刑法における正当化と結果帰属
松本圭史 著
定価:4,950円(税込)-
在庫:
在庫があります -
発行:
2020年06月10日
-
判型:
A5判上製 -
ページ数:
220頁 -
ISBN:
978-4-7923-5305-6
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内容紹介
目 次
はしがき(i)
初出一覧(ix)
序 章 はじめに1
第1章 違法性阻却段階における結果概念と失敗した
正当防衛
第1節 はじめに3
第2節 失敗した正当防衛をめぐる議論状況4
第1款 侵害の最終的な阻止を要求する見解(4)
第2款 正当防衛の正当化根拠を優越的利益原則以外に求める見解(6)
第3款 攻撃の弱体化・遅延または防衛効果が生じた可能性に着目する見解(8)
第4款 防衛結果の緩やかな把握を可能とする理論的根拠(9)
第3節 攻撃の弱体化・遅延に基づく正当化12
第1款 正当防衛に固有の正当化根拠を持ち出す見解(12)
第2款 構成要件段階の結果把握手法を違法性阻却段階に応用する見解(15)
第3款 攻撃の弱体化・遅延の程度と正当防衛の正当化根拠(16)
第4節 防衛結果の発生可能性に基づく正当化18
第1款 攻撃の弱体化・遅延にのみ着目することの限界(18)
第2款 防衛結果の発生可能性に基づく正当化の根拠(20)
第3款 防衛結果の発生可能性の判断基準(21)
第4款 正当防衛成立の下限としての防衛結果の発生可能性(22)
第5款 判例における失敗した正当防衛(25)
第6款 複数の攻撃者または複数の攻撃手段の一部に対する正当防衛の可否(27)
第5節 防衛結果の発生可能性に基づく正当化に対する
批判30
第1款 防衛結果の発生可能性がない場合の正当化の是非(30)
第2款 優越的利益原則との関係(32)
第3款 防衛行為と第三者(34)
第6節 本章のまとめ38
第2章 違法性阻却段階における結果発生の可能性と
偶然防衛
第1節 はじめに39
第2節 偶然防衛をめぐる議論状況39
第1款 伝統的な対立構造(39)
第2款 結果無価値論に基づく未遂説の台頭(41)
第3節 結果無価値論に基づく不可罰説43
第1款 不可罰説の構造と正当防衛における「正対不正」(43)
第1項 「早い者勝ち」の考え方に依拠する見解(43)
第2項 防衛効果の存在と失敗した正当防衛(45)
第2款 衝突状況にある利益自体の正・不正に着目する見解(46)
第3款 検 討(49)
第1項 侵害行為の先後に着目する見解(49)
第2項 同時に行われた防衛行為(51)
第3項 急迫不正の侵害の存在時期(53)
第4款 小 括(54)
第4節 二元的行為無価値論に基づく既遂説55
第1款 既遂説に対する批判(55)
第2款 二元的行為無価値論の違法性阻却構造(56)
第3款 違法二元論に基づく未遂説(60)
第4款 小 括(62)
第5節 結果無価値論に基づく未遂説の批判的検討63
第1款 結果無価値論に基づく未遂説の構造(63)
第2款 批判的検討(64)
第1項 未遂説と「未遂」概念(64)
第2項 未遂説の理論上の問題(65)
第3項 未遂説の実際上の問題(69)
第6節 違法性阻却と因果関係71
第7節 本章のまとめ73
第3章 違法性阻却段階における因果性と違法性の連帯性
第1節 はじめに74
第2節 「正犯が違法であること」をめぐる議論状況75
第1款 制限従属性説と最小限従属性説の対立(75)
第2款 「正犯が違法であること」が要求される理論的根拠(77)
第3節 「正犯が違法であること」を要求する意義78
第1款 狭義の共犯の成立要件としての側面(78)
第2款 違法性の連帯性としての側面(80)
第1項 「正犯が違法であること」と共犯との間の違法関連性(80)
第2項 違法性の消極的連帯性と積極的連帯性の区別(82)
第3項 違法性の積極的連帯性の不承認(84)
第3款 小 括(86)
第4節 違法性の消極的連帯性の根拠87
第1款 共犯の処罰根拠論からのアプローチ(87)
第1項 従属的法益侵害説による根拠づけ(88)
第2項 要素従属性・連帯性の問題と各惹起説との関係(90)
第2款 違法な「結果」に着目する見解(92)
