所有法と団体法の交錯

所有法と団体法の交錯

区分所有者に対する団体的拘束の根拠と限界
伊藤栄寿 著
定価:5,500円(税込)
  • 在庫:
    在庫があります
  • 発行:
    2011年02月20日
  • 判型:
    A5版上製
  • ページ数:
    292頁
  • ISBN:
    978-4-7923-2597-8
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内容紹介

目 次
はしがき i

序章 はじめに1
第1節 本書の課題2
第2節 研究の視角および構成10

第1章 従来の議論の到達点
    ――団体的拘束の多様化と根拠論の変遷15
第1節 共有持分権者であることに基づく団体的拘束16
第1款 共用部分の管理のための団体的拘束――民法旧規定 16
Ⅰ 法典調査会における議論 16
Ⅱ 民法典制定後の議論 20
第2款 民法旧規定の継承――1962年法 21
Ⅰ 建物区分所有法制定の経緯 21
Ⅱ 所有権に着目した議論の展開 24
第2節 区分所有者団体の構成員であることに基づく団体的拘束
     27
第1款 団体的拘束の多様化――1983年法 27
Ⅰ 1983年法改正の経緯 27
Ⅱ 団体に着目した議論の展開 29
第2款 団体的拘束の強化――2002年法 32
第3節 従来の議論の到達点34
第1款 団体法的アプローチとその理論的根拠 34
第2款 区分所有の特殊性を指摘する見解 35

第2章 ドイツ住居所有権法における議論41
第1節 共有持分権を中心とする住居所有権
    ――共有法的アプローチ43
第1款 住居所有権法の沿革および規定 43
Ⅰ 住居所有権法の沿革 43
Ⅱ 住居所有権者相互の関係に関する規定 46
第2款 共有持分権を中心とする住居所有権 50
Ⅰ Paulickの見解 51
Ⅱ Weitnauerの見解 52
Ⅲ 判例理論(BGH1968年1月17日判決) 53
第3款 共有法的アプローチを否定する見解 54
Ⅰ Wesenbergの見解 54
Ⅱ Dulckeitの見解 56
Ⅲ Börnerの見解 57
Ⅳ Schulze-Osterlohの見解 57
Ⅴ 小括――共有法的アプローチの維持 58
第2節 物権的団体持分権としての住居所有権
    ――団体法的アプローチ60
第1款 団体法的側面を理論構成に反映させる見解 60
Ⅰ 住居所有権に関わる問題の噴出――1970年代の改正議論 60
Ⅱ Bärmannの見解――共有持分権・特別所有権・構成員権の三位一体理論 63
Ⅲ Merleの見解 65
Ⅳ Röllの見解 67
Ⅴ 小括 67
第2款 物権的団体持分権としての住居所有権――Junkerの見解 69
Ⅰ 物権的団体持分権(dinglicher Gesellschaftsanteil)としての住居所有権 70
Ⅱ Junker説からみた実務的課題の解決策 79
Ⅲ Junker説に対する評価 85
第3節 2007年新住居所有権法における新たなアプローチ
    ――帰納的アプローチ90
第1款 内部関係における団体的拘束 91
Ⅰ BGH2000年9月20日決定 93
Ⅱ 2007年の住居所有権法改正 94
Ⅲ 従来の議論との関係 100
第2款 外部関係における団体的拘束 103
Ⅰ BGH2005年6月2日決定 104
Ⅱ BGH2005年決定における部分的権利能力 106
Ⅲ 2007年新住居所有権法における部分的権利能力 107
Ⅳ 従来の議論との関係 111
第3款 2つの共同関係――共有法と団体法の交錯 113
第4節 ドイツ法からの示唆117

第3章 各論的場面における団体的拘束の根拠と限界121
第1節 管理に関する規定125
第1款 共用部分の狭義の管理 127
Ⅰ ドイツ法における通常の管理 127
Ⅱ 日本法における狭義の管理 135
第2款 共用部分の軽微変更 141
Ⅰ ドイツ法において「通常の管理」に含まれる変更 141
Ⅱ 日本法において「狭義の管理」と同視される軽微変更 142
第3款 共用部分の変更 146
Ⅰ ドイツ法における変更 146
Ⅱ 日本法における共用部分の変更 149
第4款 小規模滅失の復旧 155
Ⅰ ドイツ法における小規模滅失 156
Ⅱ 日本法における小規模滅失 156
第5款 大規模滅失の復旧 159
Ⅰ ドイツ法における大規模滅失 159
Ⅱ 日本法における大規模滅失 159
第2節 競売請求に関する規定162
第1款 ドイツ法における譲渡請求規定 163
Ⅰ 立法趣旨 163
Ⅱ 要件 164
Ⅲ 団体的拘束の根拠および限界 164
第2款 日本法における競売請求規定 167
Ⅰ 1962年法制定時における規定の見送り 168
Ⅱ 1983年法 169
Ⅲ 団体的拘束の根拠および限界 169
Ⅳ 裁判例 172
第3節 規約に関する規定180
第1款 ドイツ法における規約に関する規定 180
Ⅰ 契約としての規約――設定、変更および廃止における全員合意原則 181
Ⅱ 各論的場面における団体的拘束――規約の衡平性を図る手段としての集会決議 182
Ⅲ 団体的拘束の根拠および限界 185
Ⅳ 変更請求権 187
第2款 日本法における規約に関する規定 188
Ⅰ 全員の合意を必要とする規約――1962年法における規約 188
Ⅱ 団体法的規律としての規約――1983年法における規約 190
Ⅲ 団体的拘束の根拠および限界 191
Ⅳ 小括 194
第3款 最高裁平成22年1月26日判決 195
Ⅰ 事案および判旨 196
Ⅱ 検討 201
第4節 小括206

第4章 建替え決議の根拠および限界209
第1節 建替え決議制度をめぐる従来の議論状況213
第1款 建替え決議制度の導入に関する議論 213
第2款 2002年の法改正に至るまでの議論 215
Ⅰ 建替え決議をめぐる裁判例 215
Ⅱ 2002年法制審議会中間試案 220
Ⅲ 2002年改正法に対する評価 223
第2節 建替え決議の根拠および限界226
第1款 団体的拘束の根拠および限界 226
Ⅰ 分析枠組み 226
Ⅱ 団体的拘束の根拠および限界 227
第2款 現行の建替え決議制度に関する有力な見解 231
第3款 2002年法改正の意義 232
Ⅰ 2002年法改正の評価 232
Ⅱ 立法論 233
第4款 最高裁平成21年4月23日判決 234
Ⅰ 事案および判旨 235
Ⅱ 検討 238
第3節 小括 243

結章 本書のまとめと課題245
第1節 本書のまとめ 246
第2節 残された課題 249
第1款 団地建替え決議制度 249
第2款 所有法と団体法の交錯 250

[資料編]ドイツ住居所有権法253

事項索引 277
判例索引 280