現代の刑事裁判

現代の刑事裁判

渡辺 修 著
定価:8,800円(税込)
  • 在庫:
    在庫があります
  • 発行:
    2014年09月20日
  • 判型:
    A5判上製
  • ページ数:
    446頁
  • ISBN:
    978-4-7923-5120-5
カートに入れる

書籍購入は弊社「早稲田正門店インターネット書店」サイトでの購入となります。

内容紹介

目   次
はしがき
初出一覧
第1部 裁判員裁判──「市民主義」の構造
1 導入──「市民主義」黎明
第1章 裁判員裁判の課題3
──共同研究「裁判員裁判について」
Ⅰ はじめに──共同研究の課題 3
Ⅱ 「裁判員制度」導入の意義はなにか 3
Ⅲ 裁判員裁判の目的はなにか 4
Ⅳ 評議の形はどうあるべきか 5
Ⅴ 評議で裁判員の良識は機能するか 7
Ⅵ 「核心司法」はどうあるべきか 9
Ⅶ 裁判員裁判に伴う整理手続の目的はなにか 10
Ⅷ 「調書裁判」は克服できるか 12
Ⅸ 21世紀刑事手続の理念はなにか 13
第2章 裁判員制度と公判前整理手続・証拠開示15
──「司法改革」と被告人の防御権
Ⅰ なぜ司法改革が必要か──裁判員裁判の効果 15
Ⅱ なぜ公判前整理手続が必要か 17
Ⅲ なぜ証拠開示の改革が必要か 20
Ⅳ 裁判員裁判は機能するか 22
Ⅴ 混沌から秩序へ──21世紀「刑事司法」の形 24
第3章 裁判員制度実施を前にした諸課題26
──公判前整理手続,裁判員裁判,司法改革
Ⅰ 21世紀の刑事司法──「市民主義」と「可視化」原理で捉える 26
Ⅱ 公判前整理手続の現状と課題 28
Ⅲ 裁判員裁判の展望 33
Ⅳ 総括──「21世紀司法」のあり方 37
第4章 裁判員裁判で市民社会は変わるか38
──「司法改革」と「市民主義」の時代
Ⅰ なぜ「裁判員」制度か──21世紀の刑事司法と「市民主義」 38
Ⅱ 裁判員はなにをするのか──事実認定・法令適用・刑の量定 39
Ⅲ 市民生活と裁判員は両立するか──制度に伴う「不安」解消(上) 40
Ⅳ 市民に裁判はできるのか──制度に伴う「不安」解消(下) 41
Ⅴ 「市民主義」と「市民力」──モラルの回復,社会の再生 43

2 展開──「市民主義」各論
第5章 模擬裁判員裁判から学ぶ44
──「記録裁判」から「公判裁判」へ
Ⅰ 模擬裁判のこと 44
Ⅱ 法廷活動の疑問──「アイ・ライン確保」原則(1) 45
Ⅲ パワーポイント(PPT)の危険性──「アイ・ライン確保」原則(2) 47
Ⅳ 裁判員裁判の「法廷作法」──「被告人・弁護人一体観」の原則 49
Ⅴ 反対尋問──「クロス」の本当の意味 51
Ⅵ 模擬裁判から学ぶもの──職権主義から当事者主義へ 52
第6章 「無罪評決の構造」55
──2007年2月大阪三庁模擬裁判から学ぶ
Ⅰ 学者の模擬裁判員裁判見学 55
Ⅱ 開示証拠の構造的欠陥 55
Ⅲ 裁判員裁判と弾劾型弁護活動 56
Ⅳ 裁判員と「合理的疑いを超える証明」 58
Ⅴ 黙秘する被告人への質問 60
Ⅵ 裁判員裁判と法廷技術 61
Ⅶ 裁判員裁判らしい評議 62
Ⅷ 調書裁判から公判裁判へ──自白調書の扱い 62
Ⅸ 裁判員裁判と当事者主義の徹底 63
第7章 裁判員裁判と証拠法の基本課題64
──調書裁判から公判裁判へ
Ⅰ 裁判員裁判と公判中心主義──「裸眼による事実認定」 64
Ⅱ 証拠決定と「証拠厳選の原則」──必要性要件の重要性 66
Ⅲ 検察官作成供述調書再考──相反性・特信性,弾劾性 68
Ⅳ 被告人の自白調書再考──任意性の厳格立証 73
Ⅴ まとめ──当事者追行主義と職権追行主義の新たな衝突 75
第8章 裁判員裁判のあり方について77
──「材料限定・心証誘導」型から「材料説明・疑問共有」型へ
Ⅰ 裁判員裁判の原理──「法律上の負担」から「憲法上の義務」へ 77
Ⅱ 神戸地裁「法廷革命」──「法曹」主義から「市民」主義へ 82
Ⅲ 「調書裁判」から「証拠裁判」へ──公判中心主義の実現 85
Ⅳ 証人尋問と被告人質問
   ──法廷技術革命と「材料説明・疑問共有」型立証へ 94
Ⅴ 判決宣告と量刑相場──裁判員による「人情裁判」の実現 97
Ⅵ 総括──裁判員裁判と法廷革命──「ケース・セオリー」を活かす 101


