量刑の基礎理論
十河隼人 著
定価:18,700円(税込)-
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発行:
2022年07月21日
-
判型:
A5判上製 -
ページ数:
856頁 -
ISBN:
978-4-7923-5367-4
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内容紹介
《目 次》
はしがき(i)
序
1.本書の問題意識と目的 1
2.本書の構成 5
第1章 スウェーデン量刑法の生成と構造
序論 13
1.はじめに 13
2.北欧における量刑法の概観 18
Ⅰ.スウェーデン量刑法の生成:その立法経緯と背景思想 28
1.資料と分析視座 28
2.スウェーデン量刑法の立法経緯:1987/88年立法提案書および1986年拘禁刑委員会報告書から 32
2-1.前史:1962年における現行刑法の制定まで(32)
2-2.88年改正の背景事情と基本原理(34)
2-2-1.背景:特別予防効果を期待された制裁制度の相次ぐ廃止・改正(34)
2-2-2.原理:量刑における予防的考慮の原則的排斥と刑罰価値(35)
2-3.量刑基準規則の基本的趣旨(38)
2-3-1.量刑基準を明文化することの必要性(38)
2-3-2.刑罰価値と無関係であるが軽減的に考慮される事情(衡平理由)について(41)
2-3-3.制裁の選択について(42)
2-3-4.前科について(45)
3.スウェーデン量刑法の背景思想:1977年および1984年の犯罪防止委員会報告書から 47
3-1.スウェーデンにおける「新古典主義」の台頭(49)
3-1-1.77年報告書における刑事制裁の犯罪予防効果に対する評価(49)
3-1-2.1976年フィンランド刑法改正の影響(51)
3-1-3.北欧独自の潮流としての「新古典主義」(53)
3-2.スウェーデンにおける「新古典主義」のその後の動向(56)
4.小 括 59
Ⅱ.スウェーデン量刑法の構造:その規定内容の概観 61
1.スウェーデン刑法の制裁体系:刑罰(straff)と制裁(påföljd) 61
2.スウェーデン刑法第29章における量刑規則 65
2-1.刑罰価値の確定(66)
2-2.衡平理由の考慮に基づく軽減(68)
2-3.少年および若年者に対する軽減(70)
2-4.前科の考慮に基づく加重(71)
2-5.「刑の量定」の終了:量刑価値の確定(73)
3.スウェーデン刑法第30章における制裁選択規則 74
3-1.委託制裁の要件(74)
3-2.拘禁回避原則(75)
3-3.条件付判決および保護監督の要件(78)
3-4.制裁選択の相場:「量刑価値」の観点から(80)
4.小括 81
結語 83
第2章 刑罰論の概念的・方法論的考察
序論 85
1.本章の問題意識と目的 85
2.問題状況:相対的応報刑論をめぐる概念的混乱 86
Ⅰ.刑罰論が問うべき諸問題の明確化:タドロスの議論を参照して 93
1.刑罰の直接的正当化と深層的正当化 93
2.刑罰正当化における「積極的理由」と「消極的理由」の概念 103
2-1.「限定づけるものは根拠づける」という命題の意味(106)
2-2.「刑罰の深層的正当化」という契機を認めることの理論的意義(112)
3.問うべき諸問題の定式化:倫理学的態度決定・直接的正当化・深層的正当化 124
3-1.「非帰結主義」の三つの類型(124)
3-2.刑罰論の基本図式(127)
Ⅱ.相対的応報刑論の再検討:どの相対的応報刑論が最も「有望」か? 129
1.応報刑論と目的刑論:目的刑論における「目的」概念の意義 129
2.相対的応報刑論の諸類型とその有望性 140
2-1.相対的応報刑論の課題(140)
2-2.応報型と抑止型、および非難抑止型と威嚇抑止型(141)
結語 156
第3章 積極的一般予防の経験的基礎と規範的限界
序論 163
1.本章の問題意識 163
2.本章の目的と構成 165
Ⅰ.ロビンソンによる「経験的デザート」論の概要 168
1.経験的デザートの概念:復讐的/義務論的/経験的デザート 170
2.公衆の正義観念の存在:その経験的証拠と進化的仮説 175
