判例教材刑法 Ⅰ 総論
奥村正雄/松原久利/十河太郎/川崎友巳 著
定価:4,950円(税込)-
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発行:
2013年04月01日
-
判型:
B5版並製 -
ページ数:
512頁 -
ISBN:
978-4-7923-1971-7
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内容紹介
目 次
はしがき
第 1 章 罪刑法定主義
第 1 節 罪刑法定主義1
法律主義1
(1) 法律による命令への包括的委任(猿払事件)(1)
(2) 条例への罰則の委任(2)
明確性の原則3
(1) 刑罰法規の明確性(徳島市公安条例事件)(3)
(2) 過度の広汎性(福岡県青少年保護育成条例事件)(6)
刑罰法規の適正7
刑罰法規の解釈の明確性(全農林警職法事件)(7)
類推解釈の禁止9
(1) 「汽車」の意義(9)
(2) 「捕獲」の意義(鳥獣保護事件)(9)
第 2 節 刑法の適用範囲10
刑法の時間的適用範囲10
(1) 執行猶予の条件変更と刑の変更(10)
(2) 刑の変更と廃止(11)
(3) 判例の不・及的変更(岩手教組同盟罷業事件第2次上告審判決)(12)
刑法の場所的適用範囲13
共犯行為と国外犯(13)
第 2 章 構成要件該当性
第 1 節 構成要件の意義15
行為の主体15
(1) 法人の犯罪能力(15)
(2) 両罰規定と業務主処罰の根拠㈰(自然人事業主の場合)—過失推定説(16)
(3) 両罰規定と業務主処罰の根拠㈪(法人事業主への推及)—過失推定説(17)
行為・実行行為18
(1) 行為性の否定(18)
(2) 実行行為の意義㈰(ベランダ事件)(18)
(3) 実行行為の意義㈪(クロロホルム事件)(20)
第 2 節 不作為犯23
不作為犯の態様23
(1) 不作為による放火(火鉢事件)(23)
(2) 救護の途中放棄㈰—車内での死亡(25)
(3) 救護の途中放棄㈪—山中への置き去り(26)
(4) 医療措置の懈怠(シャクティパット治療事件)(28)
不作為の因果関係31
(1) 交通事故被害者の救護可能性(31)
(2) 結果回避の確実性(覚せい剤注射事件)(32)
(3) 保護責任者遺棄と救命可能性(36)
第 3 節 間接正犯38
(1) 刑事未成年者の利用と間接正犯(38)
(2) 刑事未成年者の利用と共同正犯(39)
(3) 医師の正当行為の利用(40)
(4) コントロールド・デリバリーと間接正犯(40)
(5) 被害者の行為の利用と殺人罪の間接正犯(42)
第 4 節 故 意45
未必の故意—盗品性の認識45
条件付故意45
殺人を一定の事態の発生にかからせていた場合(45)
故意の認識対象・意味の認識47
(1) メタノールの認識(47)
(2) 覚せい剤の認識(48)
(3) トルエンを含有するシンナーの認識(49)
(4) 公務員の認識(50)
(5) 駐車制限時間超過の認識(51)
(6) 大型自動車の認識(52)
具体的事実の錯誤53
(1) 客体の錯誤(53)
(2) 因果関係の錯誤(54)
(3) 方法の錯誤㈰(55)
(4) 方法の錯誤㈪(55)
(5) 方法の錯誤㈫(56)
(6) 誤想防衛と方法の錯誤(57)
(7) 早すぎた結果発生㈰(58)
(8) 早すぎた結果発生㈪(58)
抽象的事実の錯誤58
(1) ヘロインと覚せい剤(58)
(2) 覚せい剤とコカイン(59)
(3) 嘱託殺人と殺人(60)
第 5 節 過 失61
明文なき過失犯処罰—油による海水汚濁61
因果関係・結果回避可能性63
(1) トラックが自転車を追い越す際の注意義務(63)
(2) 結果回避可能性と因果関係(64)
(3) 結果回避可能性と注意義務(65)
(4) 結果回避可能性(66)
結果的加重犯と過失67
予見可能性68
(1) 予見可能性の対象㈰(68)
(2) 予見可能性の対象㈪(有楽サウナ事件)(69)
(3) 予見可能性の対象㈫(70)
(4) 予見可能性の対象㈬(生駒トンネル火災事件)(71)
(5) 予見可能性の程度㈰(森永ドライミルク事件2審判決)(72)
(6) 予見可能性の程度㈪(森永ドライミルク事件差戻後1審判決)(74)
(7) 予見可能性の程度㈫(北大電気メス事件)(77)
(8) 予見可能性の程度㈬(ハイドロプレーニング現象)(79)
(9) 構造型過失と予見可能性(熊本水俣病事件第2審判決)(80)
(10) 砂浜陥没の予見可能性(明石砂浜陥没事件)(81)
(11) 雑踏事故発生の予見可能性(明石市花火大会歩道橋事故)(83)
結果回避義務88
(1) 同乗者の行為と運転者の注意義務(88)
(2) 建設工事請負契約の注文者側担当者の管理過失(松戸トンネル流水事件)
(89)
(3) 注意義務の基準㈰(エイズ帝京大事件)(92)
(4) 注意義務の基準㈪(エイズ厚生省事件)(94)
信頼の原則97
(1) 交通法規を無視する車両に対する注意義務(97)
(2) 交通法規違反と信頼の原則(98)
(3) チーム医療と信頼の原則(99)
(4) 対向車両の対面信号と信頼の原則(100)
(5) 患者の同一性確認義務(患者取り違え事件)(101)
管理・監督過失106
(1) 管理・監督過失と信頼の原則㈰(白石中央病院事件)(106)
(2) 管理・監督過失と信頼の原則㈪(北ガス事件)(110)
(3) 実質的管理者の義務(川治プリンスホテル事件)(113)
(4) 防火管理者・管理権原者の義務(千日デパート事件)(117)
