紛争類型別行政救済法

紛争類型別行政救済法

吉野夏己 著
定価:5,170円(税込)
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  • 発行:
    2009年08月01日
  • 判型:
    A5版並製
  • ページ数:
    536頁
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内容紹介

目 次

はしがき   

序 章 行政訴訟の考え方…1

1 行政訴訟の考え方…1

1 訴訟手続と実体審理 
2 訴訟の選択(行政訴訟か民事訴訟か) 
3 権力関係 
4 処分性の拡大 
5 適用法規(公法私法二元論の否定) 
6 行政裁量の統制

2 訴状や答弁書に何を記載するのか…11

1 訴訟物理論との関係 
2 訴訟物理論と公定力

第1章 租税関係訴訟…14

第1節 租税の基本構造…14

1 租税の賦課徴収手続…14

1 納税義務の成立 
2 納税義務の確定 
3 徴収手続
4 青色申告と白色申告

2 審査請求前置主義…16

1 審査請求前置主義の意義
2 原処分主義

3 租税関係訴訟…18

1 税務関係訴訟の類型 
2 税務訴訟の訴訟物

4 租税関係と民法(適用法令)…19

1 法の一般原則
2 私人の公法行為
3 法の一般制度(不当利得に基づく過誤納金返還請求訴訟)

第2節 設 例…23
1-1 信義則と信頼の原則…23
1 租税関係と信義則
2 法律による行政の原理と信頼保護の原則

1-2 私人の公法行為と錯誤…26
1 私人の公法行為
2 納税申告と錯誤

1-3 過大徴収と不当利得…28
1 過納金と不当利得
2 国家賠償請求と公定力

1-4 再更正と取消訴訟…31
1 更正と再更正の関係
2 増額再更正
3 減額再更正

1-5 処分理由の提示と追加…34
1 理由付記の意義
2 理由付記の程度
3 取消訴訟における理由の差替え
4 取消判決の反復禁止効

1-6 違法性の承継…43
1 違法性の承継
2 課税処分と第二次納税義務者に対する納付告知
3 第二次納税義務者の権利保護

1-7 租税滞納処分と民法177条…46
1 行政処分と民法177条に関する判例
2 行政処分と民法177条の考え方
3 租税滞納処分と背信的悪意者

第2章 公用負担…51

第1節 公用負担法関係の基本構造…51

1 都市計画法…51

1 土地利用の公法的規制 
2 公用負担
3 行政計画の法的性質
4 都市計画とは
5 都市計画決定手続
6 都市計画制限
7 都市計画事業

2 公用権利変換…58

1 公用権利変換関係法の構造 
2 事業主体
3 土地区画整理事業
4 都市再開発事業
5 土地改良事業

3 公用収用…72

1 公用収用の意義
2 土地収用法の流れ
3 損失補償

4 建築基準法…76

1 建築基準法の基本構造 
2 建築基準法と道路(集団規定)
3 総合設計制度
4 審査請求前置主義
5 違法建築物に対する措置

第2節 設 例…82

2-1 用途地域の指定の処分性…82
1 用途地域の処分性
2 判例の考え方

2-2 行政機関の同意…83
1 開発許可に係る公共施設管理者の同意と処分性 
2 消防署長の同意と処分性

2-3 行政計画と処分性…87
1 行政計画の処分性に関する従来の判例 
2 土地区画整理事業の事業計画決定の処分性
3 差止訴訟及び公法上の確認訴訟の可否の検討

