立ち直り・甦りの教育福祉学
少年司法の軌跡と甦育竹原幸太 著
定価:6,600円(税込)-
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発行:
2022年11月20日
-
判型:
A5判上製 -
ページ数:
276頁 -
ISBN:
978-4-7923-6125-9
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内容紹介
《目 次》
はしがき(i)
初出一覧(xiv)
序章 少年司法の軌跡が問う教育福祉学とは?
1.少年司法改革で希薄化する教育福祉の論理 1
(1)問題意識:少年法問題と教育福祉(1)
(2)本書の目的:立ち直り・甦りの教育福祉学(5)
2.児童保護・少年保護実践をめぐる先行研究の検討 6
(1)感化法と少年法の対立史再考(6)
(2)感化法・少年法の協力史の視座(7)
3.児童福祉・少年司法実践をめぐる先行研究の検討 9
(1)戦前・戦後の断絶史再考(9)
(2)戦前・戦後の連続史の視座(10)
(3)教育福祉と司法福祉を架橋する甦育(11)
第1章 未成年犯罪者の扱いは社会政策か?刑事政策か? ―感化法・少年法の成立事情
1.監獄改良運動と感化法の誕生 12
(1)社会復帰思想の芽生え(12)
(2)成人監獄事業から独立した感化院設置構想(13)
2.足踏みする感化法と刑事政策への揺り戻し 15
(1)感化院任意設置の課題と懲治場の教育化(15)
(2)刑法の補助法としての感化法観(16)
3.少年法制定に伴う第二次感化法改正 17
(1)内務省・司法省に共通する「良民教化」観(17)
(2)小河滋次郎「非少年法案論」の帰結(18)
(3)「社会政策・児童保護」・「刑事政策・司法保護」の二分化と国立感
化院設置(20)
4.児童・少年の視点に立つ児童・少年保護実践の模索 22
第2章 感化教育・矯正教育の理念と構造とは? ―国立武蔵野学院が果たした役割
1.武蔵野学院の全人教育と感化教育従事者養成 25
(1)初代院長・菊池俊諦の略歴と開院当初の職員人事(25)
(2)教育構造と職員の研究活動(28)
(3)感化教育従事者養成と感化教育観(31)
2.社会事業職員養成所出身職員の森鏡壽・宗像守雄・池田實道の活躍 33
(1)学校模倣批判と個別性理解(33)
(2)障害理解に基づく分類教育の強化と「児童の権利」保障(35)
3.少年法・矯正院法下での保護構造と感化事業との人事交流 36
(1)少年保護事業と感化事業の接点(36)
(2)感化院・少年院の処遇形態上の相違と交流(38)
4.草創期多摩少年院の自由主義教育と分類教育の課題 40
(1)初代多摩少年院長・太田秀穂の略歴(40)
(2)教育構造と自由主義教育観(41)
(3)特殊教育の経験不足と太田の退官事情(43)
5.草創期浪速少年院の人格主義的教育と軍事教練の徹底 45
(1)初代院長・小川恂臧の略歴(45)
(2)教育構造と人格主義・美育的教育観(47)
(3)武蔵野学院の実践知活用と軍事教練(49)
6.感化法発布30年と少年教護法 50
(1)文部省・内務省・司法省の管轄争いと総合的児童保護法構想(50)
(2)武蔵野学院内の研究再組織化と矯正教育観との相違(51)
第3章 戦時体制で少年教護・矯正実践に何が起きたのか? ―児童・少年保護思想の類型
1.戦時厚生事業下の児童・少年保護思想の分析視角 58
(1)児童・少年保護の軍事教育化再考(58)
(2)事業再編の時期区分(59)
2.少年教護・少年保護事業の再編過程 60
(1)厚生事業への移行推進(60)
(2)「新体制」と少年教護院・少年院の錬成道場化(61)
(3)『児童保護』・『少年保護』誌の編集方針の変質(63)
(4)武蔵野学院の院長交代と院内改革(65)
3.戦中期の児童・少年保護思想の類型分析 67
(1)自由主義的な児童・少年保護思想(68)
(2)日本精神主義的な児童・少年保護思想(70)
(3)科学的な児童・少年保護思想(71)
(4)偽装転向的な児童・少年保護思想(72)
4.武蔵野学院関係職員の児童・少年保護思想の類型分析 74