(5) 管理権原者の義務と防火管理者・火元責任者の義務(大洋デパート事件)
(120)
(6) 実質管理権原者の義務(ホテル・ニュージャパン事件)(123)
(7) 医師の監督過失(126)
その他—業務上過失致死傷罪における「業務」の意義129
第 6 節 因果関係132
実行行為時の特殊事情132
(1) 被害者の特殊事情㈰(老女布団むし事件)(132)
(2) 被害者の特殊事情㈪(デラフォア潰瘍事件)(134)
実行行為後の介在事情135
(1) 行為者の行為の介入㈰—因果関係の錯誤(135)
(2) 行為者の行為の介入㈪(熊撃ち誤射事件)(136)
(3) 被害者の行為の介入㈰(137)
(4) 被害者の行為の介入㈪(柔道整復師事件)(139)
(5) 被害者の行為の介入㈫(夜間潜水事件)(142)
(6) 被害者の行為の介入㈬(高速道路進入事件)(144)
(7) 被害者の行為の介入㈭—被害者の治療拒絶(147)
(8) 第三者の行為の介入㈰(米兵ひき逃げ事件)(148)
(9) 第三者の行為の介入㈪(大阪南港事件)(149)
(10) 第三者の行為の介入㈫(高速道路停車事件)(151)
(11) 第三者の行為の介入㈬(トランク追突死事件)(154)
第 3 章 違法性阻却
第 1 節 正当行為156
違法の相対性—国家公務員の争議行為(名古屋中郵事件)156
違法の絶対的軽微性159
地方公務員の争議行為(岩手県教組事件)(159)
違法の相対的軽微性163
(1) たばこの買い置き(163)
(2) 争議行為(久留米駅事件)(164)
(3) 労働組合活動(光文社事件)(166)
(4) マジックホンの設置(マジックホン事件)(168)
(5) 反戦ビラの配布(防衛庁立川宿舎立ち入り事件)(170)
法令行為172
(1) 警察官の拳銃使用と傷害致死罪(172)
(2) 私人の現行犯逮捕(173)
(3) 争議行為(札幌市電事件)(175)
正当業務行為177
(1) 医療行為(ブルーボーイ事件)(177)
(2) 牧師による犯人隠避(179)
(3) 弁護活動(丸正事件)(180)
(4) 報道(外務省秘密漏えい事件)(182)
超法規的違法性阻却事由—舞鶴事件185
自救行為188
(1) 境界紛争㈰(188)
(2) 境界紛争㈪(189)
被害者の同意190
(1) 同意の意義(190)
(2) 保険金詐欺目的の同意の効果(191)
(3) 指づめと同意の効果(192)
(4) 空手練習と同意の効果(193)
(5) 無免許の医療行為(豊胸手術)(194)
(6) 児童ポルノの被写体と同意の効果(194)
(7) 幼児の同意能力(195)
(8) 同意の時期・有無(196)
危険の引受け199
(1) 危険の引受けと過失犯の成否㈰(坂東三津五郎事件)(199)
(2) 危険の引受けと過失犯の成否㈪(ダートトライアル事件)(199)
安楽死・尊厳死・治療中止201
(1) 安楽死の要件㈰(201)
(2) 安楽死の要件㈪(東海大学病院事件)(203)
(3) 治療中止の法律上の許容要件(川崎共同病院事件)(205)
第 2 節 正当防衛211
急迫性211
(1) 急迫性の意義(211)
(2) 侵害を予期していた場合の急迫性(212)
(3) 侵害の予期と防衛の意思(213)
(4) 積極的加害意思と急迫性(216)
(5) 喧嘩と正当防衛㈰(218)
(6) 喧嘩と正当防衛㈪(219)
(7) 自招侵害と急迫性(220)
(8) 急迫不正の侵害の終了時(222)
(9) 急迫不正の侵害終了の判断要素(223)
不正—自招侵害と「不正」225
自己または他人の権利—財産的権利の防衛226
防衛の意思228
(1) 憤激と防衛の意思(228)
(2) 加害意思と防衛の意思の併存(229)
(3) 加害意思と防衛の意思(231)
(4) 加害意思と防衛の意思の併存(233)
(5) 過剰結果の意思と防衛の意思(234)
相当性237
(1) 相当性の判断方法㈰(237)
(2) 相当性の判断方法㈪(238)
(3) 相当性の程度(238)
(4) 相当性の判断対象(西船橋駅ホーム転落事件)(240)
自ら招いた正当防衛状況243
(1) 自ら招いた正当防衛状況と急迫性(243)
(2) 自ら招いた正当防衛状況と相当性(244)
(3) 自ら招いた正当防衛状況と「正対不正」の構造(246)
過剰防衛247
(1) 過剰の判断対象・過剰性の認識(247)
(2) 相当性の判断対象(247)
(3) 質的過剰と過剰防衛(249)
(4) 相当性の判断対象(249)
(5) 防衛の意思と量的過剰(251)
(6) 量的過剰防衛(253)
誤想防衛254
誤想過剰防衛256
(1) 誤想過剰防衛㈰(256)
(2) 誤想過剰防衛㈪(英国騎士道事件)(257)
第 3 節 緊急避難262
現在の危難262
(1) 強盗の脅迫による恐怖心と現在の危難(262)
(2) 吊り橋の老朽化と現在の危難(吊り橋爆破事件)(262)
(3) 亡命と現在の危難(264)
やむを得ずにした行為266
(1) 対向車との接触回避(266)
(2) 急患の運搬(267)
強要による緊急避難268
法益の権衡272
過剰避難273
(1) 酒気帯び運転(273)
(2) スピード違反(273)
誤想過剰避難274
第 4 章 責任阻却
第 1 節 責任能力276
責任能力276
(1) 責任能力の意義(276)
(2) 鑑定と責任能力判断(277)
(3) 統合失調症の鑑定の評価(278)
(4) 責任能力の存在時期(279)
(5) 鑑定の評価(280)
