相互闘争状況と正当防衛
木崎峻輔 著
定価:8,800円(税込)-
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発行:
2023年03月10日
-
判型:
A5判上製 -
ページ数:
384頁 -
ISBN:
978-4-7923-5386-5
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内容紹介
《目 次》
はしがき(i)
凡例(x)
序論1
第1 問題関心1
1 現在の議論状況(1)
(1)実務と学説の乖離(1)
(2)判例に対する理解の不一致(3)
(3)裁判員裁判の導入(4)
2 本書の目的(6)
(1)検討の契機(6)
(2)類型化の要請(9) (
3)検討内容(12)
第2 分析の方法13
1 検討の指針(13)
(1)刑事裁判における要件事実的思考(13)
(2)事実認識を中心とする解釈論(16)
2 具体的な方法(21)
(1)当該事案における事実関係(21)
(2)経験則・論理法則(22)
(3)当事者の主張(23)
(4)原審の判断(23)
(5)同種事案に関する下級審裁判例(23)
第1部 相互闘争状況における正当防衛の事案の類型化
第1部 はじめに29
第1章 急迫性の解釈に関する実務と学説の対立32
第1 問題の所在32
第2 急迫性を客観的に解する学説32
1 学説の根拠(33)
(1)概要(33)
(2)検討(36)
2 判例との関係(42)
(1)昭和46年判決(42)
(2)検討(43)
第3 裁判実務における急迫性の理解46
1 規範的・総合的な判断を行う必要性(46)
(1)正当防衛が問題になる事案の性質(46)
(2)防衛行為の無限定性(48)
2 急迫性を客観的に解した場合の事案の処理(49)
(1)学説(50)
(2)検討(53)
第4 急迫性の解釈に関する相違の原因58
1 学説と実務の視点の相違(58)
(1)問題意識及び考慮対象の相違(58) (
2)正当防衛の解釈論への影響(60)
2 検 討(62)
(1)本書の問題関心との関係(62)
(2)実務と学説の協同(65)
第5 本章のまとめ67
第2章 防御的招致の理論と強力な反撃準備類型69
第1 問題の所在69
第2 ドイツにおける防御的招致の理論70
1 学説と判例の概要(71)
(1)学説(71)
(2)判例(74)
2 検討(79)
(1)わが国への導入の可能性(79)
(2)わが国に導入すべき見解(84)
第3 わが国の判例と防御的招致の理論84
1 判例・裁判例(85)
(1)急迫性を否定した事例(85)
(2)急迫性を肯定した事例(90)
2 検討(94)
(1)武器の準備と侵害の急迫性の関係(94)
(2)急迫性の認定と防御的招致の理論(97)
第4 防御的招致の理論と強力な反撃準備類型99
1 事例類型としての防御的招致(99)
(1)反撃準備行為の意義(99)
(2)同類型に該当する事例(100)
2 同類型を用いた事案の処理(105)
(1)同類型への該当性判断(105)
(2)事案の処理における機能(106)
第5 本章のまとめ106
第3章 家庭内における暴力的闘争類型の処理108
第1 問題の所在108
第2 家庭内での正当防衛に関するドイツ及びアメリカの議論
110
1 議論の概要(111)
(1)ドイツの見解(111)
(2)アメリカの見解(114)
2 検討(116)
(1)これらの見解の当否(116)
(2)わが国の議論の参考にすることの可否(120)
第3 家庭内での正当防衛に関する裁判例121
1 裁判例(122)
(1)侵害の急迫性を肯定した事例(122)
(2)侵害の急迫性を否定した事例(125)
2 検討(127)
(1)侵害の急迫性を否定する根拠となる事実(127)
(2)判断の傾向(127)
第4 家庭内における暴力的闘争類型の処理128
1 家庭内での暴力的闘争の特徴(129)
(1)暴力的闘争の回避が困難であること(129)
(2)暴力的闘争の回避を要求し得ないこと(130)
2 同類型を用いた事例の処理(131)
(1)侵害の急迫性を否定すべき事案(131)
(2)判断のプロセス(134)
第5 本章のまとめ135
第4章 通常の暴力的闘争類型の処理137
第1 問題の所在137
第2 侵害の急迫性の判断と被侵害者の態度138
1 判例・裁判例(139)
(1)実務家が提唱する類型に該当する事例(139)
(2)実務家が提唱する類型に該当しない事例(150)
2 検 討(156)
(1)考慮されている事実(156)
(2)考慮されている被侵害者の態度の共通点(157)
第3 通常の暴力的闘争類型の処理158
1 被侵害者の態度の分類(158)
(1)実務家の提唱する類型に該当する態度(158)
(2)実務家の提唱する類型に該当しない態度(160)
(3)複合的な事例の処理(162)
2 被侵害者の態度と正当防衛状況の判断(163)
(1)出向き型(164)
(2)突発型(165)
3 同類型を用いた事案の処理(167)
