社会の変容と民法典
円谷 峻 編著
定価:5,500円(税込)-
在庫:
美本なし(ケース又はカバー汚れ) -
発行:
2010年03月20日
-
判型:
A5版上製 -
ページ数:
480頁 -
ISBN:
978-4-7923-2582-4
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内容紹介
目 次
はじめに円 谷 峻 i
21世紀の民法—幾つかの素材に関する随想風の序説として—
椿 寿 夫 1
Ⅰ はじめに———1
Ⅱ 民法改正の範囲———4
1 序(4)
2 二つの立法提案(4)
3 両案をめぐる若干のコメント(5)
4 改正の範囲に関連する幾つかの問題(10)
Ⅲ 21世紀の民法学へ向けて———13
1 序(13)
2 外国法の外国とは(14)
3 『総則』をめぐって(18)
Ⅳ おわりに———25
錯誤規定のあり方—より柔軟な規定を求めて—
滝 沢 昌 彦 26
Ⅰ はじめに———26
Ⅱ 効果論———27
1 無効構成か取消構成か(27)
2 第三者保護(29)
Ⅲ 要件論———31
1 錯誤の重要性(要素)(31)
2 表示主義的錯誤論(33)
3 動機の錯誤(35)
錯誤,不実表示,情報提供義務—民法と消費者契約
法の関係をどうとらえるか—後 藤 巻 則 38
Ⅰ はじめに———38
Ⅱ 錯誤———39
1 錯誤に関する学説(39)
2 検討委員会試案(40)
3 検討委員会試案と消費者(41)
Ⅲ 不実表示———47
1 検討委員会試案(47)
2 不実表示の要件としての「信頼の妥当性」(48)
3 合意主義的錯誤理解の再検討(50)
Ⅳ 情報提供義務———52
1 検討委員会試案(52)
2 不実表示と情報提供義務(53)
3 情報提供義務と契約の取消し(54)
Ⅴ むすびにかえて———57
「代理・授権」規定案の検討—代理の法的構成論からみて—
伊 藤 進 58
Ⅰ 代理および授権等に関する規律の構成———58
1 完全分業社会と他人に代わってする行為現象の規律(58)
2 「代理・授権」統一規律(60)
3 任意代理と法定代理の統一規律(64)
4 「意思表示」代理か「法律行為」代理か「代理なる法律行為」か(67)
5 代理と内部関係の関係づけ(71)
6 小括(72)
Ⅱ 個別規律に関する若干の検討———73
1 顕名原則の射程(73)
2 利益相反行為・代理権濫用の規律(74)
3 無権代理と相続の規律(76)
おわりに(78)
消滅時効—世界における単純化と短期化の流れの中で—
平 野 裕 之 79
Ⅰ はじめに———79
Ⅱ 消滅時効についての基本的スタンス———80
1 消滅時効の根拠づけ(80)
2 消滅時効の法的構成(82)
Ⅲ 消滅時効の起算点と期間———83
1 短期消滅時効期間制度の廃止(83)
2 原則的な時効期間—起算点及び二重期間論(84)
3 特別の短期時効制度を残すか(87)
Ⅳ 中断・停止———89
1 中断・停止の規定の仕方(89)
2 交渉による時効の進行停止(92)
Ⅴ 時効についての合意———94
1 日本のこれまでの状況(94)
2 世界の時効法の状況(94)
3 日本における立法提案(95)
Ⅵ おわりに———97
第三者保護制度の改正について考える—不動産取引における
第三者保護法理はどうあるべきか—武 川 幸 嗣 99
Ⅰ 序論———99
Ⅱ 民法94条2項類推適用法理の確立とその将来的意義———101
1 民法94条2項類推適用法理の確立(101)
2 今後の課題および方向性(103)
Ⅲ 民法177条における背信的悪意者排除論の意義と評価———105
1 背信的悪意者排除論の意義(105)
2 背信的悪意者排除論の評価(106)
Ⅳ 第三者保護制度の再構成に向けて———109
1 「対抗」問題と「公信」問題(109)
2 終章—今後の検討課題—(111)
物権変動規定の改正の必要性と方向性—基本原理に立ち返った
基本原則の再検討の試み—松 尾 弘 115
Ⅰ はじめに — 物権変動に関する民法改正の必要性 — ———115
1 物権変動規定の見直しの余地(115)
2 見直しの方法(117)
Ⅱ 意思主義の歴史的意義と構造
— 意思主義と形式主義は対立するか — ———118
1 物権変動法理の構成要素と物権変動システムの構成可能性(118)
2 形式主義と意思主義(119)
3 一体主義と分離主義(125)
4 有因主義と無因主義(126)
Ⅲ 意思主義の射程 — 対抗問題,公信問題,
その他の問題の識別 — ———127