(1)森鏡壽・宗像守雄・池田實道・小川恂臧の類型(74)
(2)熊野隆治と石原登・赤羽芳雄との衝突(75)
5.戦後に託された子どもの権利思想 77
第4章 児童福祉法・少年法の成立過程研究で見落とされた視点とは? ―戦後児童福祉法制・少年法制をめぐり言説化されなかった「語り」の分析
1.児童福祉法・少年法の成立過程研究の再検討 80
(1)児童福祉法・少年法の積極的普及(80)
(2)戦前児童・少年保護実務家の「語り」の埋没(81)
2.児童福祉法関連文献で描かれる児童福祉法像 82
(1)「明るい児童福祉」・「児童の権利」の強調(82)
(2)児童福祉法の原理の言説化過程(85)
(3)戦前少年教護・少年保護実務家による文献の発掘(86)
3.言説化されなかった児童福祉法制をめぐる「語り」 87
(1)菊池俊諦:「児童の権利」に基づく総合法の連続性(87)
(2)田子一民:「生存権」保障に基づく福祉観の連続性(91)
(3)生江孝之:児童・少年保護一元化構想の連続性(93)
(4)児童福祉法関連文献と戦前児童保護実務家の「語り」の比較検討(95)
4.少年法関連文献で描かれる少年法像 96
(1)1948年少年法の「新しさ」の強調(96)
(2)ケース・ワーク機能の強調(97)
(3)1948年少年法の保護原理の言説化過程(99)
5.言説化されなかった1948年少年法制をめぐる「語り」 100
(1)宇田川潤四郎:少年司法を支える機関連携・人事交流の課題(100)
(2)森田宗一:保護の決定機関と執行機関の連携の課題(102)
(3)宮城タマヨ・前田偉男・辻三省:連携・人事異動の課題(103)
(4)鈴木賀一郎:児童・少年保護を支える社会資源開拓の課題(104)
(5)少年法関連文献と戦前少年保護実務家の「語り」の比較分析(105)
6.戦前児童・少年保護実務家の遺言 106
第5章 子どもの権利擁護論はいかに継承・発展したのか? ―児童福祉施設運営要領の分析
1.ホスピタリズム研究と『教護院運営要領』・『養護施設運営要領』の策定 111
(1)児童福祉施設運営要領の策定過程研究の空白(111)
(2)浮浪児対策と教護院・養護施設(112)
(3)「ホスピタリスムスの共同研究」と教護・養護界での影響(113)
(4)施設運営要領の策定(115)
(5)教護・養護領域に共通する援助原理(117)
2.教護院での学校教育の位置づけをめぐる論争史と子どもの権利擁護 117
(1)学校教育以上のきめ細やかな感化教育・少年教護の模索(117)
(2)学校教育に「準ずる教育」問題をめぐる論争(119)
(3)石原・小嶋論争の帰結としての1997(平成9)年児童福祉法改正(120)
(4)施設併設校独自の学校教育観(124)
3.ホスピタリズム論争以降の養護理論と高島巌の養護思想 127
(1)被虐待児保護の先駆者・高島巌研究の空白(127)
(2)児童憲章と児童福祉従事者の心構えの解説(128)
(3)『養護施設ハンドブック』以降の刷新(130)
4.歴史的実践知としての子どもの権利擁護 131
第6章 少年矯正は「教育」か「処遇」か? ―矯正教育と教育学理論の関係史
1.教育学研究における矯正教育の位置づけ 134
2.矯正教育構造の刷新と矯正実践知の継承 135
(1)分類処遇・少年鑑別の法整備(135)
(2)戦前の矯正実践知の継承(137)
(3)少年矯正と成人行刑の一本化と少年矯正局の消滅(138)
3.矯正教育の科学化と教育学理論との循環 140
(1)「第二の非行の波」と科学的集団処遇法(140)
(2)矯正研究の組織化と職員の世代交代(141)
(3)生活綴方による集団主義教育とGGI・PPCによる批判集会(142)
(4)1977(昭和52)年矯正局長依命通達「少年院の運営について」のインパクト(145)
4.「矯正教育」と「矯正処遇」の間 146
(1)矯正実務研究書名に見る強調点の揺れ動き(146)
(2)矯正教育の継承者と矯正処遇の推進者(150)
(3)「矯正教育」をめぐる世代間の意識差と『矯正処遇技術ガイドブック』(152)
5.矯正で問われる人間観・子ども観 154
