電脳空間と刑事手続

電脳空間と刑事手続

指宿 信 著
定価:6,600円(税込)
  • 在庫:
    在庫があります
  • 発行:
    2022年03月30日
  • 判型:
    A5判並製
  • ページ数:
    310頁
  • ISBN:
    978-4-7923-5359-9
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内容紹介


《目 次》

第1部 位置情報の収集・取得
《ロードマップ》
第1章 GPS技術とGPS捜査の定義 3
 Ⅰ はじめに3
 Ⅱ GPSの仕組み3
  1 位置情報取得のプロセスとその仕組み (3)
  2 GPS技術の応用 (5)
  3 GPSを利用した製品ならびにサービス (6)
  4 GPS技術の特性と濫用の危険性 (7)
  5 GPS技術の特徴8
   (1) 精度 (8)  
   (2) 稼働時間 (8)
   (3) 記録性 (8)  
   (4) 小型化・軽量化 (8)
   (5) 経済性 (9)  
   (6) 位置情報に関する事業法上の規制 (10)
 Ⅲ GPS捜査の定義11
 Ⅳ まとめ13

第2章 ハイテク機器を利用した追尾監視型捜査 ―ビデオ監視とGPSモニタリングを例に― 14
 Ⅰ はじめに14
 Ⅱ 追尾監視型ビデオ撮影15
  1 捜査における「撮影」 (16)
  2 米国、カナダにおける追尾監視型ビデオの規制 (18)
   (1) カナダ (18)  
   (2) 米国 (18)
   (3) 検討 (20)
 Ⅲ GPSモニタリング23
  1 GPSと捜査 (23)
  2 GPSモニタリングに関する米国法の動向 (25)
   (1) GPSモニタリングに関する判例 (25) 
   (2) 追跡監視装置をめぐる連邦法の改正 (26)
  3 検討 (26)
 Ⅳ 考察28
  1 公道上のプライバシーと捜査 (28)
  2 追尾監視型捜査の規律方法 (30)
 Ⅴ おわりに32

第3章 GPS利用捜査とその法的性質 ―承諾のない位置情報取得と監視型捜査をめぐって―33
 Ⅰ はじめに33
 Ⅱ GPS技術について34
 Ⅲ GPSをめぐる近時の動き35
  1 位置情報の流用・悪用例 (35)
  2 位置情報の保護 (35)
 Ⅳ GPS利用捜査の法的性質36
  1 携帯電話GPSの場合等との比較検討 (36)
  2 他の追尾監視型捜査との比較検討 (37)
  3 情報取得捜査に関する最高裁判例の検討 (38)
   (1) 最決平成2年6月27日刑集44巻4号385頁 (38)
   (2) 最決平成11年12月16日刑集53巻9号1327頁 (39)
   (3) 最決平成20年4月15日刑集62巻5号1398頁 (40)
   (4) 最決平成21年9月28日刑集63巻7号868頁 (40)
 Ⅴ 海外におけるGPS利用捜査の規律42
 Ⅵ 考察43
  1 秘密性のパラダイム (43)
  2 GPS利用捜査の特異性 (44)
  3 学説の変化 (45)
 Ⅶ おわりに47

第4章 GPS捜査の問題点と刑事弁護の課題 ―アメリカにおけるGPS利用捜査と事前規制―50
 Ⅰ はじめに50
 Ⅱ 前史51
 Ⅲ ジョーンズ事件最高裁判決53
  1 事案 (53)
  2 判旨 (54)
 Ⅳ 学説の動き56
  1 GPSの特異性をめぐって (56)
  2 公共空間におけるプライバシー保護 (57)
 Ⅴ 立法の動き58
 Ⅵ 申立ての適格性60
 Ⅶ おわりに61

第5章 追尾監視型捜査の法的性質 ―GPS利用捜査をめぐる考察を通して―63
 Ⅰ はじめに63
 Ⅱ 監視型捜査の二つの類型65
 Ⅲ 最高裁判例の射程65
  1 最高裁判例における強制処分基準 (65)
   (1) 意思制圧型 (66)  
   (2) 権利利益制約型 (66)
   (3) プライバシー侵害型 (68)
  2 プライバシー侵害に基づく強制処分 (68)
 Ⅳ プライバシー侵害と強制処分70
  1 プライバシー侵害の程度 (70)
  2 侵害可能性 (72)
  3 GPS利用捜査の技術的特性 (72)
 Ⅴ GPS利用捜査に関するわが国における学説74
  1 はじめに (74)
  2 任意処分説 (75)
  3 強制処分説 (76)
  4 プライバシー侵害の程度 (78)
  5 小括 (81)
 Ⅵ 考察81
  1 公共空間におけるプライバシー保護の必要 (81)
  2 GPS利用捜査によるプライバシー侵害の程度 (83)
  3 規制の必要性 (84)
  4 萎縮効果 (86)
 Ⅶ おわりに87