第1項 違法な結果=結果無価値という理解(92)
第2項 違法性阻却原理との関係(94)
第3項 違法性の本質論からの根拠づけの問題性(95)
第3款 違法な「正犯行為」に着目する見解(97)
第1項 Andreas Hoyerの見解(97)
第2項 狭義の共犯固有の違法性の観点からの根拠づけの問題性(98)
第4款 狭義の共犯の「二次的責任類型性」に着目する見解(100)
第1項 二次的責任類型性の内容(100)
第2項 客観的処罰条件に位置づけるアプローチ(101)
第3項 違法性の消極的連帯性の政策的要請(103)
第5款 小 括(105)
第5節 違法性の連帯性の内実106
第1款 構成要件段階における結果無価値の存否の共通性(107)
第2款 違法性阻却段階における結果有価値の存否の共通性(109)
第3款 結果有価値の帰属判断(110)
第1項 帰属を基礎づける「因果性」(110)
第2項 帰属を阻害する「利益衝突状況の作出」(112)
第3項 正当防衛事例における背後者についての違法性阻却判断(114)
第6節 本章のまとめ119
第4章 共同正犯における違法性の連帯性と正当防衛の成否
第1節 はじめに120
第2節 共同正犯における違法性の連帯性をめぐる従来の議論120
第1款 基本的な対立構造(120)
第2款 共同正犯の場合に違法性が連帯するか否かを決する観点(122)
第3款 背後者に関する正当防衛の個別的検討の可否(123)
第3節 平成4年決定と共同正犯における違法性の連帯性124
第1款 平成4年決定の概要(124)
第2款 平成4年決定の2つの意義(125)
第1項 従属性の問題を過剰防衛の成否に関係させる見解(125)
第2項 過剰防衛の成否と違法連帯・責任個別原理を区別する必要性(126)
第4節 共同正犯における違法性の連帯性130
第1款 従来の議論における対立軸(130)
第1項 違法性の連帯性を認める見解(控除説)(130)
第2項 違法性の連帯性を認めない見解(加算説)(132)
第2款 控除説に対する近時の批判と加算説の主張の核心(135)
第1項 連帯基準を決定できないとする見解(135)
第2項 適法評価の連帯の肯定と違法評価の連帯の否定(136)
第3項 加算説の主張の核心(137)
第4項 狭義の共犯の「二次的責任類型性」に着目する見解との関係(138)
第3款 控除説における連帯基準と控除説と加算説の対立点(139)
第1項 控除説における連帯基準(139)
第2項 控除説と加算説の対立点(140)
第5節 検 討141
第1款 控除説の問題点(142)
第1項 適法行為を利用した間接正犯(142)
第2項 実行共同正犯(142)
第3項 控除説の犯罪体系論上の問題(144)
第2款 背後者に対する正当防衛の個別的検討の可否(146)
第1項 侵害の急迫性(147)
第2項 防衛行為の必要性・相当性(149)
第6節 本章のまとめ150
第5章 中止犯の結果帰属論的考察
第1節 はじめに152
第2節 法律説152
第1款 結果無価値論に基づく違法減少の観点(153)
第1項 基本的な考え方(153)
第2項 「法益侵害の危険を消滅させた」ことの違法論的意味づけ(156)
第2款 行為無価値論に基づく違法減少の観点(158)
第1項 基本的な考え方(158)
第2項 未遂行為と中止行為の一体的評価(159)
第3項 中止犯の一身専属的効果と違法性の連帯性(161)
第3款 責任減少の観点(163)
第1項 基本的な考え方(163)
第2項 減少する「非難」の内実(164)
第3項 量刑事情としての自発的な中止行為(165)
第4項 量刑責任の減少に着目する必要性と不当性(167)
第4款 小 括(170)
第3節 政策説171
第1款 モデル的な政策説(171)
第2款 中止犯規定の目的を具体化する見解(173)
第3款 中止犯規定を「構成要件の裏返し」と理解する見解(175)
第1項 基本的な考え方(175)
第2項 裏返し論における免除基準(176)
第3項 未遂行為と中止行為を比較する必要性(179)
第4款 小 括(181)
第4節 違法減少説の再構成182
第1款 「結果有価値実現行為」としての中止行為(182)