2-1.正義判断の直観性(176)
2-2.公衆による相対的均衡性判断の高度な一致(180)
2-2-1.従来の実証研究(181)
2-2-2.ロビンソンとクルツバンによる実証研究(186)
2-2-2-1.研究1と研究2:公衆の一致(187)
2-2-2-2.研究3と研究4:公衆の不一致(193)
2-3.正義直観の起源に関する進化心理学的仮説(197)
2-3-1.正義直観を共有することの進化的有利性(201)
2-3-2.進化的仮説と整合する経験的証拠(204)
2-4.小括(207)
3.公衆の正義観念の内容:公衆は厳罰を求めているのか 210
3-1.ロビンソンらによる実証研究(213)
4.規範的犯罪統制のメカニズム:道徳的信頼の維持を通じた犯罪予防 221
4-1.理論的枠組み(221)
4-1-1.基本的発想:「内面化」と「社会的影響」の力を利用する(222)
4-1-2.実現プロセス:スティグマ化・協力の獲得・行動基準の提供(224)
4-2.経験的検証(226)
4-2-1.ロビンソンらの実証研究(227)
4-2-1-1.研究A(227)
4-2-1-2.研究B(232)
4-2-1-3.研究A・Bの限界:自己報告尺度の問題点(233)
4-2-2.従来の実証研究(236)
5.経験的デザートの優位性:威嚇抑止・社会復帰・隔離との対比 241
5-1.公衆の正義観念は応報的である(243)
5-2.威嚇抑止の実現プロセスとその問題点:法的知識・計算能力・合理性(245)
5-3.社会復帰および隔離について(259)
6.経験的デザートからの逸脱:公衆の正義観念をいかに批判するか 264
7.本章Ⅰ.の要約:経験的デザート論の全体像 268
Ⅱ.分析:経験的デザート論から「制約された表出的抑止刑論」へ 277
1.理論的位置づけ 277
1-1.実証的な積極的一般予防論としての経験的デザート論(277)
1-2.補論:最近のドイツにおける経験的デザート論に親近的な諸見解―シュトレング、カスパー、T・ヴァルター(291)
2.経験的課題:わが国における実証研究の必要性 295
2-1.公衆の正義観念に関する経験的調査(297)
2-2.積極的一般予防効果に関する経験的調査(304)
2-3.経験的デザート論の限界:具体的問題に対する給付能力(305)
3.規範的課題:経験的デザートに対する規範的分析の必要性 309
3-1.正義観念の質的記述:ストローソンによる「非難の自然主義的転回」を起点とした「表出的抑止刑論」の定式化(309)
3-2.多元的な規範的制約の必要性:「制約された表出的抑止刑論」へ(322)
3-2-1.規範的制約の意義(323)
3-2-2.規範的制約の正当性(326)
3-2-2-1.問題1:応報の不当な再導入(326)
3-2-2-2.問題2:刑罰の非難性の不安定化(328)
3-2-2-3.問題3:手段化禁止原理への抵触(331)
3-2-2-4.問題4:刑量導出の困難(350)
3-3.制約された表出的抑止刑論の全体像(353)
4.本章Ⅱ.の要約 363
結語 374
第4章 均衡説の量刑基準
序論 379
1.本章の目的 379
2.均衡原理の概念 381
3.本章の構成 385
Ⅰ.均衡説の量刑基準・総説 386
1.予備的考察:量刑基準論への刑罰論/刑の数量化論からのアプローチ 386
1-1.犯情と一般情状の概念(386)
1-2.量刑判断の理論的過程(量刑論の体系):五分説とその問題点(395)
1-3.刑罰論・量刑基準論・刑の数量化論の関係:量刑基準の帰納と演繹(404)
2.刑の数量化論の検討 408
2-1.法定刑を起点とした刑の数量化?:量刑スケール論の批判的検討(408)
2-1-1.補論:量刑傾向の事実的拘束力について(416)
2-2.量刑傾向を参照した二段階的数量化モデル:野村説の検討(420)
3.量刑基準論としての均衡説の定式化 431
3-1.刑罰論的前提:制約された表出的抑止刑論(432)
3-2.制約された表出的抑止刑論に基づく量刑基準論としての均衡説(441)
3-2-1.制約された表出的抑止刑論からの均衡説の演繹(441)
