毀棄罪における効用侵害の内実
大塚雄
定価:5,500円(税込)-
在庫:
在庫があります -
発行:
2021年09月01日
-
判型:
A5判上製 -
ページ数:
244頁 -
ISBN:
978-4-7923-5333-9
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内容紹介
《目 次》
はしがき(i)
序言 1
第1章 毀棄罪の法制史的考察 4
第1節 旧刑法における毀棄罪の立法経緯 4
1 旧刑法の立法過程(4)
2 「日本刑法草案」における毀棄罪の規定(5)
3 「刑法審査修正案」における毀棄罪の規定(8)
4 旧刑法における規定と解釈(9)
5 小 括(12)
第2節 現行刑法における毀棄罪の立法経緯 13
1 明治23年改正刑法草案における毀棄罪の規定(13)
2 明治34年改正案における毀棄罪の規定(16)
3 明治35年改正案における毀棄罪の規定(17)
4 明治40年改正案における毀棄罪の規定(18)
5 明治40年改正刑法の条文(21)
6 昭和62年改正における境界損壊罪、電磁的記録毀棄罪の創設(22)
7 小括(23)
第2章 判例における「損壊」等の概念の変遷 26
第1節 判例の変遷 26
1 初期の判例(26)
2 「徳利放尿事件」以降の「二元的判断型」判例の出現(29)
3 効用侵害のみを検討する「一元的判断型」判例の出現(34)
4 小括(44)
第2節 判例における毀棄罪の処罰範囲の限定 46
1 効用侵害性の限定(46)
(1)侵害された効用の性質の限定―本来的効用か無限定効用か(46)
(2)効用の「侵害」の程度(50)
2 判例における「物質的毀損」の意義(53)
(1)効用侵害は「物質的毀損」の前提条件とされているか(54)
(2)「物質的」「有形的」「物理的」の意味(55)
(3)「物質的毀損」は行為態様か、結果態様か(57)
3 小括(58)
第3章 学説における「損壊」等の概念をめぐる議論 61
第1節 効用侵害説の検討 62
1 効用(用法)の範囲に関する議論(62)
(1)本来的効用(用法)侵害説(62)
(2)効用を利用価値と交換価値に区別する見解(69)
(3)効用・用法の範囲を特に限定しない見解(無限定効用侵害説)(69)
(4)検討(72)
2 侵害の内容に関する学説の議論(74)
(1)初期の学説における議論(74)
(2)原状回復の困難性・侵害の持続性を要求する見解(76)
(3)原状回復の困難性を可罰的違法性で考慮する見解(79)
(4)原状回復の困難性・侵害の持続性を要求しない見解(80)
(5)検討(80)
第2節 行為態様・結果態様で限定する学説の検討 82
1 有形侵害説(83)
(1)学説の整理(83)
(2)検討(86)
2 物質的毀損説(物理的毀損説)(88)
(1)学説の整理(88)
(2)検討(96)
第3節 信書隠匿罪をめぐる議論98
1 隠匿行為を「損壊」等に含めない見解(99)
2 隠匿行為を「損壊」等に含める見解(100)
3 検討(103)
第4節 小括 103
第4章 ドイツ刑法303条1項の「損壊」概念をめぐる議論 105
第1節 条文の構造と本章の検討対象 106
第2節 判例における303条1項の「損壊」概念 109
1 ライヒ裁判所(ドイツ帝国大審院)時代の判例の変遷(110)
(1)物質的損傷を要求したRGSt 13, 27(110)
(2)ライヒ裁判所による「損壊」概念の拡大(112)
2 ドイツ連邦通常裁判所の判例の変遷(119)
(1)BGHSt 13, 207による「重大性」という限定(119)
(2)BGHSt 29, 129による「美的目的」と「技術的効用」の区別(121)
(3)「効用低下」の限定と「物質的損傷」概念の拡大(間接的物質的損傷)(123)
(4)「有形的作用」という前提条件とその意義(124)
(5)物の本来的用法通りの消費と効用低下(126)
第3節 学説における「損壊」概念をめぐる議論 127
1 判例を支持する効用低下説(128)
(1)基本的な理解(128)
(2)「本来的」効用の判断基準をめぐる議論(130)
(3)物の修理・修繕をめぐる議論(132)
(4)物の本来的な消費に関する議論(134)
(5)間接的物質的損傷に関する議論(135)
(6)拡大損害に関する議論(136)
2 判例の立場よりも「損壊」概念を拡張する見解(137)
