性犯罪規定の比較法研究

性犯罪規定の比較法研究

樋口亮介・深町晋也 編著
定価:16,500円(税込)
  • 在庫:
    在庫があります
  • 発行:
    2020年11月30日
  • 判型:
    A5判上製
  • ページ数:
    1072頁
  • ISBN:
    978-4-7923-5315-5
カートに入れる

書籍購入は弊社「早稲田正門店インターネット書店」サイトでの購入となります。

内容紹介

《目 次》
 本書の趣旨 i
 収録論文一覧 v
 目次 vi
 凡例 xxxiv
本書解題                  樋口 亮介 xxxvii
Ⅰ はじめに
Ⅱ 暴行脅迫要件・抗拒不能要件と不同意犯罪
1.不同意犯罪規定を導入している法域
(1)2015年以前の導入法域
(a)イギリス
(ⅰ)不同意犯罪規定
(ⅱ)家族内に関する政策規定
(b)カナダ
(c)台湾
(ⅰ)行為態様に着眼した規定:その他意思に反する方法の処罰
(ⅱ)被害者の心身状態に着眼した規定
(ⅲ)地位・関係性に着眼した規定
(2)2015年以降に導入した法域
(a)ドイツ
(ⅰ)2016年改正前 (ⅱ)2016年改正
(b)オーストリア
 (ⅰ)2015年改正前 (ⅱ)2015年改正
(c)スウェーデン
 (ⅰ)2018年改正前  (ⅱ)2018年改正
2.不同意犯罪規定を導入していない法域
(1)スイス
(a)行為態様に着眼した規定
(b)被害者の抗拒不能
(c)窮乏状態・依存関係の利用
(2)フランス
(a)条文上の手段要件と解釈論による整理
(b)手段要件と不同意の関係
(3)韓国
(a)暴行脅迫要件及び抗拒不能要件
(b)保護・監督の対象者に対する偽計又は威力
3.アメリカ
(1)個別類型の維持
(2)実力要件をめぐる議論
(3)不同意犯罪規定の機能
4.日本法への示唆
(1)各法域からの示唆
(a)不同意犯罪化を行っている法域からの示唆
(b)不同意犯罪化を行っていない法域からの示唆
(c)アメリカからの示唆
  (2)横断的比較と若干の示唆
(a)不同意犯罪化していない法域の特徴
(ⅰ)比較法的状況
(ⅱ)我が国の特徴
(b)不同意犯罪規定を有する法域の特徴と我が国への示唆
(ⅰ)不同意・不任意による包摂型:イギリス・カナダ・スウェーデン
(ア)イギリス (イ)カナダ (ウ)スウェーデン
(ⅱ)受皿的な条文を設定する法域:台湾・オーストリア
(ア)台湾:暴行脅迫と並置する受皿の設定
(イ)オーストリア:法定刑の軽い受皿の設定
(ⅲ)ドイツ:No means noを基軸にする規定形式
Ⅲ 未成年者に関する規定
 1.各法域の規定
  (1)イギリス (2)アメリカ (3)カナダ 
(4)ドイツ (5)オーストリア (6)スイス
(7)スウェーデン (8)フランス (9)韓国 (10)台湾
 2.日本法への示唆
(1)各法域からの示唆
(2)横断的比較と若干の示唆
 (a)低年齢に関する規定
(ⅰ)規定のあり方
(ⅱ)法定刑の相違が生み出す現象
(b)低年齢以外に関する規定
(ⅰ)被害者の年齢による形式的規律に重点を置く規定
(ⅱ)未成熟さ・不正手段の利用に着眼する規定
(ⅲ)強制状態の利用
(ⅳ)地位・関係性
(ⅴ)日本の特徴と課題
(c)未成年者に関する規定の趣旨と法定刑
(ⅰ)若干の整理
(ⅱ)日本の特徴と課題
Ⅳ 障害者に関する規定
1.被害者の心身状態に着眼した規定の枠内に位置づける法域
 (1)アメリカ (2)ドイツ (3)韓国 (4)台湾
2.特別の政策規定を置く法域
(1)イギリス (2)カナダ
 3.日本法への示唆
  (1)各法域からの示唆
  (2)横断的比較と若干の示唆
(a)法定刑の相違から生じる問題 (b)処罰の拡張 (c)処罰の限界
Ⅴ 盗撮罪と性犯罪記録削除
1.盗撮罪
(1)イギリス
(a)法改正の経緯 (b)要件  (c)罪質 (d)盗撮記録の事後的利用行為
(2)アメリカ
(a)州法における法改正 (b)盗撮罪を処罰する州法における要件 
(c)罪質 (d)盗撮記録の事後的利用行為
(3)カナダ
(a)法改正の経緯 (b)要件 (c)罪質 (d)盗撮記録の事後的利用行為
(4)ドイツ
(a)法改正に向けた動向 (b)改正案の要件 
(c)罪質 (d)盗撮記録の事後的利用行為
(5)韓国
(a)法改正の経緯 (b)要件 (c)罪質 (d)盗撮記録の事後的利用行為
2.性犯罪記録削除
(1)イギリス
(2)アメリカ
(3)ドイツ
(a)刑法典上の没収 (b)警察法上の押収
(4)韓国
3.日本法への示唆
(1)盗撮罪
(a)各国からの示唆 (b)横断的比較と若干の示唆
(2)性犯罪記録削除
(a)各国からの示唆 (b)横断的比較と若干の示唆
Ⅴ その他
1.性的行為と評価される範囲と性的嫌がらせ罪
(1)調査した法域の状況
(a)英米法圏 (b)ドイツ語法圏 (c)フランス (d)韓国
(2)調査からの示唆
2.未成年者保護規定における処罰の拡張
(1)調査した法域の状況
(2)調査からの示唆
3.継続的虐待における特定困難性への対処
(1)調査した法域の状況
(2)調査からの示唆
4.公訴時効に関する規定
Ⅵ おわりに

第1編 英 米 法 圏
英米法圏解題                樋口 亮介
Ⅰ 各国の基本構造 3
1 イギリス法 (3)
(1) 不同意の処罰規定 (4)
(2) 脆弱者保護規定 (4)
2 カナダ法 (5)
(1) 性的暴行罪 (5)
(2) 未成年者・障害者に対する性犯罪規定 (5)
3 アメリカ法 (7)
(1) 個別類型の維持 (7)
(2) 不同意犯罪規定と受皿的処罰条項 (7)

