対話の会20年の修復的司法実践
RJ叢書13

対話の会20年の修復的司法実践

被害者加害者対話から
山田由紀子 著
定価:4,400円(税込)
  • 在庫:
    在庫があります
  • 発行:
    2023年05月10日
  • 判型:
    A5判上製
  • ページ数:
    186頁
  • ISBN:
    978-4-7923-5393-3
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内容紹介

《目 次》

はしがき

第1章 修復的司法との出会いから実践へ
1 修復的司法との出会い 1
2 対話の会の設立 3
3 少年事件のみを対象に実践を始めた理由 4
4 弁護士の目から見た日本の刑事・民事司法と修復的司法 6
 (1) 刑事弁護経験から見た刑事裁判(6)
 (2) 民事訴訟代理人弁護士経験から見た民事裁判(7)
 (3) 修復的司法と刑事民事司法との違い(8)

第2章 対話の会による修復的司法実践
1 「対話の会」とはどのようなものか 10
 (1) 被害者家族(遺族)からの申込み(10)
 (2) 「対話の会」の開催(11)
 (3) 「対話の会」が終わって(12)
2 NPO法人対話の会による修復的司法の実践 13
 (1) 対話の会の現在(13)
 (2) 20年間の軌跡(13)
3 対話の会のプログラム 14
 (1) プログラムの目的(15)
 (2) プログラムの内容(15)
  a 申込みの受付と進行役の選任(15)  
  b 「対話の会」の準備(16)
  c 「対話の会」の実施(16)  
  d 「対話の会」のフォローアップ(19)
  e 対話の会の運営(19)  
  f 少年司法・刑事司法との関係(20)
4 進行役の役割と研修 21

第3章 修復的司法の基本理念から見た対話の会20年の実践
1 修復的司法の基本理念 23
2 世界的な実証研究の積み重ねによって裏付けられた修復的司法の実践の効果 25
 (1) 被害者のニーズの充足度(27)
 (2) 加害者の再犯率(29)
3 国連基本原則に見る修復的司法の基本理念 30
4 基本理念から見た対話の会の実践 34
 (1) 対話の会での修復的司法の捉え方(34)
 (2) 被害者のニーズを満たす(36)
  a 修復的司法理念の中核にある「害(ハームharm)」(36)
  b 「害」に対する被害者のニーズ(36)
  c 殺人・性犯罪等の重大事案と被害者のニーズ(40)
 (3) 加害者の責任とニーズ(42)
  a 修復的責任と加害者自身のニーズ(42)  
  b 修復的責任(43)
  c 加害者自身のニーズ(44)
 (4) 地域社会(コミュニティ)の参加とニーズ(46)
  a 地域社会(コミュニティ)の意味(46)  
  b 地域社会のニーズ(47)
 (5) 対話の会は三者のニーズを満たし修復を実現できたか(50)
  a 開催された「対話の会」での対話と合意による修復(50)
  b 「対話の会」が開催されなくとも可能な一定の修復(53)
 (6) 既存の刑事・民事司法にはない修復と解決策(56)
  a 修復的な謝罪(56)  
  b 現実的に履行可能な償い(57)
  c 当事者のニーズに合致した修復のための方策(57)

第4章 国連基本原則から見た対話の会20年の実践
1 修復的司法プログラムが適正に使用・実施されるための国連基本原則 59
2 使用の前提と段階に関する原則 59
 (1) 使用の前提に関する原則(59)
 (2) 使用の段階に関する原則(61)
3 参加の任意性に関する原則 63
4 安全性に関する原則 65
5 公平性を保証する基本的な手続保障の原則 66
 (1) 弁護士に相談する権利(66)
 (2) 翻訳及び/又は通訳を受ける権利(69)
 (3) 未成年者が親又は後見人の支援を受ける権利(69)
 (4) 参加前に自分の権利と修復的過程について十分な情報提供を受ける権利(69)
 (5) 被害者だけでなく加害者も参加・合意を強制され又は不公正な方法で説得されないこと(71)
6 秘密保持の原則 72
7 合意の自発性・合理性および影響との均衡の原則 73
 (1) 合意の自発性(73)
 (2) 合意の合理性(憲法上の基本的人権・法的権利の保障等)(74)
 (3) 合意の内容と犯罪の影響との均衡の原則(75)
 (4) 合意の効力(78)
8 進行役の公正公平性,当事者の尊厳・自主性の尊重,適性に関する原則 79
 (1) 公正公平性(79)
 (2) 当事者の尊厳の尊重(79)
 (3) 当事者の自主性の尊重(80)
 (4) 地域の文化・コミュニティへの理解(81)
 (5) 進行役の訓練(81)

第5章 実践で出会った課題場面と対応
1 申込み受理の可否 83
 (1) 申込者のニーズの明確化(83)
 (2) 法的手段と対話の会との選択(83)
 (3) 申込者の心理的精神的状況(86)
 (4) 未成年者の参加と親の同意(87)
 (5) 真の謝罪の意志(87)
 (6) 当事者家族内での意見の対立(88)
2 相手方への手紙と電話,面談 91
 (1) 相手方の参加の任意性とニーズの有無(91)
 (2) 相手方への手紙の内容(92)
 (3) 相手方との面談(93)
3 相手方が対話の会の手続に参加しない場合の申込者への配慮 94
4 対話の会開催までの事前準備 95
 (1) 事前面談の重要性(95)
 (2) 同一進行役2名による当事者双方との事前面談(96)
5 対話の会開催の可否 97
 (1) 直接対話と間接対話(97)
 (2) 相手の人格を尊重して対話できるという適格性(97)
 (3) 言語による自己表現能力(99)
 (4) 償いを誠実に履行する意志と可能性(100)
 (5) 複数当事者の対話の会(101)
6 開催した「対話の会」での進行 104
 (1) 対話の会の基本ルール(104)
 (2) 座席割りのプラン(105)
 (3) 被害者加害者どちらが先に話すか(106)
 (4) 参加者主体の対話にするために(107)
7 対話の会での合意と合意文書 108

第6章 少年院・刑務所内での「被害者の視点を取り入れた教育」
1 少年院・刑務所における「被害者の視点を取り入れた教育」 111
2 対話の会による少年院内での被害者視点グループワーク 113
 (1) プログラムの概要(113)
 (2) プログラムの内容(114)
 (3) 少年たちの思い込みと実際の被害者(117)
 (4) 少年たちの積極性と真摯さ(118)
 (5) 少年たちの"ハハァ体験"や"気づき"(118)
 (6) 全7回・6か月での少年たちの変容(119)
 (7) "気づき"の援助をする意義(120)
3 刑務所における被害者視点教育への協力 121
 (1) 刑務所における被害者視点教育(121)
 (2) 刑務所における被害者視点教育への対話の会の協力(121)
 (3) 考えさせられる「真の謝罪」(122)
4 少年院・刑務所での活動の意義 123

第7章 課題と展望
1 20年間の被害者施策・加害者施策と社会の変容 124
2 対話の会は何ができ何ができなかったのか 125
3 対話の会がこれからすべきこと 126


脚注 129
資料 137
1 進行役のマニュアル(準備編)(139)
2 進行役のマニュアル(実施編)(143)
3 進行役養成セミナープログラム(147)
4 進行役養成ステップアップセミナープログラム(148)
5 刑事事件における修復的司法プログラムの使用に関する基本原則(149)
6 NPO法人対話の会の実践報告(155)
7 「対話の会」が実践で使用している[シート1]~[シート12](163)