第2款 違法性の連帯性の問題と中止犯の一身専属的効果の調和(185)
第3款 中止犯の成立要件(186)
第4款 減軽と免除の区別(189)
第5節 本章のまとめ190
終 章 おわりに192
参考文献一覧195
はしがき(i)
初出一覧(ix)
序 章 はじめに1
第1章 違法性阻却段階における結果概念と失敗した
正当防衛
第1節 はじめに3
第2節 失敗した正当防衛をめぐる議論状況4
第1款 侵害の最終的な阻止を要求する見解(4)
第2款 正当防衛の正当化根拠を優越的利益原則以外に求める見解(6)
第3款 攻撃の弱体化・遅延または防衛効果が生じた可能性に着目する見解(8)
第4款 防衛結果の緩やかな把握を可能とする理論的根拠(9)
第3節 攻撃の弱体化・遅延に基づく正当化12
第1款 正当防衛に固有の正当化根拠を持ち出す見解(12)
第2款 構成要件段階の結果把握手法を違法性阻却段階に応用する見解(15)
第3款 攻撃の弱体化・遅延の程度と正当防衛の正当化根拠(16)
第4節 防衛結果の発生可能性に基づく正当化18
第1款 攻撃の弱体化・遅延にのみ着目することの限界(18)
第2款 防衛結果の発生可能性に基づく正当化の根拠(20)
第3款 防衛結果の発生可能性の判断基準(21)
第4款 正当防衛成立の下限としての防衛結果の発生可能性(22)
第5款 判例における失敗した正当防衛(25)
第6款 複数の攻撃者または複数の攻撃手段の一部に対する正当防衛の可否(27)
第5節 防衛結果の発生可能性に基づく正当化に対する
批判30
第1款 防衛結果の発生可能性がない場合の正当化の是非(30)
第2款 優越的利益原則との関係(32)
第3款 防衛行為と第三者(34)
第6節 本章のまとめ38
第2章 違法性阻却段階における結果発生の可能性と
偶然防衛
第1節 はじめに39
第2節 偶然防衛をめぐる議論状況39
第1款 伝統的な対立構造(39)
第2款 結果無価値論に基づく未遂説の台頭(41)
第3節 結果無価値論に基づく不可罰説43
第1款 不可罰説の構造と正当防衛における「正対不正」(43)
第1項 「早い者勝ち」の考え方に依拠する見解(43)
第2項 防衛効果の存在と失敗した正当防衛(45)
第2款 衝突状況にある利益自体の正・不正に着目する見解(46)
第3款 検 討(49)
第1項 侵害行為の先後に着目する見解(49)
第2項 同時に行われた防衛行為(51)
第3項 急迫不正の侵害の存在時期(53)
第4款 小 括(54)
第4節 二元的行為無価値論に基づく既遂説55
第1款 既遂説に対する批判(55)
第2款 二元的行為無価値論の違法性阻却構造(56)
第3款 違法二元論に基づく未遂説(60)
第4款 小 括(62)
第5節 結果無価値論に基づく未遂説の批判的検討63
第1款 結果無価値論に基づく未遂説の構造(63)
第2款 批判的検討(64)
第1項 未遂説と「未遂」概念(64)
第2項 未遂説の理論上の問題(65)
第3項 未遂説の実際上の問題(69)
第6節 違法性阻却と因果関係71
第7節 本章のまとめ73
第3章 違法性阻却段階における因果性と違法性の連帯性
第1節 はじめに74
第2節 「正犯が違法であること」をめぐる議論状況75
第1款 制限従属性説と最小限従属性説の対立(75)
第2款 「正犯が違法であること」が要求される理論的根拠(77)
第3節 「正犯が違法であること」を要求する意義78
第1款 狭義の共犯の成立要件としての側面(78)
第2款 違法性の連帯性としての側面(80)
第1項 「正犯が違法であること」と共犯との間の違法関連性(80)
第2項 違法性の消極的連帯性と積極的連帯性の区別(82)
第3項 違法性の積極的連帯性の不承認(84)
第3款 小 括(86)
第4節 違法性の消極的連帯性の根拠87
第1款 共犯の処罰根拠論からのアプローチ(87)
第1項 従属的法益侵害説による根拠づけ(88)
第2項 要素従属性・連帯性の問題と各惹起説との関係(90)
第2款 違法な「結果」に着目する見解(92)
第1項 違法な結果=結果無価値という理解(92)
第2項 違法性阻却原理との関係(94)
第3項 違法性の本質論からの根拠づけの問題性(95)
第3款 違法な「正犯行為」に着目する見解(97)