Ⅱ イギリス及びカナダにおける不同意犯罪 8
1 列挙事由の機能 (8)
(1) イギリス法:列挙事由の機能の限定性 (8)
(2) カナダ法:列挙事由該当による不同意みなし機能 (9)
2 欺罔・錯誤の扱い (9)
3 主観的要件 (10)
(1) カナダ法 (10)
(2) イギリス法 (11)
4 No means no・Yes means yesを巡る更なる議論 (11)
(1) カナダ法 (11)
(2) イギリス法:議論の不在 (12)

Ⅲ アメリカ法の特徴 13
1 イギリス・カナダ法との対比 (13)
(1) 欺罔・錯誤の扱い (13)
(2) 主観的要件 (14)
(3) No means no、Yes means yesをめぐる動向 (14)
2 アメリカ法固有の動向 (16)
(1) 実力要件の拡張と混乱 (16)
(2) 受皿的処罰条項の実際の機能 (16)

Ⅳ 英米法圏から日本法に得られる示唆 17
1 不同意犯罪の規定のあり方 (17)
2 未成年者・障害者の保護のあり方 (18)

イギリス法における性犯罪規定、盗撮規制および性犯罪記録画像の取扱い       仲道 祐樹
Ⅰ はじめに 20

Ⅱ 概観 22
1 設計思想 (22)
2 2003年性犯罪法の2本柱 (23)

Ⅲ 「不同意犯罪としての強姦罪」の形成過程 23
1 伝統的理解と判例における拡張 (23)
2 1975年Heilbron 報告書と1976年性犯罪法改正法 (24)

Ⅳ 2003年性犯罪法における同意規定 25
1 2003年性犯罪法以前の判例 (25)
(1) 同意の判断方法 (25)
(2) 錯誤の取扱い (26)
2 2003年性犯罪法制定までの議論 (27)
(1) 1995年法律委員会諮問書第139号 (27)
(2) 2000年法律委員会報告書 (28)
(3) 2000年内務省報告書 (29)
3 2003年性犯罪法の同意関連規定 (30)
(1) 定義規定 (30)
(2) 同意についてのメンズ・レア (31)
(3) 推定規定 (34)
(4) 74条、75条、76条の相互関係 (37)
(5) 判例に現れた具体例 (38)

Ⅴ 不同意犯罪 42
1 基本4類型 (42)
(1) 4類型の趣旨 (43)
(2) 強姦 (44)
(3) 挿入による暴行 (45)
(4) 性的暴行 (46)
(5) 同意のない性的行為の惹起 (47)
(6) 「性的」の判断 (48)
2 13歳未満の児童に対する犯罪 (49)
(1) 構造 (49)
(2) 立法趣旨 (50)
(3) 要件 (51)

Ⅵ 脆弱者保護規定 52
1 16歳未満の児童に対する犯罪 (54)
(1) 構造 (54)
(2) 立法趣旨 (55)
2 信用ある地位の濫用 (56)
(1) 構造 (56)
(2) 立法趣旨 (56)
(3) 信用ある地位 (56)
(4) 婚姻、パートナーシップの例外、および既存の性的関係の例外 (57)
3 児童たる家族メンバーに対する犯罪 (57)
(1) 構造 (57)
(2) 立法趣旨 (58)
(3) 対象となる家族関係 (59)
4 成人たる家族メンバーとの性交渉 (59)
(1) 構造 (59)
(2) 立法趣旨 (60)
(3) 近親関係 (60)
5 精神障害者に対する犯罪 (60)
(1) 構造 (60)
(2) 立法趣旨 (62)

Ⅶ 覗き見・盗撮規制 63
1 覗き見の罪(67条) (63)
2 2003年性犯罪法の処罰の間隙と2019年改正 (64)
3 盗撮の罪(67A条) (65)

Ⅷ 性犯罪記録画像への対応 67
1 没収の一般規定 (67)
(1) 制定法と要件 (67)
(2) 性犯罪記録所持の犯罪化による没収 (67)
2 性被害予防命令による禁止 (68)

Ⅸ まとめと日本法への示唆 70
1 本章の内容 (70)
2 イギリスにおける性犯罪実体法規定の全体像 (70)
3 不同意犯罪 (72)
(1) 推定規定 (72)
(2) 同意の一般規定に基づく判断方法 (73)
(3) 日本法への示唆 (76)
4 脆弱者保護規定 (80)
(1) 年齢の段階的設定と対応する保護 (80)
(2) 精神障害者保護規定における脆弱性と搾取的行為・状況 (81)
(3) 日本法への示唆 (82)
5 盗撮規制 (85)
(1) イギリスの盗撮規制 (85)
(2) 日本法への示唆 (87)
6 性犯罪記録画像の取扱い (88)
(1) 没収による対応 (88)
(2) 性被害予防命令による対応 (88)
(3) 日本法への示唆 (89)

アメリカにおける性犯罪規定               樋口 亮介
Ⅰ はじめに 91
1 検討対象 (91)
2 整理の視点 (92)
(1) 性行為の内容に応じた区分 (92)
(2) 性犯罪の個別類型 (92)
(3) 受皿的処罰条項の存在 (93)
3 調査方針・資料 (94)

Ⅱ 性行為の内容に応じた区分 95
1 性行為の内容に応じた軽重 (95)
(1) 重罰の対象 (95)
(2) 性中立化の要否に関する憲法判断 (96)
2 性犯罪が成立する限界 (97)
(1) 性的接触 (97)
(2) 児童保護規定における処罰範囲 (98)

Ⅲ 性犯罪の個別類型 98
1 実行態様に関する類型 (98)
(1) 実力行使 (99)
(2) 脅迫 (107)
(3) 強要 (109)
(4) 恐怖 (110)
(5) 欺罔 (113)
(6) 薬物・アルコールの投与 (115)
(7) 不 意 打 ち (115)
2 行為者の地位・被害者との人間関係に注目した規定 (116)
(1) 地位・人間関係の規定方式 (116)
(2) 処罰範囲の限定の有無:同意・権限利用 (117)
3 被害者の心身状態に注目した規定 (118)
(3) 同意無能力をもたらす類型 (118)
(4) 能力の内容 (118)
(5) 無能力の度合い(119)
(6) 障害者に関する規定 (120)
4 年齢に注目した規定 (121)
(1) 同意を問わない処罰規定 (121)
(2) 年齢に応じた区分 (121)
(1) 重罰による児童保護の正当化根拠と年齢の線引き (122)
(2) 同意による量刑上の減軽 (123)
5 不同意の表示(no means no) (123)
(1) 処罰要件の限定規定 (124)
(2) 限定規定を置かない州における処罰の実情 (126)
6 積極的な合意の表示の欠如(yes means yes) (127)
(1) 条文 (127)
(2) 運用の実際 (127)

