アメリカ憲法と公教育
アメリカ憲法叢書2

アメリカ憲法と公教育

大沢秀介/大林啓吾 編
定価:8,250円(税込)
  • 在庫:
    在庫があります
  • 発行:
    2017年03月20日
  • 判型:
    A5判上製
  • ページ数:
    582頁
  • ISBN:
    978-4-7923-0603-8
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内容紹介

目 次


Preface

第1部 教育内容と憲法
Chapter 1 最高裁は創造説を排除できるのか? 3
Chapter 2 公教育における男女別学の可能性 41

第2部 教育と政教分離
Chapter 3 公立学校と十戒 79
Chapter 4 教材貸与と政教分離 117
Chapter 5 リベラルで民主的な社会に対するアーミッシュの問いかけ 147
Chapter 6 スクール・バウチャー制と政教分離原則 183

第3部 学校における表現の自由
Chapter 7 学校図書館の本の除籍と表現の自由 223
Chapter 8 州立大学教員の忠誠心調査と修正1条 265
Chapter 9 公立学校教員の表現の自由 301
Chapter 10 公立学校と「黒い腕章」 339
Chapter 11 違法薬物使用の唱道と生徒の表現の自由 373
Chapter 12 公立学校での生徒の言論 403

第4部 学校と子供の権利
Chapter 13 公立学校における身体検査等 431
Chapter 14 親の子どもの教育方法と子どもの保護 463
Chapter 15 正式な入国書類を持たない子どもと無償公教育 491
Chapter 16 公教育の助成と教育を受ける権利 533











『アメリカ憲法と公教育』
細 目 次


Preface i

第1部 教育内容と憲法
Chapter 1 最高裁は創造説を排除できるのか?――The Story
of Edwards v. Aguillard, 482 U.S. 578 (1987)
[勝田卓也]  3
 はじめに 4
 Ⅰ 背景事情 6
  1 スコープス裁判 6
  2 Epperson v. Arkansas事件 8
 Ⅱ Edwards v. Aguillard判決 11
  1 背景 11
  2 最高裁判決 12
  3 検討――立法の目的について 27
 Ⅲ 進化論教育の現状 29
  1 インテリジェント・デザイン 30
  2 ローカルな教育制度 31
  3 進化論教育と信仰に関わる背景事情 32
 Ⅳ アクターとしての最高裁 34
 おわりに 38

Chapter 2 公教育における男女別学の可能性――The Story
of Mississippi University for Women v. Hogan,
458 U.S. 718(1982) [福井康佐]  41
 はじめに――男女別学・共学論争における理念上の対立 42
 Ⅰ アメリカにおける男女共学・別学教育の沿革 42
  1 別学の伝統から今日までの沿革 42
  2 教育修正法以降 43
  3 別学教育の新しい流れ 44
  4 第9編に係る解釈の変更に伴う教育省規則の改正 45
 Ⅱ 事件の背景 48
 Ⅲ 判旨 49
  1 法廷意見 50
  2 バーガー長官反対意見 54
  3 ブラックマン裁判官反対意見 54
  4 パウエル裁判官(レーンキスト裁判官同調)反対意見 55
 Ⅳ 関連する二つの判例 60
  1 Vorchheimer判決(Vorchheimer v. School District of Philadelphia
532 F.2d 880(3d Cir. 1976)) 60
  2 Virginia判決(United States v. Virginia, 518 U.S. 515(1996)) 62
 Ⅴ 別学の正当化事由の検討 66
  1 生徒の学力向上 66
  2 多様性の維持(教育における選択の自由の保障) 67
  3 差別に対する補償または救済 69
  4 小括――正当化事由からみた別学の可能性 70
 Ⅵ 多様性と平等 71
 Ⅶ 違憲審査基準からみた別学の可能性 73
 むすび――自由と平等の対立としての共学・別学論争 74


第2部 教育と政教分離
Chapter 3 公立学校と十戒――The Story of Stone v. Graham, 449 U.S. 39 (1980) [大林文敏]  79
 はじめに 80
 Ⅰ 十戒論争の政治的・社会的背景 81
 Ⅱ Stone事件について 84
  1 州段階における審級の状況 84
  2 Stone連邦最高裁の判決内容 88
  3 Stone判決の位置づけ 92
 Ⅲ 教室内における十戒問題 94
  1 Doe v. Harlan County School District連邦地裁の違憲判決 94
  2 Stone判決とDoe判決の比較 97
 Ⅳ その他の公共空間おける十戒問題 98
  1 State v. Freedom From Religion Foundation事件の合憲判決 98
  2 Books v. City of Elkhart事件の違憲判決 101
  3 2005年の2判決 105
 結びにかえて 115
Chapter 4 教材貸与と政教分離――The Story of Meek v. Pittenger, 421 U.S. 349 (1975) [築山欣央]  117
 はじめに 118
 Ⅰ 教区学校における援助と政教分離 120
  1 教区学校への援助という争点 120
  2 Meek判決につながる教区学校への物質的援助に関する判例 122
 Ⅱ Meek判決 126
  1 事実の概要 127
  2 法廷意見 129
  3 その他の裁判官の意見 133
 Ⅲ 検討 138
  1 政教分離と中立性と分離 138
  2 Meek判決に至るまでの連邦最高裁判所 140
  3 Meek判決後の変化 141
 おわりに 144


