刑事立法と犯罪体系
立命館大学法学部叢書第3号

刑事立法と犯罪体系

松宮孝明 著
定価:5,500円(税込)
  • 在庫:
    在庫があります
  • 発行:
    2003年05月10日
  • 判型:
    A5判上製
  • ページ数:
    328頁
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内容紹介

刑法の創造的な発展は、様々な問題を体系化することで初めて可能となる。本書は、グローバルに進行する刑事立法の時代に立法批判の視点を提示し、刑法解釈と刑事立法とにおける犯罪体系の意義を再構築するものである。同時に、随所に挟まれたコラムによって、読者は楽しみながら刑法を学ぶことができる。


≪目次≫

第I部 刑事立法論
第1章 刑事立法論における自律と自己決定
「自律」の意味/犯罪者・行為者の「自律」/被害者の「自律」/社会の自律/近年の主要な刑事立法の評価/刑事立法における自律と自己決定に関する覚え書き

第2章 「積極的一般予防論」と刑事立法の限界
問題の所在/ハッセマーの見解/シュトラーテンヴェルトの批判/ヤコブスによる具体化/むすびにかえて

第3章 組織犯罪対策と犯罪化、重罰化
問題の所在/「一定の組織的な犯罪に関する刑の加重」について/「犯人蔵匿罪等の刑の加重」について/「予備罪の刑の加重及び新設」について/むすびにかえて

第II部 犯罪論における基本概念
第4章 「行為」概念と犯罪体系
はじめに/ドイツにおける「行為」概念の展開/日本における「行為」概念と犯罪体系/むすびにかえて

第5章 相当因果関係説
問題の所在/相当因果関係の定義/ドイツにおける本説の衰退過程/日本における本説の「危機」

第6章 「不真正不作為犯」について
問題の所在/因果力を探求する試み/「保障人」説/「禁止規範違反」説/総則規定施行後の展開/むすびにかえて

第7章 不作為犯と因果関係
問題の所在/不作為の因果力をめぐる論争/立法論と次のステップ

第8章 主観的違法要素
問題の所在/主観的違法要素をめぐる議論の実益

第9章 法秩序の統一性と違法阻却
問題の所在/違法の一元性と相対性/違法の一元性と可罰的違法論/まとめ

第10章 日本刑法37条の緊急避難規定について
問題の所在/日本刑法37条の沿革/日本刑法37条に対する評価/ドイツ緊急避難規定との比較/日本刑法37条の性格

第11章 故意・過失
ここで使うキット―故意・過失/なぜ、刑法で故意・過失が問題になるのか/故意・過失の問題でどのような議論がなされるか/設問の場合

第12章 薬物事犯と抽象的事実の錯誤
解説/まとめ

第13章 事実の錯誤と故意概念
はじめに/故意の成否と錯誤との関係/薬物に関する客体の錯誤/攻撃対象に関する方法の錯誤/二つの特殊問題

第III部 共犯論
第14章 共犯論の現状
わが国の共犯論の基本的矛盾/共謀共同正犯の多用/共犯論の不毛

第15章 共犯の因果性
はじめに/因果関係がない場合/因果関係がある場合

第16章 「正犯」と「共犯」
はじめに/わが国の共犯論の現状をどう見るか/個別的検討/共犯論ないし犯罪体系論のパラダイム転換

第17章 非故意行為に対する共犯 ―「故意の従属性」について―
問題の所在/「要素従属性」の意味/いくつかの解決方法/現行ドイツ刑法による解決/わが国における解決の方向

第18章 共犯の「従属性」について
はじめに/「従属性」の二義性/必要条件としての「従属性」/連帯性としての「従属性」/むすびにかえて

第19章 「共犯の処罰根拠」について
問題の所在/「惹起説」と「従属性」/「惹起説」と身分犯の共犯/むすびにかえて

第20章 身分の連帯作用について
問題の所在/構成的身分の連帯性/違法身分の連帯性と個別性

第21章 必要的共犯 ―公職選挙法上の寄附罪を例に―