内容紹介
《目 次》
まえがき i
序1
第1章 危険責任前史 5
1.19世紀に至るドイツ不法行為法の発展 6
(1) usus modernus pandectarumとアクィーリウス法訴権 6
(2) 近代自然法論と不法行為法に関する一般条項の形成 8
2.19世紀における過失責任主義の確立 12
(1) 歴史法学派の台頭と不法行為法理論の変容 12
(2) パンデクテン法学における過失概念と過失責任主義の確立 14
(a) 過失概念の確立 15
(b) 過失責任主義の確立と不法行為法の帰責原理の一元化 16
第2章 産業革命と危険責任法の制定 19
1.19世紀の不法行為理論の状況 19
2.産業革命の展開と過失責任主義の限界 21
3.プロイセンにおける鉄道開設と鉄道法の制定 ―最初の危険責任立法 23
(1) プロイセンにおける鉄道建設 23
(2) 一般的条件からプロイセン鉄道法へ 25
(3) プロイセン鉄道法制定過程における議論―ミューラーの提案 26
(4) プロイセン鉄道法制定過程における議論―枢密院におけるサヴィニーの見解表明 28
(5) プロイセン鉄道法制定過程における議論―枢密院総会の議論と鉄道法25条の制定 30
(6) プロイセン鉄道法25条のその後 33
(7) まとめ―プロイセン鉄道法25条の意義 34
4.ライヒ責任義務法の制定 37
(1) 新たな事故の多発と不法行為訴訟における障害 37
(2) ライヒ責任義務法の制定過程 41
第3章 ドイツ民法典と危険責任 45
1.ドイツ民法典制定への道 45
2.ドイツ民法典編纂における過失責任と危険責任 46
(1) 第一委員会・第一草案と不法行為規定 47
(a) 第一委員会 47
(b) 第一草案 48
(c) 第一草案に対する批判 51
(2) 第二委員会・第二草案と不法行為規定 53
(a) 第二委員会 54
(b) 第二草案 55
(3) 連邦参議院・帝国議会と不法行為規定 59
(4) ドイツ民法典における不法行為規定 61
第4章 19世紀末から20世紀初頭における無過失責任論 63
1.民法以外の分野からの過失責任主義に対する異論の提起 64
(1) ビンディングの所説 64
(2) レーニングの所説 65
2.ドイツ法曹大会の議論と過失責任主義の動揺 67
(1) ドイツ法曹大会における産業事故被害をめぐる議論 67
(2) 第17回ドイツ法曹大会 68
(3) 第18回ドイツ法曹大会 68
(4) 使用者責任における過失責任主義の動揺 69
3.オーストリアにおける無過失責任論 70
(1) ウンガーの所説 71
(2) オーストリア民法典改正における鑑定者の見解 73
(a) ファフの所説 73
(b) ランダの所説 74
(c) シュトローハルの所説 74
(3) マタヤの所説 76
(4) シュタインバッハの所説 77
4.ギールケ、メンガー以降のドイツにおける無過失責任論 78
(1) メルケルの所説 79
(2) リュメリン―危険責任の提唱者―の所説 80
5.小括 82
第5章 BGB制定後における特別法等による危険責任の展開 85
1.BGBと特別法による危険責任の展開 86
(1) 鉄道事業者に関する責任 86
(a) 鉄道事業者に関する責任のその後の展開 86
(b) 鉄道事業者責任(現行法)の概要 88
(2) 動物保有者責任 93
(a) BGB起草過程における動物保有者責任の変遷 93
(b) 動物保有者責任の修正 96
(c) 動物保有者責任(現行法)の概要 97
(3) 狩猟鳥獣による損害に対する責任 100
(a) 狩猟鳥獣による損害に対する責任の成立とその後の展開 100
(b) 狩猟鳥獣による損害に対する責任の内容とその性質 102
(4) 自動車保有者の責任 104
(a) 自動車の発明・利用と道路交通事故の多発 104
(b) 自動車交通法制定への動き 106
(c) ライヒ議会における自動車に関する責任の審議と自動車交通法の成立 107
(d) 自動車交通法による自動車保有者の責任とその後の改正 111
(e) 自動車保有者の責任(現行法)の概要 113
(5) 航空機保有者の責任 122
(a) 航空機の発明・利用と新たな法的問題 122
(b) 航空交通法の制定 124
(c) 航空機保有者の責任(現行法)の概要 130
(6) エネルギー施設保有者の責任 132
(a) 電気、ガスによる事故と責任強化への動き 132
