夢と欲望のオリンピック

夢と欲望のオリンピック

その多様な姿
高峰 修 編著
定価:3,520円(税込)
  • 在庫:
    在庫があります
  • 発行:
    2020年10月01日
  • 判型:
    A5判並製
  • ページ数:
    288頁
  • ISBN:
    978-4-7923-8084-7
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内容紹介

目  次

はしがき (i)
初出一覧 (iv)

第1部 オリンピック概論

第1章 オリンピズム―レガシーなき時代に―
一 はじめに3
二 オリンピズムの謎、オリンピックという罠4
三 オリンピズム、その言葉の起源6
四 クーベルタンの回状7
1 教育と競技 (8)
2 ヘレニズム回帰 (9)
3 人間の完成とアマチュア問題 (10)
五 オリンピック・コングレスの舞台裏12
六 レガシーの創造14
七 レガシーなき時代に17

第2章 オリンピック・パラリンピック教育
一 はじめに19
二 国際オリンピック委員会(IOC)が定めるオリンピック教育21
1 オリンピックの理念と3つのコアバリュー (21)
2 Olympic Values Education Program(OVEP) (21)
三 我が国のオリンピック教育の歩み23
1 オリンピック東京大会(1964年) (23)
2 オリンピック札幌冬季大会(1972年) (26)
3 オリンピック長野冬季大会(1998年) (27)
四 2020年東京オリンピック・パラリンピック大会に向けた取り組み29
1 スポーツ庁(文部科学省)におけるオリンピック・パラリンピック教育の推進 (29)
2 東京都におけるオリンピック・パラリンピック教育の推進 (30)
3 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会におけるオリンピック・パラリンピック教育の推進 (32)
五 おわりに―オリンピック教育、今後の展望―33

第3章 ドーピングの社会学
一 ドーピングに揺れるオリンピック35
二 ドーピング問題の微妙さ36
三 ドーピング基本情報40
四 ドーピング事件の映画から⑴―ドーピングとジェンダ―45
五 ドーピング事件の映画から⑵―勝利至上主義と商業主義―48
六 ドーピング事件の映画から⑶―「国家ぐるみのドーピング」という描き方―53
七 ボディビルと「健康な身体」55
八 ドーピング的ふるまいと現代57

第2部 オリンピックと政治

第4章 1936年、ナチス期のオリンピック
一 はじめに63
二 ベルリン大会開催までのプロセス64
1 ベルリン大会開催の決定 (64)
2 ナチス政権下での大会準備 (66)
3 ベルリン大会開催に対するボイコット (68)
4 反ユダヤ主義政策の緩和 (70)
三 ベルリン大会「開会式」72
1 「聖火リレー」と「オリンピックの鐘」 (72)
2 ベルリン大会開会式 (74)
四 大会開催中にみる「反社会的分子」と「非アーリア人」へのナチスの対応76
1 「反社会的分子」への対応 (76)
2 「非アーリア人」への対応:ジェームス(ジョゼ)・クレヴェラント・オーウェンス (78)
3 ベルリン大会の評価 (81)
五 おわりに83

第5章 オリンピックと戦後日本政治―川島正次郎と東京―
一 東京2020大会と東京86
1 環状第二号線 (86)
2 築地市場 (87)
3 「いだてん」の悪役(ヒール) (88)
二 東京1964大会の政治史89
1 オリンピックが東京に (89)
2 「江戸っ子」政治家の誕生 (91)
3 官僚派vs.党人派 (94)
4 新しいリーダーたち (95)
三 政治家・川島正次郎97
1 後藤新平の影 (97)
2 川島正次郎と「東京」 (99)

第6章東京2020における組織間関係
一 誰が何をどのように担当しているのか?101
1 目的と構成 (101)
2 「集権・分権」と「融合・分離」 (102)
3 オリンピック関連団体への適用可能性 (103)
二 IOCとJOC・組織委員会の組織間関係104
1 IOCの「集権性」 (104)
2 IOCとJOC・組織委の業務分担 (105)
3 IOCとJOC・組織委は「集権・分離」型 (108)
三 開催都市東京都と組織委員会の関係109
1 東京都の体制と担当業務 (109)
2 組織委員会の体制と担当業務 (110)
3 東京都と組織委員会は「分権・融合」型 (111)
四 国の機関との関係112
1 「国の関与」の正当性 (112)
2 オリ・パラ推進本部の所掌事務 (113)
3 分権・融合型の政府間関係・組織間関係 (114)
4 スポーツ庁の位置づけと役割 (115)
5 おわりに (116)

第3部 オリンピックと経済

第7章 1984年ロサンゼルス大会―アマチュアリズムからビジネスへ―
一 はじめに―なぜロサンゼルス大会なのか―121
二 ロサンゼルス大会以前のオリンピック大会122
1 ミュンヘン大会(1972年) (122)
2 モントリオール大会(1976年) (123)
3 モスクワ大会(1980年) (124)
三 アマチュアリズムからの解放125
1 アマチュアリズムとは (125)
2 アマチュアリズムの誕生と伝播 (127)
3 アマチュアリズムが抱える矛盾 (128)
4 IOC会長の交代 (132)
5 アマチュアリズムの崩壊とプロ解禁 (133)
四 アメリカ国内の政治経済的背景133
五 ロサンゼルス方式134
六 ロサンゼルス大会が残したもの137

