規範論と理論刑法学

規範論と理論刑法学

高橋則夫 著
定価:11,000円(税込)
  • 在庫:
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  • 発行:
    2021年04月20日
  • 判型:
    A5判上製
  • ページ数:
    568頁
  • ISBN:
    978-4-7923-5330-8
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内容紹介


《目 次》
 はしがき
 
第1章 刑法における行為規範と制裁規範
 1 はじめに   1
 2 行為規範と制裁規範の結合 ―ハートのルール・モデルを基底に―   4
 3 行為規範の意義と機能   7
 4 制裁規範の意義と機能   10
 5 行為規範と社会的行為論   12
 6 制裁規範と客観的帰属論   14
 7 おわりに   17
 8 追記   19
 
第2章 刑法・民法における行為規範と制裁規範
 1 はじめに   22
 2 刑事責任と民事責任   22
 3 刑事不法と民事不法   24
 4 刑法と民法の接近 ―損害回復―   25
 5 刑法・民法における行為規範と制裁規範 ―刑罰・損害賠償の機能論と規範論―   28
 6 おわりに ―修復責任の展望―   30

第3章 犯罪論における同時存在原則とその例外
 1 はじめに   32
 2 ベランダ転落死事件   34
 3 実行行為の存在時期   36
 4 故意の存在時期   40
 5 因果関係の錯誤   43
 6 同時存在原則の基点としての行為   44
 7 おわりに   47
 8 追記   49
 
第4章 犯罪論における分析的評価と全体的評価 ―複数行為における分断と統合の問題―
 1 はじめに   50
 2 作為と不作為による結果惹起 ―行為・実行行為の分断と統合―   51
 3 反撃行為と追撃行為 ―量的過剰防衛における分断と統合―   55
 4 おわりに   59
 
第5章 「一連の行為」論をめぐる諸問題(講演)
 1 はじめに   60
 2 「一連の行為」の展開   62
 (1)構成要件該当性段階における「一連の行為」(62)
 (2)違法阻却段階における「一連の行為」(68)
 (3)責任阻却段階における「一連の行為」(70)
 (4)各犯罪類型における「一連の行為」(70)
 3 「一連の行為」論の意義と適用   73
 (1)構成要件該当性段階における「一連の行為」論(74)
 (2)違法阻却段階における「一連の行為」論(79)
 (3)責任阻却段階における「一連の行為」論(81)
 (4)犯罪論の各段階における「一連の行為」論(82)
 (5)各犯罪類型における「一連の行為」論(83)
 4 おわりに   83

第6章 構成要件解釈における「一連の行為」論
 1 はじめに   86
 2 事後強盗罪における「窃盗の機会」   88
 3 強盗致死傷罪における「強盗の機会」   91
 4 強制わいせつ等致死傷罪における「随伴行為」   98
 5 おわりに ―複数行為による結果的加重犯―   100

第7章 不作為による殺人罪の成否
 1 はじめに   103
 2 シャクティ治療殺人事件   104
 3 実行行為の存在時期   107
 4 不作為犯の成否   109
 5 故意の存在時期   112
 6 共同正犯の成否・錯誤   113

第8章 早すぎた構成要件の実現
 1 はじめに   115
 2 クロロホルム殺人事件   118
 3 行為の個数   121
 4 実行行為性の判断   123
 5 故意の構造   127
 6 おわりに   130

第9章 犯罪論における「構成要件の重なり合い」の規範論的・機能的分析
 1 はじめに   132
 2 「異なる構成要件間の錯誤」について   133
 3 「共謀の射程」について   139
 4 「異なる構成要件間における共同正犯の成否」について   141
 5 「行為規範における故意」と「制裁規範における故意」の連関   143
 6 おわりに   149

第10章 犯罪論における「精神障害に基づく錯誤」の問題
 1 はじめに   151
 2 最高裁平成20年決定の問題性   153
 3 完全酩酊罪(ドイツ刑法323条a)における「酩酊行為」   155
 4 精神病院における収容(ドイツ刑法63条)における「違法な行為」   158
 5 「精神障害に基づく錯誤」の法的処理   161
 (1)仮定的判断アプローチの問題性(161)
 (2)自然的意思アプローチの問題性(164)
 6 故意の体系的地位と責任無能力者の故意との関係   167
 7 責任無能力者についての構成要件的故意と責任故意の区別   169
 8 おわりに   171

第11章 過失犯の行為規範
 1 はじめに   173
 2 故意犯の行為規範と過失犯の行為規範   174
 3 過失犯の行為規範と統一的正犯性   180
 4 過失犯の行為規範と過失の標準   184
 5 おわりに ―許された危険の法理―   186