Ⅳ 民法における物権変動規定の射程 — 不動産,動産
および債権・その他の無体物 — ———129
Ⅴ おわりに — 物権変動規定の改正の方向性と条文骨子案 —
———130
1 条文の骨子(130)
2 権利の客体(130)
3 物権変動の基本原則(131)
4 制限行為能力または強迫を理由とする取消し(133)
物上代位—民法304条1項ただし書を中心として—
清 水 恵 介 134
Ⅰ 序 論———134
Ⅱ 立法論としての「差押え」の意義———136
Ⅲ 物上代位と債権譲渡担保の同主体間競合———140
Ⅳ 再構成された物上代位の法的構成———143
Ⅴ 暫定的な立法提案———145
1 提案304条(147)
2 提案333条2項(148)
3 提案350条2項(148)
4 提案372条2項(148)
5 提案372条3項(149)
6 提案372条4項(149)
Ⅵ 結語 — 残された課題 — ———149
動産譲渡担保—判例法理の到達点と限界—
亀 田 浩 一 郎 151
Ⅰ はじめに———151
1 これまでの経緯(151)
2 本稿の目的(153)
Ⅱ 特定動産譲渡担保———154
1 法的構成(154)
2 対抗要件(155)
3 実行・清算関係(156)
4 物上代位(158)
5 不法占有者に対する返還請求(158)
6 設定者側の第三者との関係(159)
7 担保権者側の第三者との関係(160)
Ⅲ 集合動産譲渡担保———161
1 有効性・法的構成(161)
2 対抗要件(163)
3 動産売買先取特権との優劣(163)
4 目的物の処分(164)
Ⅳ 動産譲渡登記制度———165
Ⅴ おわりに———166
企業担保法の改正—企業の資金調達手段として
使えるものにするために—吉 田 光 碩 168
Ⅰ 問題の所在———168
Ⅱ 財団抵当制度の充実か,企業担保制度の充実か———170
Ⅲ 現行企業担保法の概要とその問題点———171
1 企業担保法の概要(171)
2 問題点(174)
Ⅳ 企業担保・財団抵当法制研究会中間整理———175
Ⅴ 考える視点———177
Ⅵ 立法提案———178
契約責任(債務不履行)法の再構築—伝統的理論の修正と
新理論の評価—長 坂 純 180
Ⅰ はじめに———180
Ⅱ 民法(債権法)改正へ向けた動向———181
1 伝統的理論の修正と契約責任論の新展開(181)
2 契約責任(債務不履行)法の立法提案(182)
3 新理論に関する議論(185)
Ⅲ 基本的論点の検討———188
1 債務不履行の類型(188)
2 債務不履行の判断規準(188)
3 債務不履行の帰責構造(189)
4 責任内容(救済手段)(190)
5 契約の諸類型への対応(190)
6 不法行為規範との関係(191)
Ⅳ 結 び———191
債権者代位権および詐害行為取消権—許害行為取消権の
民事罰的機能を破棄すべきか—工 藤 祐 巌 193
Ⅰ 債権者代位権———193
1 転用の一般規定化と「責任財産の保全」(193)
2 債権回収機能の否定(194)
3 債権者が直接自己に財産の交付を求めることが
できる場合の限定について(196)
4 債権回収機能の否定と債権者代位権の要件(197)
5 債務者の処分制限効(197)
Ⅱ 詐害行為取消権———199
1 すべての債権者のための責任財産の保全か
取消債権者のための責任財産の保全か(199)
2 詐害行為取消の法的構成(201)
3 受益者の処遇(203)
4 取消の対象となる行為(204)
5 無償行為の特則(205)
Ⅲ むすびにかえて———205
保証制度の改正—分別の利益を中心とした債権者・保証人双方の
利益衡量—椿 久 美 子 207
Ⅰ はじめに———207
Ⅱ わが国の保証規定に関する改正提案状況———209
1 学者・実務家からの改正提案(209)
2 民法(債権法)改正検討委員会試案(210)
3 民法改正研究会による有志案(212)
Ⅲ 共同保証と分別の利益———212
1 分別の利益に関する改正案の状況(212)
2 分別の利益とその歴史的推移—ローマ,フランス,
ドイツおよびスイス民法の概略(215)
3 日本民法の状況(217)
4 分別の利益についての評価(224)
Ⅳ おわりに———226
債権譲渡—コスト・利便性を重視した対抗要件制度を—
三 林 宏 228
Ⅰ はじめに———228
Ⅱ 債権の譲渡性,特に,譲渡禁止特約———230
Ⅲ 将来債権譲渡———233
Ⅳ 債権譲渡の第三者対抗要件———234