2-4 土地改良事業と訴えの利益…91
1 土地改良事業の完成と訴えの利益 
2 換地処分無効確認訴訟と訴えの利益

2-5 都市計画と損失補償…96
1 損失補償の可否
2 判例の考え方
3 補償の内容

2-6 建築制限付土地の収用と損失補償…98
1 損失補償と相当な価格
2 判例の考え方

2-7 損失補償に関する訴えの性質…100
1 法133条の訴え
2 収用委員会の裁量の有無

2-8 2項道路と処分性…102
1 一括指定の処分性 
2 公法上の確認訴訟

2-9 返戻行為の適法性…105
1 受理の拒否
2 確認の留保
3 救済方法
4 条例違反を理由に不許可処分とすることができるか

2-10 建築物の完成と訴えの利益…108
1 訴えの利益の有無 
2 国家賠償への訴えの変更
3 義務付け訴訟

2-11 建築基準法65条と民法234条1項の関係…112
1 学説の対立
2 判例の考え方

第3章 公共施設の利用関係…115

第1節 公物と公の施設(公共施設)…115

1 現代行政と公物理論…115

1 公物理論の有用性
2 「公の施設」と「公物」概念
3 「公の施設」の意義
4 民営化と制度的契約論

2 公の施設の管理…121

3 公の施設の利用関係…122

1 公の施設の利用関係の法的性質 

2 無償使用型
3 有償使用型
4 賃貸借型Ⅰ 
5 賃貸借型Ⅱ

4 公の施設の使用拒否…128

1 「正当な理由」に基づく公の施設の使用拒否 
2 不当な差別的取扱いの禁止
3 給水契約の拒否

第2節 設 例…130

3-1 公物の取得時効…130
1 公物の取得時効
2 判例の考え方

3-2 道路と妨害排除…132
1 道路供用開始の有効性と権原の有無 
2 道路の使用と妨害排除請求
3 道路の供用廃止と原告適格

3-3 はみ出し自販機の撤去…137
1 はみ出し自販機の撤去 
2 道路の占有と管理

3-4 保育所の利用関係…138
1 保育所の利用関係
2 保育園入園承諾に関する仮の義務付け

3-5 保育所の廃止…142
1 保育所の廃止
2 保育所利用契約上の債務不履行 
3 保育実施委託

3-6 公営住宅の利用関係…147
1 公営住宅の利用関係と民法 
2 正当事由の適用(借地借家法28条) 
3 公営住宅の使用権と相続

3-7 目的外使用許可と撤回…152
1 行政財産の目的外使用許可と撤回
2 撤回と損失補償

3-8 公の施設の利用拒否…157
1 公の施設の利用と集会の自由 
2 営利目的の展示会開催と集会の自由
3 違憲審査基準

第4章 社会保障関係訴訟…162

第1節 社会保障法の概要…162

1 社会保障の法律関係…162

1 社会保障の法律関係の仕組み
2 給付行政としての社会保障法 
3 社会保障の権利 
4 給付請求権の発生時期
5 不服申立前置主義 
6 社会保障と外国人

2 社会保障の制度…167

1 社会保障の意義
2 社会保障の体系
3 社会保険制度

3 年金保険制度…169

1 年金保険の意義 
2 国民年金制度の概要 
3 年金給付の手続 
4 不服申立前置主義

4 労働者災害補償保険…172

1 労働者災害補償保険の概要
2 労災の認定 
3 保険金支払請求権の発生
4 不服申立前置主義

5 児童扶養手当法…175

1 児童扶養手当法の概要 
2 手当の認定請求手続 
3 受給資格の喪失 
4 義 務 
5 不服申立前置主義

6 生活保護法…178

1 生活保護法の概要
2 保護受給の手続 
3 被保護者の権利と義務 
4 不服申立前置主義

第2節 設 例…182
4-1 児童扶養手当…182
1 憲法14条違反 
2 法律と政令の関係

4-2 外国人と生活保護…184
1 生活保護法の対象 
2 外国人の人権享有主体性 
3 不法残留者と緊急医療

4-3 障害者年金の取消…189
1 職権取消しの可否 
2 本件裁定の取消の適法性 
3 不当利得返還請求権の存否

4-4 労災就学援助不支給決定…193
1 不支給決定の処分性 
2 判例の考え方

4-5 生活保護の打ち切り・減額…196
1 借用による自動車の保有 
2 学資保険 
3 保護受給権の承継

4-6 学生無年金と立法不作為…201
1 立法不作為 
2 判例の考え方

4-7 外国人年金支給拒否…204
1 国民年金と外国人 
2 国民年金と信義則

第5章 三面関係訴訟…207

第1節 三面関係の構造…207

1 二面関係と三面関係…207

2 消費者訴訟型と環境訴訟型…208
1 「環境訴訟」型 
2 「消費者訴訟」型

3 原告適格の問題…212

1 原告適格の意義 
2 原告適格の考慮要素

4 規制権限不行使の違法性…216

1 権限不行使の二面関係と三面関係
2 反射的利益論 
3 違法性の判断基準

第2節 設 例…220
5-1 都市計画事業の認可と原告適格…220
1 周辺住民の原告適格 
2 鉄道事業認可と付属街路認可

5-2 まちづくりと原告適格…222
1 建築基準法と原告適格 
2 開発許可と原告適格

5-3 産業廃棄物処理場と差止め…224
1 周辺住民と原告適格 
2 産業廃棄物処理法と考慮要素

5-4 風俗営業許可と第三者の原告適格…227
1 風営法の構造 
2 従来の判例
3 改正法下での考え方
4 自己の法律上の利益に関係のない違法(行訴法10条1項)

