刑法の重要課題をめぐる日中比較法の実践
日中刑事法シンポジウム報告書17

刑法の重要課題をめぐる日中比較法の実践

甲斐克則 編
定価:2,750円(税込)
  • 在庫:
    在庫があります
  • 発行:
    2020年03月20日
  • 判型:
    A5判並製
  • ページ数:
    222頁
  • ISBN:
    978-4-7923-5299-8
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内容紹介

はしがき
開会の挨拶……甲斐克則1
張 明楷3
開催校挨拶……山本敬三5

第1セッション:責任能力をめぐる比較法の実践

1 精神病者の責任能力の認定……李 立衆 9
一 精神病者の認定 (10)
(一) 精神病者の意義 (10)
(二) 医学的基準 (13)
二 弁識・制御能力の認定 (14)
(一) 基本的な考え方 (14)
(二) 弁識能力に関するメルクマールの設定 (15)
(三) 制御能力のメルクマールの設定 (20)
(四) 弁識能力と制御能力を考察する順序 (22)
三 鑑定意見書に対する司法審査 (24)
1 精神状態の鑑定結果に対する審査 (24)
2 責任能力の鑑定結果に対する審査 (25)
四 結論 (28)

2 日本における責任能力をめぐる議論について……橋爪 隆 33
Ⅰ はじめに (33)
Ⅱ 責任能力の意義 (33)
1 総説 (33)
2 精神の障害の意義 (35)
3 弁識能力・制御能力 (36)
4 法律判断としての責任能力 (39)
5 裁判員裁判と責任能力 (42)
Ⅲ 近時の判例の動向 (43)
1 最判平成20年4月25日(刑集62巻5号1559頁) (44)
2 最決平成21・12・8(刑集63巻11号2829頁) (48)
3 最決平成27・5・25(判時2265号123頁) (51)
Ⅳ 今後の課題 (54)

第2セッション:賄賂罪をめぐる比較法の実践

3 日本における賄賂罪立法の展開と判例・解釈論概説……嶋矢貴之 61
1 はじめに (61)
2 立法の展開 (64)
1) 旧刑法 (64)
2) 明治40年現行刑法まで (65)
3) 明治40年(現行)刑法の改正 (68)
3 その後の判例・解釈論の展開の概観 (72)
1) 一般的職務権限論 (72)
2) 職務密接関連行為 (73)
4 まとめ:現状と今後の課題 (74)

4 中国の収賄罪における「他人のために利益を図」るという要件について……黎 宏 83
一 「他人のために利益を図」るという要件の史的沿革 (83)
二 「他人のために利益を図」るという要件の性格 (86)
三 「他人のために利益を図」るという要件の判断 (89)
(一) 他人のために利益を図ることを現に実施し又は承諾した (90)
(二) 他人が具体的な請託を持つことを知っていた (94)
(三) 職務を執行したとき請託を受けていなかったが、事後的に、当該職務の執行に基づいて他人の財物を収受した (95)
(四) 上下関係における下級者又は行政管理関係における被管理者から財物を要求し又は収受し、価格が3萬元以上であり、かつ職務執行に対して影響を及ぼす恐れがある場合は、他人のために利益を図ることを承諾したと見做す (100)
四 終わりに (101)

第3セッション:サイバー犯罪をめぐる比較法の実践

5 サイバー時代における刑法の解釈方法……劉 艶紅 107
一 サイバー時代における刑事政策:刑法の客観解釈でサイバー犯罪に
  対応すべきであろうか (108)
二 サイバー時代における刑法の客観解釈の傾向:拡張化・有罪化 (112)
(一) サイバー時代における刑法の客観解釈を拡張化・有罪化解釈と
同視する外部の動因 (112)
(二) サイバー時代における刑法の客観解釈を拡張化・有罪化解釈と
同視する内部の原因 (114)
(三) サイバー時代における刑法の客観解釈が拡張化・有罪化解釈と
同じであることを示す様々な事象 (117)
三 サイバー時代における新たな刑法の客観解釈の形成:
  「主観的な客観解釈論」 (122)
四 「主観的な客観解釈論」の貫徹:全国初の「悪意で注文の水増し」
  事件を事例として (125)
五 むすび (126)

6 日本のサイバー犯罪……川崎友巳 131
Ⅰ はじめに (131)
Ⅱ コンピュータシステムに対する犯罪 (132)
1 コンピュータシステム加害行為への刑法上の対応 (132)
2 不正アクセス (132)
3 プログラムの破壊・消去と改ざん (136)
Ⅲ ネットワーク利用犯罪 (139)
1 ネットワーク利用犯罪の特徴 (139)
2 サイバーポルノ (139)
3 その他のネットワーク利用犯罪 (143)
4 ネットワーク利用犯罪の実態 (145)
Ⅳ 結びに (146)

第4セッション:横領罪をめぐる比較法の実践

7 「横領」の意義について……田山聡美 153
1 はじめに (153)
2 横領行為とは (154)
(1) 領得行為説と越権行為説 (154)
(2) 横領行為の客観面と主観面の区別 (155)
3 不法領得の意思の内容 (157)
(1) 窃盗罪の場合 (157)
(2) 横領罪の場合 (158)
4 横領の既遂時期 (161)
5 横領物の横領 (162)
6 まとめ (164)

8 中国刑法における横領罪──学説、判例及び私見……梁 根林 169
導 入 (169)
一 横領の客体をめぐる学説、判例及び私見 (171)
(一) 自己の保管する他人の財物 (171)
(二) 遺忘物 (176)
二 横領行為をめぐる学説、判例及び私見 (179)
(一) 不法に自己の物として領得すること (179)
(二) 返還(引渡し)を拒否すること (181)
(三) 「不法に自己の物として領得すること」と「返還を拒否すること」との関係 (181)
三 特殊形態の占有の帰属と横領罪 (186)
(一) 占有補助 (186)
(二) 封緘物の占有 (187)
(三) 死者の占有 (187)
(四) 預金の占有 (188)
四 横領罪をめぐる学説・判例と刑法解釈の方法論(結びにかえて)(189)

総   括……張 明楷195
……甲斐克則201
閉会の挨拶……謝 望原204
……佐伯仁志207