3-2-2.均衡説により選別される量刑事情とその評価方向(445)
3-2-2-1.行為責任の要素(犯情)(445)
3-2-2-2.ふさわしい刑の要素(第一の一般情状)(446)
3-2-2-3.特別予防および一般予防の要素(第二の一般情状)(462)
3-2-2-4.そのほか政策的利益の認められる一切の事情(第三の一般情状)(478)
3-2-3.補論①:「均衡説」という用語法について(482)
3-2-4.補論②:消極的責任主義(など)の基準制約機能と刑量制約機能について(485)
3-3.本来的評価方向と具体的評価方向(492)
3-4.幅の理論と点の理論(502)
3-4-1.点の理論の問題点(502)
3-4-2.「責任刑の幅」をめぐる諸問題(511)
3-4-2-1.責任刑の導出方法(512)
3-4-2-2.「責任刑の幅」と量刑傾向からの逸脱(520)
3-4-2-3.責任刑の幅の上回りと下回り(530)
4.本章Ⅰ.の要約 536
Ⅱ.従来の量刑基準論の批判的検討:均衡説の立場から 551
1.「単なる上限」論①:城下説 555
1-1.消極的責任主義から「単なる上限」論は必然的に帰結するか?(561)
1-2.消極的特別予防目的の考慮は排斥すべきか?(573)
1-3.消極的一般予防目的の考慮は手段化禁止原理に反するか?(575)
1-4.量刑上の積極的一般予防効果は、積極的特別予防目的の追求に伴う反射的効果として追求すれば足りるか?(579)
1-5.特別予防的考慮に基づく量刑の加重は禁止されるべきか?:城下説からの主張(584)
1-6.補論:城下説に基づく刑の数量化プロセス(590)
2.「単なる上限」論②:本庄説 592
3.「単なる上限」論③:岡上説 598
3-1.積極的一般予防目的による責任主義の基礎づけは妥当か?(619)
3-1-1.経験的問題(620)
3-1-2.規範的問題(624)
3-2.「可罰的責任刑の要素」について:量刑事情の選別において、行為責任とも犯罪予防とも無関係な「第三のカテゴリー」を認めることは妥当か?(627)
3-2-1.制限説の意義と限界(632)
3-2-2.結合説と分離説(635)
3-2-3.拡張説からの批判とそれに対する反批判(638)
3-2-3-1.拡張説の第一の論拠とその問題点(638)
3-2-3-2.拡張説の第二の論拠とその問題点(643)
3-2-4.結 論(647)
3-3.補論:岡上説に基づく刑の数量化プロセス(647)
4.「基礎としての責任刑」論:小池説 649
4-1.量刑上の「行為無価値」の考慮は一般予防目的によって基礎づけ可能か?(662)
4-1-1.補論:犯罪論のレベルにおける行為無価値論に対する疑問(668)
4-2.責任関連事情は専ら本来的軽減事情であると考えるべきか?(672)
4-2-1.第一の前提と第二の前提:規範的責任論と「責任の違法従属性」テーゼ(674)
4-2-1-1.補論:責任概念の二元的構成について―小林説、髙山説、小池(直)説、清野説の試論的検討(680)
4-2-2.第三の前提:不法刑基準論(701)
4-2-2-1.第一の論拠:消極的責任主義から不法刑基準論が必然的に導かれるわけではない(702)
4-2-2-2.第二の論拠:不法刑基準論はそれ自体、不当であるのか?(705)
4-2-3.結論(711)
4-3.量刑における特別予防(再社会化・保安)の考慮は、経験的根拠に照らしたとき、どのように行うべきか?(711)
4-3-1.導入:特別予防に関する経験的考察の必要性(711)
4-3-2.特別予防の経験的基礎としてのRNR原則(714)
4-3-2-1.リスク原則とニード原則:犯罪につながる8つの主要な要因(716)
4-3-2-2.反応性原則:一般反応性原則と特殊反応性原則(720)
4-3-3.RNRモデルから量刑における特別予防的考慮に関して得られる示唆の整理(721)
4-4.補論:小池説に基づく刑の数量化プロセス(735)
5.「単なる上限」論④:野村説 736
5-1.野村説における特別予防的考慮の在り方に関する批判的検討(740)
5-1-1.特別予防的考慮に基づく量刑の加重は禁止されるべきか?:野村説からの主張(741)