Ⅳ 受皿的処罰条項 128
1 受皿的処罰条項として機能する条文 (128)
(1) 条文の定め方 (128)
(2) 強要あるいは任意性をめぐる学説の議論 (129)
(3) 課題設定とその結果 (130)
2 個別的に類型化された規定の欠如の埋め合わせ (130)
(1) 実行態様 (130)
(2) 心身状態 (134)
(3) 不同意の表示(no means no) (134)
(4) 積極的な合意の表示の欠如(yes means yes) (134)
3 個別類型化されていない局面 (137)
(1) マッサージ師の処罰 (138)
(2) 児童虐待への対応 (139)

Ⅴ その他 142
1 配偶者免責 (142)
2 錯誤 (143)
(1) 不同意 (143)
(2) 年齢 (143)
3 同意に基づく性行為を開始した後の同意の撤回 (143)
(1) 不処罰から処罰への変化 (143)
(2) 処罰範囲を限定する議論とその放棄 (144)
4 継続的な児童性犯罪 (145)
(1) 一連の性的行為の処罰 (145)
(2) 具体的な処罰要件 (146)
(3) 訴訟法に関する規定 (149)
(4) 施行時前後にまたがる性的虐待事案の処理 (151)

Ⅵ アメリカ法の特徴と分析 151
1 個別的な類型化と受皿的処罰条項 (151)
(1) 条文による個別的な類型化 (151)
(2) 受皿的処罰条項 (152)
2 性犯罪処罰をめぐる動き (153)
(1) 処罰の拡充と拡充による混乱 (153)
(2) 欺罔処罰における変化のなさ (155)
(3) yes means yesをめぐる議論の動向 (156)

Ⅶ 日本法への示唆 160
1 継続的な性的虐待への対応 (160)
2 no means noとyes means yesをめぐる議論 (160)
(1) no means no基準 (160)
(2) yes means yes基準 (161)
3 暴行脅迫要件・抗拒不能要件と性犯罪における不同意の意義 (162)
(1) 我が国の課題の把握 (162)
(2) アメリカ法からみた我が国における処罰対象の把握 (165)

Ⅷ おわりに:日本法の今後について 168
1 抗拒著しく困難という表現の見直し (168)
2 個別類型の列挙と受皿的処罰条項の設定 (169)
(1) 個別類型の列挙方法 (169)
(2) 受皿的処罰条項の設定 (170)

アメリカ合衆国における盗撮の刑事規制              川崎 友巳
Ⅰ はじめに 173

Ⅱ 盗撮の刑事規制のあゆみ 174
1 覗き見・窃視規制の起源(20世紀前半) (174)
(1) コモンロー上の犯罪としての覗き見・窃視 (174)
(2) 制定法上の犯罪としての覗き見・窃視 (174)
2 覗き見・窃視規制の整備(20世紀後半) (174)
(1) プライバシー侵害としての覗き見・窃視 (174)
(2) 覗き見・窃視から盗撮へ (175)
3 科学技術の進歩への対応と連邦レベルでの盗撮規制(21世紀) (175)
(1) 科学技術の進歩への対応 (175)
(2) 連邦レベルでの盗撮規制 (176)

Ⅲ 盗撮罪をめぐる21世紀の展開 177
1 公共空間でのスカートの中の隠し撮りへの対応 (177)
(1) 従来の盗撮処罰規定の限界 (178)
(2) 「スカートの中の隠し撮り」に対応するための法改正 (179)
(3) 憲法との整合性 (182)
(4)  「プライバシーの合理的期待を抱く場合(状況)」の意義の曖昧さ (184)
(5) 公的な場所での隠し撮りに対する盗撮罪の適用を否定する立法 (186)
2 盗撮画像の複製・頒布・公開 (187)

Ⅳ 盗撮罪を定めた連邦法・州法の特徴 192
1 各州の盗撮罪の性質 (193)
2 盗撮罪の成立要件 (195)
(1) 場所・状況的要件 (195)
(2) 盗撮の対象(客体) (195)
(3) 性的欲求を充足する等の目的・意図 (197)
3 適用除外規定・抗弁 (197)
4 その他の特徴的な規定 (198)

Ⅴ 若干の考察 ―日本の刑事政策への示唆の検討― 200
(1) 盗撮罪の性質 (200)
(2) 処罰範囲 (201)
(3) 憲法上の権利・自由への抵触 (203)
(4) データの没収・毀棄 (203)

Ⅵ むすび 204

カナダ刑法における「性犯罪」への対応               和田 俊憲
Ⅰ カナダの「性犯罪」の特徴 205

Ⅱ 性的暴行罪 208
1 沿革 (208)
(1) 1892年以前:伝統的な強姦罪 (208)
(2) 1892年?1982年:拡張された強姦罪 (208)
(3) 1982年?1992年:性的暴行罪 (208)
(4) 1992年以降:厳格化された性的暴行罪 (210)
2 犯罪類型の概観 (211)
(1) 規定の構造 (211)
(2) 性的暴行罪の基本類型の要件 (212)
3 身体的接触 (212)
4 性的性質 (213)
5 同意の不存在 (214)
(1) 性的暴行罪における同意とその不存在 (214)
(2) 同意不存在事由・その1 (215)
(3) 同意不存在事由・その2 (216)
(4) 同意不存在事由・その3 (217)
(5) 同意の抗弁の制限 (218)
6 主観的要素 (218)
(1) 認識の対象と目的の要否 (218)
(2) 同意認識の抗弁の限定 (219)
7 加重類型における加重要素 (221)
(1) 武器使用等による性的暴行罪 (221)
(2) 加重的性的暴行罪 (222)
8 その他の関連規定 (222)
9 量刑基準 (222)