第9章 裁判員裁判と「誤訳えん罪」104
──ガルスパハ・ベニース事件
Ⅰ 「誤訳えん罪」──問題の所在として 104
Ⅱ 一審公判における英語通訳──「誤訳」の諸相 106
Ⅲ 控訴審「事後審」の審理回避──裁判員法65条記録媒体問題 115
Ⅳ 控訴審判決の「司法通訳」論批判 117
Ⅴ 「司法通訳」プロフェッショナリズムの確立 121
第10章 裁判員裁判と控訴審の機能124
──「破棄」された裁判員裁判
Ⅰ ある外国人殺人事件と「破棄」された裁判員裁判──問題の所在 124
Ⅱ 殺人罪の「故意」と「共謀」
   ──一審での食いちがい,控訴審での見逃し 126
Ⅲ 誤った「行為責任」論
   ──証人尋問実施と示談の努力を非難する量刑判断 135
Ⅳ 裁判員裁判の「破棄」
   ──控訴審と「2項取調べ」「2項破棄」の意義 140
Ⅴ 裁判員裁判と控訴審の役割──「ヤヌス神」と「ミネルバの梟」 144

3 展望──「市民主義」検証
第11章 裁判員裁判全般と3年後検証149
──「市民主義」の充実・発展のために
Ⅰ 裁判員裁判の総括──「調書裁判」から「法廷糺問」裁判へ 149
Ⅱ 裁判員裁判型「調書裁判」の克服 153
Ⅲ 裁判員の「負担」について 157
Ⅳ 被告人の裁判体選択権について 159
Ⅴ 制度の全般的な見直しについて 161
Ⅵ 総括──「市民主義」による刑事手続の構造改革 163
第12章 裁判員裁判対象事件と3年後検証164
第2部 刑事裁判──「包括的防御権」と「可視化」原理
第13章 被疑者取調べ「可視化」立法への道179
Ⅰ 被疑者取調べ「可視化」立法案──包括的防御権と効果的立証 179
Ⅱ 密室での「恫喝取調べ」──大阪府警東警察署事件 180
Ⅲ 密室での「作文調書」──郵便不正事件 182
Ⅳ 自白による事件処理──官僚的「一件落着」手法 184
Ⅴ 「可視化」実験──警察・検察における自白再確認場面の録音録画 185
Ⅵ 立法化への動き──警察・法務の研究会 188
Ⅶ 国会と議員立法の道 190
Ⅷ まとめ──「可視化」原理の立法化 191
第14章 被疑者取調べ「可視化」193
──取調べのビデオ録画と「正義」の実現
Ⅰ 被疑者取調べ「可視化」とはなにか 193
Ⅱ 警察が取調べで「虚偽自白」をさせることはあるか 193
Ⅲ 「密室取調べで虚偽自白をさせる運用」は何故長年続いているのか 195
Ⅳ では,被疑者取調べは反省の場になっているのか 195
Ⅴ 何故,今,被疑者取調べ「可視化」か 196
第15章 「防御の秘密」と被疑者取調べの法的限界199
Ⅰ 問題の所在──志布志町公選法違反事件と接見内容の取調べ 199
Ⅱ 「秘密交通権」概念の登場と「防御の秘密」保護 204
Ⅲ 「秘密交通権」概念の確立と「防御の秘密」保護 207
Ⅳ ニューヨーク州における「防御の秘密」の保護 211
Ⅴ 被疑者取調べと「防御の秘密」保護──日米法の架橋 219
Ⅵ まとめ──「包括的防御権」の原理と「防御の秘密」保護 227
第16章 
弁護人の「有罪証拠」提出行為と「弁護人による実質的な援助を受ける権利」229
──被告人の包括的防御権の保障のために
Ⅰ 問題の提起──弁護人の「敵対行為」 229
Ⅱ 弁護人の「敵対行為」と「不適切な弁護」 231
Ⅲ アメリカ連邦判例の動向 233
Ⅳ カリフォルニア州判例の動向 241
Ⅴ 「効果的な弁護を受ける権利」から「実質的な援助を受ける権利」へ
   ──アメリカ法と我が国法制度との架橋 248
Ⅵ 訴訟指揮権と司法の「公正」さの維持──一審・控訴審の問題点 253
Ⅶ 結語──
「弁護人による実質的な援助を受ける権利」と
被告人の「包括的防御権」 257
第17章 
公訴時効と刑訴法254条2項「共犯」の実質解釈について──明石歩道橋事故に寄せて259
Ⅰ はじめに──明石歩道橋事故と刑事裁判 259
Ⅱ 明石歩道橋事故と被告人Sに対する公訴時効の不成立(概要) 262
Ⅲ 公訴時効制度の現時点における意義
   ──公訴時効積極主義から,公訴時効消極主義へ 265
Ⅳ 公訴時効制度の沿革(概観) 274
Ⅴ 判例の動向(概観)──審判対象に関する当事者(処分)主義の重視 279
Ⅵ 公訴時効の正当化事由の再検討──実体法説・訴訟法説の総合 288
Ⅶ 法254条の解釈一般について 295
Ⅷ 本件の場合について──過失の共同正犯,過失の競合事犯について 303
Ⅸ 結 語 306