5-1-2.特別予防関連事情の範囲は責任主義などによる制約を受けるか?(746)
6.本章Ⅱ.の要約 752
結語 772
跋
1.総括 775
2.残された課題 787
参考文献一覧 791
はしがき(i)
序
1.本書の問題意識と目的 1
2.本書の構成 5
第1章 スウェーデン量刑法の生成と構造
序論 13
1.はじめに 13
2.北欧における量刑法の概観 18
Ⅰ.スウェーデン量刑法の生成:その立法経緯と背景思想 28
1.資料と分析視座 28
2.スウェーデン量刑法の立法経緯:1987/88年立法提案書および1986年拘禁刑委員会報告書から 32
2-1.前史:1962年における現行刑法の制定まで(32)
2-2.88年改正の背景事情と基本原理(34)
2-2-1.背景:特別予防効果を期待された制裁制度の相次ぐ廃止・改正(34)
2-2-2.原理:量刑における予防的考慮の原則的排斥と刑罰価値(35)
2-3.量刑基準規則の基本的趣旨(38)
2-3-1.量刑基準を明文化することの必要性(38)
2-3-2.刑罰価値と無関係であるが軽減的に考慮される事情(衡平理由)について(41)
2-3-3.制裁の選択について(42)
2-3-4.前科について(45)
3.スウェーデン量刑法の背景思想:1977年および1984年の犯罪防止委員会報告書から 47
3-1.スウェーデンにおける「新古典主義」の台頭(49)
3-1-1.77年報告書における刑事制裁の犯罪予防効果に対する評価(49)
3-1-2.1976年フィンランド刑法改正の影響(51)
3-1-3.北欧独自の潮流としての「新古典主義」(53)
3-2.スウェーデンにおける「新古典主義」のその後の動向(56)
4.小 括 59
Ⅱ.スウェーデン量刑法の構造:その規定内容の概観 61
1.スウェーデン刑法の制裁体系:刑罰(straff)と制裁(påföljd) 61
2.スウェーデン刑法第29章における量刑規則 65
2-1.刑罰価値の確定(66)
2-2.衡平理由の考慮に基づく軽減(68)
2-3.少年および若年者に対する軽減(70)
2-4.前科の考慮に基づく加重(71)
2-5.「刑の量定」の終了:量刑価値の確定(73)
3.スウェーデン刑法第30章における制裁選択規則 74
3-1.委託制裁の要件(74)
3-2.拘禁回避原則(75)
3-3.条件付判決および保護監督の要件(78)
3-4.制裁選択の相場:「量刑価値」の観点から(80)
4.小括 81
結語 83
第2章 刑罰論の概念的・方法論的考察
序論 85
1.本章の問題意識と目的 85
2.問題状況:相対的応報刑論をめぐる概念的混乱 86
Ⅰ.刑罰論が問うべき諸問題の明確化:タドロスの議論を参照して 93
1.刑罰の直接的正当化と深層的正当化 93
2.刑罰正当化における「積極的理由」と「消極的理由」の概念 103
2-1.「限定づけるものは根拠づける」という命題の意味(106)
2-2.「刑罰の深層的正当化」という契機を認めることの理論的意義(112)
3.問うべき諸問題の定式化:倫理学的態度決定・直接的正当化・深層的正当化 124
3-1.「非帰結主義」の三つの類型(124)
3-2.刑罰論の基本図式(127)
Ⅱ.相対的応報刑論の再検討:どの相対的応報刑論が最も「有望」か? 129
1.応報刑論と目的刑論:目的刑論における「目的」概念の意義 129
2.相対的応報刑論の諸類型とその有望性 140
2-1.相対的応報刑論の課題(140)
2-2.応報型と抑止型、および非難抑止型と威嚇抑止型(141)
結語 156
第3章 積極的一般予防の経験的基礎と規範的限界
序論 163
1.本章の問題意識 163
2.本章の目的と構成 165
Ⅰ.ロビンソンによる「経験的デザート」論の概要 168
1.経験的デザートの概念:復讐的/義務論的/経験的デザート 170
2.公衆の正義観念の存在:その経験的証拠と進化的仮説 175
2-1.正義判断の直観性(176)
2-2.公衆による相対的均衡性判断の高度な一致(180)
2-2-1.従来の実証研究(181)
2-2-2.ロビンソンとクルツバンによる実証研究(186)