Ⅲ 未成年者に対する性的干渉罪・性的搾取罪 223
1 概観 (223)
(1) 年齢層の分類 (223)
(2) 未成年者保護規定の趣旨 (224)
(3) 基本的な視角 (225)
2 規定の構造 (226)
3 行為態様 (227)
4 性的目的 (227)
5 同意の取扱い (228)
(1) 16歳未満の場合 (228)
(2) 性的搾取罪の場合 (229)
6 年齢の錯誤 (230)
7 12・13歳の不訴追 (230)
8 未成年者に対する保護の拡張 (230)

Ⅳ 障害者に対する性的搾取罪 233
Ⅴ 盗視・盗撮罪等 234
1 盗視・盗撮罪および盗撮画像頒布等罪 (234)
2 親密画像頒布等罪 (235)

Ⅵ まとめと日本法への示唆 236
1 被害者の視点からみた性犯罪 (236)
2 行為者の視点からみた性犯罪 (237)
3 性犯罪処罰の目的 (240)
4 日本法への示唆 (241)


第2編 ドイツ語圏
ドイツ語圏各国の性犯罪解題                      深町 晋也
Ⅰ ドイツ語圏各国の性犯罪規定の基本構造 247
1 類型化の視点:強要類型と脆弱性・地位利用(虐待)類型 (247)
(1) 基本的な枠組み (247)
(2) 基本的な枠組みの修正あるいは逸脱 (249)
2 虐待類型としての抗拒不能の意義 (254)
(1) 原則としての強要類型と例外としての虐待類型 (254)
(2) 心理的抗拒不能と被害者の欺罔・錯誤 (256)
(3) 心理的抗拒不能と硬直状態(Freezing) (257)

Ⅱ ドイツ語圏各国における性刑法改正とその影響 258
1 意思に反する性犯罪規定の新設 (258)
2 「No means no」原則と「認識可能な意思に反した」要件 (259)
3 Stealthingに関する議論の横断的概観 (260)
(1) Stealthingの問題性 (260)
(2) Stealthingを巡るドイツ語圏各国の議論状況 (261)
4 拒絶意思を形成・表明することが困難である場合 (262)

Ⅲ ドイツ語圏各国の横断的分析とそこから得られる示唆 263
1 横断的分析 (263)
(1) 概説 (263)
(2) 性犯罪の処罰範囲について (263)
(3) No means no原則の意義 (264)
(4) 補充原理としてのNo means no原則 (265)
2 我が国への示唆 (266)

ドイツにおける性犯罪規定                 佐藤 陽子
Ⅰ はじめに 270

Ⅱ 沿革 271
1 第4次刑法改正(1973年11月23日) (271)
2 第33次刑法(一部)改正法(1997年7月1日) (272)

Ⅲ ドイツ性刑法の特徴 273
1 強要類型・虐待類型とその混和 (273)
2 虐待類型の特徴 (274)
(1) 虐待類型の構造 (274)
(2) 虐待類型の最終調整弁(「利用」・「濫用」要件) (276)
3 性的行為の細分化 (276)
4 ドイツ法の枠組み及び第50次刑法改正法による改正点(概観) (277)
5 本稿で扱う構成要件とその特徴 (279)

Ⅳ ドイツの性犯罪規定 281
1 性的強要罪・強姦(第50次刑法改正法による改正前の規定) (282)
(1) 性的強要・強姦 (282)
(2)  受け皿構成要件としての強要罪(第50次刑法改正法により削除) (292)
2 被害者の属性利用類型(第50次刑法改正法により削除、177条へ統合)(292)
(1) 概要 (293)
(2) 保護客体(抗拒不能者) (293)
(3) 実行行為 (295)
(4) 加重類型 (296)
3 状況・地位・依存関係利用類型(第50次刑法改正法の対象外) (297)
(1) 概要 (297)
(2) 174条a (298)
(3) 174条b (300)  . 174条c (300)
4 児童に対する性的虐待(第50次刑法改正法の対象外) (302)
(1) 概要 (303)
(2) 実行行為(虐待行為) (304)
(3) 加重類型 (307)
5 未成年者に対する性的虐待類型(第50次刑法改正法の対象外) (309)
(1) 概要 (309)
(2) 174条 (310)
(3) 180条 (317)
(4) 182条 (320)

Ⅴ 手続面の特徴 325
1 非親告罪 (325)
2 公訴時効の停止 (326)

Ⅵ まとめ 328
1 ドイツ法の構造 (328)
2 それぞれの年齢層と保護の方法 (330)
(1)  あらゆる年齢層を保護する規定(一部、第50次刑法改正法以前) (330)
(2) 児童保護規定 (332)  . 未成年者保護規定 (332)
3 日本法への示唆 (334)
(1) あらゆる年齢層を保護する規定 (334)
(2) 児童保護規定 (335)  . 未成年者保護規定 (336)

2016年改正以降のドイツ性犯罪規定について―ドイツ刑法第177条の検討を中心に―       深町 晋也
Ⅰ はじめに 338

Ⅱ 2016年ドイツ刑法改正 339
1 2016年改正に至る経緯 (339)
2 ドイツ刑法177条改正の概観 (341)
(1) 条文 (341)
(2) 改正の要点 (342)
(3) 改正の経緯 (343)
3 ドイツ刑法第177条の規定内容 (345)
(1) 認識可能な被害者の意思に反した性的行為(ドイツ刑法第177条第1項) (345)
(2)  反対意思を形成・表明できない状況などを利用した性的行為(ドイツ刑法第177
条第2項) (347)
(3)  暴行・脅迫などによってなされる性的行為(ドイツ刑法第177条第5項) (353)
(4) 特に重い事案(ドイツ刑法第177条第6項) (354)
4 ドイツ刑法第184条iの新設 (355)
(1) 条文 (355)
(2) 導入の経緯 (355)
(3) 本条の内容 (356)

Ⅲ 2016年改正後のドイツ刑法第177条を巡る諸問題 357
1 概説 (357)
2 第177条を巡る判例・裁判例の概観 (357)
(1) ドイツ刑法第177条第1項について (357)
(2) ドイツ刑法第177条第2項について (361)
(3) ドイツ刑法第177条第1項及び第2項の罪数関係 (364)
(4) ドイツ刑法第177条第5項と「目的連関」の要否 (365)
(5) 小括 (366)
3 学説の議論 (367)
(1) 錯誤に基づく被害者の承諾 (367)
(2) 被害者側から性的行為がなされた場合を巡る議論 (372)
(3) 小括 (377)

