新基礎法学叢書⑪
ドゥオーキン「資源の平等」を真剣に読む
亀本 洋 著
定価:5,060円(税込)-
在庫:
在庫があります -
発行:
2016年11月20日
-
判型:
A5判上製 -
ページ数:
336頁 -
ISBN:
978-4-7923-0601-4
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内容紹介
目 次
はしがき ⅰ
初出一覧 ⅻ
略号等についての注記 xiii
第1章 資源の平等 1
第1節 運平等主義とドゥオーキンの「資源の平等」論 1
第2節 「資源の平等」のための「オークション」の意味 5
1.オークションの手続 5
2.羨望テストの充足 9
3.手続的正義? 11
4.落札の「費用」 13
5.「オークション」を経済学的に理解してはいけない 15
第3節 仮想保険市場 16
1.選択運と自然運 16
2.運とは何か 19
3.選択運の結果には責任がある 21
4.ギャンブル 24
5.平等なリスク機会の保障 27
6.保険への加入という選択 28
7.仮想保険市場 32
8.仮想保険市場参照強制保険の対抗馬その1─厚生の平等 36
9.仮想保険市場参照強制保険の対抗馬その2─生得無能力初期補償方式 38
10. 人格と状況の区別 39
第4節 能力の不平等と仮想保険によるその是正 42
1.能力が同一の場合、羨望してはいけない 42
2.時点に関し無制約な羨望テスト 45
3.ドゥオーキンのいう「市場」は「市場」ではない 45
4.機会の平等 47
5.スターティングゲート論 50
6.労働力の商品化 54
7.所得税による再分配 55
8.能力欠如に対する仮想保険市場 57
9.稼得能力欠如にかける保険 59
10.「市場」の結果と等価な経済計算 60
11.保険の平均の計算方法 60
12.保険とリスクへの態度 65
13.社会内最高所得水準を保証する保険の購入 66
14.保証所得水準を適度に下げれば万事うまくいく 67
15.稼得能力に優る者の不運 69
第5節 税金としての保険料 72
1.基礎となる保険料はすでにコンピュータが計算してくれた 72
2.保証所得は全員同じだが、保険料は現実所得に応じて変化する 73
3.現実所得連動型保険料のメリット 75
4.コンピュータに対するモラル・ハザード 76
5.稼得能力欠如に備える仮想保険市場から所得税制へ至る道 77
6.市場価格による交換の結果は放置する 78
7.「社会に課す費用」の意味 81
8.貧乏人への給付は多すぎるか 83
9.平均値の援用は貧困層に相当高い所得水準を保証する 84
10.保証水準の平均値は平等の二つの要求の妥協点らしい 88
11.貧乏人への給付は少なすぎるか 92
12.稼得能力に劣る者の不運 95
13.ギャンブラーを救えるか 96
第6節 結 論 99
1.貧富の格差緩和政策の指針としての平均値 99
2.金のかかる人生の不運 100
本章のむすびにかえて 102
第2章 運平等主義の問題点 105
第1節 運平等主義 105
1.運平等主義出現の背景 105
2.個人の責任を重視し、「何のための分配の平等か」を軽視する運平等主義 107
3.運平等主義は政治哲学か 113
4.本章の課題 115
第2節 運平等主義者の問題関心 116
1.運平等主義の思想とその帰結 116
2.運平等主義者の問題関心の狭さ 117
3.選択と状況の区別とその難点 118
4.道徳的・社会的・政治的理想としての平等 120
5.道徳的責任の前提条件と運平等主義 122
第3節 ロールズと運平等主義 124
1.ロールズからドゥオーキンへ、そして運平等主義へ 124
2.俗説の根拠 125
3.俗説における誤解 127
4.ドゥオーキンの行政的平等観 129
第4節 保守派への過剰反応としての責任主義 133
1.責任原理は運平等主義の支えとなるか 133
2.正当化は無内容もしくは循環論法 134
3.自由意志論的形而上学への依拠 135
4.モラリズム 136
5.社会的価値としての平等 138
第5節 帝国主義から政治哲学を防衛する 140
第3章 厚生の平等 145
第1節 厚生と厚生の平等 146
1.厚生の平等は資源の分配によって達成される 146
2.厚生の個人間比較は可能と仮定する 147
第2節 厚生の諸解釈 150
1.成功としての厚生 150
2.選好の三種類 151
3.成功の平等の三ヴァージョン 154
4.意識状態としての厚生 154
5.二種類のややこしさ 157
