裁判員裁判のいま

裁判員裁判のいま

市民参加の裁判員制度7年経過の検証
濱田邦夫/小池振一郎/牧野茂 編著
定価:2,750円(税込)
  • 在庫:
    在庫があります
  • 発行:
    2017年05月21日
  • 判型:
    A5判並製
  • ページ数:
    244頁
  • ISBN:
    978-4-7923-5208-0
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内容紹介

目  次
裁判員制度と刑事司法──人間を扱う裁判と受刑者の処遇(矯正から共生ヘ)──
濱田 邦夫
はじめに 1
1 刑事裁判における被告人の「人間像」──司法臨床の視点── 2
2 行刑について──矯正から共生へ 6
第1部 裁判員裁判の展開
第1章 体験者から見た裁判員裁判
第1節 裁判員経験者の体験 9
大城  聡=坂上 暢幸
1 裁判員体験共有の必要性 9
2 裁判員になるまで──選任手続── 10
⑴ 裁判員候補者名簿記載通知 (10) ⑵ 呼 出 状 (10)
⑶ 裁判所に呼び出された当日 (11)
3 裁判員に選ばれて 11
⑴ 裁判にかかる日数と時間について (11)
⑵ 戸惑いと緊張の中で──突然選ばれて── (12)
⑶ 仕事・家事と裁判員 (13)
⑷ 審理──わかりやすさをめぐって── (14)
⑸ 評議──評議室の雰囲気── (15)
4 裁判員を終えて 16
⑴ 判決後の記者会見 (16)
⑵ 被告人の「その後」──控訴を考える── (17)
⑶ 被告人の「その後」──更生を考える── (18)
⑷ 人の人生を決める重みと問い (19) ⑸ 死刑と向き合う裁判員 (20)
⑹ 変化の中にある裁判員経験者 (21)
⑺ 人を変える裁判員経験──考え方、行動の変化へ──(21)
5 裁判員体験と共有の意義 22
⑴ 次の裁判員へバトンをつなぐこと(22)
⑵ 裁判員経験が社会に共有されない──守秘義務の壁──(23)
第2節 3名の裁判員体験談 26
牧野  茂
1 千葉地裁Aさんからのインタビュー(平成24年7月20日実施) 26
序論 インタビューの趣旨(26)
⑴ 最初の質問(自己紹介兼ねて)どんな事件で何日間裁判員を務めたか(26)
⑵ 選任手続まで(26) ⑶ 審理開始初日(28) ⑷ 2日目以降(30)
⑸ 論告、弁論(31) ⑹ 評   議(31) ⑺ 守秘義務について(33)
⑻ 記者会見について(34) ⑼ 審理終了後(34)
⑽ 裁判員経験者の相互交流について(35)
⑾ これから裁判員になる人への助言(36)
⑿ 今後の裁判員経験者の役割(37)
2 小田さん、松尾さんからのインタビュー(平成24年5月10日実施) 37
序論 インタビューの趣旨(37)
⑴ 最初の質問(自己紹介兼ねて)どんな事件で何日間裁判員を務めたか(38)
⑵ 選任手続まで(38) ⑶ 審理開始初日(39) ⑷ 2日目以降(40)
⑸ 論告、弁論(41) ⑹ 評   議 (41) ⑺ 守秘義務について(42)
⑻ 記者会見について(43) ⑼ 審理終了後(44)
⑽ 裁判員経験者の相互交流について(45)
第2章 裁判員裁判の仕組み 大城  聡
1 裁判員制度の概要 47
⑴ 刑事裁判への市民参加(47) ⑵ 裁判員の選ばれ方(47)
⑶ 裁判員の役割(48)
2 制度導入の経緯 48
3 なぜ刑事裁判に市民が参加するのか 48
⑴ 最高裁判所の見解(49) ⑵ 検察庁・法務省の見解(50)
⑶ 日本弁護士連合会の見解(51)
4 裁判員制度の運用状況 52
⑴ 裁判員の選任状況(52) ⑵ 裁判員裁判による判決(52)
