
刑法講話
日髙義博 著
定価:3,300円(税込)-
在庫:
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発行:
2025年06月28日
-
判型:
四六判上製 -
ページ数:
320 -
ISBN:
978-4-7923-5449-7
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《目 次》
はしがき i
初出一覧 x
第1講 刑法と人情
Ⅰ はじめに 1
Ⅱ 刑法の役割 2
Ⅲ 理屈と人情 4
1 論理と非論理の交錯 (4)
2 刑法の理念は何か (5)
3 人情と刑事裁判 (6)
4 人情と刑事責任 (9)
Ⅳ 法的感性の重要さ 11
1 刑法理論の土台としての法的感性 (11)
2 故郷宮崎の風土と法的感性 (12)
Ⅴ 具体的事例から考える 13
1 騎士道裁判 (13)
(1) 事実関係 (14)
(2) 裁判の経緯 (17)
(3) 論評─誤想防衛か誤想過剰防衛か─ (18)
2 安楽死の許容性 (21)
(1) 鴎外の『高瀬舟』から考える (21)
(2) 法的事実の抽出 (22)
(3) 法的争点─安楽死は許容されるか─ (23)
(4) 最近問題となった安楽死の事案について (25)
(5) 尊厳死の許容性 (27)
第2講 人権と罪刑法定主義─縦の人権と横の人権を考える─
Ⅰ はじめに 30
1 人権と罪刑法定主義 (30)
2 罪刑法定主義の標語と人権の思考モデル (31)
Ⅱ わが国における近代法の継受の概要 32
1 仮刑律・新律綱領等から旧刑法へ (32)
2 手続法としての治罪法 (34)
3 近代法の法学教育の始まり (34)
4 大日本帝国憲法の発布とドイツ法系への転換 (36)
5 法典論争の意義 (38)
6 戦後の法制 (41)
Ⅲ 人権とは何か 43
1 人権の属性 (43)
2 人権の定義の難しさ論 (45)
(1) 人権の定義は可能か (45)
(2) 自然法との接点 (46)
3 啓蒙思想による人間像と「国のかたち」 (48)
Ⅳ 罪刑法定主義はなぜ近代刑法の金字塔なのか 49
1 罪刑法定主義の系譜 (49)
2 ドイツにおける近代刑法の展開 (52)
(1) 古典学派の考え方 (52)
(2) 新派(近代学派)の考え方 (52)
3 人間像を如何に捉えるべきか (54)
Ⅴ 人間としての権利と人間としての義務 55
1 「人間としての権利」と「人間としての義務」の関係 (55)
2 行為規範と裁判規範との関わり (56)
Ⅵ 縦の人権と横の人権との関係 57
1 刑法における縦の人権と横の人権の関係 (57)
2 横の人権と義務感 (58)
3 人権意識の定着化について (61)
4 家庭での人間教育 (63)
5 違法性論との関係 (66)
Ⅶ 罪刑法定主義の新たな派生原則 68
1 罪刑法定主義の派生原則の概要 (68)
2 新たな派生原則の内容 (68)
3 派生原則における人権の実相 (70)
Ⅷ おわりに 71
第3講 刑法講話─刑法学への導入─
Ⅰ はじめに 79
Ⅱ 刑法と法の理念 80
1 法と法律 (80)
(1) 法と法律の違い (80)
(2) 法律学の勉学の対象は何か (82)
(3) 法とは何か (83)
(4) 法は如何に創造されるか (85)
(5) 法の特性は何か (87)
(6) 法の理念の内容は如何なるものか (93)
2 刑法とは何か (95)
(1) 狭義の刑法と広義の刑法 (95)
(2) 市民法としての刑法 (97)
(3) 刑法規範の内容 (98)
(4) 規範違反と違法性 (101)
3 日本刑法のルーツ (106)
(1) 刑法の系譜 (106)
(2) 法の継受 (107)
(3) 法の変動と刑法改正 (109)
Ⅲ 刑法の考え方 112
1 一般の考え方と刑法の考え方の違い (112)
(1) 体系的思考と論理的思考 (112)
(2) 訴訟構造との関係 (114)
(3) 事案解決のための思考 (118)
2 正当防衛に関する判例を素材として (119)
(1) 問題となる事案 (119)
(2) 事案の解決方法 (120)
(3) 法的争点の整理と理論構成 (123)
Ⅳ 刑法学の役割 126
1 刑法学の対象 (126)
(1) 刑法解釈学としての特性 (126)
(2) 犯罪概念との関連 (128)
2 刑法総論と刑法各論 (128)
3 事実と条文と価値観 (129)
(1) 条文解釈の基底にあるもの (129)
(2) 直感と判断プロセス (130)
Ⅴ 刑法理論の特質 132
1 考察の視点 (132)
2 刑法の基本原則と人間像 (132)
(1) 罪刑法定主義の背景にあるもの (132)
(2) 責任主義の背景にあるもの (134)
3 犯罪論体系と認識論 (135)
(1) 認識論との関係 (135)
(2) 犯罪論体系の組立て方 (138)
