新基礎法学叢書22
憲法上の権利の政治経済学
伊藤 泰 著
定価:6,160円(税込)-
在庫:
在庫があります -
発行:
2022年02月20日
-
判型:
A5判上製 -
ページ数:
280頁 -
ISBN:
978-4-7923-0698-4
書籍購入は弊社「早稲田正門店インターネット書店」サイトでの購入となります。
内容紹介
《目 次》
はしがき i
第1章 ハーヴェイロードの前提 1
1.憲法上の諸権利に関する経済学的理論 1
2.憲法上の権利の創設に関するマッケイの理論 3
2-1.憲法上の権利が設けられるための6つの条件 3
2-2.規定される3つの権利のカテゴリー 4
3.権力濫用へのリアクションとしての憲法上の権利 6
4.憲法上の権利保障の範囲に関するポズナーの理論 8
4-1.宗教条項に関する経済学的分析 8
4-2.権利保障の望ましい範囲 10
4-3.ポズナーの理論の根底にある仮定 13
5.慈悲深い専制君主の神話 14
6.「ハーヴェイロードの前提」批判 16
6-1.ハーヴェイロードの前提 16
6-2.「慈悲深い専制君主」への助言者 17
6-3.相互依存的な意思決定状況 19
7.「ハーヴェイロードの前提」のもとでの法分析 23
7-1.社会的選択論の難点 23
7-2.「ハーヴェイロードの前提」と憲法上の権利との不整合性 28
8.立憲的政治経済学 30
8-1.立憲的政治経済学の特徴 30
8-2.ホモ・エコノミカスの仮説 32
第2章 憲法上の権利が設けられるための条件 35
1.憲法上の権利創設に関するミュラーの理論 35
2.法案の採決に関する投票ルールの選択 38
2-1.問題を処理する際の費用の大きさ 38
2-2.相互依存費用 40
3.ミュラーの論理 43
3-1.憲法上の権利が設けられるための条件 43
3-2.ミュラーの論理 47
4.説明可能な権利の範囲 48
5.立憲段階における不確実な選択状況 51
5-1.立憲契約と保険契約の違い 51
5-2.「不確実性のヴェール」の操作可能性 54
5-3.不確実性とリスク、曖昧性 56
6.ブキャナン=タロックの投票ルール論との齟齬 58
6-1.投票ルール論における暗黙の前提 58
6-2.「男女の争い」型の問題 60
6-3.「片想いの悲哀」型の問題 65
6-4.「片想いの悲哀」型問題の相互依存費用 67
7.憲法上の権利(立法権力からの免除権)が設けられるための条件 72
7-1.モデルの修正 72
7-2.説明可能な事項の増大 76
第3章 憲法上の権利の制限 79
1.憲法上の権利の制限 79
2.権利制約条項の追加 80
2-1.選択の必要な3つの事項 80
2-2.権利制約条項の諸類型 81
2-3.諸立法に関する外部費用と意思決定費用 82
2-4.特有の外部費用 87
3.権利規制法案の望ましい内容についての規定 88
4.投票ルールの選択 90
4-1.違憲判決による外部費用の縮小 90
4-2.規模の利益 95
4-3.違憲審査に関する制憲者意思 97
5.意見の相違をもたらす諸要因 98
第4章 公共の福祉 103
1.曖昧な権利制約の仕組み 103
2.権利制約条項の選択 105
2-1.詳細な権利制約条項の選択による外部費用の削減 105
2-2.詳細な条項の選択に関する条件の欠如 107
3.抽象的かつ包括的な権利制約条項の妥当期間 107
3-1.権利制約の根拠としての公共の福祉 107
3-2.公共の福祉の抽象性と包括性 111
3-3.権利制約条項について想定された妥当期間の長さ 113
4.抽象的・包括的な権利制約条項のもとでの大きな外部費用 115
5.外部費用を低く抑える要因 117
5-1.規制法案推進派/反対派に属する確率 117
5-2.違憲審査制 120
6.権利制約条項を抽象的・包括的なものへと導く要因 121
6-1.想定される妥当期間の長さ 121
6-2.不確実性のヴェール 123
7.小括 124
第5章 社会権条項の創設 127
1.社会権条項の創設 127
2.社会権に関して説明されるべき3つの側面 129
3.他の憲法上の権利の制限 131
4.社会権の自由権的側面 135
5.社会権の請求権的側面 139
5-1.インセンティヴ問題 139
5-2.社会権条項の詳細化 141
5-3.社会的・経済的弱者の活動への法的支援 144
5-4.立法不作為訴訟の環境整備 146
6.小括 147
第6章 選挙権付与立法からの保護 149
1.有権者の範囲の選択 149
2.ブキャナン=タロックによる2つの仮定 150