1 現行法の仕組みの理解,および,その難点と利点(コストの面)(234)
2 改正委員会案の仕組み,および,その難点と利点(236)
3 どのような立法が妥当と評価すべきか(237)
Ⅴ 債権譲渡と債務者の保護———239
1 現行法の債務者対抗要件制度の仕組みと評価(239)
2 改正委員会案の仕組みと評価(240)
3 どのような立法が妥当か(240)
Ⅵ 結びにかえて———241
弁済の提供—債務不履行責任の免責および追及要件—
北 居 功 242
Ⅰ 問題の所在———242
Ⅱ 提供の防御的効果———243
1 債務不履行の免責(243)
2 弁済供託(246)
3 受戻権の行使(247)
Ⅲ 提供の攻撃的効果———248
1 受領遅滞(249)
2 契約解除(250)
3 履行請求(252)
Ⅳ 改正の方向———253
債権の準占有者に対する弁済—民法478条適用事案の
類型化と要件の再考—川 地 宏 行 256
Ⅰ 民法478条をめぐる判例学説の状況———256
1 債権の準占有者に対する弁済(256)
2 債権の準占有者の範囲(256)
3 債務者の主観的要件(258)
4 真の債権者の帰責事由(258)
Ⅱ 民法478条の適用事案の類型化———260
Ⅲ 同一性誤認型と受領権限誤認型———260
1 事案の特徴(260)
2 民法478条の制度趣旨(261)
3 債務者の主観的要件(261)
4 真の債権者の帰責事由(262)
Ⅳ 帰属誤認型———262
1 事案の特徴(262)
2 債務者に過失がある場合の清算関係(264)
3 民法478条の制度趣旨(265)
4 債務者の主観的要件(266)
5 債権二重譲渡事案における債権帰属ルール(267)
6 帰属誤認型における「無過失要件」の排除(268)
7 真の債権者の帰責事由(269)
Ⅴ 民法478条の改正案———269
1 民法(債権法)改正検討委員会案(269)
2 民法改正研究会の改正案(270)
3 両改正案の問題点(271)
Ⅵ 改正私案———272
契約上の地位の移転—立法化をめぐる諸問題の検討—
佐 藤 秀 勝 274
Ⅰ はじめに———274
Ⅱ 適用の対象———276
1 議論状況(276)
2 立法提案(278)
3 検討(278)
Ⅲ 要件———280
1 相手方の意思的関与(同意,承認,承諾)(280)
2 第三者対抗要件(285)
Ⅳ 効果———287
1 移転する権利・義務の範囲(288)
2 譲渡人の免責(289)
Ⅴ まとめ———291
契約交渉破棄の責任—その関連条文の明確化の必要性—
有 賀 恵 美 子 293
Ⅰ はじめに———293
Ⅱ 現行民法下における契約の成立———295
1 申込みと承諾の合致(295)
2 契約内容の確定(295)
3 契約成立に向けた確定的な意思の存在(296)
Ⅲ 現行民法下における予約の成立———297
1 予約の意義(297)
2 予約の成立要件(297)
Ⅳ 現行民法下における信義則(禁反言)———298
1 契約交渉破棄の責任との関係(298)
2 判例の状況(299)
Ⅴ 現行民法下における契約交渉破棄の責任———300
1 判例の状況(300)
2 多数当事者が関わる交渉破棄責任(302)
Ⅵ 契約交渉破棄の責任とその関連条文に関する改正案———303
1 契約成立に関する規定(303)
2 予約に関する規定(304)
3 信義則(禁反言)に関する規定(305)
4 契約交渉破棄の責任に関する規定(306)
5 まとめ(309)
信認関係と忠実義務—信認型契約の創設を
構想する立場からの提言—長 谷 川 貞 之 310
Ⅰ はじめに———310
Ⅱ 債権法改正に現れた2つの改正案———311
1 民法(債権法)改正検討委員会の改正案(311)
2 民法改正研究会の改正案(312)
Ⅲ 既成民法典と受任者の忠実義務———313
1 旧民法財産編237条・239条と善管注意義務(313)
2 法典調査会提出の民法原案650条と忠実義務(314)
3 民法整理会における修正案642条と忠実義務から
善管注意義務への修正(316)
4 民法中修正案643条(318)
Ⅳ 受任者の忠実義務を論ずることの意義———319
1 善管注意義務と区別される忠実義務(319)
2 忠実義務の概念(320)
3 忠実義務の内容と機能(321)
Ⅴ 信認型契約の提唱と忠実義務—結びに代えて———326
事情変更の原則規定案における問題点
—効果論を中心にして—中 村 肇 329
Ⅰ 問題の所在———329
Ⅱ 要件について———330
