賄賂規制と刑事法理論
閻 冬
定価:5,500円(税込)-
在庫:
在庫があります -
発行:
2021年03月05日
-
判型:
A5判上製 -
ページ数:
234頁 -
ISBN:
978-4-7923-5324-7
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内容紹介
《目 次》
はしがき i
序章 1
1 現代中国において賄賂罪を論ずる意義 (1)
2 本書の構成 (6)
第1章 中国における賄賂の現状と立法状況 9
第1節 中国の賄賂罪めぐる問題状況 9
1 概説 (9)
2 統計データからみた中国の賄賂罪の現状 ─2020年まで─ (9)
3 裁判システム案例庫による中国全土の収賄罪案件の統計的状況 ―2012年以降― (21)
第2節 中国の賄賂罪の立法と展開状況 30
1 刑法修正案〈九〉による改正の背景 (30)
2 刑法修正案〈九〉による改正内容とその問題点1 ―保護法益との関係― (43)
3 刑法修正案〈九〉による改正内容とその問題点2 ―量刑判断― (44)
第2章 伝統的賄賂罪の保護法益論 47
第1節 賄賂罪の保護法益論の再検討の必要性 47
1 概説 (47)
2 鄭筱萸の収賄事件と裁判所の判断 (47)
3 判決の問題点と保護法益論との関連性 (48)
第2節 賄賂罪の立法形式 50
第3節 中国刑法における賄賂罪に関する従来の保護法益論 51
1 概説 (51)
2 国家機関の正常管理活動説 (52)
3 国家機関の正常管理活動と公私の財産説 (54)
4 清廉説 (56)
第4節 日本における賄賂罪の保護法益に関する議論状況 58
1 日本の刑法典における賄賂罪の規定 (58)
2 賄賂罪の保護法益論をめぐる議論の概況 (60)
3 廉潔性(清廉)説 (61)
4 不可買収性説 (62)
5 純粋性説 (65)
6 折衷(併用)説 (69)
7 信頼保護説 (70)
第5節 考察 ―中国刑法における保護法益論― 88
1 信頼保護説における第1次的な保護法益としての不可買収性 (89)
2 国民の信頼感 (91)
3 現代の中国社会における公務の不可買収性の意義 (92)
4 中国刑法における保護法益論としての不可買収性説の妥当性 (99)
第3章 賄賂罪の保護法益論と構成要件解釈・認定 109
はじめに 109
第1節 賄賂性の認定 109
1 賄賂の意義 (109)
2 未公開株取得の賄賂性 (110)
3 会社顧問としての報酬(顧問料)を装った賄賂 (112)
4 小括 (114)
第2節 職務密接関連行為と行政法規 115
1 賄賂罪における「職務に関し」の意義 (115)
2 賄賂罪における職務行為とその判断 (115)
3 「職務密接関連行為」 (117)
4 職務密接関連行為に関する具体的な判断 (120)
第3節 賄賂罪の故意の認定 ―みなし公務員への贈賄の故意の認定を中心に― 128
1 はじめに (128)
2 東京地判平成14年12月16日 (129)
3 故意の成立に必要な事実の認識と東京地裁平成14年判決の判断 (131)
4 収賄罪の身分とその認識 (133)
5 故意の意義と故意の成立に必要な事実の認識 (134)
6 贈賄罪の故意の成立に必要な事実の認識 (136)
7 賄賂罪の保護法益との関連 (138)
8 賄賂罪における故意の認定 (140)
第4節 小括 141
第4章 商業賄賂と賄賂規制の新たな展開 143
はじめに 143
第1節 中国の商業賄賂罪の保護法益論と共同犯罪 144
1 中国の商業賄賂の現状 (144)
2 商業賄賂の基本概念 (146)
3 商業賄賂行為の犯罪化 (149)
4 商業賄賂犯罪の保護法益 (151)
5 商業賄賂の共同犯罪 (161)
第2節 日本における会社法上の賄賂罪 165
1 会社法上の賄賂罪について (165)
2 会社法上の賄賂罪の保護法益 (166)
3 小括 (170)
第3節 日本における外国公務員贈賄罪 172
1 外国公務員贈賄防止条約の制定 (173)
2 日本における不正競争防止法上の外国公務員贈賄罪 (174)
3 外国公務員贈賄罪に関する近年のOECDの議論 (182)
第4節 現代社会における商業賄賂処罰の意義と機能 184
1 商業賄賂の保護法益 (184)
2 経済活動の健全性・公正な競争秩序の維持と賄賂規制の必要性 (185)
第5章 賄賂による犯罪収益の剥奪 187
はじめに 187
第1節 日本における賄賂の必要的没収規定 188
1 附加刑としての没収の法的性質 (188)
2 必要的没収規定 (189)
3 刑罰としての没収の限界 (190)
第2節 中国における賄賂処罰による没収と巨額財産来源不明罪 191
1 巨額財産来源不明罪の構成要件と制定経緯 (191)
2 巨額財産来源不明罪の適用例 (194)
3 巨額財産来源不明罪の評価 (197)
4 巨額財産来源不明罪の刑事政策的機能 (199)
5 巨額財産来源不明罪の修正論 (200)
第3節 イギリスにおける「不明財産命令」 202
1 新たな犯罪対策としての犯罪収益への対応 (202)
2 イギリスにおける没収制度・民事的回復制度 (203)
3 2017年犯罪財政法の制定と不明財産命令 (207)
4 小括 ―イギリスにおける犯罪収益の没収と挙証責任― (213)
第4節 賄賂行為の防止における犯罪収益の重要性と法的対応のあり方 216
1 犯罪収益の違法化と没収 (216)