(b) エネルギー施設等に関する責任の制定 133
(c) エネルギー施設保有者責任(現行法)の概要 134
(7) 水管理法(Wasserhaushaltsgesetz)による水質改変責任 138
(a) 水管理法の制定と水質改変責任の導入 138
(b) 水管理法の水質改変責任(現行法)の概要 140
(8) 原子力損害に関する責任 143
(a) 原子力の開発・平和利用と原子力法の制定 143
(b) 1959年原子力法 144
(c) その後の原子力法における損害賠償規定の変更 146
(d) 原子力責任(現行法)の概要 148
(9) 薬事法(Arzneimittelgesetz)による薬害に関する責任 152
(a) 医薬品による事故と薬事法における薬害責任の導入 152
(b) 薬事法における薬害に対する危険責任(現行法)の概要 156
(10) 連邦鉱業法(Bundesberggesetz)による鉱害に関する責任 160
(a) 連邦鉱業法制定に至るまで 160
(b) 連邦鉱業法による鉱害責任の拡充 161
(c) 連邦鉱業法における鉱害に対する危険責任(現行法)の概要 162
(11) 製造物責任法(Produkthaftungsgesetz)による製造物責任 164
(a) BGBの不法行為法に基づく製造者責任(Produzentenhaftung) 164
(b) 製造物責任法の制定 165
(c) 製造物責任法における危険責任(現行法)の概要 166
(12) 遺伝子工学法(Gentechnikgesetz)における責任 172
(a) 遺伝子工学の発展と法的規制の導入 172
(b) 遺伝子工学法における危険責任(現行法)の概要 174
(13) 環境責任法(Umwelthaftungsgesetz)における責任 178
(a) 環境責任法の制定 178
(b) 環境責任法における危険責任(現行法)の概要 180
(c) その他の危険責任 183
2.小括 184
第6章 ドイツ法アカデミーにおける不法行為法改革と
エッサーの危険責任論 189
1.ドイツ法アカデミーと民族法典における不法行為法改革 190
(1) ドイツ法アカデミーと民族法典の編纂 190
(2) 民族法典の編纂と不法行為法の改革 193
(3) 民族法典編纂における不法行為法改革と危険責任 196
(a) 1938年9月26-28日の債務法等委員会 196
(b) 債務法等委員会における危険責任に関する議論と危険責任の一般条項 198
(c) 損害賠償法小委員会におけるラインハルトの危険責任に関する報告 204
(d) 1940年公表の覚書と危険責任 206
(e) 覚書公表以後の民族法典編纂事業と危険責任に関する審議 209
(f) 民族法典仮案における危険責任規定 211
(g) 民族法典編纂事業の終末とその成果 212
2.エッサーによる危険責任論の展開 214
(1) エッサーの所説 216
(a) 「賠償責任実務における危殆化説の状況と発展方向―研究素材の提示」(第1章・7-44頁) 216
(b) 「我が国の責任理論と責任意識の状況と発展―従前の理論の批判」(第2章・45-68頁) 220
(c) 「危険責任の特殊な社会的秩序課題を理解することによる一般的な賠償責任意識の形成―自説」(第3章・69-104頁) 222
(d) 「不法行為責任に対する危険責任の本質的な特殊性―総括」(第4章・105-119頁) 226
(e) 「集団的な損害負担の形式に対する個人的(個別的)な危険責任の関係―他の制度との関連性」(第5章・120-132頁) 227
(2) エッサー論文の意義とその評価 228
(3) 民族法典編纂とエッサー論文が戦後の危険責任論に及ぼした影響 231
第7章 第二次世界大戦後における危険責任の新展開 ―1967年参事官草案と危険責任一般条項形成の試み 233
1.不法行為(契約外損害賠償)法改正と補充のための参事官草案 233
(1) 第二次世界大戦後の不法行為法をめぐる立法動向 233
(2) 1967年参事官草案と不法行為法規定の改正と補充 234
(a) 参事官草案の起草と構成 234
(b) 不法行為法の改正・補充の必要性と参事官草案 236
(c) 参事官草案による不法行為法の改正と補充の提案 237
(3) 参事官草案における危険責任に関わる改正と補充 239
(a) 現行法の不備と危険責任改革の方向 239
