海外派兵と議会

海外派兵と議会

日本、アメリカ、カナダの比較憲法的考察
富井幸雄 著
定価:9,900円(税込)
  • 在庫:
    在庫があります
  • 発行:
    2013年01月25日
  • 判型:
    A5版上製
  • ページ数:
    670頁
  • ISBN:
    978-4-7923-0544-4
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内容紹介

目  次
はしがき
凡  例
第1章 戦争と軍隊と議会主義
Ⅰ 国家・軍・戦争
Ⅱ 国家の暴力機構は監視されなければならない
Ⅲ 立憲民主主義における軍事的決定と軍
1 文民の関与
2 近代憲法における戦争と議会主義
Ⅳ 軍の立憲的統制の普遍性
1 立憲的統制の意義
2 立憲的統制としての議会
Ⅴ 自衛隊の行動と国会関与の法原理
1 本書のねらい
2 日本国憲法における軍権
3 日本国憲法における行政権の概念と軍権
(1) 軍権と行政権  (2) 日本国憲法における行政権の概念:65条と73条  (3) 執政の概念・範囲  (4) 憲法73条1号  (5) 軍権の概念
(6) 日本国憲法における軍権の位置づけ
4 日本国憲法における軍隊と戦争
5 日本国憲法における立憲主義的視点に立った軍事のありかた
Ⅵ 本章のむすび
第2章 自衛隊の行動と国会承認
Ⅰ 本章のねらい
Ⅱ 自衛隊の行動の類型
Ⅲ 防衛出動と国会承認
1 国会承認の手続
2 事態対処法による国会承認の手続と意義の変容
3 国会承認を求める意義
4 治安出動と国会承認
(1) 命令による治安出動と国会承認
(2) 隊法における国会承認と保安庁法61条
5 小  括
Ⅳ 自衛隊の海外派遣と国会承認
1 PKO法
2 周辺事態法
3 国際協力関係法当初における国会承認の考え方
4 テロ特措法
5 イラク人道復興支援法
6 新テロ対策特措法
7 自衛隊の海賊対処と国会
8 小  括
Ⅴ 自衛隊の行動に対する国会承認を要する憲法的根拠
1 自衛隊の行動の類型と国会承認
2 国会承認の法概念─憲法との関係
3 文民統制と国会承認
(1) 国会と文民統制  (2) 国会承認と関与のパターン  (3) 文民統制は国会承認の要否の判断の決定的根拠となりうるか
4 国会承認を要する場合の国会承認の中身
5 国会報告の意義─国会の関与としての承認との相違
Ⅵ 本章のむすび
第3章 明治憲法下での軍の行動と帝国議会
Ⅰ 本章のねらい
Ⅱ 軍と天皇の閉鎖的自己完結的体制の確立
1 天皇の軍の創設
2 統帥権の独立
(1) 軍令・軍政機関の創設  (2) 統帥権の独立
Ⅲ 統帥権独立の展開と議会
1 帷幄上奏権
2 日清戦争と帝国議会
3 日露戦争と帝国議会
4 第1次世界大戦と統帥権干犯問題
(1) 第1次世界大戦での議会  (2) 統帥権の干犯  (3) 統帥権干犯と憲法学  (4) 統帥権干犯問題の意味
5 太平洋戦争前の軍の行動に対する議会の動き
6 太平洋戦争と帝国議会
Ⅳ 憲法学的考察
1 軍権と憲法
2 旧憲法下における軍権の概念―行政権との相対?
3 軍権と帝国議会
(1) 憲法構想  (2) 文民統制と憲法:フランスの経験
(3) 総  括
Ⅴ 国内の治安出動における軍と帝国議会
Ⅵ 本章のむすび:旧憲法下における議会主義の欠如
第4章 アメリカにおける戦争権限と議会
Ⅰ 問題の所在
Ⅱ 戦争権限の議論の枠組み
1 憲法条文の構造
2 ProConとProExe
(1) 概  観  (2) ProCon  (3) ProExe  (4) 折衷型あるいはProConの分派  (5) 検  討
3 大統領と議会の協働?
Ⅲ 戦争権限の憲法問題―文言と歴史・運用
1 ProExeからみた論点整理:Yooの議論
2 ProConからみた論点整理:Stromsethの議論
3 戦争権限の憲法理論的総括
(1) 戦争権限の憲法解釈の土俵  (2) 宣戦の意味  (3) 捕獲特許状条項と制憲者意思  (4) 戦争権限に関する制憲者意思―原意主義の射程
Ⅳ 議会の関与の歴史的展開:戦争権限法制定前
1 朝鮮戦争以前
(1) 文言解釈  (2) 南北戦争
(3) 総力戦:2つの世界大戦と議会
2 宣戦の実際
(1) 5つの実例  (2) 宣戦の意義
