過失不作為犯の帰属原理

過失不作為犯の帰属原理

楊 秋野 著
定価:7,150円(税込)
  • 在庫:
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  • 発行:
    2022年04月20日
  • 判型:
    A5判上製
  • ページ数:
    322頁
  • ISBN:
    978-4-7923-5360-5
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内容紹介


《目 次》

はしがき(i)

第一章 過失不作為犯の基本構造とその問題点
一 はじめに   1
二 注意義務と作為義務との関係をめぐる議論の状況   4
(一)一体説 (5)
(二)区別説 (9)
三 注意義務と作為義務との関係をめぐる判例の概観   12
(一)ドイツの判例 (12)
(二)日本の判例 (21)
(三)判例のまとめ (36)
四 学説の検討と本書の課題   38

第二章 不作為犯の帰属原理に関する序論的考察
一 はじめに   41
二 不真正不作為犯処罰の問題性と解決のアプローチ   42
(一)不真正不作為犯処罰の罪刑法定主義上の問題点と保障人説による解決 (42)
(二)不作為と作為との同価値性 (48)
(三)不真正不作為犯における作為義務の意味と位置づけ (51)
(四)単独犯の帰属原理と正犯原理との関係 (52)
三 ロクシンのアプローチ   54
(一)ロクシンの見解 (54)
(二)考察 (56)
四 ヤコブスのアプローチ   62
(一)組織的管轄 (62)
(二)制度的管轄 (66)
(三)管轄理論と正犯原理 (68)
(四)考察 (69)
五 結果原因に対する支配・支配原理を重視する見解   72
(一)シューネマンの結果原因支配説 (72)
(二)正犯原理における支配原理の徹底化 (78)
六 行為支配と義務違反の双方を必要とする見解   79
七 小括―具体的な犯罪類型における正犯原理の概観―   83

第三章 いわゆる「支配犯」における不作為犯の帰属原理
一 はじめに   87
二 排他的支配と行為支配   88
(一)西田説 (88)
(二)危険創出プラス排他的支配説(佐伯、島田) (90)
(三)本書のアプローチ―結果原因支配説の再構成 (92)
三 先行行為による行為支配   95
(一)先行行為の構造 (95)
(二)先行行為の義務違反性について (100)
四 排他的支配と支配領域性   105
(一)消極的な原因に対する支配と支配領域性 (105)
(二)排他的な支配領域の設定 (112)
五 引き受け行為による消極的な原因の設定   116
(一)干渉説 (117)
(二)依存性説 (119)
(三)危険創出説 (121)
(四)本書の立場 (122)
六 判例の検討   124
(一)放火罪の判例 (124)
(二)殺人罪の判例 (127)
七 小括   132

第四章 過失不作為犯における保障人的地位の発生根拠―公務員の保障人的地位を中心に―
一 問題の所在   135
二 排他的支配説による理由づけとその限界   137
(一)排他性 (138)
(二)支配 (141)
(三)小括 (146)
三 「排他的支配」から独立した要素による根拠づけ   147
(一)危険創出 (147)
(二)法的権限・期待 (154)
(三)小括 (157)
四 ドイツにおける公務員の保障人的地位をめぐる論争の概観   158
(一)警察官の個人に対する保障人的地位 (158)
(二)社会的利益に対する保障人的地位 (164)
(三)ドイツでの議論のまとめ (169)
五 検討と提言―義務犯説へ―   170
(一)日本の議論への還元―薬害エイズ事件の問題点の再検討 (170)
(二)本書の提言―義務犯説 (173)

第五章 過失による責任非難の本質と注意義務論の構造
一 過失責任の問題性   179
二 意思責任論、能力責任論のアプローチとその限界   185
(一)意思責任論のアプローチとその限界 (185)
(二)人格責任論・性格責任論による根拠づけとその問題点 (193)
三 前倒し認定論の検討   198
(一)責務違反説・原因において自由な行為説の理論構成 (199)
(二)検討 (201)
(三)「引き受け過失」論からみた責務違反説 (203)
(四)小括 (213)
四 私見の提示―危険制御義務論―   214
(一)(引き受け過失における)危険制御能力保持義務 (215)
(二)(認識なき過失における)情報収集義務の法的性格 (222)
(三)情報収集義務の発生根拠 (227)
(四)認識ある過失における具体的結果回避義務(狭義の結果回避義務) (244)
(五)帰属原理における過失犯と故意犯の相違 (246)
五 小括   253

第六章 過失犯の正犯原理と義務犯説による根拠づけ
一 はじめに   255
(一)問題意識 (255)
(二)日本の判例の概観 (260)
二 遡及禁止論について   265
(一)フランクの遡及禁止論の提唱 (266)
(二)2つのアプローチによる理論展開 (267)
(三)両説の考察 (273)
三 遡及禁止論を緩やかに解する見解とその検討   277
(一)限縮的正犯概念を支持しながら例外を認める立場 (278)
(二)拡張的正犯概念を支持する立場 (282)
四 私 見―義務犯説による根拠づけ   286
(一)政策上の考慮 (286)
(二)理論上の根拠づけ (290)
(三)義務犯説からみた過失犯の構造 (293)
五 監督義務・進言義務にかかわる正犯性の問題   296
六 小括   305

結語
(一)内容のまとめと本書の結論 (307)
(二)展望と残された課題 (311)