(6) 統合失調症(281)
(7) 覚せい剤中毒(282)
(8) 精神医学者の鑑定意見と裁判所の判断(284)
(9) 鑑定の信用性(286)
(10) 精神鑑定意見の一部採用(287)
原因において自由な行為290
(1) 過失犯と原因において自由な行為(290)
(2) 傷害致死罪と原因において自由な行為(290)
(3) 心神耗弱と原因において自由な行為㈰(292)
(4) 心神耗弱と原因において自由な行為㈪(292)
(5) 心神耗弱後の故意と原因において自由な行為(293)
(6) 故意犯と原因において自由な行為(295)
実行行為開始後の責任能力低下297
(1) 実行行為開始後の心神耗弱㈰(297)
(2) 実行行為開始後の心神耗弱㈪(298)
(3) 継続犯の実行行為継続中の責任能力低下(298)
第 2 節 違法性の意識301
違法性の錯誤301
(1) 違法性の意識不要説(301)
(2) 現行犯人逮捕と違法性の錯誤(301)
(3) 法定刑の錯誤(吊り橋爆破事件)(302)
(4) 違法性の意識の存否(羽田空港デモ事件)(304)
相当の理由306
(1) 映倫審査通過への信頼(映画「黒い雪」事件)(306)
(2) 行政指導への協力(石油ヤミカルテル事件)(307)
(3) 警察官の黙認(百円札模造事件)(308)
(4) 輸入販売元担当者の説明への信頼(「πウェーブ」事件)(311)
(5) 警察の指示を上回る加工をした拳銃部品輸入と相当の理由(312)
事実の錯誤と違法性の錯誤315
(1) 事実の錯誤と違法性の錯誤の区別㈰(むささび・もま事件)(315)
(2) 事実の錯誤と違法性の錯誤の区別㈪(たぬき・むじな事件)(315)
(3) 差押の効力の錯誤(封印破棄事件)(316)
(4) メチルアルコールとメタノール(317)
(5) 寺院規則の効力の錯誤(寺院規則事件)(318)
(6) 警察規則の誤解(無鑑札犬撲殺事件)(319)
(7) 追い越し禁止区域の不知(320)
(8) わいせつ性の錯誤(チャタレイ事件)(320)
(9) 差押標示の有効性の錯誤(封印破棄事件)(321)
(10) 物品税法上の無申告製造罪の故意(323)
(11) 狩猟禁止区域の不知(324)
(12) サンダル履きの運転の故意(324)
(13) 許可申請事項変更届の受理と無許可営業罪の故意
(公衆浴場無許可営業事件)(325)
第 3 節 期待可能性327
(1) 定員を著しく超過する乗客の搭載と期待可能性(第5柏島丸事件)(327)
(2) 労働争議と期待可能性(328)
(3) 失業保険の保険料不納付と期待可能性(329)
第 5 章 未 遂 犯
第 1 節 実行の着手時期331
窃盗罪における実行の着手331
(1) 財物の物色(331)
(2) 家屋への侵入(331)
(3) 土蔵への侵入(332)
(4) 煙草売場への接近(333)
強姦罪における実行の着手334
(1) ダンプカーへの引きずり込み(334)
(2) ホテルへの連れ込み(335)
(3) 共犯者の非協力的な行動(336)
殺人罪における実行の着手338
(1) ベランダからの転落(ベランダ事件)(338)
(2) クロロホルムの吸引(クロロホルム事件)(338)
(3) 自動車での衝突(338)
放火罪における実行の着手340
(1) ガソリンの散布(ガソリン散布事件)(340)
(2) 灯油の散布と新聞紙への着火(341)
禁制品輸入罪・覚せい剤輸入罪における実行の着手341
(1) 大麻を携帯して上陸審査を受ける行為(341)
(2) 覚せい剤の海上への投下(343)
離隔犯・間接正犯における実行の着手345
(1) 毒物の送付(345)
(2) 毒入りジュースの放置(345)
第 2 節 不能犯347
方法の不能347
(1) 飲食物への硫黄の混入による殺人(347)
(2) 空ピストルによる殺人(348)
(3) 空気の注射による殺人(348)
(4) 欠陥のある爆発物の使用(349)
(5) 天然ガスの漏出による殺人(351)
客体の不能352
(1) 空ポケットと強盗(352)
(2) 死体への攻撃と殺人(352)
第 3 節 中止犯354
中止行為の任意性354
(1) 犯行の発覚を恐れたことによる中止(354)
(2) 驚愕恐怖による中止(354)
(3) 欲情減退による中止(355)
(4) 驚愕と悔悟、反省の情による中止(356)
(5) 哀願に基づく中止(357)
中止行為358
(1) 消火の依頼(「よろしく頼む」事件)(358)
(2) 攻撃の中止と病院への搬送(359)
(3) 攻撃の中止(360)
結果防止行為の「真摯な努力」361
(1) 警察官の協力による救命(361)
(2) 病院への搬送(362)
予備の中止364
第 6 章 共 犯
第 1 節 共犯の意義365
必要的共犯—非弁活動の依頼365
第 2 節 共同正犯366
過失犯の共同正犯366
(1) 有毒飲食物の販売(メタノール事件)(366)
(2) 観光船の無断運航(366)
(3) 喫煙による失火(367)
(4) 踏切遮断機の閉鎖の懈怠(368)
(5) トーチランプの消火確認(世田谷ケーブル事件)(369)
結果的加重犯の共同正犯—強盗の機会における共犯者による殺人371
承継的共同正犯(承継的幇助犯を含む)372
(1) 殺害後の財物奪取への関与(372)
(2) 傷害結果発生後の財物奪取への関与(372)
(3) 暴行・強迫後の財物取得への関与(373)
(4) 暴行・強迫後の財物奪取への関与(374)
(5) 傷害結果発生後の暴行への関与(375)
