犯罪論の機能と構造

犯罪論の機能と構造

山中敬一 著
定価:6,050円(税込)
  • 在庫:
    在庫があります
  • 発行:
    2010年03月01日
  • 判型:
    A5版上製
  • ページ数:
    260頁
  • ISBN:
    978-4-7923-1861-1
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内容紹介

目次
はしがき
第1 編犯罪論の意義と展望
第1 章刑法における犯罪論の現代的意義…… 3
1 はじめに…… 3
(1) 犯罪論とその諸原理3
(2) 犯罪論の変遷4
(3) 犯罪観と社会・国家観の変遷5
2 現代社会と刑法の機能…… 6
(1) システム社会と個人の自由6
(2) 刑法の機能7
3 現代社会と犯罪論…… 9
(1) 犯罪論の意義9
(2) 規範体系的機能主義の犯罪論11
(3) 犯罪論における行為規範と制裁規範12
4 現代社会における罪刑法定主義の意義…… 13
(1) 罪刑法定主義の思想的基盤13
(2) 類推解釈の禁止14
(3) 明確性の原理と実体的デュープロセス(substantivedue process)
の理論15
5 違法論の現代的課題…… 19
(1) 正当化原理19
(2) 違法の統一性と相対性19
(3) 可罰的違法性の理論20
6 責任論の現代的課題…… 22
(1) 責任論の展開22
(2) 規範体系的機能主義の責任論23
(3) システム社会にける責任論24
7 まとめ…… 25
第2 章刑法理論の展望…… 27
1 はじめに…… 27
2 ポストモダンの社会システムと刑法…… 29
(1) 社会システムと個人29
(2) 社会システムにおける刑法の機能31
3 現在の犯罪論の基礎視座…… 33
(1) 目的合理主義の犯罪論33
(2) 刑事政策志向刑法理論の諸類型34
4 犯罪論の方法論…… 37
(1) 目的合理主義的犯罪論の構成37
(2) 犯罪論の規範論38
(3) 規範体系的機能主義の犯罪論39
(4) 解釈論と刑事政策論41
5 客観的帰属論の意義…… 41
(1) 帰属論の視座41
(2) 過失犯論における帰属43
(3) 帰属論の方法論43
6 違法論の展望…… 43
(1) 原則的構成要件的不法と違法判断43
(2) 過失犯における構成要件不該当45
(3) 可罰的違法性45
(4) 違法論の現代的課題46
7 責任論の展望…… 46
(1) 責任論の展開46

(2) 規範体系的機能主義の責任論48
(3) 責任論の現代的課題49
8 終わりに…… 50
第2 編犯罪論と規範論
第1 章犯罪論の規範構造…… 55
1 行為規範と制裁規範…… 55
(1) 刑法の行為規範性・制裁規範性55
(2) 行為規範の内容55
(3) 行為規範侵害( 規範の完全な侵害) 56
(4) 行為規範侵害時点の多義性57
(5) 行為規範の侵害時点と「行為の危険」58
(6) 制裁規範の内容59
(7) 帰属論60
2 犯罪成立過程における行為規範・制裁規範…… 61
(1) 行為規範違反と犯罪の成立61
(2) 制裁規範の対象と判断基準62
3 犯罪論と規範体系…… 64
(1) 犯罪論の体系64
(2) 構成要件該当性64
(3) 違法性67
(4) 責任68
4 まとめ…… 69
第2 章罪刑法定主義と規範の構造…… 70
1 はじめに…… 70
2 罪刑法定主義の諸機能…… 71
(1) 罪刑法定主義と刑法の行為規制機能71
(2) 罪刑法定主義と刑法の法益保護機能71
(3) 罪刑法定主義と刑法の人権保障機能72
3 規範構造と犯罪論…… 72
(1) 犯罪の規範的構造72
(2) 犯罪論の方法73
4 規範構造と刑法の解釈…… 74
(1) 拡張解釈と類推解釈74
(2) 罪刑法定主義と解釈の限界74
(3) 具体例75
5 まとめ…… 77
第3 章犯罪体系論における行為規範と制裁規範…… 79
1 はじめに…… 79
2 行為規範と制裁規範…… 81
(1) 概念上の区別81
(2) 規範と刑罰法規の区別82
(3) 宮本英脩の犯罪論体系85
(4) ツィッペリウスとミュンツベルクの規範論87
3 行為規範の発生根拠論…… 9 1
(1) 規範論における法益保護の方法9 1
(2) 段階的価値評価9 2
(3) 批判9 3
4 行為規範違反と侵害惹起…… 9 5
(1) 授権規範としての刑法?( シュミットホイザー) 9 5
(2) 行為規範違反の内容( 侵害惹起か規範違反行為か) 9 6
5 犯罪論体系と規範違反…… 9 9
(1) 規範違反と構成要件該当性・違法性9 9
(2) 制裁規範の前提要件としての犯罪論105
6 規範的評価と可罰的評価の犯罪論体系…… 106
(1) 実体論と認定論の二元的犯罪論体系106
(2) 犯罪実体論における規範的評価と可罰的評価の二元論的体系107

