害(132)
3 社会的排除に対する差別禁止法理の役割(134)
第4節 合理的配慮義務と社会的排除の関係 …… 137
第 7 章 予測型合理的配慮義務の不履行禁止の法的性格 …… 139
第1節 英国平等法と合理的配慮義務規定の基本構造 …… 139
第2節 英国平等法における予測型合理的配慮義務規定 …… 140
第3節 予測型合理的配慮義務の規範構造 …… 142
1 予測型合理的配慮義務の発生時期と対象者(142)
2 "合理性"の基準と内容(143)
3 予測型合理的配慮義務の性質(144)
4 相当程度の不利益の意味(147)
5 配慮に対する裁判所の権限の範囲(149)
第4節 英国平等法における予測型合理的配慮義務の位置づけ …… 149
1 ポジティブ・アクションと予測型合理的配慮義務(149)
2 予測型合理的配慮義務と反応型合理的配慮義務の関係(151)
第5節 障害差別禁止法理における合理的予測型配慮義務 …… 152
第 8 章 公権力に課す平等義務の可能性 …… 154
第1節 英国平等法における公権力に課す平等義務の条文構造 …… 154
1 英国平等法が規定する平等義務の構成(154)
2 条 文(155)
第2節 公的セクター平等義務の目的 …… 156
1 障害者雇用割当制度の失敗(156)
2 平等義務導入の契機(157)
3 2005年DDAにおける平等義務(158)
4 英国平等法制定過程での位置づけ(159)
5 英国平等法(160)
6 小括(161)
第3節 公的セクター平等義務の内容 …… 162
1 内容(162)
2 具体例(163)
3 公的セクター平等義務の対象としての社会福祉給付(165)
第4節 公的セクター平等義務の実効性の保障 …… 167
1 PSEDの実効性確保方法(167)
2 PSED違反救済の判断枠組(168)
第5節 障害差別禁止法理における公権力の平等義務の意義 …… 170
第 9 章 合理的配慮義務の不履行禁止と公的セクター平等義務の関係 …… 172
第1節 問題提起 …… 172
第2節 英国平等法における公権力 …… 173
1 公権力をめぐる障害差別禁止法理(173)
2 公権力に対する差別禁止規定と平等義務規定の導入の契機(175)
第3節 予測型合理的配慮義務の不履行禁止の性格 …… 176
第4節 公的セクター平等義務 …… 178
1 条文(178)
2 一般義務の性格(180)
第5節 間接差別と予測型合理的配慮義務の不履行・平等義務の関係 …… 181
1 間接差別を考察対象に含める意義(181)
2 英国平等法における間接差別(182)
3 間接差別と予測型合理的配慮義務の不履行の関係(183)
4 間接差別禁止とPSED(186)
5 小括(189)
第6節 予測型合理的配慮義務の不履行と平等義務の関係 …… 190
1 判例上の予測型合理的配慮義務の不履行禁止とPSED(190)
2 PSEDと「予測型合理的配慮義務」(192)
3 予測型合理的配慮義務の不履行禁止とPSEDの関係(195)
第7節 障害差別禁止法理における合理的配慮義務の不履行禁止と平等促進義務の意味 …… 196
第4部 日本国憲法と合理的配慮法理
第10章 日本国憲法への合理的配慮法理の応用可能性 …… 200
第1節 合理的配慮法理の議論状況 …… 200
第2節 日本国憲法と英国平等法における平等観と差別禁止 …… 202
1 平等の意味(202)
2 立法者に対する拘束力と列挙事由(204)
3 禁止する差別類型(207)
第3節 英国型合理的配慮の規範構造 …… 216
1 予測型合理的配慮義務の不履行(216)
2 合理的配慮義務の不履行と間接差別の関係(220)
3 小括(222)
第4節 日本国憲法への英国型合理的配慮法理の応用可能性 …… 223
1 間接差別(223)
2 差別救済としての積極的措置の司法審査(227)
3 小括(230)
終 章 堀木訴訟に関する合理的配慮法理に依拠した司法審査の可能性 …… 233
第1節 社会保障受給権の平等保障 …… 233
1 本章の問題意識(233)
2 憲法14条と社会保障受給権(235)
3 検討素材としての堀木訴訟(236)
4 差別禁止法理の国内理論の発展(238)
5 分析の観点(240)
第2節 平等権対象となる社会保障受給者の個人像 …… 241
1 個人像の再確認の意義(241)
2 社会的排除という視点(244)
3 原告堀木フミ子(245)
4 本件における憲法14条違反主張の意味(247)
第3節 障害福祉年金と児童扶養手当 …… 248
1 障害福祉年金(248)
2 児童扶養手当(250)
3 小括(251)
第4節 差別の存在の認定 …… 252
1 神戸地方裁判所判決(253)
2 大阪高等裁判所判決(255)
3 最高裁判所判決(258)
4 本件併給調整条項と合理的配慮義務の存在(260)
第5節 原告への児童扶養手当の支給の可否 …… 262
1 合理的配慮の後半部の問題設定(262)
2 児童扶養手当受給資格喪失処分取消請求事件(広島事件)(263)
3 堀木訴訟における「合理的配慮」(265)
第6節 社会保障受給権関連訴訟に対する合理的配慮法理に基づく審査の可能性 …… 269
あとがき …… 272
引用文献 …… 277