名城大学法学会選書14
譲渡所得課税に関する基礎的研究
伊川正樹 著
定価:8,800円(税込)-
在庫:
在庫があります -
発行:
2023年03月01日
-
判型:
A5判上製 -
ページ数:
402頁 -
ISBN:
978-4-7923-0712-7
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内容紹介
《目 次》
まえがき(ⅰ)
初出一覧(ⅲ)
凡例(ⅴ)
序章 本書の問題意識 1
第Ⅰ部 譲渡所得における「資産の譲渡」概念
第1章 譲渡所得の基因となる「資産」概念 ――増加益清算課税説の再考――
Ⅰ はじめに ――問題の所在 7
Ⅱ 「資産」概念に関する裁判例 8
1 千葉地裁平成18年9月19日判決(8)
2 資産概念に関する裁判例の動向(11)
(1)大阪地裁昭和44年1月28日判決(11)
(2)東京地裁昭和51年2月17日判決(13)
(3)京都地裁昭和56年7月17日判決(14)
(4)大阪高裁昭和57年8月26日判決(15)
(5)最高裁昭和50年4月8日判決(17)
(6)名古屋地裁平成17年7月27日判決(18)
3 検討(20)
Ⅲ アメリカにおける「資本資産」概念 22
1 キャピタル・ゲインおよびキャピタル・ロス課税の概要(22)
2 「資本資産」をめぐる変遷(23)
(1)制定法上の要件の変遷(23)
(2)判例法(28)
(3)無価値化証券条項(30)
(4)小括(31)
Ⅳ 検討 33
1 現行法上の譲渡損失の扱い(33)
2 資産の無価値化(36)
3 千葉地判の評価(37)
Ⅴ まとめ ――増加益清算課税説の再考に向けて 38
第2章 譲渡所得課税における「資産の譲渡」
Ⅰ はじめに 40
Ⅱ 株式の譲渡 42
1 株式の譲渡に関する課税上の取扱い(42)
2 千葉地裁平成18年9月19日判決(税資256号順号10506)(42)
(1)事案の概要(42)
(2)判旨(43)
(3)本判決の評価(44)
(4)租税特別措置法37条の10の2の理解(46)
Ⅲ ゴルフ会員権の譲渡 48
1 法的性質(48)
2 「資産の譲渡」該当性(49)
3 優先的施設利用権が消滅し、預託金返還請求権のみを譲渡したと判断された事例(49)
(1)金銭債権の譲渡とするもの(49)
(2)資産の同質性が維持できないとするもの(51)
4 預託金返還請求権が消滅し、優先的施設利用権のみを譲渡したと判断された事例(52)
5 検討(53)
(1)同質性基準の是非(54)
(2)同質性の判断基準(59)
Ⅳ 余剰容積の移転 60
1 連担建築物設計制度に基づく容積率の取引(60)
2 東京地裁平成20年11月28日判決(税資258号順号11089)(61)
(1)事実の概要(61)
(2)判旨(62)
(3)本判決の評価(63)
3 「余剰容積利用権」の「資産」該当性(66)
Ⅴ おわりに 67
第3章 財産分与時における譲渡所得課税の日米比較
Ⅰ はじめに 70
Ⅱ 日本における譲渡所得課税の基本構造 71
1 シャウプ勧告における譲渡所得課税制度(71)
2 譲渡所得課税制度の変遷(71)
3 増加益清算課税説(72)
4 財産分与に係る譲渡所得課税(72)
Ⅲ アメリカ連邦所得税法におけるキャピタル・ゲイン課税 73
1 Davis判決(73)
2 IRC§1041の改正(74)
Ⅳ おわりに ――譲渡所得課税に対する基本的な考え方の差異 76
第Ⅱ部 譲渡所得と実現主義
第4章 譲渡所得とその課税および実現主義 ――増加益清算課税説と譲渡益課税説の対立点――
Ⅰ はじめに 81
Ⅱ 財産分与に対する譲渡所得課税 82
1 財産分与を有償譲渡ととらえることに対する批判(83)
2 譲渡所得の性質と課税の論理からの批判(83)