6.厚生の最善の解釈とその平等との関係 158
第3節 成功の平等 162
1.厚生の平等の実行可能性の問題は軽視する 162
2.無限定な成功の平等における第一の困難 163
3.無限定な成功の平等における第二の困難 165
4.政治的選好の不充足を個人的選好の充足で補償することはなぜおかしいか 169
5.インフォーマルな政治的選好を含む無限定な成功の平等理論の問題点 174
6.無限定な成功の平等が限定的な成功の平等に変容する場合 175
7.全員が共有する政治的選好が非平等主義的理論である場合 177
8.非政治的選好の充足の平等 179
第4節 個人的成功の平等 180
1.個人的成功の平等が前提とする人間観 180
2.相対的成功 184
3.全体的成功 185
4.相対的成功の平等 187
5.全体的成功の平等 193
6.合理的遺憾と公正な分配 195
7.公正な分配の理論なしに合理的遺憾を判定できるか 200
8.全体的成功の平等は公正な分配を否定するか 204
9.喜びの平等 207
10.厚生の客観的理論 208
第5節 金のかかる嗜好 209
1.厚生の平等は高価な嗜好の育成者に平等な厚生を拒否できるか 209
2.全体的成功の平等は自己論駁的でないと仮定する 214
3.社会が全体的成功の平等を採用する場合 215
4.功利主義は高価な嗜好に平等な厚生を保障しない根拠となるか 220
5.他人を犠牲にして金のかかる人生を送る人は補償に値しない 223
6.公正な分け前の観念は厚生の平等の概念と矛盾する 225
7.公正な分け前の先行性を直観的に説得する方法 230
8.障碍者を厚生の平等理論によって例外扱いする試み 231
9.厚生の平等理論は人々を平等者として扱っていない 234
本章のむすびにかえて 237
第4章 ローマーからの批判 239
第1節 資源主義と厚生主義 240
1.厚生主義は資源主義に属する 240
2.戦術としての資源主義の定義 241
3.非厚生主義的平等主義 244
4.資源主義とデザート論 246
第2節 選好の責任 248
1.資源を分配される個人の責任 248
2.薄い無知のヴェール 249
3.個人責任をめぐるロールズの原初状態とドゥオーキンの仮想保険の違い 250
第3節 保険と功利主義 251
1.移転可能な資源と移転不可能な資源 251
2.移転可能な資源に対する保険 251
3.保険の基本的仕組み 252
4.人によって選好が異なる場合 253
第4節 才能保険 254
1.才能と余暇を導入する保険モデル 254
2.最適な才能保険とその含意 255
3.功利主義と保険 257
4.高価な余暇 258
第5節 資源の平等分割メカニズム 258
1.資源の等分割から出発する競争均衡 258
2.才能の平等分割 259
3.才能のある人のほうが厚生が低くなる 261
第6節 資源の純粋交換モデル 262
1.生産を含まないモデルへの転換 262
2.交換モデルの下での保険メカニズム 263
3.交換モデルの下での平等分割メカニズム 264
4.才能のある人にとって保険メカニズムは最悪 265
第7節 資源平等化メカニズムによる才能のない人の悪化 267
1.才能の平等化は才能のない人の厚生の改善を含む 267
2.平等分割メカニズムの不整合 268
3.保険メカニズムの不整合 269
第8節 仮想保険の二重構造 270
1.ローマーによる批判の要点 270
2.仮想保険は期待効用理論に基づいていない 271
3.保険が「高い」理由 273
4.全員に平均的な所得があれば、ほとんどの人は保険を買うはず 274
5.仮想保険は平均未満の所得しか保証しない 274
6.特定個人ベースと平均人ベース 277
7.ローマーの誤解 277
第9節 仮想保険への疑問 280
1.厚生の生産能力がたまたま低い人は「犠牲になる」 280
2.事前の平等の限界 281
3.余暇が高価な人が労働する場合としない場合の扱いの非対称性 281
4.平等な市場 284
第5章 ドゥオーキン対シェフラー論争 285
第1節 ドゥオーキンは運平等主義者か 285
1.ドゥオーキンは運平等主義者ではないと言う 285
2.ドゥオーキンはそれでも運平等主義者である 288
第2節 選択と状況の区別 289
1.選択と状況の区別を堅持するとドゥオーキンは言う 289
2.シェフラーは文脈を誤解したとドゥオーキンは言う 291
3.自分のほうが文脈の正しい理解だとシェフラーは言う 292
第3節 行政的平等観 294