5-5 鉄道利用者の原告適格(消費者型)…232
1 従来の判例の考え方 
2 改正法下での考え方

5-6 地方公共団体の原告適格…235
1 法律上の争訟の有無 
2 地方公共団体の原告適格

5-7 規制権限の不行使と国家賠償…238
1 規制権限の不行使と違法性 
2 危険情報の開示

5-8 警察許可と危険防止責任…244
1 銃刀法上の許可制度と第三者保護 
2 危険責任と国家賠償責任

5-9 道路工事の差止め…247
1 公共工事と民事訴訟 
2 道路公害と民事訴訟

5-10 規制権限の不行使と義務付け訴訟…250
1 不動産会社に対する民事訴訟の可能性
2 義務付け訴訟の可能性

第6章 公務員関係訴訟…254

第1節 公務員制度…254

1 公務員の権利義務…254

1 公務員の意義 
2 身分保障の権利 
3 財産上の権利 
4 保障請求権 
5 公務員の職務上の義務 
6 公務員の職務外の義務

2 公務員の勤務関係…260

1 公務員の勤務関係の法的性質

3 勤務関係の変動…262
1 公務員の任用 
2 勤務関係の変更 
3 公務員の身分の喪失 
4 公務員の期限付任用と雇止め

第2節 設 例…265

6-1 職務命令と服従義務…265
1 職務命令の意義 
2 職務命令と抗告訴訟

6-2 不採用通知・内定取消の取消訴訟…268
1 不採用通知の処分性
2 公務員の採用内定取消の処分性 
3 公法上の確認訴訟など

6-3 配置転換・戒告処分の処分性…271
1 配置転換の処分性 
2 戒告の処分性

6-4 分限処分…273
1 分限処分と裁量 
2 収賄罪逮捕職員に対する退職金の支給

6-5 懲戒処分…276
1 懲戒処分と司法審査 
2 無効な懲戒処分に対する訴訟方法 
3 所在不明者に対する送達

6-6 審査請求…281
1 原処分主義と修正裁決 
2 両訴えの合併提起と訴えの利益

6-7 退職願の撤回…284
1 私人の公法行為 
2 退職願の撤回の可否
3 退職処分後の撤回

6-8 債権の消滅時効…287
1 公法上の債権の消滅時効 
2 地方公務員の給与請求権の消滅時効
3 国に対する損害賠償請求権

6-9 給与請求権の放棄・相殺…291
1 給与請求権の法的性質 
2 給与請求権の放棄 
3 給与債権と相殺

6-10 職員の派遣…295
1 地方公共団体職員の第三セクター等への派遣の適法性 
2 職員の派遣と給与等の支払の適法性 
3 Y県知事の損害賠償責任

第7章 行政上の強制…299

第1節 行政強制の意義…299
1 行政強制の体系…299

2 義務履行の確保…301

1 行政強制の種類 
2 行政代執行 
3 直接強制 
4 執行罰 
5 行政上の強制徴収

3 民事法上の手続による強制執行の可能性…306

1 民事執行の可否 
2 非金銭的執行と民事執行 
3 行政的執行が認められない場合

4 行政上の義務違反に対する制裁…307

1 行政罰 
2 その他の手段

5 即時強制…310
1 即時強制の意義 
2 条例による根拠規範の創設
3 救済手続

第2節 設 例…312
7-1 指名競争入札における指名停止の公表…312
1 指名競争入札制度と指名停止の処分性
2 指名停止と公表
3 指名回避の違法性

7-2 給水拒否…318
1 いわゆる「水攻め」と正当事由 
2 給水拒否と正当事由

7-3 条例上の義務の履行と民事執行…321
1 義務の履行と司法的執行の可否

7-4 庁舎明渡しと強制執行…324
1 庁舎明渡しと行政代執行 
2 目的外使用許可と強制執行

7-5 緊急措置…327
1 緊急措置と法治主義 
2 判例の考え方

7-6 プレジャーボート等の規制…331
1 公共施設の管理と公物警察権 
2 法律と条例の関係 
3 条例に基づく強制措置

第8章 行政情報の管理…336

第1節 行政情報の管理…336
1 行政調査…336
1 行政調査の意義 
2 行政調査の種類 
3 行政調査と即時強制 
4 行政調査の規制 
5 有形力の行使 
6 救済手続

