学術論文の作法 第3版
論文の構成・文章の書き方・研究倫理近江幸治 著
定価:2,750円(税込)-
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発行:
2022年01月10日
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判型:
四六判並製 -
ページ数:
284頁 -
ISBN:
978-4-7923-2776-7
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内容紹介
《目 次》
第3版 緒言
第2版 緒言
緒言
第1部 学術論文と学位論文── 1
Ⅰ 学術論文と学位論文の特殊性── 1
1 「学術論文」とは何か── 1
(1) 学問・芸術における「創造的価値」 1
(2) 特殊な学術論文 「学位論文」 ─ 《学位の取得》 と 《創造性》 2
(a) 「学位の取得」が目的
(b) 「創造性」があること
2 修士学位論文(修士論文)── 5
(1) 修士学位の取得と修士論文 6
(2) 研究者としての"資質"の判定資料 6
3 博士学位論文(博士論文)── 7
(1) 博士学位の取得と博士論文 7
(2) 博士論文の水準 8
(3) 「課程による博士」論文の運用 10
(4) 「課程によらない博士」論文の運用 11
4 リサーチペーパー(research paper)について── 12
(1) リサーチペーパーとは何か 12
(2) リサーチペーパーと修士論文(学術論文)との違い 14
(a) リサーチペーパーの特徴
(b) リサーチペーパーの形式
(3) リサーチペーパー執筆の留意点 19
Ⅱ テーマの決定から「仮説」の設定と論証へ─学術論文の神髄── 20
1 「テーマ」の決定のプロセス── 20
(1) "どの領域のどのようなことに関心を持っているか" 20
(2) 指導教授と相談する 21
(3) 着眼点の独創性を大切にする 22
(4) 構想のよくない論文 23
(a) 「視点」の欠如
(b) 「創造性」の欠如
(c) 「基礎資料」の問題
2 「仮説」の発見と確信─テーマから仮説の結晶へ── 24
(1) 「仮説」とは何か 24
(2) 仮説を確信する! 25
3 《仮説の論証》プロセス── 26
(1) 仮説の論証の方法 26
(2) 拙著の場合 26
(3) 「仮説」→「論証」プロセス(学術論文の神髄!) 30
Ⅲ 論理の展開と文章による説得──仮説論証の技術── 32
1 〈起・承・転・結〉という論理構成は?── 32
(1) 「起・承・転・結」とは何か? 32
(2) ジャーナリズムの文章表現 33
(3) 学術的論理の展開には不向き! 36
2 学術論文に必要な論理構成── 36
〔Ⅰ〕 「仮説」の設定 37
〔Ⅱ〕 仮説の「論証」 38
〔Ⅲ〕 「帰結」(独自の見解であることを示す) 39
3 文章による説得── 39
(1) "簡潔・明瞭でわかりやすい"文章を! 40
(a) 「文」として正確
(b) 文による「表現」が明確
(2) 客観的な文章表現を! 41
4 タイトルの付け方── 42
Ⅳ 「研究計画」と資料収集・データ管理── 44
1 「研究計画」の立て方── 44
(1) 研究には「時間的制約」がある! 44
(2) 大学院制度における制約 45
(a) 修士論文の提出に関して
(b) 課程博士論文の提出に関して
(c) 課程によらない博士論文の提出に関して
2 資料の収集── 47
(1) 常にあらゆる資料を収集しておく 47
(2) オンラインによる収集 50
(3) アイディアを"メモる"習慣を! 50
3 データの管理── 51
(1) データ管理の重要性 51
(2) 文献カード・研究ノートの利用? 53
(3) パソコンによる管理 54
(4) デジタル・ファイルでの保管 56