第7章 家庭裁判所のケースワーク機能の基礎理念とは何か? ―司法福祉と成長発達権
1.少年法の司法的機能とケースワーク機能の調和 158
(1)少年法改正論議で問われる家庭裁判所の役割(158)
(2)少年の成長発達権(161)
2.少年司法の基軸となる「発達可能態としての子ども観」 162
(1)アメリカの教訓:保護と自律の二元論から「関係性」論への転換(162)
(2)日本の教訓:少年法の教育法的解釈(164)
3.家裁実務研究と司法福祉 166
(1)司法福祉論の誕生(166)
(2)社会資源開拓とソーシャルアクション(167)
4.少年法学における成長発達権論の展開 169
(1)司法福祉の停滞と少年期特有の成長発達権論(169)
(2)成長発達権解釈の緻密化・科学化(171)
5.司法福祉研究の復興と当事者参加の視座 174
(1)司法福祉論の体系化(174)
(2)山口司法福祉論をめぐる批判と日本司法福祉学会創設(175)
(3)少年事件当事者運動の勃興と司法手続きへの参加(177)
(4)修復的司法で問われる社会的基盤(179)
6.成長発達を支える修復的文化の醸成 180
第8章 非行(加害)と関わる児童虐待(被害)の予防とは? ―多職種連携の光と影
1.児童虐待の社会問題化とその「対策」・「実態」 185
(1)社会的養育・少年矯正で「発見」される被虐待経験(185)
(2)児童虐待防止法制定に至る道筋(186)
(3)2000年代の児童虐待防止「対策」(188)
(4)暴力連鎖構造の「実態」と虐待事件批判の功罪(189)
2.児童虐待の未然予防をめぐる論点 190
(1)医療保健機関での早期発見・介入事例(190)
(2)地域社会での切れ目のない子育て支援事例(192)
(3)「実態」を踏まえた虐待「対策」の意図せざる逆機能?(193)
3.要保護児童をめぐる教育と福祉の連携の形 195
(1)スクールソーシャルワークとチーム学校論(195)
(2)復学支援をめぐる施設・併設校・前籍校の「連携」・「協働」(196)
4.親の懲戒権の見直し 198
終章 立ち直り・甦りの教育福祉学「甦育」
1.複合領域に位置づく少年司法実践の「学際性」と「不安定性」 201
2.「甦育」の構造 203
3.残された課題 205
児童・少年保護関連年表 209
参考文献一覧 224
索引 225
はしがき(i)
初出一覧(xiv)
序章 少年司法の軌跡が問う教育福祉学とは?
1.少年司法改革で希薄化する教育福祉の論理 1
(1)問題意識:少年法問題と教育福祉(1)
(2)本書の目的:立ち直り・甦りの教育福祉学(5)
2.児童保護・少年保護実践をめぐる先行研究の検討 6
(1)感化法と少年法の対立史再考(6)
(2)感化法・少年法の協力史の視座(7)
3.児童福祉・少年司法実践をめぐる先行研究の検討 9
(1)戦前・戦後の断絶史再考(9)
(2)戦前・戦後の連続史の視座(10)
(3)教育福祉と司法福祉を架橋する甦育(11)
第1章 未成年犯罪者の扱いは社会政策か?刑事政策か? ―感化法・少年法の成立事情
1.監獄改良運動と感化法の誕生 12
(1)社会復帰思想の芽生え(12)
(2)成人監獄事業から独立した感化院設置構想(13)
2.足踏みする感化法と刑事政策への揺り戻し 15
(1)感化院任意設置の課題と懲治場の教育化(15)
(2)刑法の補助法としての感化法観(16)
3.少年法制定に伴う第二次感化法改正 17
(1)内務省・司法省に共通する「良民教化」観(17)
(2)小河滋次郎「非少年法案論」の帰結(18)
(3)「社会政策・児童保護」・「刑事政策・司法保護」の二分化と国立感
化院設置(20)
4.児童・少年の視点に立つ児童・少年保護実践の模索 22
第2章 感化教育・矯正教育の理念と構造とは? ―国立武蔵野学院が果たした役割
1.武蔵野学院の全人教育と感化教育従事者養成 25
(1)初代院長・菊池俊諦の略歴と開院当初の職員人事(25)
(2)教育構造と職員の研究活動(28)
(3)感化教育従事者養成と感化教育観(31)
2.社会事業職員養成所出身職員の森鏡壽・宗像守雄・池田實道の活躍 33
(1)学校模倣批判と個別性理解(33)