第12章 過失犯における「行為・実行・帰属」
 1 はじめに   189
 2 過失犯における「行為・実行」の問題 ―信頼の原則と結果回避可能性―   191
 3 過失犯における「帰属」の問題 ―実行行為性判断と介在事情判断―   198
 4 事前判断と事後判断の対応原則   202
 5 おわりに   204

第13章 過失犯における行為規範と注意規範の連関
 1 はじめに   207
 2 過失犯の対象としての行為   208
 3 過失犯における注意規範の位置づけ   210
 4 渋谷温泉施設爆発事件をめぐって   212
  (1)事実の概要(212)  
  (2)決定要旨(214)  
  (3)検 討(216)
 5 おわりに   221

第14章 主観的違法要素と違法論
 1 はじめに   223
 2 法益保護と行為規範   224
 3 評価規範と決定規範   225
 4 行為規範と制裁規範   227
 5 主観的違法要素の位置づけ   228
 6 個々の主観的違法要素の検討   229
 7 おわりに   233

第15章 正当防衛の規範論的構造 ―最高裁平成29年決定をめぐって―
 1 はじめに   235
 2 許容規範としての正当防衛   235
 3 正当防衛の権利性 ―「正の確証」と正義論・国家論―   238
 4 「急迫性」の判断構造 ―最高裁平成29年決定をめぐって―   245
 5 おわりに   251

第16章 相互作用規範としての行為規範
 1 はじめに   253
 2 現行犯逮捕と法令行為   254
 3 法令行為の違法阻却根拠   255
 4 現行犯逮捕のための実力行使の相当性   257
 5 逮捕意思という主観的正当化要素   259
 6 法令行為と正当防衛・自救行為との関係   260
 7 35条と230条の2の関係   262
 8 防衛行為の必要性と相当性   263

第17章 「実行の着手」の規範論的構造
 1 はじめに   268
 2 規範論から見た「実行の着手」   270
 3 実行の着手時期と未遂犯の処罰時期   272
 4 本判決における「詐欺罪の実行の着手時期」判断の構造   274
 5 本判決における「詐欺罪の実行の着手時期」判断の分析   279
 6 おわりに   283
 7 追記   284

第18章 不能犯における「行為規範と制裁規範の結合」
 1 はじめに   287
 2 規範論から見た不能犯   288
 3 制裁規範の問題としての不能犯   291
 4 「だまされたふり作戦」における「受け子」の罪責 ―不能犯論を中心に―   294
 (1)因果関係の問題(295)  
 (2)不能犯の問題(297)
 5 おわりに   302

第19章 中止行為の規範論的基礎づけ
 1 はじめに   303
 2 規範論から見た中止犯論   303
 3 刑罰目的から見た中止行為   306
 4 Wiedergutmachungstatとしての中止行為   309
 (1)回復行為としての中止行為(309)
 (2)中止行為の態様 ―前提としての危険の判断基準―(310)
 (3)中止故意(313)
 (4)中止行為の正犯性―事後行為支配性―(314)
 (5)中止行為と結果不発生との因果関係(316)
 5 おわりに   317

第20章 規範論による正犯・共犯論の再定位
 1 はじめに   319
 2 行為規範と制裁規範の「対置」と「結合」   320
 3 「行為規範と制裁規範」の正当化根拠   321
 4 「行為規範と制裁規範」の「対置」の意義   322
 5 規範論と正犯・共犯論との交錯   325
 6 制裁(媒介)規範としての正犯・共犯論   327
 (1)共同正犯の規範構造(328)  
 (2)教唆犯・幇助犯の規範構造(329)
 (3)間接正犯の規範構造(331)
 7 おわりに   334

第21章 正犯・共犯類型と共謀共同正犯の規範論的基礎づけ
 1 はじめに   335
 2 規範論と共犯論   336
 3 スナック強盗事件   339
 4 間接正犯と教唆犯の区別   341
 5 間接正犯と共同正犯の区別   344
 6 60条の解釈   346
 7 おわりに   348

第22章 間接正犯の構造
 1 はじめに   350
 2 間接正犯の正犯性   351
 3 間接正犯の類型   354
 4 間接正犯の実行の着手時期   358
 5 間接正犯と教唆犯との錯誤   360
 6 間接正犯とその防衛   362
 7 追記   364

第23章 共犯の処罰根拠論の新様相
 1 はじめに   366
 2 共犯の処罰根拠論の生成 ―責任・不法共犯論からの脱却―   367
 3 共犯の処罰根拠論の展開 ―因果共犯論の諸様相―   370
 4 共犯の処罰根拠論の展望 ―共犯不法の構造―   372

