香川大学法学会叢書11
憲法と国際人権の諸相
子ども・家族・外国人の日米比較新井信之 著
定価:9,900円(税込)-
在庫:
在庫があります -
発行:
2022年03月20日
-
判型:
A5判上製 -
ページ数:
526頁 -
ISBN:
978-4-7923-0699-1
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内容紹介
《目 次》
まえがき
序 論 子ども・家族・外国人の人権保障と国際人流 1
1 本書の視座とねらい 1
2 本書の構成と内容 3
3 本書の意義について 7
第一部 アメリカにおける憲法と国際人権の諸相
第一章 外国人排斥法の史的展開とその背景 11
はじめに 11
第一節 移民・外国人法制定の嚆矢[植民地時代?一八八八年] 13
1 アメリカ合衆国の成立と外国人 13
2 連邦議会による移民規制権限の確立 14
第二節 外国人の出入国管理・規制の強化 17
1 人種差別政策的要因による強化 17
2 社会・経済・犯罪取締政策的要因による強化 21
3 政治体制の維持・防衛政策的要因による強化 23
第三節 国家の非常事態とマッカーシズムの時代[一九四〇?一九五二年] 28
1 一九四〇年外国人登録法の成立 28
2 敵性外国人と大統領権限 30
3 反共立法の展開 32
第四節 移民・国籍法の制定とその展開 35
1 一九五二年移民・国籍法の成立とその問題点 35
2 一九六〇年代および一九七〇年代の修正 36
3 一九八〇年代の修正 38
4 一九九〇年代の修正 40
第五節 二〇〇一年同時多発テロ以降から現在へ 44
1 米国愛国者法と国土安全保障法の制定 44
2 テロ対策の強化 46
3 トランプ政権による出入国管理・規制の強化 47
小結 50
第二章 連邦議会の絶対的権限(Plenary Power)と国家主権の法理 52
はじめに 52
第一節 絶対的権限理論の起源 54
1 入国規制に関する主権原理の勃興 54
2 「国際法上の公理」と条件付入国理論 56
3 入国拒否から退去強制の事案へ 57
第二節 判例における絶対的権限理論の射程 59
1 国外退去の口頭審理の非公開 59
2 市民社会ないし私的領域への非適用 60
第三節 絶対的権限の特質とZadvydas v. Davis判決のインパクト 62
1 絶対的権限の特質 62
2 二〇〇一年同時多発テロ事件以前の三つの事案 64
3 Zadvydas v. Davis判決の射程 67
第四節 同時多発テロ事件と絶対的権限理論の再興 70
1 絶対的権限理論の再興 70
2 絶対的権限理論の制約可能性 72
小結 75
第三章 外国人少年の権利保障とデュー・プロセス 77
はじめに 77
第一節 Reno v. Flores事件について 79
1 事案の概要と争点 79
2 判決の要旨〔七対二で原判決破棄差し戻し〕 81
3 若干の考察 86
第二節 移民法における外国人少年の収容手続 89
1 移民・国籍法における退去強制手続 89
2 連邦規則における外国人少年の収容 90
第三節 「身体的拘束からの自由」と実体的デュー・プロセス 92
1 「身体的拘束からの自由」と退去強制手続における収容 92
2 国家の主権原理と外国人の収容 97
第四節 外国人少年へのパレンス・パトリエ権限 104
1 法廷意見における「子どもの最善の利益」 104
2 パレンス・パトリエの法理 105
3 被上告人の少年としての権利 106
第五節 実体的デュー・プロセスの方法論と司法審査の基準 110
1 実体的デュー・プロセスの方法論 110
2 デュー・プロセス条項に関する審査基準 114
小結 122
第四章 外国人事件における平等保護と憲法理論の枠組み 128
はじめに 128
第一節 修正一四条による外国人の平等保護 129
1 外国人の憲法上の地位 129
2 「特別な公共の利益」へのアクセス 133
3 連邦法に対する修正五条による平等保護との比較 138
第二節 憲法構造における自己保存原理と自己統治原理 145
1 政治・言論活動の自由と外国人の排斥 145
2 国家の自己統治原理の適用領域 148
3 自己保存原理と自己統治原理との峻別 151
第三節 専占理論と絶対的権限理論との峻別 154
1 専占理論への誤解 154
2 専占理論の性格 155
3 専占理論の限界 156
第四節 外国人の権利保障における適用法理・領域の峻別 159
1 州における平等保護と出入国管理・規制との峻別 159
2 「特別な公共の利益」から「疑わしい類別」の法理へ 161
小結 163
第二部 日本における憲法と国際人権の諸相
第五章 国民と外国人―国籍の現代的機能とその背景について 167
はじめに 167
第一節 近代国家の成立と「国民」の析出 169
1 近代「絶対主義国家」から「国民国家」へ 169
第二節 近代国家における「市民社会」の出現と民主主義の基本原理 173
1 「市民社会」の成立 173
2 国民主権と民主主義の基本原理 175
第三節 国籍の概念と現代的機能の相対化 177
1 国籍の意義 177
2 国籍と忠誠義務 178
3 国籍概念の相対化 180
第四節 国家構成員性と国籍 182
1 政治社会としての国家の特性 182
2 国家構成員性と国籍要件 183
第五節 社会構成員性と国籍 186
