課税所得計算調整制度の研究
倉見智亮 著
定価:7,150円(税込)-
在庫:
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発行:
2021年02月28日
-
判型:
A5判上製 -
ページ数:
448頁 -
ISBN:
978-4-7923-0680-9
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内容紹介
《目 次》
はしがき i
初出一覧 xi
序論(1)
1 本書の目的 (1)
2 本書の考察対象 (2)
3 本書の構成 (4)
第1編 米国法の考察
第1章 所得の年度帰属論 (9)
第1節 序説 (9)
第2節 全事象基準の形成史 (10)
1 Pollock事件連邦最高裁判所判決以前の会計処理方法 (10)
2 1909年法人消費税法による強制的な現金受払主義の適用 (12)
3 1913年歳入法による現金受払主義の維持 (14)
4 1916年歳入法及び1918年歳入法による発生主義の容認 (15)
5 Anderson判決における全事象基準の萌芽 (17)
6 Spring City Foundry Co.判決における「権利確定」概念の形成 (18)
7 1957年財務省規則における全事象基準の確立 (20)
第3節 全事象基準における権利確定要件の解釈適用 (21)
1 権利確定時期の判断構造 (21)
2 「権利」概念 (23)
3 所得の稼得 (30)
4 支払期日の到来 (52)
5 統一商事法典による約定内容の補完的解釈 (57)
6 行政機関による承認又は審査 (62)
7 所得を受領する権利又は所得の金額をめぐる争いの提起 (65)
8 所得の回収可能性 (79)
第4節 全事象基準における合理的正確性要件の解釈適用 (95)
1 合理的正確性要件の沿革 (96)
2 合理的正確性要件の典型的適用場面 (101)
3 「合理的正確性」概念の意義 (109)
4 合理的正確性要件の判定単位 (114)
5 見積額と確定額との差額の処理方法 (120)
第5節 不発生経験主義に基づく所得の計上段階における回収可能性の考慮 (125)
1 1986年税制改革法による貸倒引当金の廃止と不発生経験主義の導入 (125)
2 1987年暫定財務省規則による不発生経験主義の明確化 (130)
3 1988年内国歳入庁告示による定期的勘定調整方式の容認 (140)
4 2002年雇用創出及び勤労者支援法による不発生経験主義の修正 (144)
5 2003年内国歳入庁告示によるセーフ・ハーバーの創設 (147)
6 2003年暫定財務省規則による不発生経験主義の精緻化 (153)
7 2006年最終財務省規則による不発生経験主義の確立 (163)
第2章 契約の巻戻しに基因する課税所得計算の調整 (172)
第1節 序説 (172)
第2節 巻戻法理の形成史 (174)
1 A. W. Shaw事件租税訴願庁判決 (174)
2 Ripley Realty Co.事件租税訴願庁判決 (176)
3 Penn事件第4巡回区連邦控訴裁判所判決 (178)
第3節 巻戻法理の基礎理論 (190)
1 1980年法令解釈通達における巻戻法理の確立 (190)
2 1980年法令解釈通達に対する批判論の検討 (197)
3 同一課税年度要件をめぐる法的問題 (204)
4 原状回復要件をめぐる法的問題 (213)
第3章 給与返還時における課税所得計算の調整 (227)
第1節 序説 (227)
第2節 給与支給年度における給与の返還 (227)
1 年次会計と取引会計 (227)
2 Couch-Russel法理の形成史 (230)
3 Couch-Russel法理の法的位置づけ (235)
4 Merrill法理─誤払された給与の返還 (239)
5 Couch-Russel法理の射程 (243)
6 源泉徴収税額の調整方法 (249)
第3節 過年度に支給された給与の返還 (251)
1 控除型調整と相殺型調整 (251)
2 内国歳入法典1341条の構造及び解釈適用 (252)
3 給与の返還形態に応じた控除型調整の内容 (261)
4 退職者による給与返還の取扱い (268)
5 相殺型調整の採用可能性 (270)
6 源泉徴収税額の調整方法 (272)
第4章 選択誤りの是正 (275)