3.立法にかかわるいくつかの変数 152
4.相互依存費用の変化 154
4-1.意思決定費用 154
4-2.外部費用に影響を及ぼす要因 157
4-3.有権者になる者と非有権者になる者の外部費用の違い 161
5.憲法の選挙権規定が設けられるための条件 164
5-1.有権者の範囲の操作にかかわる2種類のインセンティヴ 164
5-2.選挙権付与立法に伴う非常に大きな損失 168
6.小括 170
第7章 憲法上の権利創設条件の再検討 173
1.リベラルな理念からの逸脱 173
2.全員一致ルールの最適性 174
2-1.ミュラーの論理の問題点 174
2-2.立法に伴う大きな損失 176
3.憲法上の権利創設に伴う便益その1 180
3-1.意思決定費用 180
3-2.外部費用 183
3-3.相互依存費用の減少 186
4.憲法上の権利創設に伴う便益その2 188
4-1.憲法の権利条項の私人間適用 188
4-2.既存の法の統制 191
5.憲法上の権利創設へのインセンティヴ 193
6.小括 194
第8章 人権と憲法上の権利 197
1.憲法上の権利についての捉え方の違い 197
2.人権かそれとも憲法上の権利か 198
3.憲法改正の交渉に伴う費用 202
3-1.法案審議にかかる交渉と憲法改正にかかる交渉 202
3-2.立憲段階における全員一致の同意 205
3-3.憲法上の権利選択のメカニズム 208
4.権利に関する理論の精緻化および普及への投資 210
5.自然権論と実証主義的理論の影響 213
5-1.外部費用その1:国家権力の監視 213
5-2.外部費用その2:法適用機関の動向 215
5-3.憲法改正への交渉の費用 218
6.小括 220
補論 相関均衡の仕掛けとしての社会規範と法 221
1.法学におけるゲーム理論の活用のあり方 221
2.相関均衡の仕掛けとしての社会規範 221
2-1.相関戦略 221
2-2.相関均衡 224
2-3.相関均衡の仕掛けとしての社会規範 227
3.「相関均衡の仕掛けとしての社会規範」論の問題点 230
3-1.ハーサニ・ドクトリン 230
3-2.主観的相関均衡 232
3-3.人々の心理的負担 235
3-4.シンプルなケースへの限定 238
4.相関戦略としての法 240
4-1.相関均衡アプローチの問題 240
4-2.協力ゲーム理論アプローチ 244
5.小括 247
あとがき 249
参考文献 253
人名索引 262
事項索引 264
はしがき i
第1章 ハーヴェイロードの前提 1
1.憲法上の諸権利に関する経済学的理論 1
2.憲法上の権利の創設に関するマッケイの理論 3
2-1.憲法上の権利が設けられるための6つの条件 3
2-2.規定される3つの権利のカテゴリー 4
3.権力濫用へのリアクションとしての憲法上の権利 6
4.憲法上の権利保障の範囲に関するポズナーの理論 8
4-1.宗教条項に関する経済学的分析 8
4-2.権利保障の望ましい範囲 10
4-3.ポズナーの理論の根底にある仮定 13
5.慈悲深い専制君主の神話 14
6.「ハーヴェイロードの前提」批判 16
6-1.ハーヴェイロードの前提 16
6-2.「慈悲深い専制君主」への助言者 17
6-3.相互依存的な意思決定状況 19
7.「ハーヴェイロードの前提」のもとでの法分析 23
7-1.社会的選択論の難点 23
7-2.「ハーヴェイロードの前提」と憲法上の権利との不整合性 28
8.立憲的政治経済学 30
8-1.立憲的政治経済学の特徴 30
8-2.ホモ・エコノミカスの仮説 32
第2章 憲法上の権利が設けられるための条件 35
1.憲法上の権利創設に関するミュラーの理論 35
2.法案の採決に関する投票ルールの選択 38
2-1.問題を処理する際の費用の大きさ 38
2-2.相互依存費用 40
3.ミュラーの論理 43
3-1.憲法上の権利が設けられるための条件 43
3-2.ミュラーの論理 47
4.説明可能な権利の範囲 48
5.立憲段階における不確実な選択状況 51
5-1.立憲契約と保険契約の違い 51
5-2.「不確実性のヴェール」の操作可能性 54
5-3.不確実性とリスク、曖昧性 56
6.ブキャナン=タロックの投票ルール論との齟齬 58
6-1.投票ルール論における暗黙の前提 58
6-2.「男女の争い」型の問題 60
6-3.「片想いの悲哀」型の問題 65
6-4.「片想いの悲哀」型問題の相互依存費用 67
7.憲法上の権利(立法権力からの免除権)が設けられるための条件 72
7-1.モデルの修正 72