(1)財産分与に対する譲渡所得課税の論理(84)
(2)金銭を譲渡した場合(85)
(3)財産分与請求権者が受ける利益(87)
(4)小括 ――増加益清算課税説と譲渡益課税説の対立点(87)
Ⅲ 資産の譲渡と所得の実現 88
1 所得の「発生」と「実現」(88)
2 「実現」の意義(89)
(1)通説の理解(89)
(2)岡村教授の見解(90)
(3)岡村説の検討(91)
3 増加益清算課税説と譲渡益課税説の異同(95)
Ⅳ むすびにかえて ――譲渡所得課税の三層構造 97
第5章 譲渡所得における実現の意義と譲渡所得の性質
Ⅰ はじめに――問題の所在 99
Ⅱ 職務発明に係る権利の承継 101
1 職務発明の法的取扱い(101)
2 「相当の対価」の額の算定方法(102)
3 特許法35条の趣旨と実務上の取扱い(102)
4 職務発明等に係る権利の承継によって得る利益の税務上の取扱い(103)
Ⅲ 大阪地裁平成23年10月14日判決 104
1 事実の概要(104)
2 当事者の主張(105)
(1)原告の主張(105)
(2)被告の主張(106)
3 判旨(106)
4 検討すべき点(109)
Ⅳ 譲渡所得の性質と実現との関係 109
1 先例の再検討(109)
(1)最判昭和43年(110)
(2)最判昭和47年(110)
(3)最判昭和40年(111)
(4)検 討(111)
2 譲渡所得と実現との関係(114)
Ⅴ 譲渡所得該当性の判断基準 117
1 特許法35条3項における「相当の対価」(117)
2 「相当の対価」の性質(118)
3 譲渡所得該当性の判断基準(119)
Ⅵ おわりに 122
第6章 みなし譲渡所得に「担税力」はあるのか
Ⅰ はじめに 124
Ⅱ 譲渡課税の特例 125
1 強制換価手続による資産の譲渡(126)
2 生活に通常必要な動産の譲渡(129)
3 保証債務の履行のための資産の譲渡(130)
4 同種資産の交換(132)
5 収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例(135)
6 資力を喪失した者に対する債務免除(136)
7 小括(137)
Ⅲ みなし譲渡課税の論理 140
1 譲渡所得課税の趣旨とみなし譲渡課税(140)
2 みなし譲渡課税における担税力(143)
Ⅳ おわりに 147
第Ⅲ部 譲渡所得と相続税との関係
第7章 相続税と所得税との関係をめぐる基礎的考察 ――いわゆる「年金の二重課税問題」を契機として――
Ⅰ はじめに 151
Ⅱ 相続税と所得税との関係 151
Ⅲ 判決の概要 153
1 事実の概要(153)
2 地裁判決(155)
3 高裁判決(157)
4 最高裁判決(159)
Ⅳ 論点の検討 160
1 所得税法9条1項15号の趣旨および範囲(160)
2 相続税の課税対象と所得税の非課税所得(163)
3 本件年金に対する課税(166)
(1)年金受給権と年金の両面課税(166)
(2)年金受給権の現在価値を越える部分に対する課税(168)
Ⅴ むすびにかえて 169
第8章 譲渡所得税と相続税との調整
Ⅰ はじめに 172
Ⅱ 譲渡所得税と相続税との関係 174
1 裁判例の概要(174)
(1)事実の概要(174)
(2)当事者の主張(174)
(3)判旨(176)
2 平成22年最判の射程範囲(178)
Ⅲ カナダにおける譲渡所得課税と遺産税 180
1 譲渡所得課税の概要(180)
(1)概要(180)
(2)例外措置(181)
(3)小括(182)
2 遺産税の廃止とみなし譲渡所得課税導入の経緯(183)
(1)相続税・遺産税の導入(183)
(2)遺産税・贈与税の廃止の理由(183)
(3)カーター報告の提案と1971年法による改正(184)