Ⅲ 伝統的な事情変更の原則の効果論———333
1 解除と改訂の関係(333)
2 小括(335)
Ⅳ 再交渉義務の導入の可否———336
1 再交渉義務とはどのような義務か(336)
2 契約改訂プロセスにおける再交渉義務の位置付け
—従来の事情変更の原則との関係—(340)
3 小括(342)
Ⅴ 結びに代えて———345
契約解除と危険負担—解除の要件論を中心に—
鹿 野 菜 穂 子 347
Ⅰ はじめに———347
Ⅱ 解除と帰責事由———349
1 海外の動向(349)
2 日本における議論(350)
3 若干の検討(351)
Ⅲ 契約解除の新たな要件———352
1 「重大な不履行」への一元化(352)
2 「重大な不履行」の内容および判断要素(354)
Ⅳ 解除と危険負担———357
1 危険負担制度の廃止と解除への統合(357)
2 検討課題(358)
Ⅴ むすび———360
代償請求権—債務不履行体系の変容と代償利益の引渡し—
中 川 敏 宏 362
Ⅰ はじめに———362
1 問題提起(362)
2 わが国の議論状況(364)
Ⅱ 代償請求権に関する比較法的考察———369
1 フランス法(369)
2 ドイツ法(370)
Ⅲ わが国における民法改正案———376
1 民法(債権法)改正検討委員会案(376)
2 民法改正研究会・民法改正試案(377)
Ⅳ 検討———379
瑕疵担保責任—担保責任と債務不履行責任の接合—
円 谷 峻 381
Ⅰ 問題提起———381
1 瑕疵担保責任規定の再構成の必要性(381)
2 瑕疵担保責任規定における現代化の方向性(381)
Ⅱ ウィーン売買条約における責任規律———382
1 責任規律の概要(382)
2 契約違反の効果(383)
Ⅲ ドイツ法における新たな瑕疵責任———386
1 債務法の現代化と債務不履行責任(386)
2 瑕疵責任(388)
Ⅳ わが国における瑕疵担保責任の改正案———390
1 民法(債権法)改正検討委員会案(390)
2 日本民法典財産法改正試案(392)
Ⅴ 在るべき改正の方向———394
1 瑕疵責任の内容(394)
2 まとめ(395)
請負契約—役務提供契約の一類型としての請負契約—
芦 野 訓 和 397
Ⅰ はじめに—社会の変容とサービス取引———397
Ⅱ 法典の中の請負契約と役務提供契約———399
1 大陸法系における請負契約の歴史(399)
2 我が民法起草過程における請負契約(402)
Ⅲ 起草過程からみる役務提供契約および請負契約の問題———406
1 役務提供契約(406)
2 請負契約(407)
Ⅳ 役務提供契約および請負契約の将来像
— 来るべき(?)法改正に向けて — ———409
1 将来像構築の指針(409)
2 将来像構築のための方向性(409)
3 おわりに—典型契約そして民法とは—(416)
和解の拘束力(不可争効)—和解の本質に適合する
判例法の展開を無視してよいか—神 田 英 明 418
Ⅰ 問題提起———418
Ⅱ 和解契約の本質に適合する判例法の展開———419
1 判例の概要(419)
2 第一法則に関する代表的な判決(420)
3 第二法則に関する「特別の事情」の類型(421)
4 判例の小括(422)
Ⅲ 学説の対応———423
1 かつての通説(423)
2 その後の学説の展開(424)
3 争点概念を用いることの当否(425)
Ⅳ 和解と錯誤の関係をめぐる改正案の検討———427
1 民法(債権法)改正検討委員会案(427)
2 民法改正研究会日本民法典財産法改正試案(429)
Ⅴ 在るべき改正の方向———431
1 条文提言(私見)(431)
2 まとめ(431)
不当利得法—不当利得法に新たな規定を与えるとすれば,
何を考慮すべきか—藤 原 正 則 433
Ⅰ はじめに———433
Ⅱ 改正に際して考慮すべきこと———435
1 不当利得の一般条項(435)
2 類型論をどう考えるか(435)
3 具体的な問題(436)
Ⅲ 「債権法改正の基本方針」,および,
「日本民法改正試案」について———444
Ⅳ おわりに———446
遺言執行者の法的地位—遺言者の意思の実現者
としての再構成—西 島 良 尚 447
Ⅰ はじめに — 本稿での検討課題と論述内容の概略 — ———447
Ⅱ 民法1015条に関するこれまでの議論の要約と改正の必要性
———449
Ⅲ 弁護士である遺言執行者が,遺留分減殺請求事件について特定の相続人の代理人となることは,弁護士倫理に反し懲戒(戒告)事由に当たるとされた高裁判決(東京高判平15・4・24(判時1932号80頁)。以下「本件判決」という。)について。———452