2 社会的背景の多様性 (217)
3 刑事司法分野における「疑わしきは被告人の利益に」の意義 (218)
4 現実的な文脈を踏まえた制度的・解釈論的対応の可能性 (219)
終章 221
はしがき i
序章 1
1 現代中国において賄賂罪を論ずる意義 (1)
2 本書の構成 (6)
第1章 中国における賄賂の現状と立法状況 9
第1節 中国の賄賂罪めぐる問題状況 9
1 概説 (9)
2 統計データからみた中国の賄賂罪の現状 ─2020年まで─ (9)
3 裁判システム案例庫による中国全土の収賄罪案件の統計的状況 ―2012年以降― (21)
第2節 中国の賄賂罪の立法と展開状況 30
1 刑法修正案〈九〉による改正の背景 (30)
2 刑法修正案〈九〉による改正内容とその問題点1 ―保護法益との関係― (43)
3 刑法修正案〈九〉による改正内容とその問題点2 ―量刑判断― (44)
第2章 伝統的賄賂罪の保護法益論 47
第1節 賄賂罪の保護法益論の再検討の必要性 47
1 概説 (47)
2 鄭筱萸の収賄事件と裁判所の判断 (47)
3 判決の問題点と保護法益論との関連性 (48)
第2節 賄賂罪の立法形式 50
第3節 中国刑法における賄賂罪に関する従来の保護法益論 51
1 概説 (51)
2 国家機関の正常管理活動説 (52)
3 国家機関の正常管理活動と公私の財産説 (54)
4 清廉説 (56)
第4節 日本における賄賂罪の保護法益に関する議論状況 58
1 日本の刑法典における賄賂罪の規定 (58)
2 賄賂罪の保護法益論をめぐる議論の概況 (60)
3 廉潔性(清廉)説 (61)
4 不可買収性説 (62)
5 純粋性説 (65)
6 折衷(併用)説 (69)
7 信頼保護説 (70)
第5節 考察 ―中国刑法における保護法益論― 88
1 信頼保護説における第1次的な保護法益としての不可買収性 (89)
2 国民の信頼感 (91)
3 現代の中国社会における公務の不可買収性の意義 (92)
4 中国刑法における保護法益論としての不可買収性説の妥当性 (99)
第3章 賄賂罪の保護法益論と構成要件解釈・認定 109
はじめに 109
第1節 賄賂性の認定 109
1 賄賂の意義 (109)
2 未公開株取得の賄賂性 (110)
3 会社顧問としての報酬(顧問料)を装った賄賂 (112)
4 小括 (114)
第2節 職務密接関連行為と行政法規 115
1 賄賂罪における「職務に関し」の意義 (115)
2 賄賂罪における職務行為とその判断 (115)
3 「職務密接関連行為」 (117)
4 職務密接関連行為に関する具体的な判断 (120)
第3節 賄賂罪の故意の認定 ―みなし公務員への贈賄の故意の認定を中心に― 128
1 はじめに (128)
2 東京地判平成14年12月16日 (129)
3 故意の成立に必要な事実の認識と東京地裁平成14年判決の判断 (131)
4 収賄罪の身分とその認識 (133)
5 故意の意義と故意の成立に必要な事実の認識 (134)
6 贈賄罪の故意の成立に必要な事実の認識 (136)
7 賄賂罪の保護法益との関連 (138)
8 賄賂罪における故意の認定 (140)
第4節 小括 141
第4章 商業賄賂と賄賂規制の新たな展開 143
はじめに 143
第1節 中国の商業賄賂罪の保護法益論と共同犯罪 144
1 中国の商業賄賂の現状 (144)
2 商業賄賂の基本概念 (146)
3 商業賄賂行為の犯罪化 (149)
4 商業賄賂犯罪の保護法益 (151)
5 商業賄賂の共同犯罪 (161)
第2節 日本における会社法上の賄賂罪 165
1 会社法上の賄賂罪について (165)
2 会社法上の賄賂罪の保護法益 (166)
3 小括 (170)
第3節 日本における外国公務員贈賄罪 172
1 外国公務員贈賄防止条約の制定 (173)
2 日本における不正競争防止法上の外国公務員贈賄罪 (174)
3 外国公務員贈賄罪に関する近年のOECDの議論 (182)
第4節 現代社会における商業賄賂処罰の意義と機能 184
1 商業賄賂の保護法益 (184)
2 経済活動の健全性・公正な競争秩序の維持と賄賂規制の必要性 (185)
第5章 賄賂による犯罪収益の剥奪 187
はじめに 187
第1節 日本における賄賂の必要的没収規定 188
1 附加刑としての没収の法的性質 (188)
2 必要的没収規定 (189)
3 刑罰としての没収の限界 (190)
第2節 中国における賄賂処罰による没収と巨額財産来源不明罪 191
1 巨額財産来源不明罪の構成要件と制定経緯 (191)
2 巨額財産来源不明罪の適用例 (194)
3 巨額財産来源不明罪の評価 (197)
4 巨額財産来源不明罪の刑事政策的機能 (199)
5 巨額財産来源不明罪の修正論 (200)
第3節 イギリスにおける「不明財産命令」 202
1 新たな犯罪対策としての犯罪収益への対応 (202)
2 イギリスにおける没収制度・民事的回復制度 (203)
3 2017年犯罪財政法の制定と不明財産命令 (207)
4 小括 ―イギリスにおける犯罪収益の没収と挙証責任― (213)
第4節 賄賂行為の防止における犯罪収益の重要性と法的対応のあり方 216
1 犯罪収益の違法化と没収 (216)
2 社会的背景の多様性 (217)
3 刑事司法分野における「疑わしきは被告人の利益に」の意義 (218)
4 現実的な文脈を踏まえた制度的・解釈論的対応の可能性 (219)
終章 221