1.経済的平等の重要性 294
2.平等のより一般的な理想 296
3.行政的な平等の見方 297
本章のむすびにかえて 298
文献一覧 301
人名索引 308
事項索引 310
はしがき ⅰ
初出一覧 ⅻ
略号等についての注記 xiii
第1章 資源の平等 1
第1節 運平等主義とドゥオーキンの「資源の平等」論 1
第2節 「資源の平等」のための「オークション」の意味 5
1.オークションの手続 5
2.羨望テストの充足 9
3.手続的正義? 11
4.落札の「費用」 13
5.「オークション」を経済学的に理解してはいけない 15
第3節 仮想保険市場 16
1.選択運と自然運 16
2.運とは何か 19
3.選択運の結果には責任がある 21
4.ギャンブル 24
5.平等なリスク機会の保障 27
6.保険への加入という選択 28
7.仮想保険市場 32
8.仮想保険市場参照強制保険の対抗馬その1─厚生の平等 36
9.仮想保険市場参照強制保険の対抗馬その2─生得無能力初期補償方式 38
10. 人格と状況の区別 39
第4節 能力の不平等と仮想保険によるその是正 42
1.能力が同一の場合、羨望してはいけない 42
2.時点に関し無制約な羨望テスト 45
3.ドゥオーキンのいう「市場」は「市場」ではない 45
4.機会の平等 47
5.スターティングゲート論 50
6.労働力の商品化 54
7.所得税による再分配 55
8.能力欠如に対する仮想保険市場 57
9.稼得能力欠如にかける保険 59
10.「市場」の結果と等価な経済計算 60
11.保険の平均の計算方法 60
12.保険とリスクへの態度 65
13.社会内最高所得水準を保証する保険の購入 66
14.保証所得水準を適度に下げれば万事うまくいく 67
15.稼得能力に優る者の不運 69
第5節 税金としての保険料 72
1.基礎となる保険料はすでにコンピュータが計算してくれた 72
2.保証所得は全員同じだが、保険料は現実所得に応じて変化する 73
3.現実所得連動型保険料のメリット 75
4.コンピュータに対するモラル・ハザード 76
5.稼得能力欠如に備える仮想保険市場から所得税制へ至る道 77
6.市場価格による交換の結果は放置する 78
7.「社会に課す費用」の意味 81
8.貧乏人への給付は多すぎるか 83
9.平均値の援用は貧困層に相当高い所得水準を保証する 84
10.保証水準の平均値は平等の二つの要求の妥協点らしい 88
11.貧乏人への給付は少なすぎるか 92
12.稼得能力に劣る者の不運 95
13.ギャンブラーを救えるか 96
第6節 結 論 99
1.貧富の格差緩和政策の指針としての平均値 99
2.金のかかる人生の不運 100
本章のむすびにかえて 102
第2章 運平等主義の問題点 105
第1節 運平等主義 105
1.運平等主義出現の背景 105
2.個人の責任を重視し、「何のための分配の平等か」を軽視する運平等主義 107
3.運平等主義は政治哲学か 113
4.本章の課題 115
第2節 運平等主義者の問題関心 116
1.運平等主義の思想とその帰結 116
2.運平等主義者の問題関心の狭さ 117
3.選択と状況の区別とその難点 118
4.道徳的・社会的・政治的理想としての平等 120
5.道徳的責任の前提条件と運平等主義 122
第3節 ロールズと運平等主義 124
1.ロールズからドゥオーキンへ、そして運平等主義へ 124
2.俗説の根拠 125
3.俗説における誤解 127
4.ドゥオーキンの行政的平等観 129
第4節 保守派への過剰反応としての責任主義 133
1.責任原理は運平等主義の支えとなるか 133
2.正当化は無内容もしくは循環論法 134
3.自由意志論的形而上学への依拠 135
4.モラリズム 136
5.社会的価値としての平等 138
第5節 帝国主義から政治哲学を防衛する 140
第3章 厚生の平等 145
第1節 厚生と厚生の平等 146
1.厚生の平等は資源の分配によって達成される 146
2.厚生の個人間比較は可能と仮定する 147
第2節 厚生の諸解釈 150
1.成功としての厚生 150
2.選好の三種類 151
3.成功の平等の三ヴァージョン 154
4.意識状態としての厚生 154
5.二種類のややこしさ 157
6.厚生の最善の解釈とその平等との関係 158
第3節 成功の平等 162
1.厚生の平等の実行可能性の問題は軽視する 162
2.無限定な成功の平等における第一の困難 163