(3) 二元論的体系の必要性110
(4) 二元論的体系における行為規範と制裁規範111
7 むすび…… 113
第4 章二元的犯罪体系論と伝統的犯罪論鈴木博士の反論に答える…… 114
1 はじめに…… 114
2 罪刑法定主義と構成要件…… 114
3 規範の目的における「行為」と「法益侵害・危険」…… 115
4 二元的犯罪体系論批判…… 116
5 犯罪類型論と犯罪体系論…… 119
6 結果回避行為の意義…… 121
7 犯罪の実践的認識…… 122
8 まとめ…… 124
第3 編犯罪論と危険判断の構造
第1 章犯罪論における「危険予測」の二元的構想…… 127
1 はじめに…… 127
2 規範論における危険予測の意義…… 128
(1) 危険と予測の意義128
(2) 規範対象論130
(3) 行為規範違反と違法性130
(4) 制裁規範131
3 因果関係と帰属…… 132
(1) 因果関係判断の基準としての危険減少132
(2) 結果帰属基準としての危険創出と危険実現132
4 危険犯…… 133
(1) 抽象的危険犯の制約論133
(2) 二つの抽象的危険犯134
5 過失犯…… 135
(1) 二重の過失論135
(2) 危険創出としての客観的過失135
6 未遂…… 136
(1) 実行行為の開始136
(2) 事後的遡及評価としての実行の着手137
7 不作為犯…… 138
(1) 結果回避可能性は不作為の可罰性の前提か138
(2) 結果回避可能性と危険回避可能性139
(3) 不作為犯における危険判断140
8 まとめ…… 140
第2 章過失犯における「回避可能性」の意義…… 142
1 最高裁平成15 年判決における「回避可能性」概念の意義…… 142
(1) 最高裁判決の概要142
(2) 本判決における「回避可能性」の解釈143
2 判例の過失理論的解釈…… 145
(1) 判例の傾向145
(2) 義務違反と結果の関係145
(3) 回避可能性の意義146
(4) 共通の問題意識147
3 過失犯の規範構造…… 147
(1) 過失犯における行為規範の構造147
(2) 過失犯における制裁規範の構造148
4 結果回避可能性か注意義務違反の因果関係か…… 149
(1) 事前的回避可能性・事後的回避可能性149
(2) 注意義務違反の因果関係150
5 危険実現判断としての「事後的回避可能性」…… 150
(1) 事前的危険創出と事後的危険実現150
(2) 客観的帰属論における「事後的回避可能性」151
第3 章不能犯論における危険判断の構造二元的危険予測説の提唱…… 152