第8章オリンピックに経済効果は必要か―「経済効果」入門―
一 はじめに139
二 「経済効果」の推計方法140
1 産業連関分析入門 (140)
2 回帰分析入門 (143)
三 東京2020の経済効果推計145
1 東京都オリンピック・パラリンピック準備局推計 (145)
2 Brückner and Pappa(2015) (147)
3 日本銀行調査統計局による推計 (149)
四 経済効果推計を巡る問題点151
1 支出の振り替えと供給制約 (151)
2 「オリンピックの経済効果」とはそもそも何なのか (153)
五 おわりに155

第4部 オリンピックと社会

第9章 東京2020と東京一極集中
一 はじめに159
二 人口減少時代の到来と東京一極集中159
1 人口の趨勢と2回のオリンピック (159)
2 地方における人口減と高齢化の進行 (161)
3 地方消滅と少子化問題 (162)
4 東京圏の人口集中状況 (164)
三 東京一極集中のメリット・デメリット165
1 集積の経済と不経済 (165)
2 東京集中のプル要因とプッシュ要因 (166)
3 若年世帯の家族形成と少子化問題 (168)
4 東京2020と地価の推移 (169)
四 東京圏の雇用と東京2020170
1 近年の雇用の動向 (170)
2 東京圏の雇用と人口移動 (172)
3 オリンピックと雇用動向 (174)
五 東京2020と一極集中を考える―結論に代えて―176
1 東京2020と東京一極集中 (176)
2 東京2020以降の東京一極集中 (176)

第10章 オリンピックと持続可能性―都市空間の変遷と社会的弱者の生活環境問題を考える―
一 はじめに178
二 オリンピックと環境問題―持続可能性の実現に向けて―179
三 持続可能な開発とオリンピック181
四 オリンピックによる都市環境の大改造182
五 オリンピックとグローバル都市184
六 アトランタ市のジェントリフィケーション186
七 オリンピック公園の現在190
八 おわりに191

第11章 “復興五輪”としての東京2020―エネルギー問題をめぐる国内植民地―
一 なぜ東京2020で“復興”なのか193
1 “復興五輪”としての東京2020 (193)
2 “復興五輪”言説に潜む包摂と排除 (194)
3 「やっぱり復興五輪にします」 (196)
二 招致過程における“復興五輪”言説196
1 “申請”“立候補”両ファイルにおける復興 (196)
2 主要全国三紙における“復興五輪”言説 (198)
三 “復興五輪”言説がもつ国内的な意味204
1 東京と福島のエネルギー供給関係 (204)
2 “復興五輪”を通してみる国内植民地関係 (205)
3 “復興五輪”言説による国内植民地関係の紡ぎ直し (206)
4 SDGs五輪と再生可能エネルギー (207)
5 被災地の産業再生 (209)
6 おわりに (210)

第5部 オリンピックと文化

第12章オリンピックとジェンダー
一 はじめに―オリンピックのジェンダー史―213
二 男たちのためのオリンピック214
三 オリンピックへの女子選手の参加をめぐるポリティクス216
1 女子選手の参加のはじまり (216)
2 壁を破ろうとする女性たちの試み (218)
四 冷戦下のオリンピックとジェンダーのパラドックス219
1 冷戦と反動的ジェンダー観 (219)
2 冷戦が広げる女子選手の機会 (221)
五 性差を定義する場としてのオリンピック222
1 目視から染色体検査へ (222)
2 染色体検査からテストステロン値へ (225)
3 性別判定に翻弄されるセメンヤ (227)
六 むすびにかえて―性差を意味づける制度としてのオリンピック―228
1 性差をつくりだす性別判定テスト (228)
2 疑われる女子選手を決める、ジェンダー以外の要素 (230)

第13章 オリンピックとイスラーム世界―宗教とジェンダーの国際力学―
一 はじめに233
二 ムスリム・アスリートを通してみえてくる国際社会233
1 ムスリム人口 (233)
2 イスラーム協力機構加盟国からのオリンピック・リオデジャネイロ大会参加 (233)
3 ムスリム・アスリートはどこにいる? (237)
4 行く人、来る人―移民選手 (239)
5 二節のまとめ (242)
三 ムスリムの女性アスリートを通してみえてくるジェンダー平等の問題242
1 スポーツとジェンダーの落とし穴 (242)
2 イスラームとジェンダー (245)
3 ムスリム女性アスリートとリオデジャネイロ大会 (245)
4 ヒジャーブ問題 (247)
5 ジェンダー平等への異なる道のり (249)
四 結びにかえて251

第14章 中華人民共和国におけるGANEFOへの道程
一 はじめに252
二 「人民」の「革命」と身体255
三 分断状況の固定化とオリンピック参加問題260
四 戦時体制のなかの「人民」264
五 GANEFOに内包されるもの―まとめにかえて―267


執筆者紹介 (271)