Ⅳ 遺言執行者は相続人との関係で常に中立であるべきか———454
Ⅴ 結 論———459
はじめに円 谷 峻 i
21世紀の民法—幾つかの素材に関する随想風の序説として—
椿 寿 夫 1
Ⅰ はじめに———1
Ⅱ 民法改正の範囲———4
1 序(4)
2 二つの立法提案(4)
3 両案をめぐる若干のコメント(5)
4 改正の範囲に関連する幾つかの問題(10)
Ⅲ 21世紀の民法学へ向けて———13
1 序(13)
2 外国法の外国とは(14)
3 『総則』をめぐって(18)
Ⅳ おわりに———25
錯誤規定のあり方—より柔軟な規定を求めて—
滝 沢 昌 彦 26
Ⅰ はじめに———26
Ⅱ 効果論———27
1 無効構成か取消構成か(27)
2 第三者保護(29)
Ⅲ 要件論———31
1 錯誤の重要性(要素)(31)
2 表示主義的錯誤論(33)
3 動機の錯誤(35)
錯誤,不実表示,情報提供義務—民法と消費者契約
法の関係をどうとらえるか—後 藤 巻 則 38
Ⅰ はじめに———38
Ⅱ 錯誤———39
1 錯誤に関する学説(39)
2 検討委員会試案(40)
3 検討委員会試案と消費者(41)
Ⅲ 不実表示———47
1 検討委員会試案(47)
2 不実表示の要件としての「信頼の妥当性」(48)
3 合意主義的錯誤理解の再検討(50)
Ⅳ 情報提供義務———52
1 検討委員会試案(52)
2 不実表示と情報提供義務(53)
3 情報提供義務と契約の取消し(54)
Ⅴ むすびにかえて———57
「代理・授権」規定案の検討—代理の法的構成論からみて—
伊 藤 進 58
Ⅰ 代理および授権等に関する規律の構成———58
1 完全分業社会と他人に代わってする行為現象の規律(58)
2 「代理・授権」統一規律(60)
3 任意代理と法定代理の統一規律(64)
4 「意思表示」代理か「法律行為」代理か「代理なる法律行為」か(67)
5 代理と内部関係の関係づけ(71)
6 小括(72)
Ⅱ 個別規律に関する若干の検討———73
1 顕名原則の射程(73)
2 利益相反行為・代理権濫用の規律(74)
3 無権代理と相続の規律(76)
おわりに(78)
消滅時効—世界における単純化と短期化の流れの中で—
平 野 裕 之 79
Ⅰ はじめに———79
Ⅱ 消滅時効についての基本的スタンス———80
1 消滅時効の根拠づけ(80)
2 消滅時効の法的構成(82)
Ⅲ 消滅時効の起算点と期間———83
1 短期消滅時効期間制度の廃止(83)
2 原則的な時効期間—起算点及び二重期間論(84)
3 特別の短期時効制度を残すか(87)
Ⅳ 中断・停止———89
1 中断・停止の規定の仕方(89)
2 交渉による時効の進行停止(92)
Ⅴ 時効についての合意———94
1 日本のこれまでの状況(94)
2 世界の時効法の状況(94)
3 日本における立法提案(95)
Ⅵ おわりに———97
第三者保護制度の改正について考える—不動産取引における
第三者保護法理はどうあるべきか—武 川 幸 嗣 99
Ⅰ 序論———99
Ⅱ 民法94条2項類推適用法理の確立とその将来的意義———101
1 民法94条2項類推適用法理の確立(101)
2 今後の課題および方向性(103)
Ⅲ 民法177条における背信的悪意者排除論の意義と評価———105
1 背信的悪意者排除論の意義(105)
2 背信的悪意者排除論の評価(106)
Ⅳ 第三者保護制度の再構成に向けて———109
1 「対抗」問題と「公信」問題(109)
2 終章—今後の検討課題—(111)
物権変動規定の改正の必要性と方向性—基本原理に立ち返った
基本原則の再検討の試み—松 尾 弘 115
Ⅰ はじめに — 物権変動に関する民法改正の必要性 — ———115
1 物権変動規定の見直しの余地(115)
2 見直しの方法(117)
Ⅱ 意思主義の歴史的意義と構造
— 意思主義と形式主義は対立するか — ———118
1 物権変動法理の構成要素と物権変動システムの構成可能性(118)
2 形式主義と意思主義(119)
3 一体主義と分離主義(125)
4 有因主義と無因主義(126)
Ⅲ 意思主義の射程 — 対抗問題,公信問題,
その他の問題の識別 — ———127
Ⅳ 民法における物権変動規定の射程 — 不動産,動産
および債権・その他の無体物 — ———129
Ⅴ おわりに — 物権変動規定の改正の方向性と条文骨子案 —
———130
