中国刑法学の新展開

中国刑法学の新展開

西原春夫 監修/陳興良 著/松尾剛行・王昭武 訳
定価:13,200円(税込)
  • 在庫:
    在庫があります
  • 発行:
    2020年10月31日
  • 判型:
    A5判上製
  • ページ数:
    608頁
  • ISBN:
    978-4-7923-5288-2
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内容紹介

《目 次》

監修者のことば 中国刑法学界第二世代のトップランナー 陳興良教授 ――ロシア流刑法学からドイツ流刑法学ヘ―― i
総序  vii
はしがき  xi
目次  xxiii
刑法学のため歴史を書く――序に代えて――  1

第1章 刑法学:死に向かって生きる
 一 清末民初:刑法学の困難な草創期  5
 二 共和国の最初の30年:生まれたことにより死亡した刑法学  14
 三 共和国の後半の30年:刑法学の起死回生  2
 四 歴史的熟慮:刑法学の知的転換  39
  (1) 人文社会科学の知識の吸収  (42)
  (2) 日独の刑法知識の参照  (43)
  (3) 法治の実践における経験の汲み取り  (45)

第2章 行為論の根源を探求
 一 行為論の体系的地位  46
 二 行為論:存在から価値論へ  54
 三 行為論と構成要件理論の関係  64
 四 行為論と実行行為論の区別  73

第3章 犯罪論体系:四要件から三段階へ
 一 犯罪論体系の伝来前史  85
 二 犯罪論体系の旧ソ連方式  91
 三 四要件体系が中国に根を下ろす  97
 四 三段階体系への新たな直面  110
 五 犯罪論体系の理論的弁駁  120
  (1) 構成要件の存在しない犯罪構成  (121)
  (2) 出罪事由が存在しない犯罪構成  (124)
  (3) 帰責が存在しない犯罪構成  (127)
  (4) 段階性がない犯罪構成  (130)

第4章 犯罪客体の神秘性の喪失
 一 行為客体の旧貌  135
 二 犯罪客体の新たな顔  139
  (1) 理論的根拠  (142)
  (2) 階級制  (143)
  (3) 社会関係  (143)
 三 犯罪客体の熟慮145
 四 行為客体の復帰154
  (1) 張明楷教授の二要件説(二段階説)  (158)
  (2) 周光権教授の新三段解説  (158)
  (3) 陳興良教授の三要件説  (159)

第5章 犯罪主体要件の解消
 一 犯罪主体に関する分析  160
 二 犯罪主体に対する疑義  166
 三 犯罪主体の解消  175
 四 特殊主体の回帰  181

第6章 構成要件論の引波
 一 構成要件論の観念史  188
  (1) フォイエルバッハ・概念の端緒 ( 189)
  (2) リスト:理論の深化 ( 194)
  (3) ベーリング:基礎の確立  (195)
 二 構成要件論の旧ソ連における改造  202
 三 構成要件論の中国的変質  211
  (1) 構成要件定型化機能の喪失  (219)
  (2) 構成要件と違法性の関係の錯乱  (221)
  (3) 構成要件と責性の間の関係の錯乱  (222)
 四 構成要件論の中国における転換  225
  (1) 構成要件論の罪状論  (226)
  (2) 構成要件論の罪行論  (227)
  (3) 構成要件の罪体論  (228)

第7章 違法性論の再建
 一 違法性及び刑事違法性の位置づけの誤り  231
 二 違法性と社会危害性の分離  242
 三 違法性と法益侵害性の関連  251
 四 行為無価値論と結果無価値論の争い  255

第8章 責任理論の転換
 一 責任理論の手掛かりの描写  264
 二 刑事責任論の旧ソ連における生成  266
 三 刑事責任論の中国における承継  276
 四 責任主義の復縁  284

第9章 不作為犯論の生成
 一 不作為犯論の学説の深化  296
 二 形式作為義務論から実質作為義務論へ  306
  (1) 客観的帰属説  (315)
  (2) 現実的危険説  (316)
  (3) 作為義務程度説  (317)
 三 不作為犯論の司法的認知  319

第10章 因果関係の回帰
 一 因果関係論の哲学化  327
 二 因果関係論の旧ソ連化  333
 三 因果関係論の脱哲学化  344
  (1) 張明楷の『刑法学[第3版]』(2007年、法律出版社)  (350)
  (2) 周光権の『刑法総論』(2008年、中国人民大学出版社)  (351)
  (3) 陳興良の『規範刑法学[第2版]』(2008年、中国人民大学出版社)  (351)
 四 因果関系論の規範再建  351

第11章 違法性阻却論の進化
 一 違法性阻却論の論理整理  361
  (1) 社会危害性と違法性の関係の混乱  (363)
  (2) 犯罪概念と犯罪構成の間の関係の脱落  (365)
  (3) 構成要件と犯罪構成の間の関係の混乱  (368)
 二 違法性阻却論の観念変動  371
 三 違法性阻却論の構造調整  379
 四 違法性阻却論の地位の確立387
  (1) 陳興良主編の『刑法学』(2003年、復旦大学出版社)  (394)
  (2) 張明楷の『刑法学[第3版]』(2007年、法律出版社)  (394)
  (3) 周光権の『刑法総論』(2007年、中華人民大学出版社)  (395)
  (4) 曲新久の『刑法学』(2009年、中国政法大学出版社)  (395)

第12章 過失犯論の展開
 一 旧ソ連過失犯論概念の詳述  399
 二 日独過失犯論の用語の導入  407
 三 中国過失犯論の最近の発展  420

第13章 未遂犯論の濫觴
 一 未遂犯論の転変  436
 二 未遂根拠論の争い  443
  (1) 形式的客観説  (450)
  (2) 実質的客観説  (450)
  (3) 折衷的未遂論  (450)
 三 客観的未遂論の提倡  455
 四 不能犯理論の顛覆  465

第14章 共犯論の転換
 一 共犯論の流変  475
 二 正犯と共犯の区分  483
 三 共犯二重性説の衰退  491
 四 共犯従属性説の接受  501
 五 共犯処罰根拠論の導入  507
 六 統一的正犯体系の勃興  516

第15章 競合論の転換
 一 罪数論の変遷  526
 二 罪数論の進展  533
  (1) 罪数の形態  (533)
  (2) 非典型的罪数  (536)
  (3) 転化犯  (538)
 三 競合論の勃興  543
 四 法条競合論の勃興  550

著者あとがき  575