新基礎法学叢書19
ヘーゲル承認論と法
重松博之 著
定価:6,380円(税込)-
在庫:
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発行:
2021年03月25日
-
判型:
A5判上製 -
ページ数:
296頁 -
ISBN:
978-4-7923-0679-3
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内容紹介
《目 次》
はしがき i
初出一覧 ix
序章 承認・刑罰・他者をめぐって 1
第1節 本書の構成と概観 1
第2節 犯罪・刑罰・承認闘争 5
第3節 承認闘争・自己・他者 8
第1部 ヘーゲル『法の哲学』における承認と法
第1章 ヘーゲル『法の哲学』における人格・所有・契約の問題 ─承認論との関連から 11
第1節 「抽象法」 11
第2節 人格と権利能力 13
第3節 所有 14
第4節 契約 18
第5節 カントの承認論とヘーゲルの承認論・教養形成論 20
第2章 ヘーゲル『法の哲学』における不法の問題 ─承認論と論理学との関連から 22
第1節 不法と承認論・論理学判断論 22
第2節 犯意なき不法─否定判断と承認 23
第3節 詐 欺─肯定的無限判断と承認 24
第4節 犯 罪─否定的無限判断と承認 26
第5節 刑罰論の体系上の位置と承認 28
第3章 ヘーゲル『法の哲学』における犯罪と刑罰の問題へ ─承認論と他者論との関連から 32
はじめに─自己・他者・承認 32
第1節 フィヒテの相互承認論とヘーゲル 33
第2節 『人倫の体系』におけるフィヒテ自然法論批判 ─犯罪・闘争と承認 35
第3節 『体系構想Ⅲ』におけるフィヒテ批判と承認論の重層化 40
1 愛と闘争 40
2 「承認された存在」と「権力をそなえた法律」 41
第4節 『法の哲学』における承認の実現の諸段階 ─承認と教養形成 44
1 契約と承認 44
2 法の回復と法の現実性─抽象法論の側面から 46
3 市民社会における自己・他者の承認関係の制度化 48
4 犯罪と刑罰─承認論との関連から 50
5 国家における承認の問題─自己・他者・普遍的なもの 52
第5節 おわりに─現代の承認論と「自己・他者」問題 53
第2部 ヘーゲル承認論の形成と近代自然法学 ─初期ヘーゲルにおける近代自然法学の批判と再構成:自由・犯罪・刑罰の問題を手掛かりとして(第2部の)はじめに 57
第4章 「自然法論文」における自由・犯罪・刑罰の問題 62
序節 自由な共同と強制をめぐる前史 62
第1節 フィヒテ自然法論批判と〈克服〉としての自由 67
第2節 刑罰と自由 76
第3節 強制としての罰と運命としての罰 80
第4節 オレステースの犯罪と悲劇の上演 86
補論 「市民社会」概念の成立 ─ブルジョワとシトワイヤンの関係から 93
第5章 『人倫の体系』における自由・犯罪・刑罰の問題 103
第1節 『人倫の体系』の体系構成と自由 103
第2節 自然的人倫と人格としての自由 110
1 欲求の体系と教養形成 110
2 人格・法・承認 115
第3節 純粋な自由と犯罪 120
1 体系と否定性─否定的廃棄と絶対的揚棄 121
2 和解と承認 123
① 良心の疚しさと和解 124
② 刑罰と相互承認 128
③ 「名誉」をめぐる闘争と戦争 131
第6章 社会契約説批判と〈自然法学〉の再構成 137
第1節 イェーナ前期ヘーゲルの「自然状態」論 138
第2節 イェーナ前期ヘーゲルの〈自然法学〉の再構成 143
1 「犯罪の弁証法」による市民社会と国家の区別と連関 143
2 意識・習俗・制度と教養形成 148
第3節 「犯罪の弁証法」から承認闘争の理論へ 155
(第2部の)おわりに 163
第3部 ヘーゲル承認論における「犯罪と刑罰」
第7章 『体系構想Ⅲ』「精神哲学」における犯罪・刑罰の機能と位置 167
はじめに 167
第1節 『体系構想Ⅲ』「精神哲学」の構成と「承認をめぐる闘争」 170
1 相互承認と承認闘争─その概念と形成史 170
2 『体系構想Ⅲ』「精神哲学」の構成の概観 172
3 「概念からみた精神」における承認闘争論 173
第2節 「現実的精神」における犯罪と刑罰 ─承認闘争としての犯罪と刑罰 176
1 「承認された状態」における犯罪と刑罰 177
① 直接的承認存在 177
② 契約 178
③ 犯罪と刑罰 180
(a) 人格と強制 180
(b) 個別的意志の復讐としての「犯罪」─承認存在の侵害 180
(c) 普遍的意志の報復としての「刑罰」─承認存在の回復 182
2 「権力をそなえた法律」における法律と司法 185
① 法律 187
② 司法と強制─教養形成としての刑罰 188
③ 刑罰と宥和 190
④ 承認闘争としての刑罰 193
第3節 「憲制」における承認の実現 ─個別的意志と普遍的意志の媒介 194
1 普遍的意志の概念的先行 195
2 個別的意志と普遍的意志の媒介─ルソーの「社会契約説」批判 196
3 法律の支配 197
4 近代国家と絶対的個別性 198
5 国家における承認の実現? 200
第4節 へーゲル承認論における犯罪・刑罰の機能と位置 202
1 犯罪の体系的機能と位置 202
① 犯罪と近代的主体性 202
② 犯罪と社会形成の活性化─闘争としての犯罪 204
2 刑罰の体系的機能と位置 205
① 法・権利の確証 205
② 個別的意志、共通の意志、普遍的意志の相互媒介の活性化 206
③ 市民社会と国家の媒介 207
おわりに 208
1 自我と共同性─制度的媒介 209
2 現代実践哲学における「承認をめぐる闘争」 211
3 合意と強制 214
第4部 ヘーゲル承認論と現代正義論
第8章 ヘーゲル承認論の現在 ─A.ホネットの承認闘争論を中心として 217
はじめに 217
第1節 ヘーゲルと現代承認論 218
第2節 ホネットの承認闘争論 221
第3節 「人倫の形式的構想」をめぐる議論の前提 ─「カントとヘーゲル」問題再論 224
第4節 承認論の射程─おわりに 226
第9章 再分配と承認 ─現代正義論における承認論の位置づけをめぐって 231
はじめに 231
第1節 道徳的侵害と承認 234
第2節 再分配から承認へ? 237
第3節 差異と平等 241
おわりに 246
参考文献一覧 249
人名索引 270
事項索引 274