(6) 途中からの暴行への関与(傷害結果との因果関係が不明な場合)(377)
(7) 傷害罪の承継的共同正犯と同時傷害の特例(379)
片面的共同正犯380
予備罪の共同正犯380
共謀共同正犯382
(1) 強盗罪の共謀共同正犯(382)
(2) 傷害致死罪の共謀共同正犯(練馬事件)(383)
黙示の共謀385
(1) 暗黙の共謀(385)
(2) 夫婦間における暗黙の共謀(386)
(3) 黙示的な意思連絡に基づく共謀(スワット事件)(387)
(4) 黙示的な共謀の認定(390)
(5) 未必の故意による共謀共同正犯(391)
共同正犯と幇助犯の区別393
(1) 大麻の輸入(共同正犯)(393)
(2) 実子に対する強盗の指示(共同正犯)(395)
(3) けん銃の輸入(幇助犯)(395)
(4) 強盗殺人への関与(幇助犯)(396)
(5) ナイフの貸与(無罪)(398)
(6) 覚せい剤の所持(無罪)(399)
見張りと共同正犯400
(1) 強盗の見張り(共同正犯)(400)
(2) 殺人の見張り(幇助犯)(401)
共謀の射程402
(1) 場所の移動(402)
(2) 予想外の強盗(404)
共同正犯と違法性405
(1) 共同正犯と過剰防衛(405)
(2) 共同正犯と量的過剰防衛(409)
(3) 共同正犯と過剰防衛、誤想防衛(412)
第 3 節 教唆犯415
教唆行為の意義—正犯者の決意の喚起415
過失犯に対する教唆416
結果的加重犯に対する教唆—傷害致死罪の教唆犯416
再間接教唆—脅迫の再間接教唆417
第 4 節 幇助犯417
幇助行為の意義417
(1) 鳥打帽子の交付(417)
(2) 精神的幇助(418)
過失犯に対する幇助—重過失致死罪に対する幇助犯418
片面的幇助犯—けん銃密輸入の援助419
予備罪の幇助—通貨偽造準備の幇助420
幇助の因果関係421
(1) 強盗の幇助(無罪)(421)
(2) 目張り行為と追従行為(宝石商殺害事件)(422)
中立的行為と幇助423
(1) 売春の宣伝用ちらしの販売と広告の掲載(423)
(2) 売春の宣伝用ちらしの印刷(424)
(3) ファイル共有ソフトの提供(ウィニー著作権法違反幇助事件)(425)
間接幇助—わいせつ物公然陳列の間接幇助428
教唆犯と幇助犯の区別429
(1) 正犯者へ助言(429)
(2) 正犯者からの証拠偽造の提案(430)
第 5 節 共犯と身分431
身分の意義—横領罪における占有者431
主観的要素と身分431
(1) 営利目的麻薬輸入罪における営利の目的(431)
(2) 営利目的大麻輸入罪における営利の目的(432)
刑法65条の1項と2項の関係433
(1) 非常習者による常習賭博への加功(433)
(2) 卑属による尊属殺人への加功(433)
(3) 女性による強姦への加功(434)
複合的身分犯の共犯—業務上横領罪の共犯435
事後強盗罪と共犯435
(1) 窃盗犯人でない者による事後強盗への加功㈰(435)
(2) 窃盗犯人でない者による事後強盗への加功㈪(436)
(3) 窃盗犯人でない者による事後強盗への加功㈫(437)
刑法65条1項にいう「共犯」の意義438
(1) 刑法65条と教唆犯(438)
(2) 刑法65条と共同正犯(438)
非身分者の身分者への加功—常習者による非常習者の賭博への加功439
第 6 節 不作為と共犯440
犯罪の不阻止と共同正犯440
不作為の幇助442
(1) 投票干渉の放置(442)
(2) ストリップの不阻止(442)
(3) 殺害現場からの離脱(443)
(4) 従業員による強盗の不阻止(444)
(5) 内縁の夫による実子への暴行の不阻止(447)
第 7 節 共犯と錯誤450
狭義の共犯と錯誤450
(1) 虚偽公文書作成を教唆したところ正犯者が公文書偽造を行った事例
(450)
(2) 窃盗を教唆したところ正犯者が強盗を実行した事例(451)
共同正犯と錯誤453
(1) 傷害を共謀したところ共謀者の1人が殺人を実行した事例(453)
(2) 殺意のある者と殺意のない者が被害者を放置した事例
(シャクティパット治療事件)(454)
関与形式間の錯誤—間接正犯と教唆犯の錯誤454
第 8 節 共犯関係からの離脱、共犯の中止犯454
共犯関係からの離脱454
(1) 首謀者の離脱(454)
(2) 着手後における現場からの立去り(456)
(3) 警察への捜査協力(458)
(4) 共犯者の暴行による失神、放置(459)
(5) 着手前における現場からの立去り(460)
共犯と中止犯461
(1) 共犯者各人における中止犯の成否(461)
(2) 共謀者の実行の阻止(462)
第 7 章 罪 数
第 1 節 包括一罪463
集合犯463
(1) 常習犯(463)
(2) 営業犯(463)
狭義の包括一罪465
(1) 同一場所・同一機会における窃盗(465)
(2) 数か月間にわたる麻薬の施用(465)
(3) 近接した場所における速度違反(466)
異質的包括一罪468
(1) 通帳の窃取と預金の引出し(468)
(2) 窃盗・1項詐欺と2項強盗(469)
(3) 常習累犯窃盗と侵入具携帯(470)
(4) 暴行と脅迫(472)
第 2 節 科刑上一罪473
観念的競合473
(1) 酒酔い運転と業務上過失傷害(473)
(2) 覚せい剤輸入と無許可輸入(474)
牽連犯475
(1) 虚偽公文書行使と詐欺(475)
(2) 住居侵入と窃盗(476)
(3) 監禁と恐喝(476)
科刑上一罪の諸問題477
(1) 傷害・暴行の共同正犯(477)