1 経済・社会共同体としての市民社会の析出 186
2 社会構成員性と国籍要件 187
小結 190
第六章 無国籍出生児の日本国籍取得と国際人権条約 192
はじめに 192
第一節 アンデレ事件について 194
1 事案の概要 194
2 東京地裁・第一審判決の要旨 197
3 東京高裁・控訴審判決の要旨 200
4 最高裁・上告審判決の要旨 201
第二節 本事件の意義と若干の考察 203
1 「父母のともに知れないとき」についての諸学説 203
2 本件における判断基準と立証責任の分配 204
3 本事案の評価と疑問点 206
第三節 無国籍児への国際法の対応 212
1 無国籍者防止条約の変遷 212
2 子どもの国籍取得の権利への視点 217
第四節 無国籍児への国内法の対応とその問題点 228
1 日本国憲法と無国籍児 228
2 国籍法における血統主義と補充的出生地主義 230
3 簡易帰化制度への疑問 235
小結 243
第七章 婚外子の人権保障と最高裁判所のグローバル化の兆候 247
はじめに 247
第一節 婚外子をめぐる二つの事案と最高裁の判断 250
1 一九九五(平成七)年七月五日最高裁決定......法定相続差別規定の合憲判断 250
2 二〇〇八(平成二〇)年六月四日最高裁判決......国籍取得差別規定の違憲判断 261
第二節 国際社会の動向と判例理論への影響 284
1 国際的動向と国際人権条約の存在 284
2 二つの事案の共通性 291
第三節 二〇一三年九月四日の法定相続差別最高裁違憲決定 302
1 婚外子の法定相続差別に関する最高裁の判断基準 302
2 個人の尊厳と法の下の平等の法理 305
3 二〇一三年法定相続差別違憲決定の意義 307
第四節 婚外子と家族に関する国際的人権保障のゆくえ 315
1 国内へ受容された国際的規範の効力 315
2 人権保障のグローバル化と立法事実論の再考 318
小結 331
第三部 憲法と国際人権保障の開拓線(フロンティア)
第八章 外国人と国際家族の人権 335
はじめに 335
第一節 日本国憲法における「外国人の人権」保障の現状 337
1 外国人の日本国憲法上の地位 337
2 外国人の人権享有主体性 339
3 日本国憲法二二条と外国人の出入国の自由 340
4 外国人の在留ないし居住の自由 345
第二節 日本における「家族」の法的地位 349
1 個人の家族生活を営む権利 349
2 「家族」の人権 350
第三節 諸外国における「家族」の法的地位 352
1 各国の「家族」に関する憲法上の規定 352
2 アメリカにおける「家族」の法的地位 354
3 アメリカ移民・国籍法における家族の保護 356
第四節 外国人の「家族生活を営む権利」構築の視点 364
1 家族生活の保護から介入の排除へ 364
2 家族単位の人権享有主体性の法的根拠 365
3 家族・社会との紐帯(community tie)理論 367
4 親密な私的領域からの公権力排除のルール 369
第五節 子ども・家族・社会との紐帯(community tie)基準 373
1 日本社会との紐帯の発生 373
2 アミネ・カリル事件 375
3 「在留特別許可に係るガイドライン」における紐帯基準 382
小結 389
第九章 近代立憲主義における「公/私」モデルの変容と社会領域の三分法モデル 392
はじめに 392
第一節 近代立憲主義と「公/私」の二分論 394
1 古典的立憲主義から近代立憲主義へ 394
2 近代立憲主義憲法の二分構造 395
第二節 「公/私」二分論の揺れ 400
1 「公共的」な私的領域の析出 400
2 「親密」な私的領域の析出 402
3 「公的領域」論・再考 403
4 絶対的な個人領域 404
第三節 アメリカ判例理論における「公/私」モデルとその変容 407
1 「公的」モデルの判例理論 407
2 「私的」モデルの変容 412
第四節 社会領域の三分法モデルの体系化とその適用 416
1 国家・社会における三つの領域 416
2 三分法モデルの外国人への適用可能性 417
小結 419
第一〇章 外国人の類型化と権利の性質 ―「外国人の人権」論再構築の視点 421
はじめに 421
第一節 問題の所在・再考 423
1 国籍による国民と外国人の法的地位の相違 423
2 国家の自己保存原理による外国人の排斥 424
3 人権の国際的保障のメカニズム 425
4 国内法理論の現状とその限界 426
第二節 外国人の類型化と権利の享有主体性 432
1 古典的な外国人の三つの類型 432
2 権利享有主体としての外国人の七つの類型 433
3 外国人の社会構成員該当性の判断枠組み 437
第三節 権利性質説への三分法モデルの適用可能性 443
1 公的(政治的)領域と私的(経済・社会的)領域の適用法理 443
2 権利の性質による社会領域の三分法モデルの再確認 444
3 個人の絶対的権利と社会領域への参加モデル 447
小結 448
結論 グローバル時代の課題と今後の展望 451
1 マクリーン判決の憲法体系からの逸脱 451
2 法規範としての主権概念と適用範囲の明確化 456
3 国家主権の相対化と国際的法規範の国内的効力 465
4 社会構成員たる外国籍住民への厳格な平等保護法理の適用 471
5 社会構成員性を越えた子ども・家族・外国人の権利保障 478
あとがき 489
人名・事項索引 ⅰ
判例索引 ⅸ