アメリカの憲法問題と司法審査

アメリカの憲法問題と司法審査

大沢秀介/大林啓吾 編著
定価:4,950円(税込)
  • 在庫:
    在庫があります
  • 発行:
    2016年12月20日
  • 判型:
    A5判上製
  • ページ数:
    308頁
  • ISBN:
    978-4-7923-0602-1
カートに入れる

書籍購入は弊社「早稲田正門店インターネット書店」サイトでの購入となります。

内容紹介

目 次


はしがき i

第1章 移民と憲法問題
    ――司法は移民規制についてどこまで判断できるか?
     大沢秀介  1
 はじめに 1
 Ⅰ 移民法制と不法移民 3
  1 移民法制の変遷 3
  2 移民と不法移民 10
 Ⅱ Arizona v. United States判決 15
  1 州の移民規制権限 15
  2 Arizona事件の事実関係 16
 Ⅲ 2つの憲法問題 22
  1 絶対的権限理論の根拠 22
  2 ドリーム法とオバマ政権の政策 26
 結論 33
 おわりに 33

第2章 同性婚の是非
――同性婚を認めないことは同性カップルの尊厳を害することに
なるのか? 白水 隆  37
 はじめに 37
 Ⅰ Obergefell判決に至るまで 37
  1 同性愛者の権利に関する判決 37
  2 United States v. Windsor 連邦最高裁判決 41
 Ⅱ Obergefell判決 45
  1 下級審判決 45
  2 連邦最高裁判決 48
 Ⅲ 尊厳とは何か 53
  1 アメリカ合衆国における尊厳論 53
  2 カナダにおける尊厳論 58
 結論 66
 おわりに 66
第3章 雇用と平等
――雇用における差別と区別の違いは何か? 安部圭介  69
 はじめに 69
 Ⅰ 若干の背景――積極的措置をめぐる問題の文脈 70
 Ⅱ 積極的措置の許容性に関する連邦最高裁判例――憲法と雇用差別禁
止法の「相互浸透性」 74
  1 エストランドの指摘 74
  2 United Steelworkers v. Weber 75
  3 Wygant v. Jackson Board of Education 76
  4 Johnson v. Transportation Agency 78
  5 その後の変化 79
  6 「相互浸透性」の現在 85
 Ⅲ 違法な別扱いと許容される別扱い――連邦控訴裁判例からみえてくる
もの 89
  1 「積極的措置」と「多様性イニシアティヴ」 89
  2 積極的措置が合法とされた事例 89
  3 積極的措置が違法とされた事例,積極的措置が違法である可能性が
示唆された事例 93
  4 連邦控訴裁判例からみえてくるもの 99
 結論 101
 終わりに 101

第4章 実体的デュープロセスの判断方法――何が実体的デュー
プロセスの権利として認められるのか? 中曽久雄  103
 はじめに 103
 Ⅰ 実体的デュープロセスの形成 104
 Ⅱ 実体的デュープロセスの展開―主要判例の概観を通じて 106
  1 中絶の禁止・規制 107
  2 死ぬ権利 111
  3 同性愛および同性婚 114
 Ⅲ 近年の実体的デュープロセスの特徴―学説の検討を通じて 119
  1 中絶の領域における実体的デュープロセスの特徴 119
  2 死ぬ権利の領域における実体的デュープロセスの特徴 122
  3 同性愛および同性婚の領域における実体的デュープロセスの特徴 123
 結論 126
 おわりに 129

第5章 プライバシー権と刑事手続――どのような捜査がプライ
バー権を侵害することになるのか? 山田哲史  131
 はじめに 131
 Ⅰ 判例の展開 131
  1 出発点:Katz判決の定式 131
  2 その後の判例の展開 134
  3 判例に対する批判と整理の可能性 137
  4 近時の判例における「揺らぎ」 139
  5 まとめ 148
 Ⅱ 近時の学説の展開 149
  1 カー:修正4条の大枠としての不変性 149
  2 ソローヴ:修正4条の柔軟化 151
  3 スタンツ:修正4条からの撤退 154
  4 まとめ 156
 結論 157
 終わりに 157

第6章 宗教の自由――いかなる場合であれば宗教上の理由に基づい
て法的義務を免れることができるか? 栗田佳泰  159
 はじめに 159
 Ⅰ Smith判決まで 162
  1 個人に対して中立的一般的適用法上の義務の免除が認められなかっ
た事例 162
  2 個人に対して中立的一般的適用法上の義務が免除された事例 165
  3 団体に対して中立的一般的適用法上の義務を免除する連邦法の規
定が国教樹立禁止条項に反しないとされたAmos判決(483 U.S. 327
(1987)) 169
  4 州法上の禁止薬物の宗教上の理由による使用を原因とする解雇に
対する失業補償拒否が合憲とされたSmith判決(494 U.S. 872
(1990)) 170
  5 小括 172
 Ⅱ Smith判決後 175
  1 特定宗教の狙い撃ち規制を違憲としたChurch of the Lukumi
Babalu判決(508 U.S. 520 (1993)) 175
  2 二つの連邦法 176
  3 営利企業に対する一部の避妊医療に関する保険料負担の法的義務
がRFRA上違法とされたHobby Lobby判決(573 U.S. ___ (2014)) 184
  4 小括 186
 結論 189
 おわりに 190

第7章 憲法訴訟――審査基準論はどこに向かおうとしているのか?
村山健太郎  193
 はじめに 193
 Ⅰ ローカル・モデルからグローバル・モデルへ 196
  1 ドイツとカナダ 196
  2 グローバル・モデルの発展 204
 Ⅱ グローバル・モデルのアメリカへの影響 212
  1 受容の障壁 212
  2 部分的受容の可能性 221
 結論 226
 おわりに 226

第8章 立法裁量――立法の動機を審査することは可能なのか?
黒澤修一郎  229
 はじめに―問題設定 229
  1 アメリカ憲法における立法動機審査問題の特質 229
  2 本稿の視座と構成 231
 Ⅰ Lochner時代における立法動機審査のありよう 232
  1 立法動機審査否定論の伝統―McCray判決を素材にして 233
  2 Lochner判決という謎 235
  3 Lochner時代の実体的デュープロセス判例をいかに意味づけるか? 237
  4 Lochner時代の連邦制判例 244
 Ⅱ Lochner時代の終焉と立法動機審査否定論の復権 248
  1 伝統への回帰―到達点としてのO’Brien判決 248
  2 現代の判例における立法動機審査否定論―スカリア裁判官の所論 250
 Ⅲ 現代における立法動機審査をめぐる議論のありよう 252
  1 現代の判例法理における立法動機審査の位置づけ―マッシーの分析
を借りながら 253
  2 立法動機審査のカオスをいかにして整序するか―マッシーのテーゼ 255
  3 若干の検討 259
 結論 264
 おわりに 264

第9章 司法裁量――原意主義と生ける憲法の接合は可能か?
大林啓吾  267
 序 268
 Ⅰ 原意主義と生ける憲法の論争 269
  1 原意主義・生ける憲法・生ける原意主義 269
  2 憲法条文 274
 Ⅱ 司法裁量をめぐる争い 275
  1 原意主義の狙い 275
  2 生ける憲法の狙い 278
 Ⅲ 接合論の登場――生ける原意主義 283
  1 バルキンの生ける原意主義 283
  2 生ける原意主義の問題 287
 Ⅳ 接合可能性の問題 288
  1 対立構図 288
  2 憲法解釈方法論としての接合可能性 291
  3 現実の裁判 292
 結論 293
 後序 293