5 「検索」─資料は検索が命!── 57
第2部 文章の書き方 ─文章表現の技術─ 59
1 文章表現の多様性とレトリック(修辞法)── 59
(1) 文章表現の多様性 59
(2) レトリックの必要性 60
2 文章のスタイル── 60
(1) 文章は短く切るクセを! 60
(2) 中止法 64
(3) 人文系文章との違い 65
3 論理の展開のために── 66
(1) 「段落」を付ける 66
(2) 番号を振る 67
4 「文法」を践むこと── 68
(1) 主語が不明で表現が稚拙 68
(2) 文法がでたらめ 69
(3) 文法を無視した意味不明な文章 72
(4) 係り方が不明 72
5 主語・述語の関係── 74
(1) 主語を受ける助詞「は」と「が」 74
(a) 重文の場合は、いずれの文も「は」が一般的
(b) 複文の場合は、主節は「は」、従属節は「が」
(c) 前の文章を受けて強調的に使う場合
(d) 特定の助詞を1つの文中で重出させない
(2) 主語の兼用 76
(3) 強調したい語句は文頭に置く 77
(a) 位置によるニュアンスの違い
(b) 解釈により文意が異なる表現
(c) 主題の明示(法律の条文)
(4) 条文での主語の省略 83
(5) 語句の重複(重複表現)を避ける 83
(a) 主語と目的語(述語)の重複
(b) 同じ意味の言葉を重ねない(「重ね言葉」)
(c) 1つの文内で同じ言葉を使わない
(6) 文末助動詞「である。」と「だ。」 85
(a) 「である。」
(b) 「だ。」
6 修飾語関係── 86
(1) 形容詞は修飾する名詞の直前に置く 87
(2) 「1つの名詞には1つの形容詞」原則 88
(3) 副詞または副詞句 90
(a) 「用言」を修飾
(b) 使い方によっては読点「、」を
(c) いわゆる「陳述の副詞」
7 読点「、」の打ち方── 91
(1) 「読みやすくするため」 と 「文の構造を明らかにするため」 91
(2) 主語の後には読点「、」を打つ 92
(a) 「条文」と法律系論文
(b) 複文・重文での主語兼用の場合
(3) ジャーナリズム系では特殊な打ち方 95
(4) 読点の打ち方の誤り! 97
(5) 読点の欠如(打たなければ別の意味になる) 100
(6) 副詞(副詞句)または接続詞の次に読点「、」を 101
(7) 読点は書き手にとっては息継ぎ 102
(8) 中国の句読点法 102
8 接続詞と接続助詞── 104
(1) 接続詞としての「が、」(単独用法) 104
(2) 接続助詞「?であるが、......」 106
(3) 独特な法律用語としての接続詞 108
(a) 並列の接続詞「及び・並びに」
(b) 選択的接続詞「又は・若しくは」
(c) 仮定的条件の接続詞「場合・とき・時」
(4) 比較形式で「AとB」か「AかBか」か 112
(5) 接続詞(単独用法)の次に読点「、」を打つ 113
9 括弧(カッコ)の使い方── 113
(1) カッコ(括弧)の種類 113
(2) 「引用」の表記としての鉤カッコ「 」 114
(a) 「 」(一重鉤カッコ)
(b) 『 』(二重鉤カッコ)
(3) 「注」の表記としての丸カッコ( ) 114
(4) 丸カッコ内で句点「。」は必要か 118
10 「漢字」表記か「ひらがな」表記か── 119
(1) 「常用漢字」が基準 119
(2) 動詞は、 本来的用法では 「漢字」、 観念的用法では 「ひらがな」 120
(3) 接続詞や副詞は「ひらがな」表記 121
(4) 慣用的な用法は例外 121
11 「付」と「附」── 122
12 美しい日本語としてのレトリック(まとめ)── 124
(1) 岩淵悦太郎編著『第三版 悪文』(1979・日本評論社) 124
(2) 篠田義明著 『ビジネス文完全マスター術』 (2003・角川GP) 125
第3部 レポート・小論文・答案の書き方── 127