1 条文の骨子(130)
2 権利の客体(130)
3 物権変動の基本原則(131)
4 制限行為能力または強迫を理由とする取消し(133)
物上代位—民法304条1項ただし書を中心として—
清 水 恵 介 134
Ⅰ 序 論———134
Ⅱ 立法論としての「差押え」の意義———136
Ⅲ 物上代位と債権譲渡担保の同主体間競合———140
Ⅳ 再構成された物上代位の法的構成———143
Ⅴ 暫定的な立法提案———145
1 提案304条(147)
2 提案333条2項(148)
3 提案350条2項(148)
4 提案372条2項(148)
5 提案372条3項(149)
6 提案372条4項(149)
Ⅵ 結語 — 残された課題 — ———149
動産譲渡担保—判例法理の到達点と限界—
亀 田 浩 一 郎 151
Ⅰ はじめに———151
1 これまでの経緯(151)
2 本稿の目的(153)
Ⅱ 特定動産譲渡担保———154
1 法的構成(154)
2 対抗要件(155)
3 実行・清算関係(156)
4 物上代位(158)
5 不法占有者に対する返還請求(158)
6 設定者側の第三者との関係(159)
7 担保権者側の第三者との関係(160)
Ⅲ 集合動産譲渡担保———161
1 有効性・法的構成(161)
2 対抗要件(163)
3 動産売買先取特権との優劣(163)
4 目的物の処分(164)
Ⅳ 動産譲渡登記制度———165
Ⅴ おわりに———166
企業担保法の改正—企業の資金調達手段として
使えるものにするために—吉 田 光 碩 168
Ⅰ 問題の所在———168
Ⅱ 財団抵当制度の充実か,企業担保制度の充実か———170
Ⅲ 現行企業担保法の概要とその問題点———171
1 企業担保法の概要(171)
2 問題点(174)
Ⅳ 企業担保・財団抵当法制研究会中間整理———175
Ⅴ 考える視点———177
Ⅵ 立法提案———178
契約責任(債務不履行)法の再構築—伝統的理論の修正と
新理論の評価—長 坂 純 180
Ⅰ はじめに———180
Ⅱ 民法(債権法)改正へ向けた動向———181
1 伝統的理論の修正と契約責任論の新展開(181)
2 契約責任(債務不履行)法の立法提案(182)
3 新理論に関する議論(185)
Ⅲ 基本的論点の検討———188
1 債務不履行の類型(188)
2 債務不履行の判断規準(188)
3 債務不履行の帰責構造(189)
4 責任内容(救済手段)(190)
5 契約の諸類型への対応(190)
6 不法行為規範との関係(191)
Ⅳ 結 び———191
債権者代位権および詐害行為取消権—許害行為取消権の
民事罰的機能を破棄すべきか—工 藤 祐 巌 193
Ⅰ 債権者代位権———193
1 転用の一般規定化と「責任財産の保全」(193)
2 債権回収機能の否定(194)
3 債権者が直接自己に財産の交付を求めることが
できる場合の限定について(196)
4 債権回収機能の否定と債権者代位権の要件(197)
5 債務者の処分制限効(197)
Ⅱ 詐害行為取消権———199
1 すべての債権者のための責任財産の保全か
取消債権者のための責任財産の保全か(199)
2 詐害行為取消の法的構成(201)
3 受益者の処遇(203)
4 取消の対象となる行為(204)
5 無償行為の特則(205)
Ⅲ むすびにかえて———205
保証制度の改正—分別の利益を中心とした債権者・保証人双方の
利益衡量—椿 久 美 子 207
Ⅰ はじめに———207
Ⅱ わが国の保証規定に関する改正提案状況———209
1 学者・実務家からの改正提案(209)
2 民法(債権法)改正検討委員会試案(210)
3 民法改正研究会による有志案(212)
Ⅲ 共同保証と分別の利益———212
1 分別の利益に関する改正案の状況(212)
2 分別の利益とその歴史的推移—ローマ,フランス,
ドイツおよびスイス民法の概略(215)
3 日本民法の状況(217)
4 分別の利益についての評価(224)
Ⅳ おわりに———226
債権譲渡—コスト・利便性を重視した対抗要件制度を—
三 林 宏 228
Ⅰ はじめに———228
Ⅱ 債権の譲渡性,特に,譲渡禁止特約———230
Ⅲ 将来債権譲渡———233
Ⅳ 債権譲渡の第三者対抗要件———234
1 現行法の仕組みの理解,および,その難点と利点(コストの面)(234)
2 改正委員会案の仕組み,および,その難点と利点(236)
3 どのような立法が妥当と評価すべきか(237)