第1項 Andreas Hoyerの見解(97)
第2項 狭義の共犯固有の違法性の観点からの根拠づけの問題性(98)
第4款 狭義の共犯の「二次的責任類型性」に着目する見解(100)
第1項 二次的責任類型性の内容(100)
第2項 客観的処罰条件に位置づけるアプローチ(101)
第3項 違法性の消極的連帯性の政策的要請(103)
第5款 小 括(105)
第5節 違法性の連帯性の内実106
第1款 構成要件段階における結果無価値の存否の共通性(107)
第2款 違法性阻却段階における結果有価値の存否の共通性(109)
第3款 結果有価値の帰属判断(110)
第1項 帰属を基礎づける「因果性」(110)
第2項 帰属を阻害する「利益衝突状況の作出」(112)
第3項 正当防衛事例における背後者についての違法性阻却判断(114)
第6節 本章のまとめ119
第4章 共同正犯における違法性の連帯性と正当防衛の成否
第1節 はじめに120
第2節 共同正犯における違法性の連帯性をめぐる従来の議論120
第1款 基本的な対立構造(120)
第2款 共同正犯の場合に違法性が連帯するか否かを決する観点(122)
第3款 背後者に関する正当防衛の個別的検討の可否(123)
第3節 平成4年決定と共同正犯における違法性の連帯性124
第1款 平成4年決定の概要(124)
第2款 平成4年決定の2つの意義(125)
第1項 従属性の問題を過剰防衛の成否に関係させる見解(125)
第2項 過剰防衛の成否と違法連帯・責任個別原理を区別する必要性(126)
第4節 共同正犯における違法性の連帯性130
第1款 従来の議論における対立軸(130)
第1項 違法性の連帯性を認める見解(控除説)(130)
第2項 違法性の連帯性を認めない見解(加算説)(132)
第2款 控除説に対する近時の批判と加算説の主張の核心(135)
第1項 連帯基準を決定できないとする見解(135)
第2項 適法評価の連帯の肯定と違法評価の連帯の否定(136)
第3項 加算説の主張の核心(137)
第4項 狭義の共犯の「二次的責任類型性」に着目する見解との関係(138)
第3款 控除説における連帯基準と控除説と加算説の対立点(139)
第1項 控除説における連帯基準(139)
第2項 控除説と加算説の対立点(140)
第5節 検 討141
第1款 控除説の問題点(142)
第1項 適法行為を利用した間接正犯(142)
第2項 実行共同正犯(142)
第3項 控除説の犯罪体系論上の問題(144)
第2款 背後者に対する正当防衛の個別的検討の可否(146)
第1項 侵害の急迫性(147)
第2項 防衛行為の必要性・相当性(149)
第6節 本章のまとめ150
第5章 中止犯の結果帰属論的考察
第1節 はじめに152
第2節 法律説152
第1款 結果無価値論に基づく違法減少の観点(153)
第1項 基本的な考え方(153)
第2項 「法益侵害の危険を消滅させた」ことの違法論的意味づけ(156)
第2款 行為無価値論に基づく違法減少の観点(158)
第1項 基本的な考え方(158)
第2項 未遂行為と中止行為の一体的評価(159)
第3項 中止犯の一身専属的効果と違法性の連帯性(161)
第3款 責任減少の観点(163)
第1項 基本的な考え方(163)
第2項 減少する「非難」の内実(164)
第3項 量刑事情としての自発的な中止行為(165)
第4項 量刑責任の減少に着目する必要性と不当性(167)
第4款 小 括(170)
第3節 政策説171
第1款 モデル的な政策説(171)
第2款 中止犯規定の目的を具体化する見解(173)
第3款 中止犯規定を「構成要件の裏返し」と理解する見解(175)
第1項 基本的な考え方(175)
第2項 裏返し論における免除基準(176)
第3項 未遂行為と中止行為を比較する必要性(179)
第4款 小 括(181)
第4節 違法減少説の再構成182
第1款 「結果有価値実現行為」としての中止行為(182)
第2款 違法性の連帯性の問題と中止犯の一身専属的効果の調和(185)
第3款 中止犯の成立要件(186)
第4款 減軽と免除の区別(189)
第5節 本章のまとめ190
終 章 おわりに192
参考文献一覧195