2-2-2-1.研究1と研究2:公衆の一致(187)
2-2-2-2.研究3と研究4:公衆の不一致(193)
2-3.正義直観の起源に関する進化心理学的仮説(197)
2-3-1.正義直観を共有することの進化的有利性(201)
2-3-2.進化的仮説と整合する経験的証拠(204)
2-4.小括(207)
3.公衆の正義観念の内容:公衆は厳罰を求めているのか 210
3-1.ロビンソンらによる実証研究(213)
4.規範的犯罪統制のメカニズム:道徳的信頼の維持を通じた犯罪予防 221
4-1.理論的枠組み(221)
4-1-1.基本的発想:「内面化」と「社会的影響」の力を利用する(222)
4-1-2.実現プロセス:スティグマ化・協力の獲得・行動基準の提供(224)
4-2.経験的検証(226)
4-2-1.ロビンソンらの実証研究(227)
4-2-1-1.研究A(227)
4-2-1-2.研究B(232)
4-2-1-3.研究A・Bの限界:自己報告尺度の問題点(233)
4-2-2.従来の実証研究(236)
5.経験的デザートの優位性:威嚇抑止・社会復帰・隔離との対比 241
5-1.公衆の正義観念は応報的である(243)
5-2.威嚇抑止の実現プロセスとその問題点:法的知識・計算能力・合理性(245)
5-3.社会復帰および隔離について(259)
6.経験的デザートからの逸脱:公衆の正義観念をいかに批判するか 264
7.本章Ⅰ.の要約:経験的デザート論の全体像 268
Ⅱ.分析:経験的デザート論から「制約された表出的抑止刑論」へ 277
1.理論的位置づけ 277
1-1.実証的な積極的一般予防論としての経験的デザート論(277)
1-2.補論:最近のドイツにおける経験的デザート論に親近的な諸見解―シュトレング、カスパー、T・ヴァルター(291)
2.経験的課題:わが国における実証研究の必要性 295
2-1.公衆の正義観念に関する経験的調査(297)
2-2.積極的一般予防効果に関する経験的調査(304)
2-3.経験的デザート論の限界:具体的問題に対する給付能力(305)
3.規範的課題:経験的デザートに対する規範的分析の必要性 309
3-1.正義観念の質的記述:ストローソンによる「非難の自然主義的転回」を起点とした「表出的抑止刑論」の定式化(309)
3-2.多元的な規範的制約の必要性:「制約された表出的抑止刑論」へ(322)
3-2-1.規範的制約の意義(323)
3-2-2.規範的制約の正当性(326)
3-2-2-1.問題1:応報の不当な再導入(326)
3-2-2-2.問題2:刑罰の非難性の不安定化(328)
3-2-2-3.問題3:手段化禁止原理への抵触(331)
3-2-2-4.問題4:刑量導出の困難(350)
3-3.制約された表出的抑止刑論の全体像(353)
4.本章Ⅱ.の要約 363
結語 374
第4章 均衡説の量刑基準
序論 379
1.本章の目的 379
2.均衡原理の概念 381
3.本章の構成 385
Ⅰ.均衡説の量刑基準・総説 386
1.予備的考察:量刑基準論への刑罰論/刑の数量化論からのアプローチ 386
1-1.犯情と一般情状の概念(386)
1-2.量刑判断の理論的過程(量刑論の体系):五分説とその問題点(395)
1-3.刑罰論・量刑基準論・刑の数量化論の関係:量刑基準の帰納と演繹(404)
2.刑の数量化論の検討 408
2-1.法定刑を起点とした刑の数量化?:量刑スケール論の批判的検討(408)
2-1-1.補論:量刑傾向の事実的拘束力について(416)
2-2.量刑傾向を参照した二段階的数量化モデル:野村説の検討(420)
3.量刑基準論としての均衡説の定式化 431
3-1.刑罰論的前提:制約された表出的抑止刑論(432)
3-2.制約された表出的抑止刑論に基づく量刑基準論としての均衡説(441)
3-2-1.制約された表出的抑止刑論からの均衡説の演繹(441)
3-2-2.均衡説により選別される量刑事情とその評価方向(445)
3-2-2-1.行為責任の要素(犯情)(445)
3-2-2-2.ふさわしい刑の要素(第一の一般情状)(446)
3-2-2-3.特別予防および一般予防の要素(第二の一般情状)(462)