5 裁判員法の改正 53
第3章 裁判員体験の共有と裁判員への対応 牧野  茂
1 裁判員経験者ネットワークの設立 54
2 裁判員経験者ネットワーク有志による緊急提言 55
3 裁判所の対応 56
⑴ 裁判所の意見交換会(56) ⑵ 残酷な証拠への配慮(56)
⑶ 裁判所の広報活動(56) 
⑷ 臨床心理士を講師とする裁判官への講演(57)
4 明治安田こころの健康財団からの助成金研究と論文提出 57
⑴ 助成金研究の調査と結果報告(57)
第2部 臨床心理士とカウンセリング
第1章 臨床心理士から見た裁判員裁判 西村 寛子=堀内 美穂
1 臨床心理士の登場 61
⑴ 裁判員制度のセミナー開催(61) ⑵ 模擬裁判への参加(61)
⑶ 最高裁への提言(62) ⑷ 交流会の開催(62)
2 臨床心理士の裁判員裁判体験談 62
⑴ 裁判員を体験して(63) ⑵ 心理状態の変化(64)
⑶ 心理的負担(65) ⑷ 充実感と達成感(67)
⑸ 裁判員に対する心理的負担の軽減(69)
3 裁判員体験のもたらすもの 70
⑴  選任されることの意味──日常生活への切れ目・横軸から縦軸へ・個の
立ち上がり──(70)
⑵ 「私」に開かれていくこと──渾身の力を発揮する──(71)
⑶ その深み──加害性に繋がり、開かれていくこと──(73)
⑷ 縦軸から横軸へ・日常生活への帰還(75)
⑸ 裁判員体験のその後──新しい市民意識の誕生──(75)
〔添付資料1〕 (76)
  裁判員体験者の「心のケア」に「アフターケア・グループ」導入の提言
 2009年5月20日
 最高裁判所長官宛 NPO法人朝日カウンセリング研究会 
〔添付資料2〕 (84)
 裁判員の心理的負担についての裁判所の対応策への緊急提言
 2010年12月9日
 最高裁判所長官宛 裁判員経験者ネットワーク有志5名連名 
第2章 刑事裁判とカウンセリング 濱田 華子
1 刑事被告人に対するカウンセリング 92
⑴ はじめに(92) ⑵ 刑事被告人に対するカウンセリングの必要性(92)
⑶ 刑事被告人はどんな人たちか(93)
2 規範意識 94
⑴ 規範意識の形成(94) ⑵ 規範意識の構成要素──ことば──(95)
⑶ 情緒を耕す(98)
3 カウンセリングの実際 99
⑴ 面会室はどんなところか(99) ⑵ ことばが届く(100)
⑶ 受容される心強さ(101) ⑷ 関係を結ぶ(104)
⑸ 法廷とは(105)
第3部 刑務所改革と量刑の在り方
──裁判員裁判と量刑を考えるために──
小池 振一郎
第1章 裁判員裁判による変化
1 日本の刑事司法の在り方に変化 109
2 量刑の変化 110
3 保護観察の増加 111
4 実刑判決後に関心 112
第2章 日本の刑事拘禁施設
1 刑務所の一日 113
2 監獄法下の実態 114
⑴ 厳格な規律維持を求める監獄(114) ⑵ 代用監獄制度(115)
3 監獄法改正 116
⑴ 行刑改革会議提言(116) ⑵ 刑事被収容者処遇法制定(117)
⑶ 監獄法改正後の現場──揺り戻し──(118)
4 刑務所のいま 119
⑴ 被収容者の数(119) ⑵ 重罰化のながれ(120)
⑶ 仮釈放の抑制(121) ⑷ 高い職員負担率(123)
⑸ 深刻な医師不足(123) ⑹ 再犯の増大(124)
第3章 ヨーロッパの施設を見て
1 ヨーロッパの施設 126
2 フランスの行刑改革 127
⑴ 行刑改革の流れ(127) ⑵ 市民社会を刑務所に入れていく(128)
第4章 日本の行刑改革の方向
1 改革の方向性──更生と社会復帰の促進── 130
2 医療の独立を 131