(4)小括(188)
Ⅳ 譲渡所得税と相続税との調整方法 188
1 カナダ方式(189)
2 アメリカ方式(190)
3 取得後値上り益課税方式(190)
4 ドイツ方式(191)
5 所得税債務控除方式(192)
6 潜在的所得税債務控除方式(192)
7 相続税額取得費算入方式(193)
8 各方式の検討(194)
(1)相続税の課税方式の違い(194)
(2)各方式の問題点(195)
Ⅴ おわりに 198
第Ⅳ部 譲渡所得課税における控除項目
第9章 譲渡所得課税における取得費および付随費用ならびに譲渡費用
Ⅰ はじめに 203
Ⅱ 東京高裁平成23年4月14日判決 204
1 事実の概要(204)
2 当事者の主張(205)
(1)Xの主張(205)
(2)国の主張(205)
3 原審判決(206)
4 本件判決(207)
5 小 括(209)
Ⅲ 取得費をめぐる裁判例 210
1 客観的価値構成説を採る裁判例(210)
(1)東京地裁昭和52年8月10日判決(行集30巻6号1180頁)(210)
(2)東京地裁昭和54年3月28日判決(行集30巻3号654頁)(211)
2 因果関係説(213)
3 付随費用包含説(215)
(1)最高裁平成4年7月14日判決(民集46巻5号492頁)(215)
(2)最高裁平成17年2月1日判決(訟月52巻3号1034頁)(217)
4 取得費該当性をめぐる判断基準の検討(218)
(1)客観的価値構成説および因果関係説の当否(218)
(2)付随費用包含説の評価(220)
Ⅳ 取得費と譲渡費用との関係 222
Ⅴ むすび ――今後の解釈の展望 225
第10章 代償分割における代償財産の取得費該当性をめぐる課税問題
Ⅰ はじめに 227
Ⅱ 代償分割に係る現行法上の課税取扱い 228
1 設例(228)
2 代償分割に係る相続税の課税価格(229)
3 代償分割に係る所得税の取扱い(230)
(1)代償財産として金銭以外の資産を交付した相続人(現物交付代償分割)(231)
(2)代償財産として金銭の交付をして相続財産を取得した相続人(代償金の支払い)(231)
(3)代償財産を取得した相続人(231)
4 代償債務の課税上の取扱い(232)
(1)通 達(232)
(2)裁判例(233)
(3)裁判例の小括(239)
(4)学説(240)
(5)小括(242)
Ⅲ 取得費の性質に基づく代償財産の取得費該当性 243
1 取得費の性質(243)
2 代償分割の性質と取得費該当性(245)
Ⅳ 代償財産の課税上の取扱いをめぐる相続税と譲渡所得税との調整 246
1 現行法上の取扱い(246)
2 代償金の取扱いに関する他の方法(248)
(1)代償分割におけるみなし譲渡課税と死亡時課税の組み合わせ方式(249)
(2)代償金受領者に対する譲渡所得課税を行う方法(249)
(3)相続税と譲渡所得税との調整(250)
3 遺留分減殺請求権の行使に関する課税関係との対比(251)
Ⅴ おわりに 253
第Ⅴ部 譲渡所得の特例制度の検討
第11章 譲渡所得課税の特例制度の理論的根拠 ――課税繰延べ制度と特別控除制度の対比――
Ⅰ はじめに 257
Ⅱ 問題の所在 258
Ⅲ 課税繰延べ制度と特別控除制度との対比 261
1 収用等の場合の譲渡所得の特例に関する立法経緯(262)
(1)概観(262)
(2)特別控除制度の立法趣旨(263)
(3)特例措置の立法経緯の背景(266)
(4)買取りの場合の特例措置の背景(267)
2 課税繰延べ制度と特別控除制度の論拠(268)
3 アメリカにおける譲渡所得課税の特例(270)
4 検討(271)
(1)特例が認められる論拠と特例の手法の選択基準(271)
(2)居住用財産に対する特例(274)