(2) 覚せい剤輸入の幇助(478)
(3) 不作為犯の罪数(479)
(4) 牽連犯とかすがい現象(480)
第 3 節 併合罪481
(1) 身の代金目的拐取・身の代金要求と監禁(481)
(2) 刑法47条の法意(482)
はしがき
第 1 章 罪刑法定主義
第 1 節 罪刑法定主義1
法律主義1
(1) 法律による命令への包括的委任(猿払事件)(1)
(2) 条例への罰則の委任(2)
明確性の原則3
(1) 刑罰法規の明確性(徳島市公安条例事件)(3)
(2) 過度の広汎性(福岡県青少年保護育成条例事件)(6)
刑罰法規の適正7
刑罰法規の解釈の明確性(全農林警職法事件)(7)
類推解釈の禁止9
(1) 「汽車」の意義(9)
(2) 「捕獲」の意義(鳥獣保護事件)(9)
第 2 節 刑法の適用範囲10
刑法の時間的適用範囲10
(1) 執行猶予の条件変更と刑の変更(10)
(2) 刑の変更と廃止(11)
(3) 判例の不・及的変更(岩手教組同盟罷業事件第2次上告審判決)(12)
刑法の場所的適用範囲13
共犯行為と国外犯(13)
第 2 章 構成要件該当性
第 1 節 構成要件の意義15
行為の主体15
(1) 法人の犯罪能力(15)
(2) 両罰規定と業務主処罰の根拠㈰(自然人事業主の場合)—過失推定説(16)
(3) 両罰規定と業務主処罰の根拠㈪(法人事業主への推及)—過失推定説(17)
行為・実行行為18
(1) 行為性の否定(18)
(2) 実行行為の意義㈰(ベランダ事件)(18)
(3) 実行行為の意義㈪(クロロホルム事件)(20)
第 2 節 不作為犯23
不作為犯の態様23
(1) 不作為による放火(火鉢事件)(23)
(2) 救護の途中放棄㈰—車内での死亡(25)
(3) 救護の途中放棄㈪—山中への置き去り(26)
(4) 医療措置の懈怠(シャクティパット治療事件)(28)
不作為の因果関係31
(1) 交通事故被害者の救護可能性(31)
(2) 結果回避の確実性(覚せい剤注射事件)(32)
(3) 保護責任者遺棄と救命可能性(36)
第 3 節 間接正犯38
(1) 刑事未成年者の利用と間接正犯(38)
(2) 刑事未成年者の利用と共同正犯(39)
(3) 医師の正当行為の利用(40)
(4) コントロールド・デリバリーと間接正犯(40)
(5) 被害者の行為の利用と殺人罪の間接正犯(42)
第 4 節 故 意45
未必の故意—盗品性の認識45
条件付故意45
殺人を一定の事態の発生にかからせていた場合(45)
故意の認識対象・意味の認識47
(1) メタノールの認識(47)
(2) 覚せい剤の認識(48)
(3) トルエンを含有するシンナーの認識(49)
(4) 公務員の認識(50)
(5) 駐車制限時間超過の認識(51)
(6) 大型自動車の認識(52)
具体的事実の錯誤53
(1) 客体の錯誤(53)
(2) 因果関係の錯誤(54)
(3) 方法の錯誤㈰(55)
(4) 方法の錯誤㈪(55)
(5) 方法の錯誤㈫(56)
(6) 誤想防衛と方法の錯誤(57)
(7) 早すぎた結果発生㈰(58)
(8) 早すぎた結果発生㈪(58)
抽象的事実の錯誤58
(1) ヘロインと覚せい剤(58)
(2) 覚せい剤とコカイン(59)
(3) 嘱託殺人と殺人(60)
第 5 節 過 失61
明文なき過失犯処罰—油による海水汚濁61
因果関係・結果回避可能性63
(1) トラックが自転車を追い越す際の注意義務(63)
(2) 結果回避可能性と因果関係(64)
(3) 結果回避可能性と注意義務(65)
(4) 結果回避可能性(66)
結果的加重犯と過失67
予見可能性68
(1) 予見可能性の対象㈰(68)
(2) 予見可能性の対象㈪(有楽サウナ事件)(69)
(3) 予見可能性の対象㈫(70)
(4) 予見可能性の対象㈬(生駒トンネル火災事件)(71)
(5) 予見可能性の程度㈰(森永ドライミルク事件2審判決)(72)
(6) 予見可能性の程度㈪(森永ドライミルク事件差戻後1審判決)(74)
(7) 予見可能性の程度㈫(北大電気メス事件)(77)
(8) 予見可能性の程度㈬(ハイドロプレーニング現象)(79)
(9) 構造型過失と予見可能性(熊本水俣病事件第2審判決)(80)
(10) 砂浜陥没の予見可能性(明石砂浜陥没事件)(81)
(11) 雑踏事故発生の予見可能性(明石市花火大会歩道橋事故)(83)
結果回避義務88
(1) 同乗者の行為と運転者の注意義務(88)
(2) 建設工事請負契約の注文者側担当者の管理過失(松戸トンネル流水事件)
(89)
(3) 注意義務の基準㈰(エイズ帝京大事件)(92)
(4) 注意義務の基準㈪(エイズ厚生省事件)(94)
信頼の原則97
(1) 交通法規を無視する車両に対する注意義務(97)
(2) 交通法規違反と信頼の原則(98)
(3) チーム医療と信頼の原則(99)
(4) 対向車両の対面信号と信頼の原則(100)
(5) 患者の同一性確認義務(患者取り違え事件)(101)
管理・監督過失106
(1) 管理・監督過失と信頼の原則㈰(白石中央病院事件)(106)
(2) 管理・監督過失と信頼の原則㈪(北ガス事件)(110)
(3) 実質的管理者の義務(川治プリンスホテル事件)(113)
(4) 防火管理者・管理権原者の義務(千日デパート事件)(117)
(5) 管理権原者の義務と防火管理者・火元責任者の義務(大洋デパート事件)
(120)
(6) 実質管理権原者の義務(ホテル・ニュージャパン事件)(123)
(7) 医師の監督過失(126)
その他—業務上過失致死傷罪における「業務」の意義129