Ⅳ 2016年改正以降のドイツ刑法における性犯罪規定の改正動向 379
1 概観 (379)
2 第57次刑法一部改正 (379)
(1)  サイバーグルーミング罪の不能未遂処罰規定の新設(ドイツ刑法第176条第6項) (379)
(2) 補充性条項の修正(ドイツ刑法第184条i) (380)

Ⅴ 2016年改正以降のドイツ刑法における性犯罪規定のまとめ及び示唆    381
1 まとめ (381)
(1) 概説 (381)
(2) 認識可能な意思に反する性的行為 (382)
(3) ドイツ刑法第177条第2項の新設 (384)
(4) ドイツ刑法第184条iの新設 (386)
2 ドイツ刑法における性犯罪規定から得られる示唆 (386)
(1) 暴行・脅迫要件の撤廃の可否 (386)
(2) 地位利用類型を巡る議論 (391)

Ⅵ 終わりに 393

ドイツにおける性的画像記録に係る記録媒体の没収とデータ消去命令        佐藤 拓磨
Ⅰ ドイツの没収制度の全体構造 395

Ⅱ 刑法典上の没収 397
1 74条1項の没収 (397)
(1) 前提行為 (397)
(2) 対象となる客体 (397)
(3) 要件を充足した場合の効果 (398)
(4) 第三者没収 (398)
2 74条2項の没収 ―特別規定による犯罪関係物件の没収― (399)
(1) 犯罪関係客体とは (399)
(2) 前提行為 (399)
(3) 要件を充足した場合の効果 (409)
(4) 第三者没収 (409)
3 保安没収 (409)
(1) 前提行為 (409)
(2) 対象となる客体 (409)
(3) 保安没収固有の要件 (409)
(4) 要件を充足した場合の効果 (410)
4 文書没収 (411)
(1) 前提行為 (411)
(2) 文書没収固有の要件 (411)
(3) 効果 (412)
(4) 文書没収の意義と限界 (412)
5 比例性の原則に基づく画像消去命令 (412)
(1) 根拠規定(74条f) (412)
(2) 判例 (413)

Ⅲ 警察法上の押収 414
1 模範草案上の押収 (415)
2 バーデン・ヴュルテンベルク州の警察法上の押収、差押え、没収 (417)
3 マンハイム行政裁判所2008年5月8日判決 (419)

Ⅳ 日本への示唆 420
1 刑法典上の没収制度 (420)
2 没収の前提行為 (422)
(1) 盗撮 (422)
(2) 画像データの複製 (424)
3 行政没収 (424)

オーストリア刑法における性犯罪規定               深町 晋也
Ⅰ はじめに 426
1 本稿の検討対象 (426)
2 現行規定の構造 (428)
(1) 保護法益に基づく性犯罪の類型化 (428)
(2) 判断枠組みの明確化:性犯罪規定の基底的思考 (429)
3 オーストリア性犯罪規定の改正の流れ (431)

Ⅱ 自由意思によらない性的自己決定の侵害 433
1 強姦罪(第201条) (433)
(1) 概説 (434)
(2) 構成要件 (435)
(3) 罪数 (444)
2 性的強要罪(第202条) ( 445)
(1) 概説 (446)
(2) 構成要件 (446)
3 抵抗不能な者又は精神に障害のある者の性的虐待罪(第205条) (449)
(1) 概説 (450)
(2) 構成要件 (451)
(3) 補論:継続的な虐待における概括的な犯罪事実の記載 (454)

Ⅲ 児童・青少年などの脆弱者に対する性犯罪 456
1 児童に対する加重性的虐待罪(第206条) (456)
(1) 概説 (456)
(2) 構成要件 (458)
(3) 加重類型(本条第3項) (460)
(4) 主観的要件 (461)
(5) 処罰阻却事由(本条第4項) (461)
2 児童に対する性的虐待罪(第207条) (462)
(1) 概説 (462)
(2) 構成要件 (463)
(3) 加重類型(本条第3項) (464)
(4) 処罰阻却事由(本条第4項) (464)
3 青少年に対する性的虐待罪(第207条b) (464)
(1) 概説 (464)
(2) 構成要件 (465)
4 16歳未満の者を道徳的に危殆化する行為(第208条) (469)
(1) 概説 (469)
(2) 構成要件(第1項) (471)
(3) 第2項及び第3項の構成要件 (473)
(4) 処罰阻却事由(第4項) (473)
5 権威的関係を濫用する行為(第212条) (473)
(1) 概説 (474)
(2) 構成要件 (475)
(3) 2017年改正による新規定:第3項 (478)

Ⅳ 性的嫌がらせ罪及び公然性的行為罪(第218条) 479
1 概説 (479)
(1) 基本構造 (479)
(2) 保護法益 (480)
2 構成要件 (481)
(1) 第1項 (481)
(2) 第1項a (482)
(3) 第2項 (484)
(4) 主観的要件 (485)
(5) 2017年改正による新規定:第2項a 及び第2項b (485)

Ⅴ 性的自己決定の侵害罪(第205条a) 486
1 概説 (486)
2 第205条aの内容 (487)
(1) 基本構造 (487)
(2) 構成要件 (488)
3 学説による評価 (489)
(1) 概説 (489)
(2) 「被害者の意思に反する」要件の分析 (490)

Ⅵ まとめ及び示唆 492
1 まとめ (492)
(1) 概説 (492)
(2) 強要類型(性的強要罪・強姦罪)について (493)
(3) 抵抗不能な者又は精神に障害のある者の性的虐待罪について (494)
(4) 児童・青少年に対する性犯罪について (495)
(5) 脆弱性利用と地位利用 (495)
(6) 青少年の性的危殆化 (495)
(7) 性的嫌がらせの捕捉 (496)
(8) 被害者の自由意思に基づかない性交・性交類似行為の処罰 (496)
(9) 継続的虐待事案における犯罪事実の概括的記載 (497)
2 我が国への示唆 (497)
(1) 概説 (497)
(2) 暴行・脅迫・監禁といった強要手段について (498)
(3) 心理的抵抗不能について (498)
(4) 児童・青少年に対する性犯罪について (499)
(5) 青少年を保護する性犯罪について (499)
(6) 性的嫌がらせ罪について (500)
(7) 被害者の意思に基づかない性犯罪規定の導入について (500)
(8) 犯罪事実の概括的記載 (500)

