
法益主体の同意と規範的自律
菊地一樹 著
定価:5,500円(税込)-
在庫:
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発行:
2025年03月01日
-
判型:
A5判上製 -
ページ数:
236 -
ISBN:
978-4-7923-5437-4
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内容紹介
《目 次》
はしがき(i)
初出一覧(viii)
序 1
第1部 同意論の基本的視座
第1章 錯誤に基づく同意をめぐる議論
第1節 従来の議論状況 7
第2節 法益関係的錯誤概念の狭さと拡張の試み 9
第1款 「相対的価値」の取り込み(10)
第2款 「法益処分の自由」の取り込み(14)
第3節 視座の設定 16
第2章 同意の存在と有効性の区別
第1節 同意の「存在」 18
第1款 同意の対象(18)
第2款 必要な認容の程度(22)
第3款 小 括(23)
第2節 同意の「有効性」 25
第1款 同意の犯罪阻却根拠(25)
第2款 意思形成プロセスの自律性(27)
第3款 規範的自律概念の展開(29)
第3章 規範的自律の具体的条件
第1節 合理的な判断能力 32
第1款 判断能力の意義(32)
第2款 判断能力の認定方法(34)
第2節 「情報」へのアクセス 36
第1款 ドイツの学説(36)
1 アメルンクの見解(36)
2 レナウの見解(39)
3 ロクシンの見解(41)
4 小括(45)
第2款 情報の「内容」による絞り(46)
第3款 情報の「原因」による絞り(51)
1 欺罔の必要性(51)
2 欺罔の強度の要求(53)
第4款 具体的事例の解決(55)
1 偽装心中事例(55)
2 猛獣事例(56)
3 角膜事例(57)
第3節 心理的な強制 58
第1款 強制の意義(58)
第2款 提案との区別(60)
第4節 議論の整理 62
第2部 各論的検討
第1章 窃盗罪における条件設定論
第1節 問題の所在 67
第2節 ドイツにおける条件付き合意論 69
第1款 条件付き合意論の意義(69)
第2款 判例における条件付き合意論(70)
1 自動販売機・スロットマシン(70)
2 現金自動預払機(ATM)(73)
3 セルフ式ガソリンスタンド(74)
4 小括(75)
第3款 学説状況(76)
第4款 若干の検討(79)
第3節 条件設定の限界づけ 81
第4節 メダルの不正取得 85
第5節 他罪への応用 89
第2章 住居等侵入罪と法益主体の意思
第1節 問題の所在 91
第2節 「同意不存在型」としての住居侵入罪 92
第3節 錯誤に基づく立入り許諾 96
第4節 包括的同意と建造物侵入罪 101
第1款 条件内容の外部的表示(101)
第2款 実効的な措置の発動可能性(103)
第3款 想定される批判(105)
第5節 おわりに 106
第3章 刑法における性的自律の保護
第1節 はじめに 108
第2節 性犯罪の保護法益 109
第3節 「性的自己決定」概念の分析 111
第4節 性的同意能力 113
第5節 欺罔に基づく性的行為 115
第1款 同意不存在型の処罰(116)
1 わいせつ性の錯誤型(116)
2 人違い型(119)
3 形態(タイプ)の錯誤型(122)
第2款 同意騙取型の処罰(125)
1 処罰の当否(125)
2 処罰の限界(128)
3 具体例の検討(131)
第6節 心理的な強制 134
第7節 おわりに 137
第4章 いわゆる仮定的同意について
第1節 問題の所在 139
第2節 仮定的同意をめぐる議論状況 140
第1款 仮定的同意とは何か(140)
第2款 仮定的同意の理論的根拠(141)
1 違法性阻却事由(141)
2 正当化事由に関する帰属(143)
第3款 仮定的同意に対する批判(144)
1 訴訟上の懸念(144)
2 自己決定の保護の切り下げ(144)
3 理論的な問題(147)
第4款 適用範囲の広がり(148)
1 同意不存在事例への適用(148)
2 医事刑法を超えた適用(150)
第3節 仮定的同意の代案 151
第4節 患者の自律性の条件 154
第1款 同意の存在(154)
第2款 同意の有効性(156)
第3款 椎間板事件の解決(159)
第5節 おわりに 160
第5章 「強制」概念と規範的自律
第1節 問題の所在 161
第2節 ドイツの判例 163
第1款 旧判例の立場(163)
第2款 判例の転換(165)
第3款 その後の判例(167)
第3節 学説状況 172
第1款 ラディカルな法的義務論(172)
第2款 関係性の欠如理論(176)
第3款 区別理論(178)
1 害悪を「設定する力」の有無(178)
2 「提案(約束)」と「脅迫」の区別(180)
3 「自律性」の侵害(184)
第4節 若干の検討 187
第1款 日独の規定の違い(187)
第2款 素朴な心理主義の不当さ(189)
第3款 規範的な限界づけの基準(191)
第4款 処罰範囲の著しい限定?(194)
第5節 おわりに 196
第6章 「死ぬ権利」とパターナリズム
第1節 はじめに 198
第2節 ドイツの議論 201
第1款 弱いパターナリズムとは何か(201)
第2款 病理的な精神状態(203)
第3款 性急な決断からの保護(204)
第4款 心理的障壁の理論(208)
第5款 周囲の圧力からの保護(210)
第3節 日本法への示唆 211
第1款 刑法202条の解釈論への援用?(211)
第2款 批判原理としての弱いパターナリズム(216)
第4節 おわりに 219
結びに代えて 221