第 6 節 因果関係132
実行行為時の特殊事情132
(1) 被害者の特殊事情㈰(老女布団むし事件)(132)
(2) 被害者の特殊事情㈪(デラフォア潰瘍事件)(134)
実行行為後の介在事情135
(1) 行為者の行為の介入㈰—因果関係の錯誤(135)
(2) 行為者の行為の介入㈪(熊撃ち誤射事件)(136)
(3) 被害者の行為の介入㈰(137)
(4) 被害者の行為の介入㈪(柔道整復師事件)(139)
(5) 被害者の行為の介入㈫(夜間潜水事件)(142)
(6) 被害者の行為の介入㈬(高速道路進入事件)(144)
(7) 被害者の行為の介入㈭—被害者の治療拒絶(147)
(8) 第三者の行為の介入㈰(米兵ひき逃げ事件)(148)
(9) 第三者の行為の介入㈪(大阪南港事件)(149)
(10) 第三者の行為の介入㈫(高速道路停車事件)(151)
(11) 第三者の行為の介入㈬(トランク追突死事件)(154)
第 3 章 違法性阻却
第 1 節 正当行為156
違法の相対性—国家公務員の争議行為(名古屋中郵事件)156
違法の絶対的軽微性159
地方公務員の争議行為(岩手県教組事件)(159)
違法の相対的軽微性163
(1) たばこの買い置き(163)
(2) 争議行為(久留米駅事件)(164)
(3) 労働組合活動(光文社事件)(166)
(4) マジックホンの設置(マジックホン事件)(168)
(5) 反戦ビラの配布(防衛庁立川宿舎立ち入り事件)(170)
法令行為172
(1) 警察官の拳銃使用と傷害致死罪(172)
(2) 私人の現行犯逮捕(173)
(3) 争議行為(札幌市電事件)(175)
正当業務行為177
(1) 医療行為(ブルーボーイ事件)(177)
(2) 牧師による犯人隠避(179)
(3) 弁護活動(丸正事件)(180)
(4) 報道(外務省秘密漏えい事件)(182)
超法規的違法性阻却事由—舞鶴事件185
自救行為188
(1) 境界紛争㈰(188)
(2) 境界紛争㈪(189)
被害者の同意190
(1) 同意の意義(190)
(2) 保険金詐欺目的の同意の効果(191)
(3) 指づめと同意の効果(192)
(4) 空手練習と同意の効果(193)
(5) 無免許の医療行為(豊胸手術)(194)
(6) 児童ポルノの被写体と同意の効果(194)
(7) 幼児の同意能力(195)
(8) 同意の時期・有無(196)
危険の引受け199
(1) 危険の引受けと過失犯の成否㈰(坂東三津五郎事件)(199)
(2) 危険の引受けと過失犯の成否㈪(ダートトライアル事件)(199)
安楽死・尊厳死・治療中止201
(1) 安楽死の要件㈰(201)
(2) 安楽死の要件㈪(東海大学病院事件)(203)
(3) 治療中止の法律上の許容要件(川崎共同病院事件)(205)
第 2 節 正当防衛211
急迫性211
(1) 急迫性の意義(211)
(2) 侵害を予期していた場合の急迫性(212)
(3) 侵害の予期と防衛の意思(213)
(4) 積極的加害意思と急迫性(216)
(5) 喧嘩と正当防衛㈰(218)
(6) 喧嘩と正当防衛㈪(219)
(7) 自招侵害と急迫性(220)
(8) 急迫不正の侵害の終了時(222)
(9) 急迫不正の侵害終了の判断要素(223)
不正—自招侵害と「不正」225
自己または他人の権利—財産的権利の防衛226
防衛の意思228
(1) 憤激と防衛の意思(228)
(2) 加害意思と防衛の意思の併存(229)
(3) 加害意思と防衛の意思(231)
(4) 加害意思と防衛の意思の併存(233)
(5) 過剰結果の意思と防衛の意思(234)
相当性237
(1) 相当性の判断方法㈰(237)
(2) 相当性の判断方法㈪(238)
(3) 相当性の程度(238)
(4) 相当性の判断対象(西船橋駅ホーム転落事件)(240)
自ら招いた正当防衛状況243
(1) 自ら招いた正当防衛状況と急迫性(243)
(2) 自ら招いた正当防衛状況と相当性(244)
(3) 自ら招いた正当防衛状況と「正対不正」の構造(246)
過剰防衛247
(1) 過剰の判断対象・過剰性の認識(247)
(2) 相当性の判断対象(247)
(3) 質的過剰と過剰防衛(249)
(4) 相当性の判断対象(249)
(5) 防衛の意思と量的過剰(251)
(6) 量的過剰防衛(253)
誤想防衛254
誤想過剰防衛256
(1) 誤想過剰防衛㈰(256)
(2) 誤想過剰防衛㈪(英国騎士道事件)(257)
第 3 節 緊急避難262
現在の危難262
(1) 強盗の脅迫による恐怖心と現在の危難(262)
(2) 吊り橋の老朽化と現在の危難(吊り橋爆破事件)(262)
(3) 亡命と現在の危難(264)
やむを得ずにした行為266
(1) 対向車との接触回避(266)
(2) 急患の運搬(267)
強要による緊急避難268
法益の権衡272
過剰避難273
(1) 酒気帯び運転(273)
(2) スピード違反(273)
誤想過剰避難274
第 4 章 責任阻却
第 1 節 責任能力276
責任能力276
(1) 責任能力の意義(276)
(2) 鑑定と責任能力判断(277)
(3) 統合失調症の鑑定の評価(278)
(4) 責任能力の存在時期(279)
(5) 鑑定の評価(280)
(6) 統合失調症(281)
(7) 覚せい剤中毒(282)
(8) 精神医学者の鑑定意見と裁判所の判断(284)
(9) 鑑定の信用性(286)
(10) 精神鑑定意見の一部採用(287)
原因において自由な行為290
