目　　次


はしがき吉田克己i
企画趣旨説明マチルド・オートロー＝ブトネ1
（訳：吉田克己）

第1部　科学的不確実性の法的取扱いに関する比較研究
1　法における科学的不確実性の扱いに関する多角的検討
─ EU法における不確実なリスクの扱い
エヴ・トルイエ＝マランゴ9
（訳：中原太郎）
Ⅰ　条文において …… 11
Ⅱ　判例において …… 13
Ａ　予防原則の訴訟上の適用 …… 13
Ｂ　判例の寄与 …… 15
Ⅲ　制度・手続において …… 23
Ａ　科学的手法の強化 …… 23
Ｂ　証明責任の転換？ …… 24
Ｃ　判事が行うコントロール …… 26
2　民事訴訟における科学的不確実性の扱い大塚　直29
Ⅰ　序─科学的不確実性に関連する訴訟 …… 29
Ⅱ　科学的不確実性の考慮を問題とした裁判例 …… 32
1　国の規制、公表等が問題となった事件 …… 32
2　私人の行為が問題となった事件 …… 34
Ⅲ　わが国における科学的不確実性に関わる裁判例、学説の傾向 …… 39
Ⅳ　科学的不確実性に伴う諸論点 …… 42
1　不安感、危惧感の法的位置づけ …… 43
2　具体的危険性とは何か …… 45
3　予防的科学差止訴訟における具体的危険性の証明の方式 …… 49
4　相当程度の可能性に基づく部分的賠償の可能性 …… 50
Ⅴ　科学的不確実性の取り扱いに関する日仏比較 …… 52

第2部　原子力被害の取扱いに関する比較検討
3　フランスにおける原子力事故被害の取扱い
マリー・ラムルゥ55
（訳：大澤逸平）
Ⅰ　賠償の対象となる原子力被害の拡大 …… 59
Ａ）　現行法：原子力被害の定義の欠落 …… 59
Ｂ）　将来の法：賠償の対象となる原子力被害の類型化 …… 62
II　原子力被害の賠償実現への障害 …… 65
Ａ）　賠償の上限と保険による保障範囲の限界 …… 66
Ｂ）　時間上及び証明上の限界 …… 68
4　福島原発事故により生じた損害の扱い中原太郎73
はじめに …… 73
Ⅰ　原子力損害賠償の制度的側面 …… 74
Ａ　原子力損害の填補のシステム …… 74
Ｂ　原子力損害賠償の手続的実現 …… 78
Ⅱ　原子力損害賠償の実体的側面 …… 80
Ａ　原子力損害賠償の内容 …… 80
Ｂ　遅発的な身体的損害への対応 …… 84
おわりに …… 87

第3部　気候変動リスク取扱いに関する比較検討
5　国際法における気候変動リスクの緩和
サンドリーヌ・マルジャン＝デュボワ91
（訳：吉田克己）
Ⅰ　リスクの識別と認識 …… 95
Ⅱ　受容しうるリスク：1.5度の目標または2度の目標？ …… 99
Ⅲ　2020年以降の枠組み：パリ協定の採択の後にどのような展望が描かれるか？ …… 106
6　気候責任の承認ロラン・ネイレ111
（訳：小野寺倫子）
Ⅰ　気候責任の承認への障害 …… 114
Ⅱ　気候責任の承認への展望 …… 116
補論
　気候の救助への権利 ［droit au secours du climat］ のための提案 …… 122
7　気候変動の法的責任─日本の現状と課題大坂恵里125
Ⅰ　はじめに …… 125
Ⅱ　日本における気候変動の緩和と適応の現状 …… 126
1　気候変動の緩和の取組み …… 126
2　気候変動への適応の取組み …… 128
Ⅲ　気候変動の法的責任 …… 129
1　問題提起 …… 129
2　日本─シロクマ公害調停・裁判 …… 129
3　アメリカ …… 131
4　オランダ─Urgenda Foundation v. Kingdom of the Netherlands …… 139
Ⅳ　若干の考察 …… 143
1　気候変動訴訟の限界 …… 143
2　不法行為制度以外による損失と損害への対応 …… 144
Ⅴ　結びに代えて …… 146
結語　環境保健リスクへの対応に関する日仏の視点
マチルド・オートロー＝ブトネ147
（訳：吉田克己）
1　リスクの広がりに直面した法の対応 …… 148
2　リスクの不確実性に直面した法の対応 …… 149
補論　環境リスク、環境損害と保険小野寺倫子153
はじめに …… 153
1　課題の設定 …… 153
2　叙述の順序 …… 156
Ⅰ　環境リスクと保険─検討の前提 …… 157
1　リスク管理の手法としての保険 …… 157
2　環境リスクの領域における保険の特殊性 …… 159
Ⅱ　環境損害の回復／賠償と保険─フランスにおける試み …… 163
1　環境損害とフランスにおける環境リスク保険 …… 164
2　環境に関する賠償項目の一覧表化の保険への影響 …… 169
おわりに …… 173