第6章 監視の時代とプライバシー ―GPS捜査大法廷判決を踏まえて考える―89
 Ⅰ はじめに89
 Ⅱ 公共空間における追尾監視①―アメリカでは― 90
 Ⅲ 公共空間における追尾監視②―日本では― 92
 Ⅳ 肖像権問題と“秘密性パラダイム”93
 Ⅴ 撮影から監視へ94
 Ⅵ 追尾監視技術と法的対応96
 Ⅶ おわりに98

第7章 GPS捜査と個人のプライバシー ―平成29年最高裁大法廷判決まで・その意味・その後―100
 Ⅰ はじめに100
 Ⅱ 位置情報をめぐる政府内部における議論102
 Ⅲ GPS捜査手法と平成18年警察庁捜査要綱103
  1 GPS捜査の手法とその定義 (103)
  2 警察庁要綱 (104)
   (1) 保秘条項 (105)  
   (2) 実施要件 (106)
   (3) 実施手続 (106)  
   (4) 小括 (107)
 Ⅳ 平成29年大法廷判決まで108
  1 事件の概要と二つの地裁決定 (108)
  2 分かれる下級審判例 (109)
  3 分裂する学説 (110)
  4 控訴審 (112)
  5 上告審 (114)
  6 大法廷弁論と判決 (114)
 Ⅴ おわりに117

第8章 GPS捜査事件最高裁大法廷判決を振り返る ―法理論と法実務のクロスオーバー―118
 Ⅰ はじめに118
 Ⅱ 意見書執筆まで119
 Ⅲ 一審での法廷プレゼンテーション120
 Ⅳ 口頭弁論―素晴らしかった弁護側弁論―123
 Ⅴ 判決言い渡し―三つの“関門”を破る―126
 Ⅵ 考察―大法廷判決の余波と余韻―130
 Ⅶ おわりに―これからの法学研究や法実務への示唆―133


第2部 コミュニケーションの監視・傍受
《ロードマップ》
第9章 これが国際通信盗聴網「エシュロン」だ! ―EU報告書を読む―140
 Ⅰ 姿を見せた「エシュロン」140
 Ⅱ  50年を超える盗聴実績141
 Ⅲ エシュロンを支える通信技術とその施設142
  1 地上通信とケーブルの傍受 (143)
  2 衛星による傍受 (144)
  3 対衛星通信傍受 (145)
  4 対インターネット傍受 (146)
 Ⅳ 報告書の波紋147
 Ⅴ 技術対技術―エシュロンを妨害するもの―148

第10章 インターネット盗聴ソフト「カーニボー」の正体150
 Ⅰ はじめに150
 Ⅱ カーニボーとはなにか151
 Ⅲ カーニボーへの反響152
 Ⅳ カーニボー評価報告書の概要153
  1 カーニボーの仕組み (153)
  2 令状の取得と傍受対象 (154)
  3 実験結果 (154)
  4 改善勧告 (155)
 Ⅴ おわりに―報告書への批判とその後―155

第11章 偽装携帯基地局を用いた通信傍受 ―携帯電話の無差別傍受装置「スティングレイ」―157
 Ⅰ はじめに157
 Ⅱ スティングレイの機能とその普及158
 Ⅲ スティングレイの問題点160
 Ⅳ スティングレイをめぐる法的紛争と機密性161
  1 スティングレイ使用の令状却下事件 (161)
  2 スティングレイに関する証拠能力問題 (162)
  3 IMSIキャッチャーの技術と機密性 (163)
 Ⅴ 始まった規制の動き163
 Ⅵ おわりに164


第3部 暗号規制と犯罪捜査
《ロードマップ》
第12章 ネットワーク盗聴と暗号問題169
 Ⅰ はじめに169
 Ⅱ コンピュータ・ネットワークにおける盗聴170
 Ⅲ 暗号規制171
 Ⅳ オーウェル的社会か、犯罪対策か173