7-2.説明可能な事項の増大 76
第3章 憲法上の権利の制限 79
1.憲法上の権利の制限 79
2.権利制約条項の追加 80
2-1.選択の必要な3つの事項 80
2-2.権利制約条項の諸類型 81
2-3.諸立法に関する外部費用と意思決定費用 82
2-4.特有の外部費用 87
3.権利規制法案の望ましい内容についての規定 88
4.投票ルールの選択 90
4-1.違憲判決による外部費用の縮小 90
4-2.規模の利益 95
4-3.違憲審査に関する制憲者意思 97
5.意見の相違をもたらす諸要因 98
第4章 公共の福祉 103
1.曖昧な権利制約の仕組み 103
2.権利制約条項の選択 105
2-1.詳細な権利制約条項の選択による外部費用の削減 105
2-2.詳細な条項の選択に関する条件の欠如 107
3.抽象的かつ包括的な権利制約条項の妥当期間 107
3-1.権利制約の根拠としての公共の福祉 107
3-2.公共の福祉の抽象性と包括性 111
3-3.権利制約条項について想定された妥当期間の長さ 113
4.抽象的・包括的な権利制約条項のもとでの大きな外部費用 115
5.外部費用を低く抑える要因 117
5-1.規制法案推進派/反対派に属する確率 117
5-2.違憲審査制 120
6.権利制約条項を抽象的・包括的なものへと導く要因 121
6-1.想定される妥当期間の長さ 121
6-2.不確実性のヴェール 123
7.小括 124
第5章 社会権条項の創設 127
1.社会権条項の創設 127
2.社会権に関して説明されるべき3つの側面 129
3.他の憲法上の権利の制限 131
4.社会権の自由権的側面 135
5.社会権の請求権的側面 139
5-1.インセンティヴ問題 139
5-2.社会権条項の詳細化 141
5-3.社会的・経済的弱者の活動への法的支援 144
5-4.立法不作為訴訟の環境整備 146
6.小括 147
第6章 選挙権付与立法からの保護 149
1.有権者の範囲の選択 149
2.ブキャナン=タロックによる2つの仮定 150
3.立法にかかわるいくつかの変数 152
4.相互依存費用の変化 154
4-1.意思決定費用 154
4-2.外部費用に影響を及ぼす要因 157
4-3.有権者になる者と非有権者になる者の外部費用の違い 161
5.憲法の選挙権規定が設けられるための条件 164
5-1.有権者の範囲の操作にかかわる2種類のインセンティヴ 164
5-2.選挙権付与立法に伴う非常に大きな損失 168
6.小括 170
第7章 憲法上の権利創設条件の再検討 173
1.リベラルな理念からの逸脱 173
2.全員一致ルールの最適性 174
2-1.ミュラーの論理の問題点 174
2-2.立法に伴う大きな損失 176
3.憲法上の権利創設に伴う便益その1 180
3-1.意思決定費用 180
3-2.外部費用 183
3-3.相互依存費用の減少 186
4.憲法上の権利創設に伴う便益その2 188
4-1.憲法の権利条項の私人間適用 188
4-2.既存の法の統制 191
5.憲法上の権利創設へのインセンティヴ 193
6.小括 194
第8章 人権と憲法上の権利 197
1.憲法上の権利についての捉え方の違い 197
2.人権かそれとも憲法上の権利か 198
3.憲法改正の交渉に伴う費用 202
3-1.法案審議にかかる交渉と憲法改正にかかる交渉 202
3-2.立憲段階における全員一致の同意 205
3-3.憲法上の権利選択のメカニズム 208
4.権利に関する理論の精緻化および普及への投資 210
5.自然権論と実証主義的理論の影響 213
5-1.外部費用その1:国家権力の監視 213
5-2.外部費用その2:法適用機関の動向 215
5-3.憲法改正への交渉の費用 218
6.小括 220
補論 相関均衡の仕掛けとしての社会規範と法 221
1.法学におけるゲーム理論の活用のあり方 221
2.相関均衡の仕掛けとしての社会規範 221
2-1.相関戦略 221
2-2.相関均衡 224
2-3.相関均衡の仕掛けとしての社会規範 227
3.「相関均衡の仕掛けとしての社会規範」論の問題点 230
3-1.ハーサニ・ドクトリン 230
3-2.主観的相関均衡 232
3-3.人々の心理的負担 235
3-4.シンプルなケースへの限定 238
4.相関戦略としての法 240
4-1.相関均衡アプローチの問題 240
4-2.協力ゲーム理論アプローチ 244
5.小括 247
あとがき 249
参考文献 253
人名索引 262
事項索引 264