(1)状態変更説(137)
(2)所有者の主観を広く考慮する拡張型効用低下説(140)
3 物質説(143)
第4節 我が国における「損壊」等の概念に関する議論への示唆 145
1 我が国の判例・学説との比較(145)
2 日本法の議論への示唆(147)
第5章 効用侵害の客観化と結果態様の限定 152
第1節 効用侵害の客観化 152
1 効用の客観化(153)
(1)客観的要保護性が認められる効用の範囲(153)
(2)具体的事例の検討(157)
2 「侵害」性の客観化(160)
(1)客観化の方法(160)
(2)侵害の量的限定(161)
(3)侵害の質的限定(167)
第2節 行為・結果態様の限定の要否 175
1 「毀棄」・「損壊」を処罰する他の犯罪類型との比較(176)
2 「損壊」等の概念の法益外在的限定の必要(178)
第3節 小括 180
第6章 客体の画定をめぐる問題 183
第1節 建造物損壊罪における「建造物」の一部性判断 184
1 260条の「建造物」の一部性が争われた我が国の判例(184)
(1)建物本体との接合の程度(構造上の一体性)を基準とする判例(185)
(2)建物本体との機能的な一体性を基準とする判例(186)
(3)構造的一体性と機能的一体性の両面を考慮する判例(186)
2 建造物損壊罪と器物損壊罪の区別に関する学説の議論(188)
(1)客体で区別する見解(189)
(2)「損壊」の程度で区別する見解(191)
(3)建造物損壊罪の本質を人身危険からの保護に求める見解(192)
3 ドイツ刑法における建築物破壊罪(305条)における「部分的な破壊」(193)
4 検討(196)
(1)接合の程度(物理的一体性の内実)(196)
(2)機能的一体性の要否と内実(197)
(3)放火罪における「建造物」の一個性判断との関係(199)
第2節 毀棄罪における客体の一個性の判断 203
1 器物損壊罪・文書毀棄罪における客体の一個性判断(203)
2 認識上の一体性(204)
3 機能的一体性の判断(207)
第3節 データ記録の毀損・消去と毀棄罪 208
1 問題の所在(208)
2 ドイツ刑法における議論(209)
3 「イカタコウイルス事件」判例をめぐる議論(213)
4 検討(216)
(1)情報記録媒体と情報の一体性判断(216)
(2)具体的事例の検討(219)
第4節 小括 222
結語 223
参考文献一覧 227
はしがき(i)
序言 1
第1章 毀棄罪の法制史的考察 4
第1節 旧刑法における毀棄罪の立法経緯 4
1 旧刑法の立法過程(4)
2 「日本刑法草案」における毀棄罪の規定(5)
3 「刑法審査修正案」における毀棄罪の規定(8)
4 旧刑法における規定と解釈(9)
5 小 括(12)
第2節 現行刑法における毀棄罪の立法経緯 13
1 明治23年改正刑法草案における毀棄罪の規定(13)
2 明治34年改正案における毀棄罪の規定(16)
3 明治35年改正案における毀棄罪の規定(17)
4 明治40年改正案における毀棄罪の規定(18)
5 明治40年改正刑法の条文(21)
6 昭和62年改正における境界損壊罪、電磁的記録毀棄罪の創設(22)
7 小括(23)
第2章 判例における「損壊」等の概念の変遷 26
第1節 判例の変遷 26
1 初期の判例(26)
2 「徳利放尿事件」以降の「二元的判断型」判例の出現(29)
3 効用侵害のみを検討する「一元的判断型」判例の出現(34)
4 小括(44)
第2節 判例における毀棄罪の処罰範囲の限定 46
1 効用侵害性の限定(46)
(1)侵害された効用の性質の限定―本来的効用か無限定効用か(46)
(2)効用の「侵害」の程度(50)
2 判例における「物質的毀損」の意義(53)
(1)効用侵害は「物質的毀損」の前提条件とされているか(54)
(2)「物質的」「有形的」「物理的」の意味(55)
(3)「物質的毀損」は行為態様か、結果態様か(57)
3 小括(58)
第3章 学説における「損壊」等の概念をめぐる議論 61
第1節 効用侵害説の検討 62
1 効用(用法)の範囲に関する議論(62)
(1)本来的効用(用法)侵害説(62)
(2)効用を利用価値と交換価値に区別する見解(69)
(3)効用・用法の範囲を特に限定しない見解(無限定効用侵害説)(69)
(4)検討(72)
2 侵害の内容に関する学説の議論(74)
(1)初期の学説における議論(74)