1 レポート・小論文・答案の特殊性── 127
(1) それぞれの特徴 128
(a) レポート
(b) 小論文
(c) 答案
(2) レポート・小論文・答案の共通性 131
(a) 共通性─"与えられた課題"に対する「解答」
(b) 《評価対象》としての「文章」
2 何が問われているのか─問題点の正確な把握── 132
(1) "問われていること"を解明する 132
(a) 「出題の意図」を探る
(b) 「論点」を正確に解明する
(2) 《論点の解明》の具体的作業 133
(a) 問題の形式・文言等を注意深く読むこと
(b) 自分の学習の成果が問われている
(3) 問題点の整理(文章表現の前段階) 134
(a) 問題点の整理
(b) 時間の配分
3 態度決定から理論構成へ─小論文・答案の作成── 135
(1) 態度の決定 135
(2) どのような論理構成をするか(具体的な論理の展開) 136
(a) 上記で把握した正確な問題点(論点)を明示すること
(b) 論理構成を明快に展開すること
(3) 小論文・答案の作成(1)─理論構成 137
(4) 小論文・答案の作成(2)─文章による表現 138
(a) 「読む人」(出題者・審査員)を文章で説得する
(b) 文章の表現はわかりやすく
(c) 「段落」をつけて展開する
(5) 結論部─自分の意見の表明とまとめ 141
4 答案を採点していて─余滴── 142
(1) 小問には必ず全問に答えること 142
(2) 「問い方」に注意 143
(3) 前提が長すぎる答案 144
(4) 「です・ます」調は避ける 144
(5) 山を張って外した答案(学部期末試験など) 144
(6) 「余事記載」の答案 145
(a) 特定のシグナル?
(b) 大学の期末試験では
第4部 研究上の決まりごとと「研究倫理」── 149
Ⅰ 研究上の決まりごと── 150
1 「先行者優先原則」と「引用義務」── 150
(1) 先行者優先原則(プライオリティ原則) 150
(2) 引用義務 150
(3) 引用の範囲 151
(4) 引用の無視は 151
2 「引用の自由」と「制限」── 152
(1) 「引用」とは何か 152
(2) 「引用」に対する制限 153
3 引用原則Ⅰ─「公正な慣行」と「正当な範囲内」── 153
4 引用原則Ⅱ─「明瞭区別認識性」と「主従関係明確性」(適法引用)── 154
(1) 明瞭区別認識性 154
(2) 主従関係明確性 155
5 引用原則Ⅰと引用原則Ⅱの関係── 158
6 出典明示義務と表記方法── 159
(1) 出典(出所)明示義務 159
(a) "THE BLUEBOOK" (A Uniform System of Citation)
(b) 法律編集者懇話会編「法律文献等の出典の表示方法」
(2) 「学説の引用」に注意 160
(3) 「孫引き」の禁止 161
(4) 「直接引用」か「参照引用」か 163
(5) 「注」の付け方─引用文献の表記 164
(a) 脚注(本文外)
(b) 文末注(本文外)
(c) カッコ注(本文内) (d) カッコ割注(本文内)
Ⅱ 「著作権・著作者人格権」の保護── 167
1 「著作権」とは何か── 167
(1) 「財産的権利としての著作権」と「著作者人格権」 167
(2) 「財産的権利としての著作権」の内容 168
(3) 著作権の保護期間 168
(a) 存続期間の開始時
(b) 保護期間
2 「著作者人格権」── 168
(1) 「公表権」 169
(2) 「氏名表示権」 169
(3) 「同一性保持権」 169
3 「出版権」── 169
(1) 出版権の設定 170
(2) 出版権の内容 170
(a) 「出版」権限の「専有」
(b) 多重設定の禁止
(3) 出版の義務 171
(4) 著作物の修正増減 172
(5) 出版権の存続期間 172
Ⅲ 研究倫理── 173