3 賃金制の導入を 131
4 健康保険・雇用保険・労災保険の適用を 132
5 薬物使用者の治療 133
6 施設内処遇と社会内処遇の連携──民間人の活用── 133
⑴ 矯正と保護の連携(133) ⑵ 専門家との連携(134)
7 現在進行中の改革 135
⑴ PFI刑務所の出現(135) ⑵ 長崎地検などの更生支援(136)
第5章 裁判員裁判と量刑の在り方
1 刑罰の目的 137
2 量   刑 138
⑴ 量刑相場(138) ⑵ 無期刑もない国(138)
⑶ 量刑の相対性(139)
3 重罰化への疑問 139
4 裁判員の量刑関与について 141
⑴ 裁判員の量刑に関与するメリット(141)
⑵ 裁判員裁判の上級審での見直し(142)
⑶ 裁判員裁判と死刑判決(144)
第4部 裁判員裁判の成果と課題
第1章 裁判員裁判の成果 牧野  茂
1 口頭主義、直接主義の徹底 145
⑴ 市民参加の影響(145) ⑵ 書証から尋問へ(146)
⑶ 訴訟関係人の工夫(146)
2 弁護人への証拠開示の拡大 147
3 無罪推定原則の実現 149
⑴ 千葉地裁チョコレート缶事件(覚醒剤密輸事件)(149)
⑵ 東京地裁住居侵入・窃盗・現住建造物放火事件(150)
⑶ 鹿児島地裁強盗殺人等死刑求刑事件(151)
4 判決後の被告人の行刑や更生まで考慮する判決の増加 153
5 刑事事件や犯罪を他人ごとでなく自分たちの問題と捉える意識 153
第2章 裁判員裁判の課題
第1節 立法面・運用面での課題 154
牧野  茂
1 防御権の保障 154
⑴ 裁判員制度に伴う課題(154) ⑵ 全面証拠開示への法改正(155)
2 評議の守秘義務 155
⑴ 評議の守秘義務(155) ⑵ 守秘義務規定の弊害(155)
3 裁判員の心理的負担軽減の必要性 156
⑴ 裁判員の職務遂行に伴う心理的負担(156)
⑵ 心理的負担のデータ(156) ⑶ 対策の必要性(157)
4 死刑事件──死刑事件を対象事件とすべきか── 157
5 事実認定の審理と量刑手続きの二分論 158
6 裁判員裁判の対象事件 158
7 裁判員裁判と上訴審の関係
 ──裁判員裁判での無罪判決が高裁で逆転有罪とされる問題── 158
第2節 こころの負担ケアと評議の秘密の弊害の運用面の改善 160
はじめに 160
1 裁判員経験者ネットワークの設立 160
2 裁判員経験者ネットワークの活動状況 161
⑴ 第1回交流会(161) ⑵ その後の交流会活動(161)
⑶ 最高裁への緊急提言(161) ⑷ 市民集会開催(161)
⑸ 裁判員経験者ネットワークの組織化、会則の制定(162)
⑹ 「刑務所の今」シンポジウムの開催──ACOと共催──(162)
⑺ 裁判員裁判とカウンセリング(162)
3 「明治安田こころの健康財団」からの研究助成金と論文提出 162
⑴ 助成金決定の対象に選出(162) 
⑵ 助成金研究の調査・研究の開始(162)
 ①  質問項目作成と経験者からの回答集めの報道協力依頼や同種経験者交
流組織への協力依頼活動(162)
 ② 質問用紙の回答書42通の結果集計(163)
  添付資料 裁判員経験者の皆様へのアンケート用紙(164)
 ③ アンケート調査と面談調査を踏まえての公開シンポジウム開催(168)
第3節 課題への日弁連の提言 179
1 3年後見直しに向けた立法提言 179
はじめに 179
 1 守秘義務規定の改正提言 179
 【改正その1】???守秘義務規定自体の法改正???(179)
 ⑴ 評議がブラックボックスになっていることの重要な弊害(179)