3 朝鮮戦争から戦争権限法へ
(1) 冷戦下における議会と大統領
(2) トルーマン大統領からベトナム戦争へ
Ⅴ 戦争権限法
1 戦争権限法の内容
2 戦争権限法の意義と問題
3 戦争権限法の運用―概観
(1) 戦争権限法制定後の議会  (2) 戦争権限法の運用:大統領のイライラ?!
4 戦争権限法の運用と解釈―湾岸戦争以前
(1) マヤゲーズ事件  (2) イラン大使館員人質奪還  (3) エルサルバドル  (4) ホンジュラス  (5) レバノン  (6) グレナダ  (7) リビア爆撃  (8) 1987年ペルシャ湾  (9) パナマ侵攻
5 戦争権限法の効果
Ⅵ 集団安全保障と戦争権限
1 国際連合憲章と戦争権限
(1) 集団安全保障体制と国連参加法  (2) 朝鮮戦争での戦争権限:警察行動モデル  (3) 国連参加法と戦争権限法
2 条約の履行としての戦争権限
3 湾岸戦争
4 国連参加法と戦争権限法へのインプリケーション
5 クリントンの戦争
(1) ソマリア  (2) ハ イ チ  (3) ボスニア・コソヴォBosnia/Kosovo  (4) NATOと戦争権限  (5) クリントンと戦争権限
6 議会の宣戦はどこへいったのか
Ⅶ 対テロにおける軍隊の使用決定と議会
1 対テロ戦争の憲法問題
2 9・11と対テロ戦争
(1) 9・11後の議会と大統領  (2) ユーの法制意見  (3) AUMFの憲法的インプリケーション
3 2003年対イラク戦争
(1) 授権決議  (2) 対テロの武力行使の法的性格
Ⅷ 議会関与の手法
1 議会の執行権の統制:概観
2 議会の宣戦
3 予 算 権
(1) 議会の歳出権の意味  (2) 海外派兵に関する支出:CINCとの競合  (3) 小  括
4 武力行使の実体面の統制
Ⅸ 本章のむすび
第5章 カナダ憲法における議会と軍権
Ⅰ 本章の目的
Ⅱ イギリス憲法における軍と議会:国王大権から議会統制へ
1 イギリス立憲主義と国王大権
2 イギリス立憲主義における軍の統制:国王と議会
3 戦争権限立法への動き
(1) 議会主義  (2) 議会の戦争権限を認めることの論点:諮問ペーパー  (3) 戦争権限法草案
4 小  括
Ⅲ イギリス立憲主義を継承するカナダ憲法:国王大権と議会主権
1 国王大権とカナダ総督
(1) イギリス憲法との同質性  (2) カナダ総督の地位
2 大権の法的根拠と制約
3 カナダ憲法における権力分立と議会主権
4 執行権と議会主権
5 司法権と議会主権
6 小  括
Ⅳ カナダ憲法における軍
1 連邦管轄としての軍事と最高司令官としての総督
(1) 総督と憲法  (2) 総督の地位:歴史的展開  (3) 総督と軍
2 シビル・コントロール(civil control)
3 軍に関する基本法
Ⅴ カナダの安全保障
1 安全保障の法概念
2 カナダの安全保障政策
3 カナダにおける軍事的決定の仕組み
4 カナダ軍事機構
(1) 概  観  (2) 国 防 省  (3) カナダ軍(CF)  (4) 軍に対する指揮  (5) NDHQ(国防総司令部)
Ⅵ カナダ軍と議会
1 概  観
2 高度な政策(high policy)としての軍事決定
3 宣戦の経験
4 伝統的PKOへの参加
5 国連の強制行動と国際協力におけるカナダ軍の武力行使
(1) 朝鮮戦争  (2) 湾岸戦争  (3) コソヴォ派兵:国連決議前提からの脱却  (4) 小  括
6 議会関与の高まり:ソマリアPKOとその後
Ⅶ 軍の行動における議会の関与とその展開
1 監視する議会
2 立法による実体的統制
3 統制手法
4 9・11後のカナダ議会と軍:ISAFへの参加と議会
(1) 9・11からアフガニスタンへ  (2) 平和支援(peace support)―アフガニスタンでの軍事的任務  (3) アフガニスタン撤退と議会
5 小  括
Ⅷ 本章のむすび
終章 立憲主義における議会と軍
Ⅰ 立憲システムと軍の統制
1 憲法の軍事規定の有無
2 議院内閣制と大統領制
3 二 院 制
Ⅱ 議会による軍の統制手法
1 議会は軍事力使用決定の何を統制するのか
2 立  法
3 機能的と形式的、あるいは政策的と規範的、アプローチ
Ⅲ 自衛隊(軍)の統制機関としての国会の位置づけの明確化の試み