Ⅶ 終わりに 501

スイス刑法における性犯罪規定                深町 晋也
Ⅰ はじめに 502
1 本稿の検討対象 (502)
2 現行規定の体系 (503)
3 スイス性犯罪規定の法定刑に関する特徴 (505)
4 性犯罪規定の新たな改正の動き (506)
(1) 概説 (506)
(2) 具体的な改正提案の内容 (506)
(3) その後の経緯 (507)

Ⅱ 被害者の意思に基づかない性的自己決定の侵害 508
1 強姦罪(スイス刑法第190条) (508)
(1) 概説 (508)
(2) 条文の検討 (510)
2 性的強要罪(スイス刑法第189条) (517)
(1) 概説 (517)
(2) 条文の検討 (517)
3 凌辱罪(スイス刑法第191条) (520)
(1) 概説 (520)
(2) 条文の検討 (521)
(3) Stealthingと凌辱罪の成否 (524)

Ⅲ 依存関係にある者の性的自己決定の侵害 528
1 施設収容者、受刑者、被疑者との性的行為(スイス刑法第192条) (528)
(1) 概説 (528)
(2) 条文の検討 (528)
2 窮乏状態の利用(スイス刑法第193条) (529)
(1) 概説 (529)
(2) 条文の検討 (530)

Ⅳ 未成年者の発達を危険に晒す行為 532
1 児童との性的行為(スイス刑法第187条) (532)
(1) 概説 (532)
(2) 条文の検討 (533)
(3) 公訴時効 (540)
2 依存状態にある者との性的行為(スイス刑法第188条) (542)
(1) 概説 (542)
(2) 条文の検討 (542)

Ⅴ 性的完全性に対する軽犯罪 543
1 性的嫌がらせ罪(スイス刑法第198条) (543)
(1) 概説 (543)
(2) 条文の検討 (544)
2 許されない売春の遂行(スイス刑法第199条) (545)

Ⅵ まとめ及び示唆 546
1 まとめ (546)
(1) 概説 (546)
(2) 強要類型(性的強要罪・強姦罪)について (546)
(3) 凌辱罪について (547)
(4) 窮乏状態・依存関係を利用してなされる性犯罪について (548)
(5) 児童の保護について (549)
(6) 様々な類型の性的嫌がらせについて (549)
(7) 非親告罪及び時効の延長・撤廃 (550)
2 我が国への示唆 (550)
(1) 概説 (550)
(2) 暴行・脅迫といった強要手段について (550)
(3) 凌辱罪(スイス刑法第191条)と準強制性交等・わいせつ罪(刑法第178条) (551)
(4) 窮乏状態・依存状況の利用について (551)
(5) 児童の保護について (552)
(6) 性的嫌がらせの捕捉 (553)

Ⅶ 終わりに 553


第3編 スウェーデン法・フランス法
スウェーデン法・フランス法解題               樋口 亮介=仲道 祐樹
Ⅰ スウェーデン法 561
1 2018年改正に至る経緯 (561)
(1) 1965年刑法:暴行脅迫と性交を基本とした古典的強姦理解 (561)
(2) 1984年改正:実行行為の拡張と暴行脅迫の維持 (562)
(3) 2005年改正:「性的行為」への置換えと手段要件の緩和 (563)
(4) 2013年改正 (564)
2 2018年改正:不同意犯罪化及び過失処罰の導入 (564)
(1) 基本構造の転換 (564)
(2) 任意性の判断方法 (564)
(3) 主観的要件 (566)

Ⅱ フランス法 566
1 基本構造 (566)
2 性的攻撃罪の4手段の実際 (567)
(1) 条文の規定と理論的整理 (567)
(2) 物理的強制:被害者の抵抗不能性 (568)
(3) 心理的強制 (568)
(4) 不意打ち (570)
3 同意の不存在 (571)

Ⅲ スウェーデン法・フランス法の対比 571
1 両国の規定の構造 (572)
(1) スウェーデン法の構造 (572)
(2) フランス法の構造 (573)
2 両国の対比 (573)

スウェーデン刑法における性犯罪規定の変遷                矢野 恵美
Ⅰ はじめに 575
1 2018年改正の概要 (575)
2 2018年改正の背景 (576)
3 スウェーデンの刑事立法過程の特徴 (577)

Ⅱ レイプ罪規定を中心としたこれまでの改正の経緯 577
1 1965年現行刑法(1962年法律第700号。施行は1965年1月1日) (578)
(1) 規定の特徴 (578)
(2) 強姦罪の規定ぶり (579)
(3) その他の概要 (580)
2 1984年改正 (582)
(1) 改正の目的・経緯 (582)
(2) 強姦罪からレイプ罪へ (584)
(3) 非親告罪化・減軽規定の廃止 (585)
3 1984年改正後、2005年改正まで (585)
(1) 1995年:公訴時効の変更 (585)
(2) 1998年:女性の安全法とDV 罪 (586)
4 2005年改正(2005年法律第90号) (588)
(1) 改正の趣旨 (588)
(2) レイプ罪の改正 (588)
(3) 児童保護規定の整備 (591)
(4) 親族間における性行為の犯罪規定の残存 (592)
5 2013年改正(2013年法律第365号) (592)
(1) 改正の要点 (592)
(2) 特に脆弱な状況の不当な利用 (593)
(3) 「 不当な利用」 (593)
(4) 深刻な恐怖 (594)
6 2018年改正の経緯 (594)
(1) 2014年性犯罪委員会の提案 (594)
(2) 2018年法案 (600)
(3) 国際比較 (603)
(4) 改正後の動向 (604)
(5) 2018年改正後のレイプケースのフローチャート (605)

Ⅲ 現在の性犯罪規定の条文と解説 606
1 レイプ罪 (606)
(1) 性交又は性交と同視される性的行為 (608)
(2) 列挙事由 (608)
(3) 加重・減軽事由 (612)
2 重過失の処罰 (613)
3 性的侵害罪 (613)
4 児童保護規定 (614)
(1) 児童レイプ罪 (614)
(2) 児童に対する性的侵害罪 (616)
(3) 子孫との性交罪 (616)
(4) その他の児童保護規定 (617)
(5) 買春罪関係 (619)
(6) 年齢不知の過失処罰規定 (621)
(7) 減軽・不処罰規定 (621)
(8) 未遂・予備・陰謀・不作為 (622)