第18章 被告人の証人喚問・審問権と所在尋問の限界307
──元オウム真理教信者の事件を契機に
Ⅰ 所在尋問の違憲性──検察官申立書反論骨子 307
Ⅱ 公序良俗侵害の虞はないこと
   ──本件での所在尋問は憲法に違反すること(1) 308
Ⅲ 本件被告事件は「政治犯罪」であること
   ──本件での所在尋問は憲法に違反すること(2) 310
Ⅳ 被告人の公開裁判を受ける権利を二重に侵害すること
   ──本件での所在尋問は被告人の憲法上の権利を侵害すること 315
Ⅴ 被告人の公開裁判を受ける権利と証人の市民としての権利
   ──刑訴法上の諸措置の先行を欠如する所在尋問は憲法違反であること 317
Ⅵ 死刑確定者たる証人の裁判所出頭と拘置所の責務
   ──被告人の権利,裁判員裁判の公正さ,証人本人の出頭意欲の優先 322
Ⅶ 裁判員裁判と所在尋問の問題点 325
エピローグ──最近の新聞記事から 327
第19章 証人審問権と伝聞例外329
第3部 刑事手続──判例法と判例評釈の「方法」
第20章 昭和42年12月21日最判337
──補強証拠
第21章 昭和56年11月26日広島高判343
──別件捜索差押
第22章 平成12年4月21日最決349
──刑の執行猶予取消し手続と憲法34条
第23章 平成12年6月27日最決363
──刑事訴訟書類の送達と被告人の「裁判を受ける権利」
第24章 平成14年6月5日最決382
──軽微事件と長期の身柄拘束の救済
第25章 平成17年10月12日最決389
──麻薬特例法と業態犯の訴因の特定
第26章 平成20年3月14日最決403
──横浜事件再審請求事件と大赦による免訴事由
第27章 平成20年6月25日最決414
──公判前整理手続における捜査メモの証拠開示命令
第28章 平成21年5月15日大阪地決428
──別件逮捕勾留と余罪取調べの限界
Ⅰ 別件起訴後勾留と本件取調べ──事件の概要と今回の決定 428
Ⅱ 今回の決定の争点と評価 429
Ⅲ 学界の動向と本決定について 438
Ⅳ 出頭滞留義務,事件単位,取調べの任意性
   ──「包括的防御権」の原理 442
Ⅴ 結語──「包括的防御権」の原理 445