Chapter 5 リベラルで民主的な社会に対するアーミッシュの
問いかけ――The Story of Wisconsin v. Yoder, 409 U.S. 205 (1972) [松尾 陽]  147
 はじめに 148
 Ⅰ Yoder判決前史 150
  1 アーミッシュとは? 150
  2 アーミッシュの教育闘争 151
 Ⅱ Yoder判決 153
  1 バーガー長官法廷意見 153
  2 スチュワート裁判官同意意見(ブレナン裁判官はここにも加わる) 163
  3 ホワイト裁判官同意意見(ブレナン裁判官とスチュワート裁判官) 164
  4 ダグラス裁判官反対意見 164
 Ⅲ Yoder判決の先例的意義――特異なアーミッシュ 167
  1 信教の自由に基づく免除と厳格審査 167
  2 子供たちの信教の自由? 168
  3 公教育の役割 170
  4 本判決の限界――Mozert判決との比較 172
 Ⅳ 多文化社会と公教育の役割 174
  1 多文化社会と公教育の役割 174
  2 自律――選択肢の多様性と批判的理性 175
  3 寛容原理 178
  4 本判決で残された課題――代替的措置,寛容の限界 180
 結びに代えて 181


Chapter 6 スクール・バウチャー制と政教分離原則――The Story of Zelman v. Simmons-Harris, 536 U.S. 639 (2002) [溜箭将之]  183
 Ⅰ クリーブランドとバウチャー制度 184
 Ⅱ 判決前史 185
  1 レモン・テスト前 185
  2 レモン・テスト 186
  3 レモン・テストの遍歴 188
  4 保守化 189
 Ⅲ 事実の概要 190
 Ⅳ 判決 191
  1 法廷意見・同意意見・反対意見の構成 191
  2 レンキスト法廷意見 192
  3 オコナー同意意見 193
  4 トーマス同意意見 195
  5 スーター反対意見 196
  6 ブライヤー反対意見 200
  7 スティーブンス反対意見 202
 Ⅴ 判決の検討 202
  1 判決の分析 202
  2 バウチャー制度の政治学 204
  3 バウチャー制度の宗教学 206
  4 Zelman以降の各州の動向 208
  5 政府サービスと民営化の現代政治 213
  6 政教分離と連邦最高裁 218
 おわりに 219




第3部 学校における表現の自由
Chapter 7 学校図書館の本の除籍と表現の自由――The
Story of Board of Education, Island Trees Union
Free School District No. 26 v. Pico, 457 U.S. 853
(1982) [大林啓吾]  223
 序 224
 Ⅰ 学校図書館の本のチェック――Pico判決以前の状況 225
  1 子供の本のチェックの歴史的経緯 225
  2 学校図書館の存在意義 227
  3 Pico判決以前の学校図書館の本の除籍が問題となった事例 228
 Ⅱ Pico判決 232
  1 事実の概要 232
  2 下級審の判断 235
  3 連邦最高裁の判断 236
 Ⅲ 考察 248
  1 生徒の情報受領権 248
  2 「教育者としての政府」と公教育 250
  3 学校図書館の本の除籍の妥当性 252
  4 司法判断の方法 253
 Ⅳ Pico判決後の展開 257
  1 下級審の展開 257
  2 残された課題 261
 後序 262