Ⅳ 日本法への示唆 623
1 ジェンダー平等の視点 (623)
2 被害者、とりわけ女性と子どもの被害者政策の視点 (625)
3 メッセージ立法という視点 (627)
4 教育の視点 (628)

Ⅴ お わ り に 629

2018年スウェーデン性犯罪改正と過失レイプ罪の具体的適用について ―スウェーデン最高裁 2019年6月11日判決を素材として―       松澤  伸
Ⅰ はじめに 637
1 背景 (637)
2 本稿の目的と内容 (638)

Ⅱ 最高裁判所判決の概要 638
1 序 (638)
2 原審の判断 (639)
3 最高裁判所の結論 (639)
4 理由 (639)

Ⅲ 検討 649
1 本判決の構造 (649)
2 (故意)レイプ罪について (650)
3 過失レイプ罪について (651)

Ⅳ お わ り に 652

フランスの性犯罪規定の概観                     金塚 彩乃
Ⅰ はじめに―フランスの性犯罪規定の特徴― 655

Ⅱ フランスの刑法典における性犯罪の位置づけ 656

Ⅲ 強 姦 罪 657
1 強姦罪規定の位置づけと定義 (657)
2 構成要素 (658)
(1) 挿入行為 (659)
(2) 被害者の同意の欠如 (659)
(3) 夫婦間強姦 (660)
(4) その他の規定 (661)
3 加重類型 (661)
4 言渡し刑に関する現状 (663)

Ⅳ 強制わいせつ罪(性的攻撃罪) 664
1 基本規定 (664)
2 その他の規定 (665)
3 刑の加重事由 (665)

Ⅴ 性的侵害罪(atteintes sexuelles) 666

Ⅵ まとめ 667

フランスの強姦罪・性的攻撃罪の処罰範囲                東條 明徳
Ⅰ はじめに 669

Ⅱ 強姦罪・性的攻撃罪の成立要件 671
1 成立要件の整理 (671)
2 性犯罪としての処罰の限界と成立要件の関係 (673)

Ⅲ 強姦罪に固有の要件 ―性的挿入行為― 675
1 定義 (675)
2 行為と加害者・被害者の関係 ―2018年改正― (676)

Ⅳ 性的攻撃罪に固有の要件―性的挿入行為を伴わない性的侵害―  677

Ⅴ 暴行・強制・脅迫・不意打ち 678
1 4手段の相互関係 (679)
(1) 4手段の沿革 (679)
(2) 4手段の認定について (683)
(3) 4手段の関係の整理 (684)
2 物理的強制 (686)
(1) 抵抗不能性の判断方法 (687)
(2) 抵抗不能性判断の実際の状況 (689)
3 心理的強制 (691)
(1) 脅迫類型 (692)
(2) 権威濫用類型 (694)
(3) 利益の約束類型 (704)
4 不意打ち (706)
(1) 状態濫用類型 (707)
(2) 欺罔類型 (712)

Ⅵ 同意の不存在 719
1 4手段は認められるが被害者の同意の不存在は認められない場合 (719)
2 被害者の同意の不存在は認められるが4手段は認められない場合 (720)

Ⅶ 考察 721
1 フランスの強姦罪・性的攻撃罪の処罰範囲の全体像 (721)
(1) 4手段による処罰範囲の限界付けについて (722)
(2) 未成年者保護のあり方 (726)
2 日本法への示唆 (730)
(1) 概観 (730)
(2) 手段の規定と不同意犯罪処罰の関係 (730)
(3) 処罰範囲の不明確性の問題について (733)
(4) 脆弱な立場に置かれる被害者の保護―地位利用・障害者・未成年者― (733)


第4編 日本の沿革・アジア法
日本の沿革及びアジア法解題           嶋矢 貴之=仲道 祐樹=深町 晋也
Ⅰ 日本法旧規定(嶋矢貴之) 745
1 日本法について (745)
2 日本法の経緯の概要 (746)
3 個別の点について (747)
(1) 強姦罪について (747)
(2) 強制わいせつ罪について (748)
(3) 準強姦・準強制わいせつについて (749)
(4) 若年者保護について (750)
(5) 地位利用類型について (750)
(6) 致死傷について (751)
(7) 強盗強姦について (751)
4 処罰拡張をめぐる基本思想 (751)

Ⅱ 韓国法(仲道祐樹) 752
1 韓国法の特徴 ―刑法典と特別法の二元構造― (752)
2 韓国法解題の内容 (752)
3 刑法典における処罰類型 (753)
(1) 暴行・脅迫 (753)
(2) 心神喪失・抗拒不能 (753)
(3) 未成年者・心神耗弱者における偽計・威力 (754)
(4) 地位利用 ―雇用関係等の範囲― (755)
(5) 不同意性交等罪の立法の試み (756)
4 年少者保護と年齢設定 (756)
(1) 13歳未満(低年齢層) (756)
(2) 13歳以上16歳未満(中年齢層) (757)
5 わいせつ行為と性的嫌がらせ (757)
(1) わいせつ行為の範囲 (757)
(2) 性的嫌がらせの立法化 (758)

Ⅲ 台湾法(深町晋也) 759
1 全体構造の概観 (759)
(1) 立法の変遷 (759)
(2) 最も重い性犯罪としての強制性交・強制わいせつ罪の位置づけ (761)
(3) 保護法益 (762)
2 個別規定の概観 (763)
(1) 強制性交罪及び強制わいせつ罪(第221条第1項・第224条第1項) (763)
(2) 14歳未満の者に対する性交・わいせつ行為の規律 (764)
(3) 準強制性交・準強制わいせつ罪(第225条第1項・第2項) (765)
(4) 一定の関係に基づく権勢又は機会の利用による性交・わいせつ罪(第228条第1
項・第2項) (766)

日本法① 旧刑法期における性犯罪規定の立法・判例・解釈論        嶋矢 貴之
Ⅰ はじめに 768

Ⅱ 旧刑法と現行刑法の異同 769
1 共通点 (770)
2 相違点 (770)
(1) 体系的位置づけ (770)
(2) 性的未成年に関する規定 (770)
(3) 手段規定 (771)
(4) 未遂処罰 (771)
(5) 致死傷に関する加重 (771)
(6) 法定刑 (772)