Ⅴ 債権譲渡と債務者の保護———239
1 現行法の債務者対抗要件制度の仕組みと評価(239)
2 改正委員会案の仕組みと評価(240)
3 どのような立法が妥当か(240)
Ⅵ 結びにかえて———241
弁済の提供—債務不履行責任の免責および追及要件—
北 居 功 242
Ⅰ 問題の所在———242
Ⅱ 提供の防御的効果———243
1 債務不履行の免責(243)
2 弁済供託(246)
3 受戻権の行使(247)
Ⅲ 提供の攻撃的効果———248
1 受領遅滞(249)
2 契約解除(250)
3 履行請求(252)
Ⅳ 改正の方向———253
債権の準占有者に対する弁済—民法478条適用事案の
類型化と要件の再考—川 地 宏 行 256
Ⅰ 民法478条をめぐる判例学説の状況———256
1 債権の準占有者に対する弁済(256)
2 債権の準占有者の範囲(256)
3 債務者の主観的要件(258)
4 真の債権者の帰責事由(258)
Ⅱ 民法478条の適用事案の類型化———260
Ⅲ 同一性誤認型と受領権限誤認型———260
1 事案の特徴(260)
2 民法478条の制度趣旨(261)
3 債務者の主観的要件(261)
4 真の債権者の帰責事由(262)
Ⅳ 帰属誤認型———262
1 事案の特徴(262)
2 債務者に過失がある場合の清算関係(264)
3 民法478条の制度趣旨(265)
4 債務者の主観的要件(266)
5 債権二重譲渡事案における債権帰属ルール(267)
6 帰属誤認型における「無過失要件」の排除(268)
7 真の債権者の帰責事由(269)
Ⅴ 民法478条の改正案———269
1 民法(債権法)改正検討委員会案(269)
2 民法改正研究会の改正案(270)
3 両改正案の問題点(271)
Ⅵ 改正私案———272
契約上の地位の移転—立法化をめぐる諸問題の検討—
佐 藤 秀 勝 274
Ⅰ はじめに———274
Ⅱ 適用の対象———276
1 議論状況(276)
2 立法提案(278)
3 検討(278)
Ⅲ 要件———280
1 相手方の意思的関与(同意,承認,承諾)(280)
2 第三者対抗要件(285)
Ⅳ 効果———287
1 移転する権利・義務の範囲(288)
2 譲渡人の免責(289)
Ⅴ まとめ———291
契約交渉破棄の責任—その関連条文の明確化の必要性—
有 賀 恵 美 子 293
Ⅰ はじめに———293
Ⅱ 現行民法下における契約の成立———295
1 申込みと承諾の合致(295)
2 契約内容の確定(295)
3 契約成立に向けた確定的な意思の存在(296)
Ⅲ 現行民法下における予約の成立———297
1 予約の意義(297)
2 予約の成立要件(297)
Ⅳ 現行民法下における信義則(禁反言)———298
1 契約交渉破棄の責任との関係(298)
2 判例の状況(299)
Ⅴ 現行民法下における契約交渉破棄の責任———300
1 判例の状況(300)
2 多数当事者が関わる交渉破棄責任(302)
Ⅵ 契約交渉破棄の責任とその関連条文に関する改正案———303
1 契約成立に関する規定(303)
2 予約に関する規定(304)
3 信義則(禁反言)に関する規定(305)
4 契約交渉破棄の責任に関する規定(306)
5 まとめ(309)
信認関係と忠実義務—信認型契約の創設を
構想する立場からの提言—長 谷 川 貞 之 310
Ⅰ はじめに———310
Ⅱ 債権法改正に現れた2つの改正案———311
1 民法(債権法)改正検討委員会の改正案(311)
2 民法改正研究会の改正案(312)
Ⅲ 既成民法典と受任者の忠実義務———313
1 旧民法財産編237条・239条と善管注意義務(313)
2 法典調査会提出の民法原案650条と忠実義務(314)
3 民法整理会における修正案642条と忠実義務から
善管注意義務への修正(316)
4 民法中修正案643条(318)
Ⅳ 受任者の忠実義務を論ずることの意義———319
1 善管注意義務と区別される忠実義務(319)
2 忠実義務の概念(320)
3 忠実義務の内容と機能(321)
Ⅴ 信認型契約の提唱と忠実義務—結びに代えて———326
事情変更の原則規定案における問題点
—効果論を中心にして—中 村 肇 329
Ⅰ 問題の所在———329
Ⅱ 要件について———330
Ⅲ 伝統的な事情変更の原則の効果論———333
1 解除と改訂の関係(333)
2 小括(335)
Ⅳ 再交渉義務の導入の可否———336
1 再交渉義務とはどのような義務か(336)