第1節 序説 (275)
第2節 選択法理─選択の撤回に対する制約 (276)
1 選択法理の基礎理論 (277)
2 選択法理の適用要件 (280)
3 選択法理の例外 (282)
第3節 実質的遵守法理─瑕疵ある選択に対する救済 (287)
1 黎明期─実質的遵守法理の形成 (288)
2 発展期─実質的遵守法理の精緻化 (289)
3 転換期─実質的遵守法理の制限的適用 (292)
第4節 9100 Relief─期限内選択の失念に対する救済 (294)
1 自動的延長 (296)
2 裁量的延長 (297)
第2編 日本法の考察
第1章 現行法における課税所得計算の調整方法 (303)
第1節 国税通則法における課税所得計算の調整方法 (303)
第2節 所得税法における課税所得計算の調整方法 (306)
第3節 法人税法における課税所得計算の調整方法 (308)
1 継続企業の公準 (308)
2 企業会計準拠主義 (311)
3 確定決算主義 (312)
第2章 課税所得計算調整規定の沿革 (315)
第1節 昭和22年度改正─所得税法における更正の請求制度の創設 (315)
第2節 昭和34年度改正─法人税法における更正の請求制度の導入 (316)
第3節 国税通則法の制定論議 (319)
1 国税通則法制定論議の始動 (319)
2 国税通則法小委員会における課税所得計算調整論 (319)
3 国税通則法の制定に関する答申 (323)
第4節 昭和37年度改正─課税所得計算調整規定の整備 (325)
1 所得税法における課税所得計算調整規定の整備 (325)
2 国税通則法上の更正の請求制度の整備 (327)
第5節 昭和40年度改正─課税所得計算調整規定の拡充 (329)
1 資産損失規定の拡充による現年度調整の導入 (329)
2 事業廃止後の必要経費に関する規定の改正 (330)
3 事業外収入の返還に関する取扱いの明確化 (330)
4 更正の請求に関する特則の改正 (331)
5 前年分の税額異動に伴う更正の請求に関する特例の創設 (332)
第6節 昭和41年度改正及び昭和45年度改正─更正の請求制度の拡充 (333)
1 更正の請求期間の延長 (333)
2 後発的理由による更正の請求に関する規定の創設 (335)
3 還付加算金の起算日の改正 (336)
第7節 昭和55年における法人税基本通達2-2-16の発遣 (337)
第8節 平成18年度改正及び平成23年12月改正─更正の請求制度の精緻化 (339)
1 平成18年度改正 (339)
2 平成23年12月改正 (340)
第3章 課税所得計算調整制度をめぐる理論動向 (344)
第1節 法定申告期限前における契約解除等 (344)
第2節 国税通則法23条1項と2項の適用関係 (348)
第3節 更正の請求期間の齟齬 (352)
第4節 経済的成果喪失の要否 (354)
第5節 税負担の錯誤の主張 (358)
第6節 選択誤りの是正 (362)
1 選択撤回の可否 (362)
2 事後選択の可否 (365)
第7節 現年度調整による法的救済の限界 (369)
1 大元密教本部事件 (370)
2 TFK事件 (371)
3 クラヴィス事件 (373)
4 遡及的調整の実現に向けた理論的模索 (375)
第8節 課税所得計算の調整範囲 (378)
第4章 日本法への示唆 (381)
第1節 米国法の特徴 (381)
第2節 課税所得計算調整論の再構成 (384)
第3節 所得計上の暫定性と課税所得計算の調整 (386)
1 収入額確定要件の法的根拠 (386)
2 収入額確定要件の機能 (388)
3 収入額確定要件と所得計上基準との関係性 (390)
4 収入額確定の程度と範囲 (394)
5 見積額と確定額との差額の処理方法 (398)
第4節 後発事象と課税所得計算の調整 (401)
1 問題状況 (402)
2 事前の合意に基づく給与の返還 (403)
3 事後的合意に基づく給与の返還 (407)
4 誤払された給与の返還 (408)
5 将来支給される給与との調整的相殺 (410)
第5節 事後的タックス・プランニングに対する規制のあり方 (413)
1 税負担の錯誤の主張 (414)
2 選択誤りの是正 (416)
3 不利益遡及立法への対抗策 (419)
第6節 現年度調整の改革案 (421)
結論 (424)
事項索引 (429)