Ⅳ おわりに 274
第12章 譲渡所得課税の特例措置と財産権保障
Ⅰ はじめに 277
Ⅱ 財産権の保障と損失補償の要否 279
1 補償要否の判断基準(279)
2 損失補償の内容(280)
3 公用制限と損失補償(280)
Ⅲ 補償金に対する税法上の取扱い 281
1 損失補償金に対する税法上の取扱い(281)
2 対価補償金の税法上の取扱い(282)
3 小括 ――問題の指摘(283)
Ⅳ 譲渡特例と諸制度との比較 285
1 譲渡特例と損失補償(285)
2 他の譲渡特例および非課税措置(288)
(1)具体例(288)
(2)交換特例との比較(289)
(3)他の特例との比較(290)
3 譲渡特例と損害賠償金(292)
Ⅴ むすびにかえて 293
第Ⅵ部 「資産の譲渡」概念の再考
第13章 消費税法における「資産の譲渡」の意義 ――所得税法における「資産の譲渡」との比較――
Ⅰ はじめに 297
Ⅱ 消費税法上の「資産の譲渡等」 298
1 規定の構造(298)
(1)「事業として」の意義(299)
(2)「対価を得て」の意義(301)
(3)資産の譲渡「等」の意義(302)
(4)小括(303)
2 「資産の譲渡」の意義(303)
(1)解 釈(304)
(2)具体的事例の「資産の譲渡」該当性判断(304)
Ⅲ 所得税法上の「資産の譲渡」 306
1 概要(306)
2 具体的事例の「資産の譲渡」該当性判断(308)
(1)譲渡担保(308)
(2)建物等の賃貸借の終了に伴う立退料(309)
(3)ゴルフ会員権の譲渡(309)
Ⅳ 両概念の比較 311
(1)消費税法上の「資産の譲渡等」の特徴(311)
(2)具体的事例における「資産の譲渡」該当性の比較検討(312)
Ⅴ 「資産の同一性」要件 315
1 同一性の意味(315)
2 同一性の程度(316)
3 同一性の判断時期(317)
4 同一性要件の必要性の根拠(318)
5 具体的事例へのあてはめ(321)
Ⅵ おわりに 322
第Ⅶ部 譲渡所得の課税原理
第14章 譲渡所得における対価概念 ――高額譲渡の事例を参考に――
Ⅰ はじめに 327
Ⅱ 資産の低額譲渡と高額譲渡 328
1 概説(328)
2 資産の低額譲渡(328)
(1)個人から個人への低額譲渡(329)
(2)個人から法人への低額譲渡(330)
(3)低額譲渡に対する課税が争われた事例(332)
(4)低額譲渡に対するみなし譲渡課税の変遷(334)
3 資産の高額譲渡(337)
(1)個人から個人への高額譲渡(337)
(2)個人から法人への高額譲渡(338)
4 低額譲渡と高額譲渡の比較(339)
Ⅲ 資産の高額譲渡をめぐる課税 341
1 事実の概要(341)
2 判旨(342)
3 考察(343)
(1)本判決の意義(343)
(2)資産の譲渡による「対価」(344)
Ⅳ おわりに 347
第15章 譲渡所得課税の趣旨と課税理論
Ⅰ はじめに 349
Ⅱ 取引相場のない株式の評価と譲渡所得課税の理論 350
1 最高裁令和2年3月24日判決(350)
(1)事案の概要(350)
(2)判旨(352)
2 検討(353)
(1)本判決の解釈と譲渡所得課税の趣旨が果たす役割(353)
(2)「増加益の清算」と「時価」の算定(354)
(3)小括(357)
Ⅲ 配偶者居住権をめぐる課税問題 358
1 配偶者居住権の概要(358)
(1)創設の背景(358)
(2)成立要件(358)
(3)法的性質(359)
(4)消滅原因(359)
2 配偶者居住権に関する課税(359)
(1)配偶者居住権の設定時の取扱い(359)
(2)配偶者居住権の消滅時の取扱い(362)
3 検 討(364)
(1)間題の所在(364)
(2)現行法上の取扱いの分析(364)