1 「研究倫理」とは何か── 173
(1) 研究者の「自律規範」 173
(2) 研究倫理規程の必要性 173
2 学術的「創造物」の尊重── 175
〔Ⅰ〕 先行者優先原則(プライオリティ原則) 175
〔Ⅱ〕 「適法引用」(2つの引用原則の遵守) 175
3 「反倫理的行為」の類型── 176
(1) 「剽窃」(窃盗)行為 176
(2) 「フリーライド」(freeride ただ乗り行為) 176
(3) 「ターニッシュメント」(tarnishment 評判や名声を傷つけ又は落とさせる行為) 177
4 「剽窃」の態様── 177
(1) 「剽窃」(他人の研究成果の盗用) 178
(a) 「剽窃」 の典型─ 「引用」 がなく自分の研究成果として公表
(b) 先に出版された場合
(c) 未公刊の「学位論文」の剽窃
(2) 「不適切な引用」 180
(a) 形だけの引用
(b) 「引用」に頼りっきり
(c) 主・従関係(質的量的関係)が逆転
(d) 引用部分の解説に過ぎない論文
(3) 図表・画像等の剽窃 183
(4) 教科書類の"パクリ" 185
(5) アイディアの剽窃 185
(a) アイディア (理論) の発見
(b) 研究会での研究報告の剽窃
(c) 影響するアイディア
(d) 授業でのアイディア
(5) 翻訳(二次的著作物)の剽窃 190
(6) 資料・データの捏造・改ざん 191
(7) 自己の著作物の流用(転用) 192
(a) 「出版権」の侵害
(b) 二重掲載
5 論文の「代筆」── 193
(1) 製薬会社による医師の論文の代筆 194
(2) 論文代行業も存在 194
6 自由な研究の保障と「指導倫理」── 194
(1) 指導教授の役割─「学位論文の完成」 194
(2) 学生からみた「指導教授」 195
(3) 「自由な研究の保障」 196
(4) 留学生に対する指導 198
(5) パワー・ハラスメント 199
第5部 資料1 文献引用の表示方法(出典の明示)── 201
Ⅰ 文献引用の表示── 202
1 雑誌論文── 202
2 単行本── 203
(1)単独著書の場合 203
(2)共著書の場合 204
(3)編著書の場合(所収の論文表示を含む) 204
(a) 一般
(b) 講座もの
(c) コンメンタール
(d) 記念論文集
(4) 翻訳書の場合 206
3 判例研究── 206
(1) 雑誌の場合 206
(2) 単行本の場合 206
4 座談会等── 207
5 「前掲」文献と「注」の表示── 207
(1) 「前掲」文献の表示 207
(2) 注番号の扱い 209
(a) 講座論文、雑誌論文の場合
(b) モノグラフの場合(雑誌連載、単行本とも)
Ⅱ 判例、先例、通達の表示── 210
1 判例の表示── 210
2 先例、通達── 211
Ⅲ デジタルコンテンツの表示── 212
(1) 頁概念があるもののうちDVDなど閉鎖型の文献の場合 212
(2) 頁概念があるもののうち開放型の文献の場合 212
(3) 頁概念のないWebサイト、データベースなどの場合 212
Ⅳ 法令名の略語── 213
Ⅴ 判例集・判例評釈書誌の略称── 222
1 大審院時代の判例集等── 222
(1) 公的刊行物 222
(2) 私的刊行物 222
2 最高裁判所時代の判例集等── 223
(1) 公的刊行物 223
(2) その他の官庁刊行物 224
Ⅵ 定期刊行物の略称── 225
1 私的刊行物── 225
2 学会誌── 225
3 大学機関誌── 227
4 法律雑誌(官公庁・研究機関・法律系図書出版社その他)── 231
Ⅶ 法律以外の文献引用方法── 234
1 社会科学系一般── 234
2 人文系── 236
第6部 資料2 学位授与に関する規則── 239
Ⅰ 学校教育法(第9章抄)── 239
Ⅱ 学位規則(文部科学省令)── 248
索引── 253