共同正犯の構造

共同正犯の構造

阿部力也 著
定価:6,050円(税込)
  • 在庫:
    在庫があります
  • 発行:
    2023年03月20日
  • 判型:
    A5判上製
  • ページ数:
    260頁
  • ISBN:
    978-4-7923-5385-8
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内容紹介


《目 次》

はしがき ⅰ
初出一覧 ⅷ


第1章 共同正犯における各関与者の関係性 4
第1節 問題の所在 4
第2節 ドイツ判例を素材とした検討―「世襲農場相続人事件」を基礎として 6
 第1項 分析の視角 6
 第2項 判決の検討―ツィーシャンクによる問題点の指摘 10
 第3項 従来の判決との相違点 12
 第4項 予備段階の共働を否定する見解 14
第3節 諸説の検討―「指示を与える教唆犯」という概念はあり得るか 15
 第1項 各関与者の役割に着目する見解 15
 第2項 予備段階の共働を認めることへの批判とその検討 17
第4節 結論―各関与者間の相互利用補充関係の意義 21
 第1項 本質的な共働は実行段階における寄与に限定されるべきか 21
 第2項 実行段階を実質的に捉えるということ 22
 第3項 共同正犯の構造的特徴 24

第2章 予備段階の共働と実行段階の共働 26
第1節 問題の所在 26
第2節 分析の視角 28
第3節 諸説の検討 30
 第1項 行為決意の強化は寄与として十分なのか 30
 第2項 行為それ自体のなかに沈殿しないような取り決めへの単なる関与とは 38
第4節 共同正犯の構造 43
 第1項 複数の関与者が行為を実行することの意味 43
 第2項 各関与者の関係性をどのように理解すべきか 46
第5節 結論―行為寄与の相互的帰属について 48

第3章 共同正犯における客観的寄与の意義 54
第1節 問題の所在 54
第2節 学説の状況 56
 第1項 共同正犯の従属性という思考は有益か 56
 第2項 共同正犯における帰属主体の問題 63
 第3項 意識的かつ意欲的な共働 70
 第4項 共同正犯の構造 74
第3節 各共同正犯者間の関係性をどのように理解すべきか 80
 第1項 相互的行為帰属説内部での対立 80
 第2項 相互的に行為を帰属させることの根拠づけ 83
第4節 結論―共同正犯の共同性 85

第4章 共同正犯の未遂と共同正犯の構造 88
第1節 問題の所在 88
第2節 問題性へのアプローチ(基本的視座の設定) 89
第3節 いまだ活動していない関与者ないし共同者の未遂の開始時期 90
第4節 全体的解決説への批判とその検討 94
 第1項 この説は未遂段階の寄与に格別の地位を与えているのか 94
 第2項 阻止力をめぐる両説の対立 98
 第3項 臨界状況の試練に欠けているということ 101
 第4項 中止未遂の可能性が体系に違反しかつ不当に制限されるのか 102
第5節 個別的解決説への批判 106
 第1項 未遂の開始時期を単独正犯と同様に考える必要性はあるのか 106
 第2項 各関与者に個別的な行為開始を必要としない理由 108
 第3項 相互的行為帰属という考え方 111
第6節 「共働」段階と共同正犯の未遂の開始時期 112
 第1項 どの段階での寄与が要求されているのか 112
 第2項 共働概念から共同正犯の未遂の開始時期を考える 117
 第3項 制限的に予備段階の共働を承認することと全体的解決説を結び付けることに対する疑問とそれへの回答 130
第7節 見かけ上の共同正犯の未遂はあり得るか 133
第8節 結論―全体的解決説の妥当性 139
 第1項 共同正犯の構造からみた全体的解決説の妥当性 139
 第2項 犯罪の分業ないし分担という択え方 141


第5章 行為帰属の限界 144
第1節 問題の所在 144
第2節 判例・裁判例の状況 147
 第1項 「一罪性」の強調 147
 第2項 「先行行為の積極的利用」という視点 148
 第3項 大阪高裁昭和62年7月10日判決―部分的肯定説の台頭 152
 第4項 最高裁平成24年11月6日第二小法廷決定 153
第3節 成立範囲をめぐる若干の検討 156
 第1項 共同正犯の正犯性 156
 第2項 部分的肯定説を前提とした場合の成立範囲の限界 157
 第3項 日髙博士の所説 161

第6章 共同正犯の帰属原理 164
第1節 問題の所在 164
第2節 行為帰属説のスケッチ―その主張と批判点 165
 第1項 行為帰属説とはどのような考え方なのか 165
 第2項 全体行為を構想する重要性 167
 第3項 共同の行為計画ないし行為決意の機能 169
 第4項 全体行為を構想することへの批判とそれへの回答 171
第3節 共同正犯規定の構成的機能 173
 第1項 規定からどのようなことを読み取るのか 173
 第2項 規定の構造―規定が規制する事態とは 176
第4節 結論 179
 第1項 行為帰属説の妥当性 179
 第2項 「一部実行の全部責任」の原則と共犯の因果性 182
 第3項 共同正犯は共犯の一類型なのか 183
 第4項 共同正犯の構造 185

補章① 共謀共同正犯に関する若干の考察 186
第1節 問題の所在 186
第2節 「共謀」の意義 186
第3節 判例の検討 190
第4節 結論―共同正犯の構造からみた本決定の位置づけ 198


補章② 各関与者への心理的拘束力と相互に行為を帰属させること 202
第1節 問題の所在 202
第2節 全体行為を構想すること 203
第3節 各関与者間に指摘される相互利用補充関係の実体 206
 第1項 他の関与者の行為を支配するということ 206
 第2項 事実的な行為支配とは可能性にとどまるのか 211
 第3項 全体行為のなかで分担すること(分業の具体化) 213
 第4項 共同の行為計画ないし行為決意の機能―心理的拘束力が生じ得る契機 215
第4節 結論―不法協定と各関与者に要求される相互性 220

結 224


主要参考文献 233
事項索引 240