(3)譲渡所得課税の趣旨からの検討(365)
(4)譲渡禁止という性質(368)
(5)「資産の譲渡」の意義(369)
Ⅳ おわりに 372
終章 結語 375
事項索引 379
判例索引 380
まえがき(ⅰ)
初出一覧(ⅲ)
凡例(ⅴ)
序章 本書の問題意識 1
第Ⅰ部 譲渡所得における「資産の譲渡」概念
第1章 譲渡所得の基因となる「資産」概念 ――増加益清算課税説の再考――
Ⅰ はじめに ――問題の所在 7
Ⅱ 「資産」概念に関する裁判例 8
1 千葉地裁平成18年9月19日判決(8)
2 資産概念に関する裁判例の動向(11)
(1)大阪地裁昭和44年1月28日判決(11)
(2)東京地裁昭和51年2月17日判決(13)
(3)京都地裁昭和56年7月17日判決(14)
(4)大阪高裁昭和57年8月26日判決(15)
(5)最高裁昭和50年4月8日判決(17)
(6)名古屋地裁平成17年7月27日判決(18)
3 検討(20)
Ⅲ アメリカにおける「資本資産」概念 22
1 キャピタル・ゲインおよびキャピタル・ロス課税の概要(22)
2 「資本資産」をめぐる変遷(23)
(1)制定法上の要件の変遷(23)
(2)判例法(28)
(3)無価値化証券条項(30)
(4)小括(31)
Ⅳ 検討 33
1 現行法上の譲渡損失の扱い(33)
2 資産の無価値化(36)
3 千葉地判の評価(37)
Ⅴ まとめ ――増加益清算課税説の再考に向けて 38
第2章 譲渡所得課税における「資産の譲渡」
Ⅰ はじめに 40
Ⅱ 株式の譲渡 42
1 株式の譲渡に関する課税上の取扱い(42)
2 千葉地裁平成18年9月19日判決(税資256号順号10506)(42)
(1)事案の概要(42)
(2)判旨(43)
(3)本判決の評価(44)
(4)租税特別措置法37条の10の2の理解(46)
Ⅲ ゴルフ会員権の譲渡 48
1 法的性質(48)
2 「資産の譲渡」該当性(49)
3 優先的施設利用権が消滅し、預託金返還請求権のみを譲渡したと判断された事例(49)
(1)金銭債権の譲渡とするもの(49)
(2)資産の同質性が維持できないとするもの(51)
4 預託金返還請求権が消滅し、優先的施設利用権のみを譲渡したと判断された事例(52)
5 検討(53)
(1)同質性基準の是非(54)
(2)同質性の判断基準(59)
Ⅳ 余剰容積の移転 60
1 連担建築物設計制度に基づく容積率の取引(60)
2 東京地裁平成20年11月28日判決(税資258号順号11089)(61)
(1)事実の概要(61)
(2)判旨(62)
(3)本判決の評価(63)
3 「余剰容積利用権」の「資産」該当性(66)
Ⅴ おわりに 67
第3章 財産分与時における譲渡所得課税の日米比較
Ⅰ はじめに 70
Ⅱ 日本における譲渡所得課税の基本構造 71
1 シャウプ勧告における譲渡所得課税制度(71)
2 譲渡所得課税制度の変遷(71)
3 増加益清算課税説(72)
4 財産分与に係る譲渡所得課税(72)
Ⅲ アメリカ連邦所得税法におけるキャピタル・ゲイン課税 73
1 Davis判決(73)
2 IRC§1041の改正(74)
Ⅳ おわりに ――譲渡所得課税に対する基本的な考え方の差異 76
第Ⅱ部 譲渡所得と実現主義
第4章 譲渡所得とその課税および実現主義 ――増加益清算課税説と譲渡益課税説の対立点――
Ⅰ はじめに 81
Ⅱ 財産分与に対する譲渡所得課税 82
1 財産分与を有償譲渡ととらえることに対する批判(83)
2 譲渡所得の性質と課税の論理からの批判(83)
(1)財産分与に対する譲渡所得課税の論理(84)
(2)金銭を譲渡した場合(85)
(3)財産分与請求権者が受ける利益(87)
(4)小括 ――増加益清算課税説と譲渡益課税説の対立点(87)
