人身損害賠償法の研究
住田守道 著
定価:9,350円(税込)-
在庫:
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発行:
2024年02月01日
-
判型:
A5判上製 -
ページ数:
416頁 -
ISBN:
978-4-7923-2802-3
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内容紹介
《目 次》
はしがきi
初出一覧xii
序章1
第Ⅰ部 人身損害賠償法の世界 ―総論及び1970年以降の展開の前提確認
第1章 フランス人身損害賠償法の世界 ―その独自性と自律性― 13
第1節 はじめに 13
第2節 人身損害賠償法領域の展開 14
第3節 人身損害賠償法の自律性に関する諸学説 20
第4節 終わりに 30
第2章 人身損害賠償算定における包括的評価の慣行実務とその衰退―算定論深化の前提的要因― 33
第1節 はじめに 33
第2節 従来の裁判実務慣行(1973年法以前の実務状況) 34
第1款 損害賠償に関する裁判実務上の包括的な評価方法 34
第2款 社会保障給付に関する求償問題の局面での困難 38
第3款 裁判実務上の取り扱い 42
第3節 社会保障機構の求償に関する1973年12月27日法 45
第1款 前提 45
第2款 1973年法による社会保障法典第397条第1項・470条3項の改正 47
第3款 立法趣旨 48
第4款 同法の審議過程の検討 49
第5款 学説の評価 52
第6款 1973年法の意義及び影響 52
第4節 小括 54
第5節 まとめ 55
第Ⅱ部 人身損害賠償算定論の発展 ―非財産的損害の拡充及び算定方式
第1章 フランスの人身損害賠償の算定実務(1970年代までの各種損害―発展前史) 59
第1節 序 59
第2節 フランス人身損害賠償実務の前提 ―不法行為法における「損害」要件 60
第3節 人身侵害から生ずる賠償されるべき損害(1973年法以前) 64
第1款 各損害項目の概要 65
第2款 不能の期間による各損害の分類 79
第3款 「永久的不能」の性格 79
第4款 損害項目間の区分 82
第5款 小括 83
第4節 1973年法制定の影響 ―損害の内容の変化― 83
第1款 包括的評価の否定 83
第2款 1973年法に列挙された各損害項目の内容 84
第3款 まとめ 94
第2章 フランスの人身損害賠償の算定実務(1970年代以降) 95
第1節 序 95
第2節 新たな非財産的損害項目の漸次承認 96
第3節 「人身損害賠償に関するレポート」(2003年)及び民法典(債務法・時効法)改正準備草案(2005年) 106
第4節 学説の評価(個別の損害内容及び算定方式) 109
第1款 学説の議論状況 109
第2款 分析 118
第3章 算定実務の現状(いわゆるDintilhacレポート及びその後の展開) 121
第1節 Dintilhacレポート(2005年)までの経緯 121
第2節 同レポートにおける直接被害者の非財産的損害 124
第3節 個別項目立ての意義 128
第4節 Dintilhacレポートその後 131
第1款 序 131
第2款 減収に現れ難い経済的不利益の非財産的損害の側面の把握 132
第3款 不安状況を理由とする非財産的損害(特に身体侵害に及ばない場合の損害の検討) 139
第4款 その他 160
第4章 薬害等における非財産的損害の把握①(HIV感染被害) ―非財産的損害の包括的評価の是認― 164
第1節 はじめに 164
第2節 HIV感染における非財産的損害の内容と賠償方法 ―1991年法以前の状況 165
第1款 フランスにおけるHIV感染の問題状況 165
第2款 1991年法以前の裁判例に見られる非財産的損害の賠償 170
第3款 学説の理解 177
第3節 1991年法に基づく補償基金による非財産的損害の把握 180
第1款 1991年法による補償の対象 180
第2款 補償の対象となる損害について 184
第3款 感染特有損害の補償金の支払い方法 ―被害の段階と支払いの分割 197
第4款 補償金の補完的請求の可否 200
第5款 小括 203
第4節 分析 ―HIV感染被害における損害の包括的な把握の形態と原因― 204
第1款 感染特有損害の特徴 204
第2款 包括的評価の原因・根拠 208
第3款 人身損害賠償における非財産的損害の特性 211
第5章 薬害等における非財産的損害の把握②(C型肝炎被害) ―非財産的損害の包括的評価の限界付け― 213
第1節 はじめに 213
第2節 包括的な非財産的損害の評価 214
第1款 HIV感染被害以外の場面における感染特有損害の当否 214
第2款 包括的項目と他の非財産的損害項目との非両立?(併存的賠償の否定例) 224
第3節 判例における包括的把握の不徹底と学説の評価 226
第1款 併存的な賠償の肯定例 ―特に機能障害との関係― 226
第2款 包括的項目の構成要素の分析の必要性 235
第3款 Dintilhacレポートから司法省のデクレ草案へ 240
第4款 小括 242
第4節 分析 ―なぜ完全包括的損害項目は貫徹されなかったのか― 243
第1款 包括的損害項目と他の項目の併存 243
第2款 包括的損害項目の貫徹 ―HIV被害とC型肝炎被害での対応の相違点― 245
第3款 背後にある要請の確認 ―非財産的損害把握に対する全部填補原理 247
第6章 第Ⅱ部の全体的検討 250
第1節 整理 250
第2節 分析 256
第1款 項目別による非財産的損害の賠償の展開について 256
第2款 非財産的損害の賠償における損害項目の意義 260
第3款 非財産的損害概念の把握 262
第Ⅲ部 算定論の基礎・支柱 ―原理、算定ツール、立証方法及び損害の捉え方
第1章 全部填補の原理と「事実審裁判官の専権」統制論 ―算定の原理とツール― 269
第1節 基本原理の具体的現れ方 269
第2節 フランス法における損害の算定及び評価の理論 271
第1款 損害の全部填補(réparation intégrale)の原理 271
第2款 損害評価方法 273
第3款 人身損害賠償に特別の各種ツール 276
第3節 非財産的損害の評価に対するコントロール論展開の諸側面 279
第1款 従来のアプローチ?(裁判実務での損害の認定と、破毀院による統制) 279
第2款 近時の立法的アプローチ(立法による統制、とくにTerre草案に見られた手法) 281
第3款 整理・分析 284
第4節 終わりに 286
第2章 人身損害賠償における医学鑑定の活用 ―損害の立証及び損害の捉え方― 287
第1節 はじめに 287
第2節 フランスにおける人身侵害の非財産的損害の賠償と後遺障害の構造 287
第1款 損害の項目立てと鑑定実務 287
第2款 各種損害項目と構造論との対応関係 296
第3節 分析 301
結章 304
第1節 全体的分析 304
第2節 人身損害賠償における私生活上の活動領域の構想及び人間像の把握 311
第3節 終わりに 316
補章 非財産的損害の評価とその賠償金の法的性質 ―遷延性意識障害のケースを対象に― 321
前置き 321
第1節 はじめに 321
第2節 遷延性意識障害における非財産的損害の賠償の可否 325
第1款 問題状況 325
第2款 苦痛という損害の存在(リアリティ) 330
第3款 賠償金支払いの意味 337
第4款 小括 341
第3節 整理と分析 341
第1款 損害の有無をめぐる争いについて 341
第2款 人間の尊厳や人間像を巡る対立について 342
第3款 賠償金の目的について 344
第4節 終わりにかえて 345
参考文献 347
事項索引 397