(2)障害理解に基づく分類教育の強化と「児童の権利」保障(35)
3.少年法・矯正院法下での保護構造と感化事業との人事交流 36
(1)少年保護事業と感化事業の接点(36)
(2)感化院・少年院の処遇形態上の相違と交流(38)
4.草創期多摩少年院の自由主義教育と分類教育の課題 40
(1)初代多摩少年院長・太田秀穂の略歴(40)
(2)教育構造と自由主義教育観(41)
(3)特殊教育の経験不足と太田の退官事情(43)
5.草創期浪速少年院の人格主義的教育と軍事教練の徹底 45
(1)初代院長・小川恂臧の略歴(45)
(2)教育構造と人格主義・美育的教育観(47)
(3)武蔵野学院の実践知活用と軍事教練(49)
6.感化法発布30年と少年教護法 50
(1)文部省・内務省・司法省の管轄争いと総合的児童保護法構想(50)
(2)武蔵野学院内の研究再組織化と矯正教育観との相違(51)
第3章 戦時体制で少年教護・矯正実践に何が起きたのか? ―児童・少年保護思想の類型
1.戦時厚生事業下の児童・少年保護思想の分析視角 58
(1)児童・少年保護の軍事教育化再考(58)
(2)事業再編の時期区分(59)
2.少年教護・少年保護事業の再編過程 60
(1)厚生事業への移行推進(60)
(2)「新体制」と少年教護院・少年院の錬成道場化(61)
(3)『児童保護』・『少年保護』誌の編集方針の変質(63)
(4)武蔵野学院の院長交代と院内改革(65)
3.戦中期の児童・少年保護思想の類型分析 67
(1)自由主義的な児童・少年保護思想(68)
(2)日本精神主義的な児童・少年保護思想(70)
(3)科学的な児童・少年保護思想(71)
(4)偽装転向的な児童・少年保護思想(72)
4.武蔵野学院関係職員の児童・少年保護思想の類型分析 74
(1)森鏡壽・宗像守雄・池田實道・小川恂臧の類型(74)
(2)熊野隆治と石原登・赤羽芳雄との衝突(75)
5.戦後に託された子どもの権利思想 77
第4章 児童福祉法・少年法の成立過程研究で見落とされた視点とは? ―戦後児童福祉法制・少年法制をめぐり言説化されなかった「語り」の分析
1.児童福祉法・少年法の成立過程研究の再検討 80
(1)児童福祉法・少年法の積極的普及(80)
(2)戦前児童・少年保護実務家の「語り」の埋没(81)
2.児童福祉法関連文献で描かれる児童福祉法像 82
(1)「明るい児童福祉」・「児童の権利」の強調(82)
(2)児童福祉法の原理の言説化過程(85)
(3)戦前少年教護・少年保護実務家による文献の発掘(86)
3.言説化されなかった児童福祉法制をめぐる「語り」 87
(1)菊池俊諦:「児童の権利」に基づく総合法の連続性(87)
(2)田子一民:「生存権」保障に基づく福祉観の連続性(91)
(3)生江孝之:児童・少年保護一元化構想の連続性(93)
(4)児童福祉法関連文献と戦前児童保護実務家の「語り」の比較検討(95)
4.少年法関連文献で描かれる少年法像 96
(1)1948年少年法の「新しさ」の強調(96)
(2)ケース・ワーク機能の強調(97)
(3)1948年少年法の保護原理の言説化過程(99)
5.言説化されなかった1948年少年法制をめぐる「語り」 100
(1)宇田川潤四郎:少年司法を支える機関連携・人事交流の課題(100)
(2)森田宗一:保護の決定機関と執行機関の連携の課題(102)
(3)宮城タマヨ・前田偉男・辻三省:連携・人事異動の課題(103)
(4)鈴木賀一郎:児童・少年保護を支える社会資源開拓の課題(104)
(5)少年法関連文献と戦前少年保護実務家の「語り」の比較分析(105)
6.戦前児童・少年保護実務家の遺言 106
第5章 子どもの権利擁護論はいかに継承・発展したのか? ―児童福祉施設運営要領の分析
1.ホスピタリズム研究と『教護院運営要領』・『養護施設運営要領』の策定 111
(1)児童福祉施設運営要領の策定過程研究の空白(111)
(2)浮浪児対策と教護院・養護施設(112)
(3)「ホスピタリスムスの共同研究」と教護・養護界での影響(113)
(4)施設運営要領の策定(115)