1 客観的危険説の課題…… 152
2 客観的危険説の問題点…… 153
(1) 純粋客観的危険説の検討153
(2) 修正された客観的危険説の検討155
3 二元的危険予測説の展開…… 158
(1) 事前的危険予測159
(2) 事後的な仮定的危険予測としての具体的危険状態159
4 まとめ…… 163
第4 章不作為犯論の体系的再構成…… 165
1 問題の所在…… 165
2 不作為の因果関係の意義…… 166
3 保障人的地位と作為義務…… 167
4 保障人的義務と作為可能性…… 169
5 作為可能性・行為能力・結果回避可能性…… 170
6 因果関係の不存在と未遂…… 171
7 中間的帰結…… 173
8 不作為犯論の体系構想の概要…… 173
(1) 保障人的地位( 義務) 174
(2) 実行行為の存在( 実行の着手) 176
(3) 客観的帰属( 既遂の条件) 176
9 おわりに…… 178
第4 編犯罪論の諸構想
第1 章構成要件論…… 181
1 はじめに…… 181
2 構成要件論…… 181
(1) 構成要件前史181
(2) わが国における構成要件論の展開183
(3) 独自の構成要件論の展開185
(4) その後の構成要件論の展開187
3 構成要件要素論…… 187
(1) 主観的構成要件要素( 故意) 187
(2) 行為論の隆盛と衰退188
(3) 消極的構成要件要素の理論189
4 不作為犯論…… 19 0
(1) 不作為犯論の誕生19 0
(2) 不作為の違法性19 1
(3) 戦後の不作為犯論の展開19 2
(4) 不作為の存在論的構造( 目的的行為論) 19 3
(5) 実質的法義務説の展開19 3
5 因果関係論…… 19 4
(1) 相当因果関係説の登場19 4
(2) 判例・学説における相当因果関係説19 5
(3) 広義・狭義の相当性と条件公式19 6
(4) 判例の動向と客観的帰属論の台頭19 6
(5) 帰属限定説における因果関係概念の再評価19 7
6 まとめ…… 19 8
第2 章平野龍一博士の刑法理論…… 19 9
1 はじめに…… 19 9
2 平野刑法学の誕生と現在…… 19 9
(1) 戦後刑法学の出発点19 9
(2) 平野刑法学のプロレゴーメナ200
(3) 刑法改正201
(4) 刑法理論の完成202
(5) 現代社会と平野刑法学202
3 刑法学方法論…… 203
(1) 社会的現状認識と機能的分析203

(2) 機能的考察方法204
(3) 問題的思考204
4 刑法の基礎理論…… 206
(1) やわらかな決定論と性格論的責任論206
(2) 抑止刑論( 前期旧派と後期旧派) 207
(3) 法益保護の原則と非犯罪化207
(4) 行為無価値と結果無価値208
5 犯罪論の体系…… 210
(1) 抑止刑論と規範論210
(2) 構成要件と主観的要素211
(3) 故意と過失212
(4) 実行行為213
(5) 共犯の基礎理論213
(6) 共謀共同正犯214
6 展望…… 214
第3 章佐伯刑法理論の現代的意義…… 216
1 はじめに…… 216
2 佐伯犯罪体系論の概観…… 217
(1) 犯罪論の体系217
(2) 犯罪類型・違法・責任217
3 犯罪類型論違法行為類型・有責行為類型の意義…… 220
4 可罰的違法論の意義…… 223
(1) 可罰的違法性の機能223
(2) 可罰的違法論の展望225
5 可罰的責任論と期待可能性論の意義…… 226
(1) 責任論の体系構成226
(2) 規範的責任と可罰的責任227
(3) 一般的超法規的責任阻却事由としての期待不可能性227
(4) 可罰的責任論の意義228
6 まとめ…… 230
第4 章構成要件概念の新構想…… 233
1 構成要件理解の手がかり…… 233
2 犯罪論体系の構想と構成要件の指導理念…… 234
3 構成要件と違法性・責任の関係…… 237
4 それぞれの学説の批判的検討…… 238
5 新たな構成要件概念の前提条件と課題…… 239
6 客観的構成要件と主観的構成要件の構想…… 240
7 主観的構成要件の射程と機能…… 241
8 結語…… 242
初出一覧…… 245
関連独語論文一覧…… 246