2 行政機関個人情報保護…341

1 行政機関個人情報保護の意義 
2 個人情報の収集・管理 
3 個人の情報管理権
4 救済制度

3 情報公開制度…343

1 情報公開の意義 
2 情報公開法の内容
3 行政情報の開示
4 不開示決定等に対する救済制度
5 情報提供 
6 文書管理

第2節 設 例…351
8-1 食料費と情報公開…351
1 個人情報 
2 法人事業情報 
3 行政執行情報

8-2 非開示文書と部分公開…355
1 相手方の識別可能性 
2 部分開示の可否

8-3 個人識別情報…360
1 公務員の氏名と役職 
2 出勤簿の公開

8-4 意思形成過程情報…363
1 意思形成過程情報 
2 判例の考え方

8-5 第三者取消…367
1 第三者による取消請求 
2 法人情報

8-6 訴えの利益…369
1 情報公開訴訟における訴えの利益 
2 判例の考え方

8-7 処分理由の追加…370
1 理由の差替え 
2 取消訴訟の反復禁止効

第9章 国家補償…372

第1節 国家補償の制度…372

1 国家補償…372

1 国家補償の意義 
2 国家賠償と損失補償の相対化
3 無過失責任と危険責任 
4 大震災と補償

2 損失補償制度…376

1 財産権の制限 
2 補償の要否 
3 補償の意義 
4 補償規定を欠く場合

3 国家賠償法1条の責任…379

1 国家賠償法の意義 
2 国家賠償法1条の要件 
3 違法の相対性 
4 公務員の個人責任 
5 権限不行使と違法性 

4 国家賠償法2条の責任…391

1 公の営造物の意義
2 設置・管理の瑕疵
3 道路管理の瑕疵
4 河川管理の瑕疵 
5 供用関連瑕疵(機能的瑕疵)

第2節 設 例…397
9-1 公用制限と補償…397
1 憲法に基づく直接請求権 

9-2 警察規制と補償(破壊消防・食品衛生法)…401
1 破壊消防と損失補償 
2 食品添加物の使用禁止と損失補償

9-3 みぞ・かき補償(事業損失)…405
1 みぞ・かき補償 
2 後発的警察違反と損失補償

9-4 生活権補償・文化財的価値…408
1 生活権補償の意義 
2 文化財的価値と補償

9-5 申請処理の遅れと精神的損害…412
1 申請処理の遅延と精神的損害
2 違法の相対性

9-6 計画変更…416
1 計画変更の適法性 
2 計画変更と補償

9-7 事実行為の違法性…419
1 結果不法と行為不法 
2 事実行為の違法性

9-8 失火責任法と国家賠償…421
1 失火責任法と国家賠償 
2 判例の考え方

9-9 補償の谷間…424
1 予防接種と副作用 
2 予防接種被害に対する救済方法

9-10 自然と国家賠償…428
1 水害と国家賠償法2条 
2 キツネの出る道路と瑕疵

9-11 公共施設の管理と瑕疵…432
1 学校施設に起因する事故
2 点字ブロック訴訟

9-12 空港騒音と供用関連瑕疵…435
1 空港使用の差止め
2 供用関連瑕疵

第10章 地方自治に関する争訟…440

第1節 地方自治の意義…440

1 地方自治の制度…440

1 地方自治の本旨
2 自主課税権
3 自主立法権

2 地方自治体の財務…444

1 地方公共団体の契約 
2 地方公共団体の寄付・補助金 
3 職員の賠償命令

3 住民監査請求の制度…447

1 住民監査請求の意義 
2 住民監査請求の手続 
3 住民監査請求の対象 
4 住民監査請求の期間制限

4 住民訴訟制度…450

1 住民訴訟の意義 
2 住民訴訟の要件 
3 住民訴訟の4つの類型 
4 住民訴訟の対象 
5 4号請求

第2節 設 例…455

10-1 住民監査請求の期間制限…455
1 監査請求と一事不再理 
2 怠る事実に関する監査請求
3 真正怠る事実と期間制限 
4 関連した2つの「怠る事実」と期間制限

10-2 監査請求期間の起算日…461
1 監査請求期間の始期 
2 監査請求期間と正当事由

10-3 財務会計行為の特定…464
1 財務会計上の行為の特定 
2 特定性の緩和

10-4 先行する財務会計行為の違法性…467
1 先行する財務会計行為の違法性
2 判例の考え方

10-5 賠償命令と4号請求…471
1 賠償命令の法的性質 
2 法243条の2第1項の「職員」に長が含まれるか

10-6 補助金の交付…473
1 補助金交付の公益性 
2 判例の考え方
3 過失の有無

10-7 双方代理の禁止…477
1 双方代理の禁止(民法108条) 
2 裁量権の濫用・逸脱

補 論 行政法の考え方…481
第1節 行政法の体系…481
1 「行政法」体系の創造―公法私法二元論…481
2 行政法体系の新潮流―行政過程論…483
3 公法理論の残影―学説と実務の乖離…485

4 行政法学の実務的展望…487

1 法分類と法関係の分離 
2 法の適用関係
3 憲法理念の行政法への投影 
4 理論と実務の乖離
5 理論と実務の架橋へ

第2節 法律による行政の原理…491

1 法律による行政の原理の意義…491

1 形式的法治主義から実質的法治主義への転換 
2 法治主義の理論的限界

2 法治主義と法の支配…493

1 憲法理念の行政法への投影 
2 「法治主義」と「法の支配」の関係
3 行政事件訴訟法は違憲?

文献略語一覧…497

事項索引…501

判例索引…508