(b) 危険責任の要件における補充と拡張 239
(c) 危険責任の効果における改正と補充 241
(4) 参事官草案が危険責任論に提起した問題 242
2.危険責任の一般条項形成の試み 244
(1) ドイチュ(Erwin Deutsch, 1929-2016年)の見解 245
(a) 危険責任の本質について 245
(b) 参事官草案に対する態度 247
(c) ドイチュによる危険責任の一般条項 248
(d) 参事官草案に対するドイチュ案の相違点 249
(2) ヴァイトナウアー(Hermann Weitnauer, 1910-1999年)の見解 252
(a) 危険責任の本質について 252
(b) 参事官草案に対する態度 252
(c) ヴァイトナウアーによる危険責任の一般条項 253
(d) 参事官草案に対するヴァイトナウアー案の相違点 253
(3) ケッツ(Hein Kötz 1935年-)の見解 255
(a) 危険責任の本質について 256
(b) 参事官草案に対する態度 257
(c) ケッツによる危険責任の一般条項 257
(d) 参事官草案に対するケッツ案の相違点 259
(4) フォン・ケメラー(Ernst von Caemmerer, 1908-1985年)の見解 264
(a) 危険責任の本質について 264
(b) 参事官草案に対する態度 266
(c) 参事官草案に対するフォン・ケメラーの対案 266
(d) 参事官草案と対案の相違点 267
(5) ヴィル(Michael R. Will, 1937年-)の見解 269
(a) 危険責任の研究の視座 270
(b) ヴィルによる危険責任の一般条項 270
(c) ヴィルによる一般条項の特徴 271
3.参事官草案後の損害賠償法改正と危険責任 273
(1) [第1次]損害賠償法規定改正法 273
(2) 第2次損害賠償法規定改正法 274
(a) 第1次損害賠償法規定改正法制定から第2次損害賠償法規定改正法の立法へ 274
(b) 第2次損害賠償法規定改正法と危険責任特別法の改正 277
4.小括 285
終章―ドイツにおける危険責任の発展の軌跡・現状及び課題 287
1.危険責任の生成と展開 287
(1) パンデクテン法学における過失責任主義の確立 287
(2) 産業革命と危険責任の生成 289
(3) 民法典(BGB)編纂と危険責任に関わる議論 290
(a) BGB第一草案と無過失損害賠償責任(危険責任) 290
(b) BGB第二草案及び成立したBGBと無過失損害賠償責任(危険責任) 291
(4) 19世紀末から20世紀初頭における無過失責任論 292
(5) BGB制定後における危険責任特別立法 293
(6) ドイツ法アカデミーによる不法行為法改革と危険責任の理論的確立 297
(a) ドイツ法アカデミーにおける不法行為法改正 297
(b) エッサーによる危険責任の理論的探究と複線性論の成立 297
(7) 第二次世界大戦後の危険責任の動向 299
2.危険責任制度の現状 300
(1) 危険責任の性質 300
(a) 無過失責任・違法性に欠ける責任 300
(b) 危険責任の帰責を正当化する根拠 302
(c) 特別法による責任の導入と責任規定の類推禁止 302
(d) 危険責任の多様性 303
(e) 危険責任と過失責任の関係 305
(2) 危険責任の諸要素 308
(a) 責任者 308
(b) 対象 310
(c) 免責事由 311
(d) 保護法益・因果関係・損害賠償請求権者 312
(e) 慰謝料 314
(f) 責任最高限度額 315
3.不法行為(契約外損害賠償)法の将来像と危険責任に残された課題 316
(1) 不法行為法の単線型と複線型 316
(a) ヤンゼンの責任法の統一的(単線型)モデル 317
(2) 危険責任の将来像とその課題 321
(a) 損害賠償法の構成と危険責任と過失責任の関係 321
(b) 複線性に基づく不法行為(契約外損害賠償)法と危険責任のあり方 321
(c) 危険責任の一般条項の形式と課題 323
4.結語 325
付録・参考条文
Ⅰ.危険責任条文集 327
Ⅱ.民族法典の部分草案(危険責任等) 374
Ⅲ. (a)1967年参事官草案(責任義務法の責任要件に関する改正案) 380
Ⅳ.研究者による危険責任一般条項案 383
主要参考文献 387
あとがき 404
人名索引(外国人) 406
人名索引(日本人) 414
