フランス語圏刑法学の諸相
新刊
南山大学学術叢書

フランス語圏刑法学の諸相

末道康之 著
定価:8,800円(税込)
  • 在庫:
    在庫があります
  • 発行:
    2025年02月20日
  • 判型:
    A5判上製
  • ページ数:
    408
  • ISBN:
    978-4-7923-5436-7
カートに入れる

書籍購入は弊社「早稲田正門店インターネット書店」サイトでの購入となります。

内容紹介

《目 次》

 

はしがき i

第1部 刑法解釈学の諸問題

第1章 フランス刑法と違法性の概念 1

Ⅰ はじめに 1

Ⅱ フランス法における違法性の概念 4

 1 フランス刑法における違法性の概念 4

 2 フランス民法における違法性の概念 7

Ⅲ フランスの犯罪成立要件と違法性 9

 1 犯罪の定義 9

 2 主観的要素(élément moral)と違法性 10

 3 不法(違法)要素(élément injuste)と違法性 15

 4 法律的要素(élément légal)と違法性 16

 5 法益侵害の概念と違法性 16

Ⅳ フランス犯罪論における違法性の意義とその法的効果 19

 1 正当化事由と違法性の概念 19

 2 主観的帰責と違法性の概念 24

Ⅴ おわりに 29

 

第2章 フランス新古典学派の未遂犯概念に関する一考察 32

Ⅰ はじめに 32

Ⅱ 新古典学派の刑法理論の概観 33

 1 新古典学派の基本思想 33

 2 新古典学派と〈mal〉概念の評価 34

Ⅲ 新古典学派の未遂犯論 35

 1 新古典学派と客観的未遂概念 35

 2 オルトランの絶対的不能・相対的不能説 36

 3 ボアソナードの不能犯論 40

 4 新古典学派と主観的未遂概念の展開 44

 5 新古典学派と法律の不能・事実の不能説 46

 6 中止犯の概念 47

 7 未遂概念をめぐる若干の考察 49

Ⅳ おわりに 51

 

第3章 フランス・ベルギー刑法学における〈précarité〉の概念 53

Ⅰ はじめに 53

Ⅱ 犯罪論における〈précarité〉概念 55

 1 窃盗罪と〈précarité〉 55

 2 物乞いに関連する行為と〈précarité〉 57

 3 性犯罪の被害者と〈précarité〉 65

Ⅲ 刑罰論における〈précarité〉概念 66

 1 罰金刑及び特別没収の量定における〈précarité〉の考慮 67

 2 労働刑の適用における〈précarité〉の考慮 73

Ⅳ 〈précarité〉概念の意義――比較刑法学の視点から 74

 1 被害者の〈précarité〉という事情の考慮 74

 2 行為者の〈précarité〉という事情の考慮 75

 3 量刑判断における〈précarité〉の考慮 76

Ⅴ おわりに 79

 

第4章 美術品に対する不正行為と刑事規制をめぐる日仏比較法的考察 81

Ⅰ はじめに 81

Ⅱ 贋作美術品の制作・販売と著作権法違反の罪 83

 1 東京地判令和4年3月9日(著作権法違反被告事件) 83

 2 東京地裁令和4年8月5日判決(著作権法違反被告事件) 86

 3 著作権法違反の罪 87

Ⅲ 贋作美術品の制作・販売と刑法上の対応 89

 1 贋作美術品の販売と詐欺罪の成否 91

 2 贋作美術品の制作と偽造罪関連 94

Ⅳ フランスにおける芸術作品に対する不正行為と刑事規制をめぐる最近の動向 95

 1 芸術作品に対する不正行為に関する1895年2月9日法律 96

 2 1895年2月9日法律改正法案 97

 3 法律改正の立法理由の概要 100

Ⅴ 美術品に対する不正行為と刑事規制の必要性 106

 

第5章 ベルギー刑法学における犯罪の主観的成立要素 110

Ⅰ はじめに 110

Ⅱ 犯罪論における〈élément moral〉の概念 112

 1 犯罪論体系における〈élément moral〉の概念 112

 2 犯罪の主観的要素としての〈élément moral〉の概念 114

 3 〈élément moral〉としての故意・過失 118

Ⅲ 刑法典改正法案における犯罪の主観的成立要件 126

 1 特別故意(intention spéciale) 128

 2 一般的故意 129

 3 過失 131

 4 秩序違反犯の主観的要素 132

Ⅳ おわりに 134

 

第6章 ベルギー刑法における未必の故意(dol éventuel)の概念をめぐる最近の議論 136

Ⅰ はじめに 136

Ⅱ 破毀院2019年11月6日判決の概要 139

Ⅲ 主観的犯罪成立要素としての故意と未必の故意の概念 148

 1 主観的犯罪成立要素としての故意の概念 148

 2 未必の故意の概念 152

 3 未遂犯の主観的要素と未必の故意 158

 4 既遂犯の故意と未遂犯の故意との同一性 160

Ⅳ 若干の考察――故意概念をめぐる議論の整理と刑法典改正法案における故意の概念 163

 

第7章 ベルギーにおける感染症対策と刑事法の対応 168

Ⅰ はじめに 168

Ⅱ ベルギーにおける感染症対策の現状 169

Ⅲ 刑法典処罰規定の適用可能性 171

 1 ウイルスを感染させると脅す行為 171

 2 ウイルスを意図的に感染させる・感染させようとする行為 175

 3 警察官等への反抗及び暴行行為(公務執行妨害行為 la rébellion et les coups portés aux agents de la force publique) 182

 4 テロ犯罪(les infractions terrorists) 183

 5 刑法典改正法案の処罰規定 185

Ⅳ おわりに 189

 

第2部 ベルギー刑法改正の動向

第1章 ベルギー刑法典第1巻・総則の概要 193

Ⅰ はじめに 193

Ⅱ 刑法典第1巻・総則 195

Ⅲ 犯罪に関する諸規定の概要 240

 1 刑法の基本原則 240

 2 犯罪論 243

Ⅳ 刑罰に関する諸規定の概要 262

 1 刑罰の目的 263

 2 刑罰の概要 267

Ⅴ おわりに――比較法的視点からの若干の考察 287

 

第2章 ベルギー刑法における性犯罪規定全面改正の概要 291

Ⅰ はじめに 291

Ⅱ 性的完全性、性的自己決定及び良俗を侵害する罪 293

 1 性的完全性侵害罪、窃視・盗撮等罪、性的コンテンツの不同意拡散罪及び不同意性交罪(強姦罪) 293

 2 未成年者に対する性的搾取の罪 317

 3 良俗の公然壊乱罪 336

 4 通則 338

Ⅲ 売春濫用の罪 349

 1 売春濫用の罪 349

 2 売春濫用の罪の概要 354

Ⅳ おわりに 357

第3章 性差別及び各種ハラスメントに関するベルギーの刑事規制 360

Ⅰ はじめに 360

Ⅱ 各種ハラスメントの法規制の概要 362

 1 ハラスメント 362

 2 加重ハラスメント 364

 3 職場におけるモラルハラスメント及びセクシャルハラスメント 364

 4 電話によるハラスメント 365

 5 新刑法典におけるハラスメントの処罰規定 366

Ⅲ 性差別に対する刑事規制の概要 367

 1 性差別に対する刑事規制の変遷 368

 2 性差別罪の成立要件 371

 3 性差別罪の法的性格 379

Ⅳ 性差別に対する刑事規制の意義 381

Ⅴ おわりに 387

 

初出一覧 388

事項索引 389