刑事再審制度の意味とその改革
立命館大学法学叢書第24号

刑事再審制度の意味とその改革

松宮孝明 著
定価:5,500円(税込)
  • 在庫:
    在庫があります
  • 発行:
    2022年11月20日
  • 判型:
    A5判上製
  • ページ数:
    240頁
  • ISBN:
    978-4-7923-5381-0
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内容紹介


《目 次》

はしがき(i)
初出一覧(v)

第1章 再審請求審の制度的位置と構造
 1 再審制度をめぐる争点   1
 2 上訴との関係   2
 (1)「事実審」と「法律審」(2)
 (2)控訴審の性格(2)
 3 再審請求審の法的性格   4
 (1)事後審説、実体判断説、予測説(4)
 (2)「予備審」説(4)
 4 再審請求審での判断方法   5
 (1)新規性(5)
 (2)総合判断と原判決の心証引き継ぎ(5)
 (3)「疑わしいときは被告人の利益に」(6)
 5 原判決の効力   7
 (1)原判決の執行力をめぐる議論(7)
 (2)原判決の存続と確定の相違(8)
 6 開始決定の拘束力   9

第2章 ノヴァ型再審における請求審の構造について
 1 問題の所在   11
 2 西ドイツ再審法の理論   14
 (1)ペータースの見解と判例理論(14)
 (2)シューネマンの批判とその意味(18)
 (3)心証の「引き継ぎ」(25)
 (4)小括(29)
 3 我が国への継受   31
 (1)実務家による紹介(31)
 (2)学界の対応(36)
 (3)日本型予測説の登場(41)
 (4)小括―西ドイツ再審理論再継受の必要性(46)
 4 再審請求審の構造   48

第3章 再審請求審と「事実の認定」
 1 問題の所在   53
 2 請求審での事実認定   55
 3 証拠の標目にない不利益証拠および反証活動   61
 4 残余の証拠での心証形成   67
 5 むすびにかえて   70

第4章 控訴審破棄判決の拘束力について
 1 問題の所在   71
 2 事実問題と法律問題   72
 3 事実認定のルール   76
 4 事実認定と解明度   79
 5 控訴審の任務と控訴審破棄判決の拘束力   81

第5章 再審請求審における総合評価 ―マルヨ無線強盗殺人放火事件再審特別抗告審決定について―
 1 はじめに   87
 2 問題の所在   89
 3 科刑上一罪の一部についての再審   91
 4 犯行態様に関する事実誤認   93
 5 原判決の基礎となっていない不利益証拠   97
 6 「総合評価」の意味   100

第6章 再審請求審における訴因変更の可否 ―ハンナン証拠隠滅事件再審請求を契機として―
 1 問題の所在   103
 2 これまでの判例   107
 3 故意犯と過失犯との特殊な関係   110
 4 再審請求段階で訴因変更を許すことの理論的不都合   115

第7章 再審請求審における共犯形態「変更」の問題点 ―姫路郵便局事件を素材に―
 1 問題の所在   117
 2 再審請求審は何をするところか?   118
 (1)請求審と公判(118)
 (2)「疑わしいときは被告人の利益に」(119)
 (3)「原裁判官説」と「再審裁判官説」(120)
 (4)小括(123)
 3 再審請求審において「公訴事実の同一性」の範囲内での別事実が認定できることを理由に請求を棄却してよいか?   124
 (1)「マルヨ無線事件」再審最高裁決定の意味(124)
 (2)実行正犯から従犯を含む他の共犯形態に変更すべき新証拠を理由とする請求は「より軽い刑を言い渡すべき証拠」に当たらないか?(125)
 (3)共犯形態の変更と訴因変更の要否(127)
 (4)小括(130)
 4 本決定の「認定」する請求人の「犯人性」   130
 (1)本決定にいう「犯人性」の意味(130)
 (2)「犯人性」の特定性(131)
 (3)本件において実行正犯以外の「犯人性」を「認定」することが訴因変更を要するものであることについて(132)
 5 本件において再審請求棄却は許されるか?   133

第8章 再審請求審および再審公判と「訴因変更」
 1 問題の所在   135
 2 再審請求審における「事実上の訴因変更」   137
 3 再審公判における「訴因変更」   140
 4 「訴因の同一性」の範囲   143
 5 結論   146

第9章 再審請求審における証拠調べ
 1 問題の所在   149
 2 過去の再審請求棄却決定と既判力   153
 3 再審請求審における証拠調べ   157
 4 「総合評価」と「再評価」   160

第10章 原判決確定後の免訴事由発生と再審判決 ―横浜事件再審最高裁判決―
 1 事実の概要   161
 2 判旨   164
 3 研究   165
 (1)問題の所在(165)
 (2)免訴を理由とする再審(167)
 (3)原裁判官説の意味(169)
 (4)再審請求審と再審公判の関係(171)
 (5)有罪と免訴との関係(174)
 
第11章 刑訴法435条6号にいう「より軽い罪」の意味 ―「石巻事件」を素材として―
 1 問題の所在   177
 (1)「強盗殺人類似の殺人」から通常の「殺人」へ(177)
 (2)「強盗殺人」から「強盗致死」へ(178)
 2 「石巻事件」における死刑判断の理由としての「強盗殺人類似性」   179
 (1)1審判決(179)
 (2)控訴審判決と上告審判決(180)
 3 「強盗殺人」と「殺人」の関係   181
 (1)旧刑法から現行刑法へ(181)
 (2)判例変更とその意味(182)
 4 「強盗殺人類似の殺人」と「殺人」の関係   183
 (1)形式的処理の不当性(183)
 (2)形式的処理と「法の下の平等」(183)
 (3)「強盗殺人類似」状況と量刑理由(184)
 5 構成要件の統廃合と「より軽い罪」   184
 (1)「謀殺」・「故殺」と「より軽い罪」(184)
 (2)「謀殺」・「故殺」の区別廃止の理由(185)
 (3)構成要件の統廃合と「より軽い罪」(186)

第12章 ノヴァ型再審における総合評価 ―大崎事件第3次再審請求特別抗告審決定を契機として―
 1 問題の所在   187
 2 前提命題   188
 (1)刑訴法435条6号(188)
 (2)「白鳥決定」と「財田川決定」(188)
 (3)「原判決の審理中に提出されていたなら」の意味(189)
 (4)原有罪判決の「確定力の尊重」(190)
 (5)「暫定的」な心証形成(191)
 (6)「証拠構造分析」の意味(193)
 (7)小括(194)
 3 本決定の判断方法   195
 (1)本決定の構造(195)
 (2)前提命題による分析(197)
 (3)刑訴法411条1号を準用した上「更に裁判」した点(199)
 (4)供述心理鑑定の扱い(201)
 (5) 小括(202)
 4 総合評価の意味   202

第13章 「大崎事件」不屈と再生の物語 ―『大崎事件と私―アヤ子と祐美の40年』書評―
 1 本書の概要   205
 2 本書の学術的意義   207
 3 「再審格差」克服のために   208

第14章 再審法改正の焦点
 1 問題の所在   211
 2 再審開始決定に対する即時抗告の禁止   211
 3 再審請求審での証拠開示   215
 4 再審請求準備段階での記録閲覧   217
 5 むすびにかえて   220

判例索引   221