(3) 犯罪論体系の有用性 (140)
4 刑事違法論と価値観 (141)
(1) 違法論と価値観の対立 (141)
(2) 今日の違法論の対立軸 (142)
Ⅵ 刑法学の学問性について 143
1 パンのための学問か (143)
(1) 学問の成り立ち (143)
(2) 刑法学の根底に据えるもの (145)
2 学問としての刑法学と法曹養成教育 (146)
(1) 刑法解釈学の学問性 (146)
(2) 法曹養成教育との関わり (147)
第4講 刑法の理論的対立軸とわが刑法学
Ⅰ はじめに 149
Ⅱ 私の刑法学の系譜 151
1 神山欣治先生との出合い (151)
2 植松正先生との出合い (152)
3 アメルンク先生との出合い (156)
Ⅲ 刑法の理論的対立軸の推移 158
1 古典学派と近代学派の争いから両派の止揚へ (158)
2 目的的行為論との対峙 (159)
3 違法性の実質論における判断指標の変化 (161)
4 正犯・共犯関係の新たな展開について (161)
Ⅳ わが刑法学の理論的基軸と理論体系 163
Ⅴ おわりに 165
第5講 最終講義「共犯の基礎理論」
Ⅰ はじめに 169
1 講義の狙い (169)
2 これまでの研究を振り返って (170)
(1) 万葉集と刑法 (170)
(2) よき恩師との出合い (172)
(3) 絵を描く楽しさと文章から映像が浮かぶ楽しさ (175)
(4) 思索の原点となった一文の重み (177)
3 最後の理論的課題としての共犯論 (180)
Ⅱ 正犯と共犯の関係 182
1 刑法典の条文の不透明性 (182)
2 形式的正犯概念と実質的正犯概念 (184)
(1) 形式的正犯概念と実質的正犯概念の対立構造 (184)
(2) 形式的正犯概念の有意性 (186)
3 共犯の成立要件 (189)
(1) 法解釈の問題 (189)
(2) 主観的成立要件と客観的成立要件 (189)
(3) 限界領域 (191)
4 教唆犯と間接正犯との区別 (191)
(1) 道具理論について (191)
(2) 新たな理論構成 (192)
(3) 最高裁昭和58年決定について (194)
Ⅲ 共犯の処罰根拠 197
1 共犯はなぜ処罰されるのか (197)
2 共犯の因果性 (199)
(1) 純粋惹起説と混合惹起説 (199)
(2) 幇助の因果関係 (201)
Ⅳ 共同正犯の問題点 202
1 共同正犯は共犯か正犯か (202)
2 共謀共同正犯論の基礎づけ (205)
3 犯罪共同説からのアプローチ (206)
4 間接正犯と共謀共同正犯の区別 (209)
Ⅴ おわり 211
1 私の刑法理論の背景 (211)
2 刑法解釈における法的感性と直観 (213)
3 刑法は美学 (214)
4 刑法は臨床医学 (217)
5 いやしけ吉事 (220)
第6講 学問と人生─刑法学の旅路─
Ⅰ はじめに 231
1 講演の趣旨 (231)
2 配布資料について (232)
Ⅱ 学問とは 233
1 学問と職業の結び付き (233)
2 一筋の道 (236)
Ⅲ 故郷宮崎からの旅立ち 237
1 生い立ちの記 (237)
2 父の後ろ姿 (241)
Ⅳ 学問の曲り角 242
1 学問の曲り角 (242)
2 植松刑法学の継受 (244)
Ⅴ 2度のドイツ留学 248
1 第2の故郷トリーア (248)
2 第1回目の留学の思い出 (251)
3 第2回目の留学の思い出 (254)
Ⅵ 研究者の育成と母校の運営 258
1 学の継承と研究者の育成 (258)
2 私学の研究者の責務 (259)
Ⅶ おわりに 260
補講 道徳・倫理の実相と教育─新渡戸稲造『武士道』を紐解く─
Ⅰ はじめに 263
1 論題について (263)
2 倫理観の迷走と刑法学 (264)
3 道徳と倫理の区別の難しさ (265)
Ⅱ 新渡戸稲造はなぜ『武士道』を書いたのか 268
1 『武士道』を英文で書いた狙い (268)
2 日常生活の規律と宗教倫理規範 (270)
3 わが国における道徳規範・倫理規範の実相 (273)
4 新渡戸が歩いた道のり (276)
Ⅲ 道徳体系としての武士道と職業倫理 282
1 道徳体系としての武士道とは (282)
2 武術と武士の道 (283)
3 職業倫理としての武士道 (285)
Ⅳ 近代の諸制度の導入と日本的変容の要因 287
1 職業倫理としての武士道の多方面への分散 (287)
2 近代的諸制度の導入と日本的変容 (288)
3 教育制度と価値観 (292)
Ⅴ 第二次世界大戦後の学校教育における道徳・倫理教育の揺らぎ 294
1 戦後の価値相対主義への転換と価値観の揺らぎ (294)
2 私の高校時代の経験 (296)
3 価値観の伝達のあり方 (298)
Ⅵ 道徳と倫理の行動基準は如何に生成されるべきか 300
1 道徳と倫理の区別 (300)
2 道徳・倫理と法規範との衝突 (302)
3 道徳・倫理と教育のあり方 (304)