Ⅲ 共通する基本枠組み 773
1 強姦と強制わいせつという枠組み (773)
(1) 強姦の立法経緯・判例・学説 (773)
(2) 強制わいせつの立法経緯・学説 (776)
2 性的未成年に関する処罰規定 (778)
(1) 年齢の設定と趣旨 (778)
(2) 性的未成年者に対する罪の加重 (779)
3 親告罪について(付:旧刑法下大審院判例の展開) (781)

Ⅳ 周辺規定における相違点について 783
1 準強姦の作出型と便乗型 (783)
2 強制わいせつの未遂 (786)
3 致死傷ほか加重規定 (788)
(1) 致死傷加重について (789)
(2) 身分関係等加重 (791)

Ⅴ 強盗罪との関係 793
1 強盗罪との法定刑のバランスについて (793)
2 強盗強姦罪について (796)

Ⅵ まとめ 798

日本法② 現行刑法下戦前期における性犯罪規定の立法・判例・解釈論        嶋矢 貴之
Ⅰ はじめに ―本稿の目的― 802

Ⅱ 仮案の規定とその経緯 803
1 仮案の性犯罪規定 (803)
2 仮案の成立に至るまで (805)
(1) 立法の展開 ―臨時法制審議会への諮問― (805) 
(2) 刑法改正主査委員会での議論と「刑法改正の綱領」 (807)
(3) その間の判例および解釈論の展開 (808)
(4) 刑法改正予備草案の起草 (810)
(5) 刑法竝監獄法改正調査委員会・刑法改正起草委員会での議論 (814)

Ⅲ 仮案後と立法課題への取組 818
1 仮案の評価 (818)
2 その後の立法課題への取組 (819)

Ⅳ まとめと今後の課題 821
1 仮案の経緯 (821)
2 性犯罪の処罰範囲について (822)
3 仮案の研究について (824)

韓国における性犯罪規定                         張  應
Ⅰ はじめに 826
1 検討対象 (826)
(1) 概要 (826)
(2) 性暴力犯罪の保護法益と立法の傾向 (828)
2 調査方針と調査資料 (829)
3 沿革 (829)
(1) 1993年以前(刑法の時代) (830)
(2) 1994年から2012年(特別法の時代) (830)
(3) 2012年改正 (831)

Ⅱ 刑法の性暴力犯罪規定 831
1 現行規定の体系 (831)
2 基本的な性的侵害の類型 (833)
(1) 強姦(刑法第297条) (833)
(2) 類似強姦(刑法第297条の2) (834)
(3) 強制わいせつ(刑法第298条) (835)
3 行為の態様 (836)
(1) 暴行・脅迫 (836)
(2) 抗拒不能の利用 (839)
(3) 擬制規定 (839)
(4) 未成年者・心神耗弱者に対する偽計及び威力 (840)
(5) 地位利用における偽計・威力 (841)

Ⅲ 性暴力処罰法の性暴力犯罪規定 842
1 現行規定の体系 (842)
2 加重処罰 (845)
3 親族による強姦等 (846)
4 年少者 (846)
5 障害者 (848)

Ⅳ 周辺的な性暴力犯罪規定 850
1 露出 (850)
2 公衆密集場所における卑わい行為 (851)
3 多衆利用場所の侵入 (852)
4 通信媒体を利用した卑わい行為 (853)
5 カメラ等を利用した撮影 (854)
6 性的嫌がらせ (856)

Ⅴ 手続面の特徴 857
1 公訴時効に関する特例 (857)
(1) 公訴時効の停止・延長・廃止 (857)
(2) 公訴時効の遡及 (858)
2 データ消去 (859)

Ⅵ おわりに 861
補 2020年5月以降に施行される性犯罪改正 863
1 処罰規定の改正 (863)
2 公訴時効の廃止 (867)
3 撮影物等の削除 (867)

台湾における性犯罪規定                        黄 士軒
Ⅰ はじめに 870

Ⅱ 台湾における性犯罪規定の沿革 872
1 1912年暫行新刑律(1912―1928)における性犯罪規定 (872)
2 1928年中華民國刑法における性犯罪規定 (875)
(1) 立法理由の要点 (875)
(2) 性犯罪に関する規定の概要 (876)
3 1935年中華民國刑法における性犯罪規定 (879)
(1) 立法理由の要点 (879)
(2) 性犯罪に関する規定の概要 (879)
4 1999年に行われた性犯罪規定の法改正 (882)
(1) 法改正の過程及び重点の概観 (882)
(2) 改正後の性犯罪規定の概要 (887)
5 小括 (894)

Ⅲ 台湾における性犯罪に関する学説・実務の概観 895
1 総説 (895)
2  1999年法改正後の強制性交・強制わいせつ罪における強制手段に関する台湾刑法学の一般的理解 (898)
(1) 暴行 (899)
(2) 脅迫 (899)
(3) 畏怖させる行為 (900)
(4) 催 眠 術 (900)
(5) その他その意思に反する方法 (901)
3 加重強制性交罪の加重事由に関する一般的理解 (902)
4 強制性交罪及び強制わいせつ罪の区別 (904)
5 「その他その意思に反する方法」に関する解釈論の問題 ―宗教的手段による性交・わいせつ行為を中心に― (906)
(1) 「その他その意思に反する方法」の解釈に関する学説・実務の状況の概観 (906)
(2) 宗教的手段を用いる性交・わいせつ行為の場合に関する実務・学説 (912)
6  14歳未満の幼年者に対する性交・わいせつ行為に関する解釈論の問題 (920)
(1) 実務 (920)
(2) 学説 (926)
7 知的障害者に対する性交・わいせつ行為に関する解釈論の問題 (928)
(1) 第225条における「その他類似の状況」、「抗拒できることを知らなかった」、「抗拒できなかった」に関する一般的理解 (928)
(2) 実務 (929)
(3) 学説 (936)
8  一定の関係に基づく権勢または機会の利用による性交・わいせつ罪に関する解釈論の問題 (937)
(1) 第228条における「その他類似の関係」及び「権勢あるいは機会を利用」に関する一般的理解 (937)
(2) 実務 (938)
(3) 学説 (943)
9 小括 (943)

Ⅳ おわりに 946

凡例