Ⅲ 資産の譲渡と所得の実現 88
1 所得の「発生」と「実現」(88)
2 「実現」の意義(89)
(1)通説の理解(89)
(2)岡村教授の見解(90)
(3)岡村説の検討(91)
3 増加益清算課税説と譲渡益課税説の異同(95)
Ⅳ むすびにかえて ――譲渡所得課税の三層構造 97
第5章 譲渡所得における実現の意義と譲渡所得の性質
Ⅰ はじめに――問題の所在 99
Ⅱ 職務発明に係る権利の承継 101
1 職務発明の法的取扱い(101)
2 「相当の対価」の額の算定方法(102)
3 特許法35条の趣旨と実務上の取扱い(102)
4 職務発明等に係る権利の承継によって得る利益の税務上の取扱い(103)
Ⅲ 大阪地裁平成23年10月14日判決 104
1 事実の概要(104)
2 当事者の主張(105)
(1)原告の主張(105)
(2)被告の主張(106)
3 判旨(106)
4 検討すべき点(109)
Ⅳ 譲渡所得の性質と実現との関係 109
1 先例の再検討(109)
(1)最判昭和43年(110)
(2)最判昭和47年(110)
(3)最判昭和40年(111)
(4)検 討(111)
2 譲渡所得と実現との関係(114)
Ⅴ 譲渡所得該当性の判断基準 117
1 特許法35条3項における「相当の対価」(117)
2 「相当の対価」の性質(118)
3 譲渡所得該当性の判断基準(119)
Ⅵ おわりに 122
第6章 みなし譲渡所得に「担税力」はあるのか
Ⅰ はじめに 124
Ⅱ 譲渡課税の特例 125
1 強制換価手続による資産の譲渡(126)
2 生活に通常必要な動産の譲渡(129)
3 保証債務の履行のための資産の譲渡(130)
4 同種資産の交換(132)
5 収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例(135)
6 資力を喪失した者に対する債務免除(136)
7 小括(137)
Ⅲ みなし譲渡課税の論理 140
1 譲渡所得課税の趣旨とみなし譲渡課税(140)
2 みなし譲渡課税における担税力(143)
Ⅳ おわりに 147
第Ⅲ部 譲渡所得と相続税との関係
第7章 相続税と所得税との関係をめぐる基礎的考察 ――いわゆる「年金の二重課税問題」を契機として――
Ⅰ はじめに 151
Ⅱ 相続税と所得税との関係 151
Ⅲ 判決の概要 153
1 事実の概要(153)
2 地裁判決(155)
3 高裁判決(157)
4 最高裁判決(159)
Ⅳ 論点の検討 160
1 所得税法9条1項15号の趣旨および範囲(160)
2 相続税の課税対象と所得税の非課税所得(163)
3 本件年金に対する課税(166)
(1)年金受給権と年金の両面課税(166)
(2)年金受給権の現在価値を越える部分に対する課税(168)
Ⅴ むすびにかえて 169
第8章 譲渡所得税と相続税との調整
Ⅰ はじめに 172
Ⅱ 譲渡所得税と相続税との関係 174
1 裁判例の概要(174)
(1)事実の概要(174)
(2)当事者の主張(174)
(3)判旨(176)
2 平成22年最判の射程範囲(178)
Ⅲ カナダにおける譲渡所得課税と遺産税 180
1 譲渡所得課税の概要(180)
(1)概要(180)
(2)例外措置(181)
(3)小括(182)
2 遺産税の廃止とみなし譲渡所得課税導入の経緯(183)
(1)相続税・遺産税の導入(183)
(2)遺産税・贈与税の廃止の理由(183)
(3)カーター報告の提案と1971年法による改正(184)
(4)小括(188)
Ⅳ 譲渡所得税と相続税との調整方法 188
1 カナダ方式(189)
2 アメリカ方式(190)
3 取得後値上り益課税方式(190)
4 ドイツ方式(191)