(2)原状回復の困難性・侵害の持続性を要求する見解(76)
(3)原状回復の困難性を可罰的違法性で考慮する見解(79)
(4)原状回復の困難性・侵害の持続性を要求しない見解(80)
(5)検討(80)
第2節 行為態様・結果態様で限定する学説の検討 82
1 有形侵害説(83)
(1)学説の整理(83)
(2)検討(86)
2 物質的毀損説(物理的毀損説)(88)
(1)学説の整理(88)
(2)検討(96)
第3節 信書隠匿罪をめぐる議論98
1 隠匿行為を「損壊」等に含めない見解(99)
2 隠匿行為を「損壊」等に含める見解(100)
3 検討(103)
第4節 小括 103
第4章 ドイツ刑法303条1項の「損壊」概念をめぐる議論 105
第1節 条文の構造と本章の検討対象 106
第2節 判例における303条1項の「損壊」概念 109
1 ライヒ裁判所(ドイツ帝国大審院)時代の判例の変遷(110)
(1)物質的損傷を要求したRGSt 13, 27(110)
(2)ライヒ裁判所による「損壊」概念の拡大(112)
2 ドイツ連邦通常裁判所の判例の変遷(119)
(1)BGHSt 13, 207による「重大性」という限定(119)
(2)BGHSt 29, 129による「美的目的」と「技術的効用」の区別(121)
(3)「効用低下」の限定と「物質的損傷」概念の拡大(間接的物質的損傷)(123)
(4)「有形的作用」という前提条件とその意義(124)
(5)物の本来的用法通りの消費と効用低下(126)
第3節 学説における「損壊」概念をめぐる議論 127
1 判例を支持する効用低下説(128)
(1)基本的な理解(128)
(2)「本来的」効用の判断基準をめぐる議論(130)
(3)物の修理・修繕をめぐる議論(132)
(4)物の本来的な消費に関する議論(134)
(5)間接的物質的損傷に関する議論(135)
(6)拡大損害に関する議論(136)
2 判例の立場よりも「損壊」概念を拡張する見解(137)
(1)状態変更説(137)
(2)所有者の主観を広く考慮する拡張型効用低下説(140)
3 物質説(143)
第4節 我が国における「損壊」等の概念に関する議論への示唆 145
1 我が国の判例・学説との比較(145)
2 日本法の議論への示唆(147)
第5章 効用侵害の客観化と結果態様の限定 152
第1節 効用侵害の客観化 152
1 効用の客観化(153)
(1)客観的要保護性が認められる効用の範囲(153)
(2)具体的事例の検討(157)
2 「侵害」性の客観化(160)
(1)客観化の方法(160)
(2)侵害の量的限定(161)
(3)侵害の質的限定(167)
第2節 行為・結果態様の限定の要否 175
1 「毀棄」・「損壊」を処罰する他の犯罪類型との比較(176)
2 「損壊」等の概念の法益外在的限定の必要(178)
第3節 小括 180
第6章 客体の画定をめぐる問題 183
第1節 建造物損壊罪における「建造物」の一部性判断 184
1 260条の「建造物」の一部性が争われた我が国の判例(184)
(1)建物本体との接合の程度(構造上の一体性)を基準とする判例(185)
(2)建物本体との機能的な一体性を基準とする判例(186)
(3)構造的一体性と機能的一体性の両面を考慮する判例(186)
2 建造物損壊罪と器物損壊罪の区別に関する学説の議論(188)
(1)客体で区別する見解(189)
(2)「損壊」の程度で区別する見解(191)
(3)建造物損壊罪の本質を人身危険からの保護に求める見解(192)
3 ドイツ刑法における建築物破壊罪(305条)における「部分的な破壊」(193)
4 検討(196)
(1)接合の程度(物理的一体性の内実)(196)
(2)機能的一体性の要否と内実(197)
(3)放火罪における「建造物」の一個性判断との関係(199)
第2節 毀棄罪における客体の一個性の判断 203
1 器物損壊罪・文書毀棄罪における客体の一個性判断(203)
2 認識上の一体性(204)
3 機能的一体性の判断(207)
第3節 データ記録の毀損・消去と毀棄罪 208
1 問題の所在(208)
2 ドイツ刑法における議論(209)
3 「イカタコウイルス事件」判例をめぐる議論(213)
4 検討(216)
(1)情報記録媒体と情報の一体性判断(216)
(2)具体的事例の検討(219)
第4節 小括 222
結語 223
参考文献一覧 227