事項索引 417
まえがき i
序1
第1章 危険責任前史 5
1.19世紀に至るドイツ不法行為法の発展 6
(1) usus modernus pandectarumとアクィーリウス法訴権 6
(2) 近代自然法論と不法行為法に関する一般条項の形成 8
2.19世紀における過失責任主義の確立 12
(1) 歴史法学派の台頭と不法行為法理論の変容 12
(2) パンデクテン法学における過失概念と過失責任主義の確立 14
(a) 過失概念の確立 15
(b) 過失責任主義の確立と不法行為法の帰責原理の一元化 16
第2章 産業革命と危険責任法の制定 19
1.19世紀の不法行為理論の状況 19
2.産業革命の展開と過失責任主義の限界 21
3.プロイセンにおける鉄道開設と鉄道法の制定 ―最初の危険責任立法 23
(1) プロイセンにおける鉄道建設 23
(2) 一般的条件からプロイセン鉄道法へ 25
(3) プロイセン鉄道法制定過程における議論―ミューラーの提案 26
(4) プロイセン鉄道法制定過程における議論―枢密院におけるサヴィニーの見解表明 28
(5) プロイセン鉄道法制定過程における議論―枢密院総会の議論と鉄道法25条の制定 30
(6) プロイセン鉄道法25条のその後 33
(7) まとめ―プロイセン鉄道法25条の意義 34
4.ライヒ責任義務法の制定 37
(1) 新たな事故の多発と不法行為訴訟における障害 37
(2) ライヒ責任義務法の制定過程 41
第3章 ドイツ民法典と危険責任 45
1.ドイツ民法典制定への道 45
2.ドイツ民法典編纂における過失責任と危険責任 46
(1) 第一委員会・第一草案と不法行為規定 47
(a) 第一委員会 47
(b) 第一草案 48
(c) 第一草案に対する批判 51
(2) 第二委員会・第二草案と不法行為規定 53
(a) 第二委員会 54
(b) 第二草案 55
(3) 連邦参議院・帝国議会と不法行為規定 59
(4) ドイツ民法典における不法行為規定 61
第4章 19世紀末から20世紀初頭における無過失責任論 63
1.民法以外の分野からの過失責任主義に対する異論の提起 64
(1) ビンディングの所説 64
(2) レーニングの所説 65
2.ドイツ法曹大会の議論と過失責任主義の動揺 67
(1) ドイツ法曹大会における産業事故被害をめぐる議論 67
(2) 第17回ドイツ法曹大会 68
(3) 第18回ドイツ法曹大会 68
(4) 使用者責任における過失責任主義の動揺 69
3.オーストリアにおける無過失責任論 70
(1) ウンガーの所説 71
(2) オーストリア民法典改正における鑑定者の見解 73
(a) ファフの所説 73
(b) ランダの所説 74
(c) シュトローハルの所説 74
(3) マタヤの所説 76
(4) シュタインバッハの所説 77
4.ギールケ、メンガー以降のドイツにおける無過失責任論 78
(1) メルケルの所説 79
(2) リュメリン―危険責任の提唱者―の所説 80
5.小括 82
第5章 BGB制定後における特別法等による危険責任の展開 85
1.BGBと特別法による危険責任の展開 86
(1) 鉄道事業者に関する責任 86
(a) 鉄道事業者に関する責任のその後の展開 86
(b) 鉄道事業者責任(現行法)の概要 88
(2) 動物保有者責任 93
(a) BGB起草過程における動物保有者責任の変遷 93
(b) 動物保有者責任の修正 96
(c) 動物保有者責任(現行法)の概要 97
(3) 狩猟鳥獣による損害に対する責任 100
(a) 狩猟鳥獣による損害に対する責任の成立とその後の展開 100
(b) 狩猟鳥獣による損害に対する責任の内容とその性質 102
(4) 自動車保有者の責任 104
(a) 自動車の発明・利用と道路交通事故の多発 104
(b) 自動車交通法制定への動き 106
(c) ライヒ議会における自動車に関する責任の審議と自動車交通法の成立 107
(d) 自動車交通法による自動車保有者の責任とその後の改正 111
(e) 自動車保有者の責任(現行法)の概要 113
(5) 航空機保有者の責任 122
(a) 航空機の発明・利用と新たな法的問題 122
(b) 航空交通法の制定 124
(c) 航空機保有者の責任(現行法)の概要 130
(6) エネルギー施設保有者の責任 132
(a) 電気、ガスによる事故と責任強化への動き 132