5 所得税債務控除方式(192)
6 潜在的所得税債務控除方式(192)
7 相続税額取得費算入方式(193)
8 各方式の検討(194)
(1)相続税の課税方式の違い(194)
(2)各方式の問題点(195)
Ⅴ おわりに 198
第Ⅳ部 譲渡所得課税における控除項目
第9章 譲渡所得課税における取得費および付随費用ならびに譲渡費用
Ⅰ はじめに 203
Ⅱ 東京高裁平成23年4月14日判決 204
1 事実の概要(204)
2 当事者の主張(205)
(1)Xの主張(205)
(2)国の主張(205)
3 原審判決(206)
4 本件判決(207)
5 小 括(209)
Ⅲ 取得費をめぐる裁判例 210
1 客観的価値構成説を採る裁判例(210)
(1)東京地裁昭和52年8月10日判決(行集30巻6号1180頁)(210)
(2)東京地裁昭和54年3月28日判決(行集30巻3号654頁)(211)
2 因果関係説(213)
3 付随費用包含説(215)
(1)最高裁平成4年7月14日判決(民集46巻5号492頁)(215)
(2)最高裁平成17年2月1日判決(訟月52巻3号1034頁)(217)
4 取得費該当性をめぐる判断基準の検討(218)
(1)客観的価値構成説および因果関係説の当否(218)
(2)付随費用包含説の評価(220)
Ⅳ 取得費と譲渡費用との関係 222
Ⅴ むすび ――今後の解釈の展望 225
第10章 代償分割における代償財産の取得費該当性をめぐる課税問題
Ⅰ はじめに 227
Ⅱ 代償分割に係る現行法上の課税取扱い 228
1 設例(228)
2 代償分割に係る相続税の課税価格(229)
3 代償分割に係る所得税の取扱い(230)
(1)代償財産として金銭以外の資産を交付した相続人(現物交付代償分割)(231)
(2)代償財産として金銭の交付をして相続財産を取得した相続人(代償金の支払い)(231)
(3)代償財産を取得した相続人(231)
4 代償債務の課税上の取扱い(232)
(1)通 達(232)
(2)裁判例(233)
(3)裁判例の小括(239)
(4)学説(240)
(5)小括(242)
Ⅲ 取得費の性質に基づく代償財産の取得費該当性 243
1 取得費の性質(243)
2 代償分割の性質と取得費該当性(245)
Ⅳ 代償財産の課税上の取扱いをめぐる相続税と譲渡所得税との調整 246
1 現行法上の取扱い(246)
2 代償金の取扱いに関する他の方法(248)
(1)代償分割におけるみなし譲渡課税と死亡時課税の組み合わせ方式(249)
(2)代償金受領者に対する譲渡所得課税を行う方法(249)
(3)相続税と譲渡所得税との調整(250)
3 遺留分減殺請求権の行使に関する課税関係との対比(251)
Ⅴ おわりに 253
第Ⅴ部 譲渡所得の特例制度の検討
第11章 譲渡所得課税の特例制度の理論的根拠 ――課税繰延べ制度と特別控除制度の対比――
Ⅰ はじめに 257
Ⅱ 問題の所在 258
Ⅲ 課税繰延べ制度と特別控除制度との対比 261
1 収用等の場合の譲渡所得の特例に関する立法経緯(262)
(1)概観(262)
(2)特別控除制度の立法趣旨(263)
(3)特例措置の立法経緯の背景(266)
(4)買取りの場合の特例措置の背景(267)
2 課税繰延べ制度と特別控除制度の論拠(268)
3 アメリカにおける譲渡所得課税の特例(270)
4 検討(271)
(1)特例が認められる論拠と特例の手法の選択基準(271)
(2)居住用財産に対する特例(274)
Ⅳ おわりに 274
第12章 譲渡所得課税の特例措置と財産権保障
Ⅰ はじめに 277
Ⅱ 財産権の保障と損失補償の要否 279
1 補償要否の判断基準(279)
2 損失補償の内容(280)
