憲法と抵抗権
「憲法の番人」は誰か後藤光男 著
定価:6,600円(税込)-
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発行:
2023年03月20日
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判型:
A5判上製 -
ページ数:
296頁 -
ISBN:
978-4-7923-0714-1
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内容紹介
《目 次》
はしがき
序章 抵抗権の本質と法的性格 ?1
第1節 序説 ?1
第2節 抵抗権の根拠づけ(本質と法的性格) 5
1 非実定法説(道徳、宗教、自然法上の義務説) 5
2 自然法説 11
3 実定法説(1) 基本的人権説 16
4 実定法説(2) 国民主権説 25
5 実定法・自然法併有説 29
6 マルクス主義抵抗権説 34
7 小括―人権形成史(田畑忍・天野和夫)と国民主権(野田良之)による抵抗権の根拠づけ― 48
第3節 抵抗権論の課題 50
1 樋口陽一の抵抗権論 50
2 残された課題 56
第1章 日本国憲法と抵抗権 65
はじめに 65
第1節 抵抗権の憲法上の根拠 70
第2節 抵抗権を行使する場合とその基準 73
1 抵抗権を行使する場合 73
2 抵抗権行使の要件(基準) 78
第3節 抵抗権を行使する方法―抵抗権と市民的不服従― 81
1 抵抗権行使の形態 81
2 抵抗権行使の方法・手段 83
3 抵抗権と市民的不服従のちがい 87
第4節 抵抗権行使の効果―組織的保障と未組織的・非制度的保障― 88
1 裁判所による組織的保障か未組織的保障か 89
2 裁判所による組織保障と違法阻却 90
(1)刑事法上の違法阻却
(2)民事法上の違法阻却
3 抵抗権行使の効果と未組織的保障 104
第5節 結語 104
第2章 国民主権に基づく抵抗権 107
序説 107
1 「抵抗の憲法学」と「制度としての憲法学」 107
2 「主権」という考え方 110
第1節 日本国憲法前文の国民主権と政治信託 114
1 国民主権と国民の信託 114
2 ジョン・ロックの政治信託と抵抗権 118
3 トマス・ジェファソンとアメリカ独立宣言 121
4 日本国憲法とジョン・ロックの政治哲学 122
第2節 政治信託とジョン・ロックの政治思想 123
1 政治社会の成立と政府への信託 123
(1)政治社会の成立
(2)政府への信託
2 信託違反と政府の解消 124
(1)信託違反
(2)信託の解消
3 信託違反の判断権者と人民の抵抗権 125
(1)信託違反の判断権者
(2)人民の抵抗権・革命権
第3節 ジョン・ロック抵抗権思想からの示唆 126
1 信託違反の法的性格 127
2 信託違反の具体例 129
結び―日本国憲法と国民主権に基づく抵抗権― 130
第3章 市民的不服従の理論 133
第1節 市民的不服従とは 133
1 市民的不服従の定義と行使形態 133
(1)市民的不服従の定義
(2)市民的不服従の行使形態(非暴力抵抗)
2 市民的不服従の系譜 137
(1)市民的抵抗の歴史
(2)市民的不服従としての良心的兵役拒否
(3)市民的抵抗の実践事例
第2節 市民的不服従と抵抗権との関係 151
1 市民的不服従と抵抗権 151
2 「大きな抵抗権」と「小さな抵抗権」 152
(1)伝統的・古典的な意味での抵抗権
(2)抵抗権の新しい理解―「小さな抵抗権」―
第3節 市民的不服従の理論 164
1 ジョン・ロールズ:市民的不服従の正当化 164
2 ハンナ・アレント:自発的結社としての市民的不服従 170
3 寺島俊穂:市民的不服従の運動力学 173
第4節 結語 176
第4章 日本における市民的不服従―戦争(暴力)・差別・天皇制― 179
第1節 市民的不服従と税金拒否―アメリカの事例から学ぶ―
180
1 税金拒否(Tax Resistance)の歴史 180
2 ベトナム戦争と戦争税拒否 181
第2節 良心的軍事費(戦争税)拒否 184
1 伊藤静男弁護士らの防衛費不払い訴訟 185
2 キリスト教徒を中心とした〈良心的軍事費拒否の会〉 186
第3節 指紋押捺拒否 187
1 市民的不服従と指紋押捺拒否 187
2 指紋押捺制度と抵抗運動 188
(1)日本国憲法と旧植民地出身者の処遇
(2)指紋押捺制度の制定から廃止まで
3 指紋押捺を強制されない権利 194
(1)最高裁の立場
(2)学説の立場
第4節 「君が代・日の丸」への抵抗 198
1 「日の丸・君が代」問題 198
(1)国民国家の立ち上げ
(2)「君が代」の歴史
(3)「日の丸」の歴史
(4)国旗・国歌法の成立とその違憲性
(5)国旗・国歌がなぜ強制されるのか
(6)元号法の違憲性
2 思想・良心の自由と市民的不服従 210
(1)憲法19条の思想・良心の自由
(2)「君が代」ピアノ伴奏拒否事件
(3)「日の丸」「君が代」起立斉唱拒否事件
3 「日の丸・君が代・天皇制」に委縮する裁判所 224
第5節 結び 227
第5章 憲法保障と抵抗権―「憲法の番人」の番をする者は誰か― 229
はじめに 230
第1節 憲法秩序の保障と抵抗権―有倉遼吉『憲法秩序の保障』解題― 231
1 憲法秩序の保障とは 231
(1)憲法保障に関する「法の解釈」
(2)近代憲法と現代憲法―国家権力の質の分析の必要性―
(3)自由権と社会権における抵抗権の発現形態
2 憲法秩序を「何から」保障するのか 233
3 憲法秩序を「どのような手段」によって保障するのか 234
(1)法的保障としての「司法審査制」の限界
(2)政治的保障としての権力分立制
(3)小括
4 憲法保障の担い手としての国民 238
(1)国民のもつ憲法保障手段
(2)保障の担い手としての国民組織
(3)憲法保障をめぐる国民的課題
第2節「憲法の番人」としての最高裁判所 240
1 憲法の解釈 241
2 司法審査制と憲法裁判所―具体的事件性と抽象的違憲審査― 243
(1)司法権と具体的事件性
(2)司法権と憲法裁判所(抽象的違憲審査)
3 統治行為の理論 249
(1)統治行為の判例
(2)統治行為の学説
(3)統治行為理論の評価
4 裁判官の意識―裁判官任命制度と罷免制度― 260
(1)内閣の裁判官選任権
(2)裁判官任命諮問委員会
(3)最高裁判所裁判官任命の慣行
(4)最高裁判所裁判官の罷免制度―国民審査制―
第3節 「憲法の番人」の番人は誰か 267
1 番人の番人は誰か―立憲主義と国民の抵抗権― 267
2 個人・国民・国民組織(市民運動団体) 272
(1)国民
(2)個人
(3)国民組織・市民運動団体
第4節 結語 274
1 国家権力の質の分析 274
2 「憲法の番人」と抵抗権 278
人名索引 281
事項索引 284