3-2-2-4.そのほか政策的利益の認められる一切の事情(第三の一般情状)(478)
3-2-3.補論①:「均衡説」という用語法について(482)
3-2-4.補論②:消極的責任主義(など)の基準制約機能と刑量制約機能について(485)
3-3.本来的評価方向と具体的評価方向(492)
3-4.幅の理論と点の理論(502)
3-4-1.点の理論の問題点(502)
3-4-2.「責任刑の幅」をめぐる諸問題(511)
3-4-2-1.責任刑の導出方法(512)
3-4-2-2.「責任刑の幅」と量刑傾向からの逸脱(520)
3-4-2-3.責任刑の幅の上回りと下回り(530)
4.本章Ⅰ.の要約 536
Ⅱ.従来の量刑基準論の批判的検討:均衡説の立場から 551
1.「単なる上限」論①:城下説 555
1-1.消極的責任主義から「単なる上限」論は必然的に帰結するか?(561)
1-2.消極的特別予防目的の考慮は排斥すべきか?(573)
1-3.消極的一般予防目的の考慮は手段化禁止原理に反するか?(575)
1-4.量刑上の積極的一般予防効果は、積極的特別予防目的の追求に伴う反射的効果として追求すれば足りるか?(579)
1-5.特別予防的考慮に基づく量刑の加重は禁止されるべきか?:城下説からの主張(584)
1-6.補論:城下説に基づく刑の数量化プロセス(590)
2.「単なる上限」論②:本庄説 592
3.「単なる上限」論③:岡上説 598
3-1.積極的一般予防目的による責任主義の基礎づけは妥当か?(619)
3-1-1.経験的問題(620)
3-1-2.規範的問題(624)
3-2.「可罰的責任刑の要素」について:量刑事情の選別において、行為責任とも犯罪予防とも無関係な「第三のカテゴリー」を認めることは妥当か?(627)
3-2-1.制限説の意義と限界(632)
3-2-2.結合説と分離説(635)
3-2-3.拡張説からの批判とそれに対する反批判(638)
3-2-3-1.拡張説の第一の論拠とその問題点(638)
3-2-3-2.拡張説の第二の論拠とその問題点(643)
3-2-4.結 論(647)
3-3.補論:岡上説に基づく刑の数量化プロセス(647)
4.「基礎としての責任刑」論:小池説 649
4-1.量刑上の「行為無価値」の考慮は一般予防目的によって基礎づけ可能か?(662)
4-1-1.補論:犯罪論のレベルにおける行為無価値論に対する疑問(668)
4-2.責任関連事情は専ら本来的軽減事情であると考えるべきか?(672)
4-2-1.第一の前提と第二の前提:規範的責任論と「責任の違法従属性」テーゼ(674)
4-2-1-1.補論:責任概念の二元的構成について―小林説、髙山説、小池(直)説、清野説の試論的検討(680)
4-2-2.第三の前提:不法刑基準論(701)
4-2-2-1.第一の論拠:消極的責任主義から不法刑基準論が必然的に導かれるわけではない(702)
4-2-2-2.第二の論拠:不法刑基準論はそれ自体、不当であるのか?(705)
4-2-3.結論(711)
4-3.量刑における特別予防(再社会化・保安)の考慮は、経験的根拠に照らしたとき、どのように行うべきか?(711)
4-3-1.導入:特別予防に関する経験的考察の必要性(711)
4-3-2.特別予防の経験的基礎としてのRNR原則(714)
4-3-2-1.リスク原則とニード原則:犯罪につながる8つの主要な要因(716)
4-3-2-2.反応性原則:一般反応性原則と特殊反応性原則(720)
4-3-3.RNRモデルから量刑における特別予防的考慮に関して得られる示唆の整理(721)
4-4.補論:小池説に基づく刑の数量化プロセス(735)
5.「単なる上限」論④:野村説 736
5-1.野村説における特別予防的考慮の在り方に関する批判的検討(740)
5-1-1.特別予防的考慮に基づく量刑の加重は禁止されるべきか?:野村説からの主張(741)
5-1-2.特別予防関連事情の範囲は責任主義などによる制約を受けるか?(746)
6.本章Ⅱ.の要約 752
結語 772
跋
1.総括 775
2.残された課題 787
参考文献一覧 791