3 公用制限と損失補償(280)
Ⅲ 補償金に対する税法上の取扱い 281
1 損失補償金に対する税法上の取扱い(281)
2 対価補償金の税法上の取扱い(282)
3 小括 ――問題の指摘(283)
Ⅳ 譲渡特例と諸制度との比較 285
1 譲渡特例と損失補償(285)
2 他の譲渡特例および非課税措置(288)
(1)具体例(288)
(2)交換特例との比較(289)
(3)他の特例との比較(290)
3 譲渡特例と損害賠償金(292)
Ⅴ むすびにかえて 293
第Ⅵ部 「資産の譲渡」概念の再考
第13章 消費税法における「資産の譲渡」の意義 ――所得税法における「資産の譲渡」との比較――
Ⅰ はじめに 297
Ⅱ 消費税法上の「資産の譲渡等」 298
1 規定の構造(298)
(1)「事業として」の意義(299)
(2)「対価を得て」の意義(301)
(3)資産の譲渡「等」の意義(302)
(4)小括(303)
2 「資産の譲渡」の意義(303)
(1)解 釈(304)
(2)具体的事例の「資産の譲渡」該当性判断(304)
Ⅲ 所得税法上の「資産の譲渡」 306
1 概要(306)
2 具体的事例の「資産の譲渡」該当性判断(308)
(1)譲渡担保(308)
(2)建物等の賃貸借の終了に伴う立退料(309)
(3)ゴルフ会員権の譲渡(309)
Ⅳ 両概念の比較 311
(1)消費税法上の「資産の譲渡等」の特徴(311)
(2)具体的事例における「資産の譲渡」該当性の比較検討(312)
Ⅴ 「資産の同一性」要件 315
1 同一性の意味(315)
2 同一性の程度(316)
3 同一性の判断時期(317)
4 同一性要件の必要性の根拠(318)
5 具体的事例へのあてはめ(321)
Ⅵ おわりに 322
第Ⅶ部 譲渡所得の課税原理
第14章 譲渡所得における対価概念 ――高額譲渡の事例を参考に――
Ⅰ はじめに 327
Ⅱ 資産の低額譲渡と高額譲渡 328
1 概説(328)
2 資産の低額譲渡(328)
(1)個人から個人への低額譲渡(329)
(2)個人から法人への低額譲渡(330)
(3)低額譲渡に対する課税が争われた事例(332)
(4)低額譲渡に対するみなし譲渡課税の変遷(334)
3 資産の高額譲渡(337)
(1)個人から個人への高額譲渡(337)
(2)個人から法人への高額譲渡(338)
4 低額譲渡と高額譲渡の比較(339)
Ⅲ 資産の高額譲渡をめぐる課税 341
1 事実の概要(341)
2 判旨(342)
3 考察(343)
(1)本判決の意義(343)
(2)資産の譲渡による「対価」(344)
Ⅳ おわりに 347
第15章 譲渡所得課税の趣旨と課税理論
Ⅰ はじめに 349
Ⅱ 取引相場のない株式の評価と譲渡所得課税の理論 350
1 最高裁令和2年3月24日判決(350)
(1)事案の概要(350)
(2)判旨(352)
2 検討(353)
(1)本判決の解釈と譲渡所得課税の趣旨が果たす役割(353)
(2)「増加益の清算」と「時価」の算定(354)
(3)小括(357)
Ⅲ 配偶者居住権をめぐる課税問題 358
1 配偶者居住権の概要(358)
(1)創設の背景(358)
(2)成立要件(358)
(3)法的性質(359)
(4)消滅原因(359)
2 配偶者居住権に関する課税(359)
(1)配偶者居住権の設定時の取扱い(359)
(2)配偶者居住権の消滅時の取扱い(362)
3 検 討(364)
(1)間題の所在(364)
(2)現行法上の取扱いの分析(364)
(3)譲渡所得課税の趣旨からの検討(365)
(4)譲渡禁止という性質(368)
(5)「資産の譲渡」の意義(369)
Ⅳ おわりに 372
終章 結語 375
事項索引 379
判例索引 380