第13章 CODEの支配vs(1)暗号化174
 Ⅰ 暗号をめぐる国家とネットの暗闘174
 Ⅱ 秘密を保障する、暗号176

第14章 Apple対FBI問題を考える ―法執行機関と暗号規制―179
 Ⅰ はじめに179
 Ⅱ Apple対FBI問題の発端180
 Ⅲ 全令状法をめぐる法的紛争181
 Ⅳ 暗号問題の歴史182
 Ⅴ ネット社会と暗号技術184
 Ⅵ 議論のゆくえ185
 Ⅶ おわりに186


第4部 サイバースペースと捜査・証拠
《ロードマップ》
第15章 インターネットを使った犯罪と刑事手続191
 Ⅰ はじめに191
 Ⅱ ネットワーク犯罪と立法193
 Ⅲ ネットワーク犯罪をめぐる手続上の問題196

第16章 変わる捜査の対象:モノからデータへ ―サイバー刑事法制の諮問を契機として―200
 Ⅰ はじめに200
 Ⅱ 諮問の背景201
 Ⅲ 諮問事項について202
  1 諮問第3項について (202)
  2 諮問第4項について (202)
  3 諮問第5項について (203)
  4 諮問第6項について (204)
  5 諮問第7項について (204)
  6 諮問第8項について (205)
 Ⅳ おわりに206

第17章 サイバースペースにおける証拠収集とデジタル証拠の確保 ―2011年改正法案を考える―207
 Ⅰ はじめに207
 Ⅱ 法案の背景210
 Ⅲ 記録媒体の差押え211
 Ⅳ 記録命令付き差押え213
 Ⅴ リモート・アクセス215
 Ⅵ 協力要請217
 Ⅶ 保全要請219
 Ⅷ 電磁的記録の没収225
 Ⅸ おわりに226


第5部 越境捜査
《ロードマップ》
第18章 押収済みパソコンを用いて検証許可状に基づき海外メールサーバにアクセスした捜査の違法性 ―横浜地判平成28年3月17日判例時報2367号115頁―232
 《事実の概要》232
 《判決要旨》233
 《判例の解説》234
  1 本判決の背景と意義 (234)
   (1) 法改正まで (234)  (1) 改正の内容 (234)
   (2) 判決の意義 (235)
  2 リモートアクセスの許容範囲 (236)
   (1) 域外捜索禁止の原則 (236)
   (2) リモートアクセスの時期的限界 (236)
   (3) 善意の例外 (237)
  3 海外サーバへのアクセスを伴う捜査手法 (237)
   (1) 域外捜索の方法 (237)
   (2) 捜査共助と相互承認型捜索について (239)

第19章 海外サーバからの電磁的記録の差押え等の適法性 ―大阪高判平成30年9月11日裁判所ウェブサイト―240
 《事実の概要》240
 《判決要旨》241
 《判例の解説》242
  1 承諾捜索について (242)
  2 包括的差押えについて (243)
  3 域外データ取得に関する欧米の動向 (244)
  4 違法捜査と管轄権問題(245)
  5 当事者適格否認の法理について (246)
  6 証拠禁止の根拠について (246)
  7 まとめ (247)

第20章 越境するデータ、越境する捜索 ―域外データ取得をめぐる執行方式に関する欧米の立法動向―248
 Ⅰ はじめに248
 Ⅱ クラウド・コンピューティングと越境捜索250
  1 問題の所在 (250)
  2 わが国における近時の裁判例 (253)
 Ⅲ 米国の動向―2018年クラウド法の制定まで―256
  1 連邦刑事訴訟規則の改訂 (256)
  2 マイクロソフト事件 (257)
  3 クラウド法の制定 (258)
 Ⅳ 欧州の動向―2018年欧州指令の発出まで―260
  1 越境捜索をめぐる法的枠組み (260)
  2 サイバー犯罪条約改訂 (261)
   (1) 2011年特別部会(adhocgroup)の創設 (261)
   (2) 特別部会報告書 (264)
   (3) クラウド証拠部会設置 (264)
  3 2018年欧州新指令 (266)
   (1) 欧州委員会の動き (266)  
   (2) 新指令の発出 (267)
 Ⅴ おわりに―GDPRと越境捜索―269

第21章 越境捜索を合憲適法とした最高裁判所令和3年2月1日決定 ―クラウド時代における域外データ取得方法とその課題―272
 Ⅰ はじめに272
 Ⅱ 事案の概要273
 Ⅲ 決定の概要274
 Ⅳ 検討275
  1 承諾捜索問題 (275)
  2 越境捜索問題 (275)
  3 オンライン捜索問題 (277)
  4 包括差押え問題 (278)
  5 小括 (279)
 Ⅴ おわりに279