(1)通常の相互闘争状況事案の処理(167)
(2)相互闘争状況事案の処理プロセス(169)
第4 本章のまとめ170
第1部 まとめ172
第2部 相互闘争状況における正当防衛の判断の実体
第2部 はじめに177
第1章 正当防衛状況という判断基準の意義及び機能180
第1 問題の所在180
第2 最高裁平成20年5月20日決定181
1 判例(181)
(1)事案の概要(181)
(2)訴訟の経緯(181)
(3)裁判所の判断:最決平20・5・20(刑集62巻6号1786頁)(182)
2 検討(183)
(1)本決定の特徴(183)
(2)判示事項の位置付け(185)
(3)判示内容の意義(187)
第3 平成20年決定以前の裁判実務192
1 最高裁昭和52年7月21日決定(194)
(1)判例(194)
(2)検討(195)
2 昭和52年決定以降の判例・裁判例(201)
(1)積極的加害意思を問題にした事例(202)
(2)積極的加害意思を問題にしていない事例(209)
(3)自招防衛の要素も含んだ事例(216)
第4 正当防衛状況という判断基準の意義及び機能221
1 裁判実務における判断の内実(222)
(1)事案の処理に際しての価値判断(222)
(2)正当防衛状況の意義(232)
2 相互闘争状況における正当防衛の事例類型との関係(236)
(1)強力な反撃準備類型との関係(237)
(2)出向き型・突発型との関係(237)
(3)家庭内の暴力的闘争類型との関係(238)
第5 本章のまとめ239
第2章 自招防衛という理論の必要性241
第1 問題の所在241
第2 わが国における自招防衛の学説242
1 検討対象の整理(243)
(1)考慮方法による分類(244)
(2)背後にある法原理による分類(247)
2 特別な理論としての自招防衛(249)
(1)検討の視点(249)
(2)学説の検討(250)
第3 ドイツの裁判実務における自招防衛の意義254
1 ドイツにおける自招防衛の理論(255)
(1)通説と判例の概要(255)
(2)検討(258)
2 BGH判例における自招防衛の判断の実質(260)
(1)侵害招致行為の性質が問題にされた判例(260)
(2)侵害招致行為と侵害行為の関連性が問題にされた判例(267)
3 ドイツにおける自招防衛の判断の実質(270)
(1)わが国の判例との比較(270)
(2)ドイツにおける自招防衛の実質的な意義(272)
第4 自招防衛という理論の必要性273
1 わが国の裁判実務における自招防衛の意義(274)
(1)侵害招致行為の意義(274)
(2)自招防衛という問題設定の意義(275)
2 自招防衛の適切な処理(277)
第5 本章のまとめ278
第3章 平成20年決定以降の下級審裁判例における
正当防衛状況280
第1 問題の所在280
第2 平成20年決定以降の下級審裁判例281
1 裁判例(281)
(1)一般的な理解に従っていない裁判例(281)
(2)一般的な理解に従っている裁判例(292)
2 検討(294)
(1)平成20年決定以降の裁判例の状況(294)
(2)正当防衛状況の二義性(296)
第3 平成20年決定以降の下級審裁判例における正当防衛状況297
1 事案の処理における機能(298)
(1)「要件」としての機能(298)
(2)「争点」としての機能(299)
2 裁判実務において要請される機能(300)
(1)「要件」としての機能の意義(300)
(2)「争点」としての機能の意義(301)
第4 本章のまとめ303
第4章 現在の裁判実務における相互闘争状況事案の処理304
第1 問題の所在304
第2 最高裁平成29年4月26日決定305
1 判例(305)
(1)事案の概要(305)
(2)訴訟の経緯(306)
(3)裁判所の判断:最決平29・4・26(刑集71巻4号275頁)(307)
2 検討(308)
(1)本決定の意義(308)
(2)従来の判例との関係(313)
(3)平成29年決定の意図(317)
第3 平成29年決定以降の下級審裁判例318
1 裁判例(319)
(1)事案の性質が類似した事例(319)
(2)事案の性質が異なる事例(322)
2 検討(329)
(1)平成29年決定の影響(329)
(2)判断の内実(333)
第4 現在の裁判実務における相互闘争状況事案の処理337
1 現在の裁判実務の立場(337)
(1)急迫性と正当防衛状況の関係(337)
(2)事案の処理における機能(339)
(3)価値判断の実体(339)
2 今後の展望(340)
(1)判断基準の使い分けの要否(340)
(2)事案の処理に用いる際の留意点(342)
第5 本章のまとめ343
第2部 まとめ345
結論 349
第1 検討内容のまとめ349
1 事案の処理基準(349)
2 判断の実体(352)
第2 裁判実務に対する意義355
1 本書の検討の実務的な意義(355)
2 刑事裁判における要件事実的思考との関係(358)
第3 今後の展望359
判例索引363