(1) 過失犯と原因において自由な行為(290)
(2) 傷害致死罪と原因において自由な行為(290)
(3) 心神耗弱と原因において自由な行為㈰(292)
(4) 心神耗弱と原因において自由な行為㈪(292)
(5) 心神耗弱後の故意と原因において自由な行為(293)
(6) 故意犯と原因において自由な行為(295)
実行行為開始後の責任能力低下297
(1) 実行行為開始後の心神耗弱㈰(297)
(2) 実行行為開始後の心神耗弱㈪(298)
(3) 継続犯の実行行為継続中の責任能力低下(298)
第 2 節 違法性の意識301
違法性の錯誤301
(1) 違法性の意識不要説(301)
(2) 現行犯人逮捕と違法性の錯誤(301)
(3) 法定刑の錯誤(吊り橋爆破事件)(302)
(4) 違法性の意識の存否(羽田空港デモ事件)(304)
相当の理由306
(1) 映倫審査通過への信頼(映画「黒い雪」事件)(306)
(2) 行政指導への協力(石油ヤミカルテル事件)(307)
(3) 警察官の黙認(百円札模造事件)(308)
(4) 輸入販売元担当者の説明への信頼(「πウェーブ」事件)(311)
(5) 警察の指示を上回る加工をした拳銃部品輸入と相当の理由(312)
事実の錯誤と違法性の錯誤315
(1) 事実の錯誤と違法性の錯誤の区別㈰(むささび・もま事件)(315)
(2) 事実の錯誤と違法性の錯誤の区別㈪(たぬき・むじな事件)(315)
(3) 差押の効力の錯誤(封印破棄事件)(316)
(4) メチルアルコールとメタノール(317)
(5) 寺院規則の効力の錯誤(寺院規則事件)(318)
(6) 警察規則の誤解(無鑑札犬撲殺事件)(319)
(7) 追い越し禁止区域の不知(320)
(8) わいせつ性の錯誤(チャタレイ事件)(320)
(9) 差押標示の有効性の錯誤(封印破棄事件)(321)
(10) 物品税法上の無申告製造罪の故意(323)
(11) 狩猟禁止区域の不知(324)
(12) サンダル履きの運転の故意(324)
(13) 許可申請事項変更届の受理と無許可営業罪の故意
(公衆浴場無許可営業事件)(325)
第 3 節 期待可能性327
(1) 定員を著しく超過する乗客の搭載と期待可能性(第5柏島丸事件)(327)
(2) 労働争議と期待可能性(328)
(3) 失業保険の保険料不納付と期待可能性(329)
第 5 章 未 遂 犯
第 1 節 実行の着手時期331
窃盗罪における実行の着手331
(1) 財物の物色(331)
(2) 家屋への侵入(331)
(3) 土蔵への侵入(332)
(4) 煙草売場への接近(333)
強姦罪における実行の着手334
(1) ダンプカーへの引きずり込み(334)
(2) ホテルへの連れ込み(335)
(3) 共犯者の非協力的な行動(336)
殺人罪における実行の着手338
(1) ベランダからの転落(ベランダ事件)(338)
(2) クロロホルムの吸引(クロロホルム事件)(338)
(3) 自動車での衝突(338)
放火罪における実行の着手340
(1) ガソリンの散布(ガソリン散布事件)(340)
(2) 灯油の散布と新聞紙への着火(341)
禁制品輸入罪・覚せい剤輸入罪における実行の着手341
(1) 大麻を携帯して上陸審査を受ける行為(341)
(2) 覚せい剤の海上への投下(343)
離隔犯・間接正犯における実行の着手345
(1) 毒物の送付(345)
(2) 毒入りジュースの放置(345)
第 2 節 不能犯347
方法の不能347
(1) 飲食物への硫黄の混入による殺人(347)
(2) 空ピストルによる殺人(348)
(3) 空気の注射による殺人(348)
(4) 欠陥のある爆発物の使用(349)
(5) 天然ガスの漏出による殺人(351)
客体の不能352
(1) 空ポケットと強盗(352)
(2) 死体への攻撃と殺人(352)
第 3 節 中止犯354
中止行為の任意性354
(1) 犯行の発覚を恐れたことによる中止(354)
(2) 驚愕恐怖による中止(354)
(3) 欲情減退による中止(355)
(4) 驚愕と悔悟、反省の情による中止(356)
(5) 哀願に基づく中止(357)
中止行為358
(1) 消火の依頼(「よろしく頼む」事件)(358)
(2) 攻撃の中止と病院への搬送(359)
(3) 攻撃の中止(360)
結果防止行為の「真摯な努力」361
(1) 警察官の協力による救命(361)
(2) 病院への搬送(362)
予備の中止364
第 6 章 共 犯
第 1 節 共犯の意義365
必要的共犯—非弁活動の依頼365
第 2 節 共同正犯366
過失犯の共同正犯366
(1) 有毒飲食物の販売(メタノール事件)(366)
(2) 観光船の無断運航(366)
(3) 喫煙による失火(367)
(4) 踏切遮断機の閉鎖の懈怠(368)
(5) トーチランプの消火確認(世田谷ケーブル事件)(369)
結果的加重犯の共同正犯—強盗の機会における共犯者による殺人371
承継的共同正犯(承継的幇助犯を含む)372
(1) 殺害後の財物奪取への関与(372)
(2) 傷害結果発生後の財物奪取への関与(372)
(3) 暴行・強迫後の財物取得への関与(373)
(4) 暴行・強迫後の財物奪取への関与(374)
(5) 傷害結果発生後の暴行への関与(375)
(6) 途中からの暴行への関与(傷害結果との因果関係が不明な場合)(377)
(7) 傷害罪の承継的共同正犯と同時傷害の特例(379)
片面的共同正犯380
予備罪の共同正犯380
共謀共同正犯382