2 契約改訂プロセスにおける再交渉義務の位置付け
—従来の事情変更の原則との関係—(340)
3 小括(342)
Ⅴ 結びに代えて———345
契約解除と危険負担—解除の要件論を中心に—
鹿 野 菜 穂 子 347
Ⅰ はじめに———347
Ⅱ 解除と帰責事由———349
1 海外の動向(349)
2 日本における議論(350)
3 若干の検討(351)
Ⅲ 契約解除の新たな要件———352
1 「重大な不履行」への一元化(352)
2 「重大な不履行」の内容および判断要素(354)
Ⅳ 解除と危険負担———357
1 危険負担制度の廃止と解除への統合(357)
2 検討課題(358)
Ⅴ むすび———360
代償請求権—債務不履行体系の変容と代償利益の引渡し—
中 川 敏 宏 362
Ⅰ はじめに———362
1 問題提起(362)
2 わが国の議論状況(364)
Ⅱ 代償請求権に関する比較法的考察———369
1 フランス法(369)
2 ドイツ法(370)
Ⅲ わが国における民法改正案———376
1 民法(債権法)改正検討委員会案(376)
2 民法改正研究会・民法改正試案(377)
Ⅳ 検討———379
瑕疵担保責任—担保責任と債務不履行責任の接合—
円 谷 峻 381
Ⅰ 問題提起———381
1 瑕疵担保責任規定の再構成の必要性(381)
2 瑕疵担保責任規定における現代化の方向性(381)
Ⅱ ウィーン売買条約における責任規律———382
1 責任規律の概要(382)
2 契約違反の効果(383)
Ⅲ ドイツ法における新たな瑕疵責任———386
1 債務法の現代化と債務不履行責任(386)
2 瑕疵責任(388)
Ⅳ わが国における瑕疵担保責任の改正案———390
1 民法(債権法)改正検討委員会案(390)
2 日本民法典財産法改正試案(392)
Ⅴ 在るべき改正の方向———394
1 瑕疵責任の内容(394)
2 まとめ(395)
請負契約—役務提供契約の一類型としての請負契約—
芦 野 訓 和 397
Ⅰ はじめに—社会の変容とサービス取引———397
Ⅱ 法典の中の請負契約と役務提供契約———399
1 大陸法系における請負契約の歴史(399)
2 我が民法起草過程における請負契約(402)
Ⅲ 起草過程からみる役務提供契約および請負契約の問題———406
1 役務提供契約(406)
2 請負契約(407)
Ⅳ 役務提供契約および請負契約の将来像
— 来るべき(?)法改正に向けて — ———409
1 将来像構築の指針(409)
2 将来像構築のための方向性(409)
3 おわりに—典型契約そして民法とは—(416)
和解の拘束力(不可争効)—和解の本質に適合する
判例法の展開を無視してよいか—神 田 英 明 418
Ⅰ 問題提起———418
Ⅱ 和解契約の本質に適合する判例法の展開———419
1 判例の概要(419)
2 第一法則に関する代表的な判決(420)
3 第二法則に関する「特別の事情」の類型(421)
4 判例の小括(422)
Ⅲ 学説の対応———423
1 かつての通説(423)
2 その後の学説の展開(424)
3 争点概念を用いることの当否(425)
Ⅳ 和解と錯誤の関係をめぐる改正案の検討———427
1 民法(債権法)改正検討委員会案(427)
2 民法改正研究会日本民法典財産法改正試案(429)
Ⅴ 在るべき改正の方向———431
1 条文提言(私見)(431)
2 まとめ(431)
不当利得法—不当利得法に新たな規定を与えるとすれば,
何を考慮すべきか—藤 原 正 則 433
Ⅰ はじめに———433
Ⅱ 改正に際して考慮すべきこと———435
1 不当利得の一般条項(435)
2 類型論をどう考えるか(435)
3 具体的な問題(436)
Ⅲ 「債権法改正の基本方針」,および,
「日本民法改正試案」について———444
Ⅳ おわりに———446
遺言執行者の法的地位—遺言者の意思の実現者
としての再構成—西 島 良 尚 447
Ⅰ はじめに — 本稿での検討課題と論述内容の概略 — ———447
Ⅱ 民法1015条に関するこれまでの議論の要約と改正の必要性
———449
Ⅲ 弁護士である遺言執行者が,遺留分減殺請求事件について特定の相続人の代理人となることは,弁護士倫理に反し懲戒(戒告)事由に当たるとされた高裁判決(東京高判平15・4・24(判時1932号80頁)。以下「本件判決」という。)について。———452
Ⅳ 遺言執行者は相続人との関係で常に中立であるべきか———454
Ⅴ 結 論———459