(5)教護・養護領域に共通する援助原理(117)
2.教護院での学校教育の位置づけをめぐる論争史と子どもの権利擁護 117
(1)学校教育以上のきめ細やかな感化教育・少年教護の模索(117)
(2)学校教育に「準ずる教育」問題をめぐる論争(119)
(3)石原・小嶋論争の帰結としての1997(平成9)年児童福祉法改正(120)
(4)施設併設校独自の学校教育観(124)
3.ホスピタリズム論争以降の養護理論と高島巌の養護思想 127
(1)被虐待児保護の先駆者・高島巌研究の空白(127)
(2)児童憲章と児童福祉従事者の心構えの解説(128)
(3)『養護施設ハンドブック』以降の刷新(130)
4.歴史的実践知としての子どもの権利擁護 131
第6章 少年矯正は「教育」か「処遇」か? ―矯正教育と教育学理論の関係史
1.教育学研究における矯正教育の位置づけ 134
2.矯正教育構造の刷新と矯正実践知の継承 135
(1)分類処遇・少年鑑別の法整備(135)
(2)戦前の矯正実践知の継承(137)
(3)少年矯正と成人行刑の一本化と少年矯正局の消滅(138)
3.矯正教育の科学化と教育学理論との循環 140
(1)「第二の非行の波」と科学的集団処遇法(140)
(2)矯正研究の組織化と職員の世代交代(141)
(3)生活綴方による集団主義教育とGGI・PPCによる批判集会(142)
(4)1977(昭和52)年矯正局長依命通達「少年院の運営について」のインパクト(145)
4.「矯正教育」と「矯正処遇」の間 146
(1)矯正実務研究書名に見る強調点の揺れ動き(146)
(2)矯正教育の継承者と矯正処遇の推進者(150)
(3)「矯正教育」をめぐる世代間の意識差と『矯正処遇技術ガイドブック』(152)
5.矯正で問われる人間観・子ども観 154
第7章 家庭裁判所のケースワーク機能の基礎理念とは何か? ―司法福祉と成長発達権
1.少年法の司法的機能とケースワーク機能の調和 158
(1)少年法改正論議で問われる家庭裁判所の役割(158)
(2)少年の成長発達権(161)
2.少年司法の基軸となる「発達可能態としての子ども観」 162
(1)アメリカの教訓:保護と自律の二元論から「関係性」論への転換(162)
(2)日本の教訓:少年法の教育法的解釈(164)
3.家裁実務研究と司法福祉 166
(1)司法福祉論の誕生(166)
(2)社会資源開拓とソーシャルアクション(167)
4.少年法学における成長発達権論の展開 169
(1)司法福祉の停滞と少年期特有の成長発達権論(169)
(2)成長発達権解釈の緻密化・科学化(171)
5.司法福祉研究の復興と当事者参加の視座 174
(1)司法福祉論の体系化(174)
(2)山口司法福祉論をめぐる批判と日本司法福祉学会創設(175)
(3)少年事件当事者運動の勃興と司法手続きへの参加(177)
(4)修復的司法で問われる社会的基盤(179)
6.成長発達を支える修復的文化の醸成 180
第8章 非行(加害)と関わる児童虐待(被害)の予防とは? ―多職種連携の光と影
1.児童虐待の社会問題化とその「対策」・「実態」 185
(1)社会的養育・少年矯正で「発見」される被虐待経験(185)
(2)児童虐待防止法制定に至る道筋(186)
(3)2000年代の児童虐待防止「対策」(188)
(4)暴力連鎖構造の「実態」と虐待事件批判の功罪(189)
2.児童虐待の未然予防をめぐる論点 190
(1)医療保健機関での早期発見・介入事例(190)
(2)地域社会での切れ目のない子育て支援事例(192)
(3)「実態」を踏まえた虐待「対策」の意図せざる逆機能?(193)
3.要保護児童をめぐる教育と福祉の連携の形 195
(1)スクールソーシャルワークとチーム学校論(195)
(2)復学支援をめぐる施設・併設校・前籍校の「連携」・「協働」(196)
4.親の懲戒権の見直し 198
終章 立ち直り・甦りの教育福祉学「甦育」
1.複合領域に位置づく少年司法実践の「学際性」と「不安定性」 201
2.「甦育」の構造 203
3.残された課題 205
児童・少年保護関連年表 209
参考文献一覧 224
索引 225