第24章 共犯論と犯罪体系論
 1 犯罪論の試金石としての共犯論   377
 (1)因果関係論と共犯論(378)  
 (2)構成要件論と共犯論(379)
 (3)違法論と共犯論(380)  
 (4)責任論と共犯論(380)
 2 共犯の処罰根拠と「違法の連帯性」   381
 (1)共犯独立性説と共犯従属性説(381)  
 (2)従属性の分析(381)
 (3)因果共犯論(惹起説)と「違法の連帯性」(382)
 (4)共同正犯における「一部実行全部責任の法理」と「違法の連帯性」(384)
 3 多数関与者の帰責構造   386
 (1)共犯論における帰責構造(386)  
 (2)個人帰責と集団帰責(387)

第25章 共同正犯の帰属原理
 1 はじめに   389
 2 適法行為と違法行為との共同正犯   390
 3 過失行為の共同正犯   395
 4 重複的実行行為の共同正犯   399
 5 おわりに   404
 6 追記   406

第26章 承継的共同正犯について
 1 はじめに   409
 2 最高裁平成24年決定の事案と決定要旨   410
 3 傷害罪・傷害致死罪に関する判例   412
 4 後行者の暴行による傷害結果の重篤性 ―刑法207条適用の有無―   415
 5 傷害結果の分離評価の可否 ―構成要件的結果の特定―   418
 6 承継的共同正犯の成否   422
 (1)最高裁平成24年決定の考え方(422)  
 (2)共同正犯の帰属原理(425)
 7 おわりに   426
 8 追記   427

第27章 「同時傷害の特例」の規範論的構造
 1 はじめに   430
 2 最高裁平成28年決定の事案と決定要旨   431
 (1)事実の概要(432)  
 (2)決定要旨(433)
 3 同時傷害の特例を定めた207条の法意   434
 4 傷害致死罪に対する207条の適用の可否   437
 5 制裁(媒介)規範としての270条   439
 6 207条の適用に関するその他の問題   441
 7 おわりに   444
 8 追記   445

第28章 事後強盗罪の構造
 1 はじめに   448
 2 不真正身分犯説の問題性   449
 3 真正身分犯説の問題性   450
 4 結合犯説(非身分犯説)と承継的共同正犯   452
 5 潜在的実行行為と顕在的実行行為   454
 6 事後強盗罪における「窃盗の機会」   456

第29章 詐欺罪の規範論的構造
 1 はじめに   462
 2 間接正犯類型としての詐欺罪   463
 3 詐欺罪における「行為と結果」   465
 (1)詐欺罪における「結果」(465)  
 (2)詐欺罪における「行為」(467)
 4 詐欺罪における「行為規範と制裁規範の結合」   470
 (1)行為規範と刑罰法規の関係(470)  
 (2)詐欺罪における規範内容(472)
 5 おわりに   474

第30章 偽証罪における「虚偽の陳述」の意義   476

第31章 制裁規範としての自由刑の意味と制度
 1 はじめに   480
 2 ?奪される「自由」の意味   482
 3 社会的包摂としての「処遇」の意味   483
 4 処遇困難者に対する「処遇」の意味   486
 5 制裁規範としての自由刑の意味   488
 6 刑事司法と修復的司法の関係モデル   491
 7 おわりに   493

第32章 被害者と刑罰の関係
 1 はじめに   495
 2 「応報・予防」と被害者   496
 3 被害者と死刑   498
 (1)被害者と刑事司法(498)  
 (2)被害者感情と被害者保護(499)
 (3)被害者保護と刑事司法(501)
 (4)被害者と死刑制度を考える一つの視座(502)
 4 表出的刑罰論   504
 5 言語行為としての刑罰   507
 6 おわりに ―刑罰・支援・予防・処遇―   509

第33章 「犯罪」概念と刑事政策「学」の連関
 1 はじめに ―刑法における「犯罪」概念―   512
 2 刑事政策における「犯罪」概念   513
 (1)小川博士の分析(513)  
 (2)須々木教授の分析(514)
 3 修復的司法における「犯罪」概念   516
 4 犯罪の3面構造 ―被害者・加害者・コミュニティ―   518
 (1)理論的基礎(518)  
 (2)加害者と被害者の関係(521)
 (3)加害者・被害者とコミュニティとの関係(523)
 5 刑事政策における「犯罪」概念の規範論的構造   525
 6 おわりに   529

第34章 2000年以降における刑事法の動向
 1 はじめに   531
 2 2000年以降の刑事立法の概観   532
 3 処罰の早期化・拡大化と行為規範(法益保護)   536
 4 処罰の厳罰化と制裁規範   538
 5 刑事司法における犯罪被害者の地位 ―被害者関係的刑事司法から修復的司法(問題解決型刑事司法へ)―   540
 6 ペナル・ポピュリズムから非刑罰的・非懲罰的転回へ   543
 7 おわりに   546

 収録論文初出一覧   547