(1) 強盗罪の共謀共同正犯(382)
(2) 傷害致死罪の共謀共同正犯(練馬事件)(383)
黙示の共謀385
(1) 暗黙の共謀(385)
(2) 夫婦間における暗黙の共謀(386)
(3) 黙示的な意思連絡に基づく共謀(スワット事件)(387)
(4) 黙示的な共謀の認定(390)
(5) 未必の故意による共謀共同正犯(391)
共同正犯と幇助犯の区別393
(1) 大麻の輸入(共同正犯)(393)
(2) 実子に対する強盗の指示(共同正犯)(395)
(3) けん銃の輸入(幇助犯)(395)
(4) 強盗殺人への関与(幇助犯)(396)
(5) ナイフの貸与(無罪)(398)
(6) 覚せい剤の所持(無罪)(399)
見張りと共同正犯400
(1) 強盗の見張り(共同正犯)(400)
(2) 殺人の見張り(幇助犯)(401)
共謀の射程402
(1) 場所の移動(402)
(2) 予想外の強盗(404)
共同正犯と違法性405
(1) 共同正犯と過剰防衛(405)
(2) 共同正犯と量的過剰防衛(409)
(3) 共同正犯と過剰防衛、誤想防衛(412)
第 3 節 教唆犯415
教唆行為の意義—正犯者の決意の喚起415
過失犯に対する教唆416
結果的加重犯に対する教唆—傷害致死罪の教唆犯416
再間接教唆—脅迫の再間接教唆417
第 4 節 幇助犯417
幇助行為の意義417
(1) 鳥打帽子の交付(417)
(2) 精神的幇助(418)
過失犯に対する幇助—重過失致死罪に対する幇助犯418
片面的幇助犯—けん銃密輸入の援助419
予備罪の幇助—通貨偽造準備の幇助420
幇助の因果関係421
(1) 強盗の幇助(無罪)(421)
(2) 目張り行為と追従行為(宝石商殺害事件)(422)
中立的行為と幇助423
(1) 売春の宣伝用ちらしの販売と広告の掲載(423)
(2) 売春の宣伝用ちらしの印刷(424)
(3) ファイル共有ソフトの提供(ウィニー著作権法違反幇助事件)(425)
間接幇助—わいせつ物公然陳列の間接幇助428
教唆犯と幇助犯の区別429
(1) 正犯者へ助言(429)
(2) 正犯者からの証拠偽造の提案(430)
第 5 節 共犯と身分431
身分の意義—横領罪における占有者431
主観的要素と身分431
(1) 営利目的麻薬輸入罪における営利の目的(431)
(2) 営利目的大麻輸入罪における営利の目的(432)
刑法65条の1項と2項の関係433
(1) 非常習者による常習賭博への加功(433)
(2) 卑属による尊属殺人への加功(433)
(3) 女性による強姦への加功(434)
複合的身分犯の共犯—業務上横領罪の共犯435
事後強盗罪と共犯435
(1) 窃盗犯人でない者による事後強盗への加功㈰(435)
(2) 窃盗犯人でない者による事後強盗への加功㈪(436)
(3) 窃盗犯人でない者による事後強盗への加功㈫(437)
刑法65条1項にいう「共犯」の意義438
(1) 刑法65条と教唆犯(438)
(2) 刑法65条と共同正犯(438)
非身分者の身分者への加功—常習者による非常習者の賭博への加功439
第 6 節 不作為と共犯440
犯罪の不阻止と共同正犯440
不作為の幇助442
(1) 投票干渉の放置(442)
(2) ストリップの不阻止(442)
(3) 殺害現場からの離脱(443)
(4) 従業員による強盗の不阻止(444)
(5) 内縁の夫による実子への暴行の不阻止(447)
第 7 節 共犯と錯誤450
狭義の共犯と錯誤450
(1) 虚偽公文書作成を教唆したところ正犯者が公文書偽造を行った事例
(450)
(2) 窃盗を教唆したところ正犯者が強盗を実行した事例(451)
共同正犯と錯誤453
(1) 傷害を共謀したところ共謀者の1人が殺人を実行した事例(453)
(2) 殺意のある者と殺意のない者が被害者を放置した事例
(シャクティパット治療事件)(454)
関与形式間の錯誤—間接正犯と教唆犯の錯誤454
第 8 節 共犯関係からの離脱、共犯の中止犯454
共犯関係からの離脱454
(1) 首謀者の離脱(454)
(2) 着手後における現場からの立去り(456)
(3) 警察への捜査協力(458)
(4) 共犯者の暴行による失神、放置(459)
(5) 着手前における現場からの立去り(460)
共犯と中止犯461
(1) 共犯者各人における中止犯の成否(461)
(2) 共謀者の実行の阻止(462)
第 7 章 罪 数
第 1 節 包括一罪463
集合犯463
(1) 常習犯(463)
(2) 営業犯(463)
狭義の包括一罪465
(1) 同一場所・同一機会における窃盗(465)
(2) 数か月間にわたる麻薬の施用(465)
(3) 近接した場所における速度違反(466)
異質的包括一罪468
(1) 通帳の窃取と預金の引出し(468)
(2) 窃盗・1項詐欺と2項強盗(469)
(3) 常習累犯窃盗と侵入具携帯(470)
(4) 暴行と脅迫(472)
第 2 節 科刑上一罪473
観念的競合473
(1) 酒酔い運転と業務上過失傷害(473)
(2) 覚せい剤輸入と無許可輸入(474)
牽連犯475
(1) 虚偽公文書行使と詐欺(475)
(2) 住居侵入と窃盗(476)
(3) 監禁と恐喝(476)
科刑上一罪の諸問題477
(1) 傷害・暴行の共同正犯(477)
(2) 覚せい剤輸入の幇助(478)
(3) 不作為犯の罪数(479)
(4) 牽連犯とかすがい現象(480)
第 3 節 併合罪481
(1) 身の代金目的拐取・身の代金要求と監禁(481)
(2) 刑法47条の法意(482)