 ⑵ 守秘義務規定の立法理由の重要性の再検討と弊害の重大性との対比(179)
 ⑶ この守秘義務罰則大幅軽減提言を実施する場合の課題について(181)
 ⑷ 立法化した場合の運用面での注意点(182)
 【改正その2】???第三者検証機関の設置???(182)
 ⑴ 設置場所(182) ⑵ 基本構成員(183)
 ⑶ 裁判員からの情報収集の方法(183)
 ⑷ 収集した情報の処理管理と結果の公表(183)
 2 裁判員の心理的負担軽減への意見書 183
 ⑴ 法律の制定──裁判員法102条の2(心理的負担に関する保護措置)(183)
 ⑵ 規則の制定(183) ⑶ 立法理由(184)
 3 死刑の量刑判断に関する意見書 184
 4 公訴事実に争いのある事件における公判を二分する規定の新設 186
 5 裁判員裁判対象事件の拡大 187
 6 証拠開示規定の拡大 187
 7 被告人側に公判前整理手続きに付することの請求権を認める法改正 187
 8 少年逆送事件の裁判員裁判に関する意見書 188
 9 裁判員に対する説明に関する規定の改正 188
2 東京三弁護士会の日弁連提言に関するパネルディスカッション 188
⑴ はじめに(188) ⑵ 集会の目的と構成(189)
⑶ 第1部前半の裁判員経験者の体験報告(189)
⑷ 第1部後半の日弁連提言の説明(190)
⑸ 第2部 パネルディスカッション(192) ⑹ おわりに(193)
〔添付資料〕課題から日弁連提言等へのチャート(牧野作成配付資料)(194)
第4節 法務省検討会の対応と政府改正案 197
大城  聡
1 裁判員法の改正案 197
2 政府改正案には全く日弁連三年後見直し提言は採用されなかった 197
⑴ 守秘義務(198) ⑵ 裁判員の心理的負担(198)
第5節 公開模擬評議 199
牧野  茂
第3章 裁判員制度から引続くべき刑事司法改革 小池振一郎
第1節 刑事司法改革への歩み 200
1 日本の刑事司法制度の問題点 200
2 司法制度改革審議会最終意見書 200
3 新時代の刑事司法制度特別部会の設置 201
4 法制審答申 200
第2節 刑事訴訟法等の一部改正法 204
1 取調べの録音録画 204
⑴ 録音・録画対象事件の限定(204) ⑵ 部分録画の問題(204)
⑶ ビデオ録画の実質証拠化の問題(206)
2 証拠開示 207
3 通信傍受対象の拡大 208
4 司法取引(捜査・公判協力型協議・合意制度) 208
5 改正法の評価 209
9
第3節 刑事司法改革の視点???よりよい裁判員裁判のために 210
第4章 裁判員制度の課題解決の立法提言 牧野  茂
1 防御権の保障 212
⑴ 裁判員制度に伴う課題(212) ⑵ 全面証拠開示への法改正(213)
2 守秘義務 213
⑴ 改正の必要性(213) ⑵ 日弁連改正提言の問題点(214)
⑶ より優れた改正案へ(214)
⑷ 評議の守秘義務弊害除去の法律改正(214)
〈その1〉???裁判員法70条の評議の守秘義務規定の改正???(214)
〈その2〉???中立的第三者検証機関の設置と活用(216)
3 死刑事件 218
⑴ 死刑事件を対象事件とすべきか(218)
⑵ 評決要件を単純多数決より厳重に(219)
4 事実認定の審理と量刑手続との二分論 219
5 裁判員裁判の対象事件 220
6 裁判員裁判と上訴審の関係 220
⑴ 裁判員裁判での無罪判決が高裁で逆転有罪とされる問題(220)
⑵ 立法提言
 ──裁判員裁判で無罪とされた事件についての検察官控訴の禁止──(221)
7 おわりに
 ──裁判員制度開始から7年を経ての評価・課題と今後の展望── 225