(b) エネルギー施設等に関する責任の制定 133
(c) エネルギー施設保有者責任(現行法)の概要 134
(7) 水管理法(Wasserhaushaltsgesetz)による水質改変責任 138
(a) 水管理法の制定と水質改変責任の導入 138
(b) 水管理法の水質改変責任(現行法)の概要 140
(8) 原子力損害に関する責任 143
(a) 原子力の開発・平和利用と原子力法の制定 143
(b) 1959年原子力法 144
(c) その後の原子力法における損害賠償規定の変更 146
(d) 原子力責任(現行法)の概要 148
(9) 薬事法(Arzneimittelgesetz)による薬害に関する責任 152
(a) 医薬品による事故と薬事法における薬害責任の導入 152
(b) 薬事法における薬害に対する危険責任(現行法)の概要 156
(10) 連邦鉱業法(Bundesberggesetz)による鉱害に関する責任 160
(a) 連邦鉱業法制定に至るまで 160
(b) 連邦鉱業法による鉱害責任の拡充 161
(c) 連邦鉱業法における鉱害に対する危険責任(現行法)の概要 162
(11) 製造物責任法(Produkthaftungsgesetz)による製造物責任 164
(a) BGBの不法行為法に基づく製造者責任(Produzentenhaftung) 164
(b) 製造物責任法の制定 165
(c) 製造物責任法における危険責任(現行法)の概要 166
(12) 遺伝子工学法(Gentechnikgesetz)における責任 172
(a) 遺伝子工学の発展と法的規制の導入 172
(b) 遺伝子工学法における危険責任(現行法)の概要 174
(13) 環境責任法(Umwelthaftungsgesetz)における責任 178
(a) 環境責任法の制定 178
(b) 環境責任法における危険責任(現行法)の概要 180
(c) その他の危険責任 183
2.小括 184
第6章 ドイツ法アカデミーにおける不法行為法改革と
エッサーの危険責任論 189
1.ドイツ法アカデミーと民族法典における不法行為法改革 190
(1) ドイツ法アカデミーと民族法典の編纂 190
(2) 民族法典の編纂と不法行為法の改革 193
(3) 民族法典編纂における不法行為法改革と危険責任 196
(a) 1938年9月26-28日の債務法等委員会 196
(b) 債務法等委員会における危険責任に関する議論と危険責任の一般条項 198
(c) 損害賠償法小委員会におけるラインハルトの危険責任に関する報告 204
(d) 1940年公表の覚書と危険責任 206
(e) 覚書公表以後の民族法典編纂事業と危険責任に関する審議 209
(f) 民族法典仮案における危険責任規定 211
(g) 民族法典編纂事業の終末とその成果 212
2.エッサーによる危険責任論の展開 214
(1) エッサーの所説 216
(a) 「賠償責任実務における危殆化説の状況と発展方向―研究素材の提示」(第1章・7-44頁) 216
(b) 「我が国の責任理論と責任意識の状況と発展―従前の理論の批判」(第2章・45-68頁) 220
(c) 「危険責任の特殊な社会的秩序課題を理解することによる一般的な賠償責任意識の形成―自説」(第3章・69-104頁) 222
(d) 「不法行為責任に対する危険責任の本質的な特殊性―総括」(第4章・105-119頁) 226
(e) 「集団的な損害負担の形式に対する個人的(個別的)な危険責任の関係―他の制度との関連性」(第5章・120-132頁) 227
(2) エッサー論文の意義とその評価 228
(3) 民族法典編纂とエッサー論文が戦後の危険責任論に及ぼした影響 231
第7章 第二次世界大戦後における危険責任の新展開 ―1967年参事官草案と危険責任一般条項形成の試み 233
1.不法行為(契約外損害賠償)法改正と補充のための参事官草案 233
(1) 第二次世界大戦後の不法行為法をめぐる立法動向 233
(2) 1967年参事官草案と不法行為法規定の改正と補充 234
(a) 参事官草案の起草と構成 234
(b) 不法行為法の改正・補充の必要性と参事官草案 236
(c) 参事官草案による不法行為法の改正と補充の提案 237
(3) 参事官草案における危険責任に関わる改正と補充 239
(a) 現行法の不備と危険責任改革の方向 239
(b) 危険責任の要件における補充と拡張 239