3.無限定な成功の平等における第二の困難 165
4.政治的選好の不充足を個人的選好の充足で補償することはなぜおかしいか 169
5.インフォーマルな政治的選好を含む無限定な成功の平等理論の問題点 174
6.無限定な成功の平等が限定的な成功の平等に変容する場合 175
7.全員が共有する政治的選好が非平等主義的理論である場合 177
8.非政治的選好の充足の平等 179
第4節 個人的成功の平等 180
1.個人的成功の平等が前提とする人間観 180
2.相対的成功 184
3.全体的成功 185
4.相対的成功の平等 187
5.全体的成功の平等 193
6.合理的遺憾と公正な分配 195
7.公正な分配の理論なしに合理的遺憾を判定できるか 200
8.全体的成功の平等は公正な分配を否定するか 204
9.喜びの平等 207
10.厚生の客観的理論 208
第5節 金のかかる嗜好 209
1.厚生の平等は高価な嗜好の育成者に平等な厚生を拒否できるか 209
2.全体的成功の平等は自己論駁的でないと仮定する 214
3.社会が全体的成功の平等を採用する場合 215
4.功利主義は高価な嗜好に平等な厚生を保障しない根拠となるか 220
5.他人を犠牲にして金のかかる人生を送る人は補償に値しない 223
6.公正な分け前の観念は厚生の平等の概念と矛盾する 225
7.公正な分け前の先行性を直観的に説得する方法 230
8.障碍者を厚生の平等理論によって例外扱いする試み 231
9.厚生の平等理論は人々を平等者として扱っていない 234
本章のむすびにかえて 237
第4章 ローマーからの批判 239
第1節 資源主義と厚生主義 240
1.厚生主義は資源主義に属する 240
2.戦術としての資源主義の定義 241
3.非厚生主義的平等主義 244
4.資源主義とデザート論 246
第2節 選好の責任 248
1.資源を分配される個人の責任 248
2.薄い無知のヴェール 249
3.個人責任をめぐるロールズの原初状態とドゥオーキンの仮想保険の違い 250
第3節 保険と功利主義 251
1.移転可能な資源と移転不可能な資源 251
2.移転可能な資源に対する保険 251
3.保険の基本的仕組み 252
4.人によって選好が異なる場合 253
第4節 才能保険 254
1.才能と余暇を導入する保険モデル 254
2.最適な才能保険とその含意 255
3.功利主義と保険 257
4.高価な余暇 258
第5節 資源の平等分割メカニズム 258
1.資源の等分割から出発する競争均衡 258
2.才能の平等分割 259
3.才能のある人のほうが厚生が低くなる 261
第6節 資源の純粋交換モデル 262
1.生産を含まないモデルへの転換 262
2.交換モデルの下での保険メカニズム 263
3.交換モデルの下での平等分割メカニズム 264
4.才能のある人にとって保険メカニズムは最悪 265
第7節 資源平等化メカニズムによる才能のない人の悪化 267
1.才能の平等化は才能のない人の厚生の改善を含む 267
2.平等分割メカニズムの不整合 268
3.保険メカニズムの不整合 269
第8節 仮想保険の二重構造 270
1.ローマーによる批判の要点 270
2.仮想保険は期待効用理論に基づいていない 271
3.保険が「高い」理由 273
4.全員に平均的な所得があれば、ほとんどの人は保険を買うはず 274
5.仮想保険は平均未満の所得しか保証しない 274
6.特定個人ベースと平均人ベース 277
7.ローマーの誤解 277
第9節 仮想保険への疑問 280
1.厚生の生産能力がたまたま低い人は「犠牲になる」 280
2.事前の平等の限界 281
3.余暇が高価な人が労働する場合としない場合の扱いの非対称性 281
4.平等な市場 284
第5章 ドゥオーキン対シェフラー論争 285
第1節 ドゥオーキンは運平等主義者か 285
1.ドゥオーキンは運平等主義者ではないと言う 285
2.ドゥオーキンはそれでも運平等主義者である 288
第2節 選択と状況の区別 289
1.選択と状況の区別を堅持するとドゥオーキンは言う 289
2.シェフラーは文脈を誤解したとドゥオーキンは言う 291
3.自分のほうが文脈の正しい理解だとシェフラーは言う 292
第3節 行政的平等観 294
1.経済的平等の重要性 294
2.平等のより一般的な理想 296
3.行政的な平等の見方 297
本章のむすびにかえて 298
文献一覧 301
人名索引 308
事項索引 310