(c) 危険責任の効果における改正と補充 241
(4) 参事官草案が危険責任論に提起した問題 242
2.危険責任の一般条項形成の試み 244
(1) ドイチュ(Erwin Deutsch, 1929-2016年)の見解 245
(a) 危険責任の本質について 245
(b) 参事官草案に対する態度 247
(c) ドイチュによる危険責任の一般条項 248
(d) 参事官草案に対するドイチュ案の相違点 249
(2) ヴァイトナウアー(Hermann Weitnauer, 1910-1999年)の見解 252
(a) 危険責任の本質について 252
(b) 参事官草案に対する態度 252
(c) ヴァイトナウアーによる危険責任の一般条項 253
(d) 参事官草案に対するヴァイトナウアー案の相違点 253
(3) ケッツ(Hein Kötz 1935年-)の見解 255
(a) 危険責任の本質について 256
(b) 参事官草案に対する態度 257
(c) ケッツによる危険責任の一般条項 257
(d) 参事官草案に対するケッツ案の相違点 259
(4) フォン・ケメラー(Ernst von Caemmerer, 1908-1985年)の見解 264
(a) 危険責任の本質について 264
(b) 参事官草案に対する態度 266
(c) 参事官草案に対するフォン・ケメラーの対案 266
(d) 参事官草案と対案の相違点 267
(5) ヴィル(Michael R. Will, 1937年-)の見解 269
(a) 危険責任の研究の視座 270
(b) ヴィルによる危険責任の一般条項 270
(c) ヴィルによる一般条項の特徴 271
3.参事官草案後の損害賠償法改正と危険責任 273
(1) [第1次]損害賠償法規定改正法 273
(2) 第2次損害賠償法規定改正法 274
(a) 第1次損害賠償法規定改正法制定から第2次損害賠償法規定改正法の立法へ 274
(b) 第2次損害賠償法規定改正法と危険責任特別法の改正 277
4.小括 285
終章―ドイツにおける危険責任の発展の軌跡・現状及び課題 287
1.危険責任の生成と展開 287
(1) パンデクテン法学における過失責任主義の確立 287
(2) 産業革命と危険責任の生成 289
(3) 民法典(BGB)編纂と危険責任に関わる議論 290
(a) BGB第一草案と無過失損害賠償責任(危険責任) 290
(b) BGB第二草案及び成立したBGBと無過失損害賠償責任(危険責任) 291
(4) 19世紀末から20世紀初頭における無過失責任論 292
(5) BGB制定後における危険責任特別立法 293
(6) ドイツ法アカデミーによる不法行為法改革と危険責任の理論的確立 297
(a) ドイツ法アカデミーにおける不法行為法改正 297
(b) エッサーによる危険責任の理論的探究と複線性論の成立 297
(7) 第二次世界大戦後の危険責任の動向 299
2.危険責任制度の現状 300
(1) 危険責任の性質 300
(a) 無過失責任・違法性に欠ける責任 300
(b) 危険責任の帰責を正当化する根拠 302
(c) 特別法による責任の導入と責任規定の類推禁止 302
(d) 危険責任の多様性 303
(e) 危険責任と過失責任の関係 305
(2) 危険責任の諸要素 308
(a) 責任者 308
(b) 対象 310
(c) 免責事由 311
(d) 保護法益・因果関係・損害賠償請求権者 312
(e) 慰謝料 314
(f) 責任最高限度額 315
3.不法行為(契約外損害賠償)法の将来像と危険責任に残された課題 316
(1) 不法行為法の単線型と複線型 316
(a) ヤンゼンの責任法の統一的(単線型)モデル 317
(2) 危険責任の将来像とその課題 321
(a) 損害賠償法の構成と危険責任と過失責任の関係 321
(b) 複線性に基づく不法行為(契約外損害賠償)法と危険責任のあり方 321
(c) 危険責任の一般条項の形式と課題 323
4.結語 325
付録・参考条文
Ⅰ.危険責任条文集 327
Ⅱ.民族法典の部分草案(危険責任等) 374
Ⅲ. (a)1967年参事官草案(責任義務法の責任要件に関する改正案) 380
Ⅳ.研究者による危険責任一般条項案 383
主要参考文献 387
あとがき 404
人名索引(外国人) 406
人名索引(日本人) 414
事項索引 417