Chapter 8 州立大学教員の忠誠心調査と修正1条――The
Story of Keyishian v. Board of Regents, 385 U.S.
589 (1967) [小谷順子]  265
 はじめに 266
 Ⅰ アメリカ憲法と「学問の自由」 268
  1 「学問の自由」の発展の歴史 268
  2 連邦最高裁と「学問の自由」 270
 Ⅱ Keyishian事件の事実関係 272
  1 Keyishian事件の背景 272
  2 ニューヨーク州の公務員忠誠確認制度〈NYプラン〉 273
  3 NYプランに関する連邦最高裁の先例〈Adler判決〉 277
 Ⅲ ニューヨーク州立大学バッファロー校とKeyishianらの対立 278
  1 州立大学への統合に伴う教職員への要求 278
  2 連邦地裁判決(1964年9月2日) 279
  3 連邦控訴裁判決(1965年5月3日) 279
  4 連邦地裁の三名合議法廷判決(差戻審判決)(1966年1月5日) 279
  5 連邦最高裁への飛躍上訴 281
 Ⅳ Keyishian事件の連邦最高裁判決(1967年1月23日) 281
  1 連邦最高裁判決の概要 281
  2 ブレナン裁判官の法廷意見 282
  3 クラーク裁判官の反対意見(ハーラン,ステュワート,ホワイト裁判官参加) 289
 Ⅴ Keyishian判決をふまえて 292
  1 連邦最高裁の先例とKeyishian判決 292
  2 Keyishian判決と大学教員の表現の自由 293
  3 州立大学教員の学外における結社の自由 294
 おわりに 299


Chapter 9 公立学校教員の表現の自由――The Story of Pickering v. Board of Education, 391 U.S. 563
(1968) [小林祐紀]  301
 序 302
 Ⅰ Pickering事件までの公務員の表現規制,先例,社会状況 303
 Ⅱ Pickering事件――事実の概要と下級審の判断 307
  1 事実の概要 307
  2 下級審の判断 308
 Ⅲ Pickering事件――連邦最高裁判決 309
  1 法廷意見 309
  2 同意意見(ダグラス裁判官執筆,ブラック裁判官が同調) 312
  3 一部同意・一部反対意見(ホワイト裁判官執筆) 312
  4 本判決の意義と課題 313
 Ⅳ Pickering事件後の判例の展開 315
  1 Connick事件以前の2つの事件 315
  2 Connick v. Myers連邦最高裁判決(1983年) 318
  3 Rankin v. McPherson連邦最高裁判決(1987年) 320
  4 小括 322
 Ⅴ Pickering / Connick基準の転換――Garcetti事件 322
  1 Garcetti v. Ceballos連邦最高裁判決(2006年) 322
  2 本件の分析と評価 325
 Ⅵ Garcetti事件後の裁判所や議会の動向――「公的関心事」の行方 327
  1 Garcetti事件の立法府への影響――公務員による公益通報の保護の強
   化 328
  2 Garcetti事件後の下級審の展開 329
  3 「公的関心事」の判断基準 331
 結 333


Chapter 10 公立学校と「黒い腕章」――The Story of Tinker v. Des Moines Independent Community School District, 393 U.S. 503 (1969) [紙谷雅子]  339
 はじめに 340
 Ⅰ 1965年12月 341
  1 ベトナムでの戦闘状況と「黒い腕章」 341
  2 デモイン独立学校区委員会 343
 Ⅱ 次の一歩――連邦地方裁判所 345
  1 提訴 345
  2 答弁書 346
  3 審理前手続 347
  4 事実審理――原告たちの証言 348
  5 事実審理――デモイン独立学校区の証言 351
  6 最終弁論 355
  7 判決 355
  8 判決への反応 357
 Ⅲ 連邦高裁へ 358
  1 上訴 358
  2 上訴書面 359
  3 連邦高裁は全員法廷で 361
  4 「裁判所による」判決 362
 Ⅳ 連邦最高裁へ 362
  1 裁量上訴の申立 362
  2 口頭弁論 364
  3 執筆者はフォータス裁判官 365
  5 その後 368
 Ⅴ 判例法理として 369
  1 Tinker判決それ自体 369
  2 その後の判例法理の展開 370
 最後に――メリィ・ベスは今…… 371


Chapter 11 違法薬物使用の唱道と生徒の表現の自由
――The Story of Morse v. Frederick, 551
U.S. 393 (2007) [青野 篤]  373
 はじめに 374
 Ⅰ 生徒の表現の自由に関する先例 375
 Ⅱ Morse判決 377
  1 事実の概要 377
  2 下級審の判断 379
  3 連邦最高裁の判断 380
 Ⅲ 考察 387
  1 「学校言論」(School Speech)か 387
  2 先例との関係 388
  3 Morse判決の特徴と問題点 389
  4 Morse判決の意義と射程 395
  5 Morse判決の下級審への影響 398
 おわりに 399


Chapter 12 公立学校での生徒の言論――The Story of
Bethel School District No. 403 v. Fraser, 478
U.S. 675 (1986) [藤井樹也]  403
 Ⅰ 背景 404
  1 1980年代半ばという時代 404
  2 ポスト・ウォーレンコート期の生徒の言論の自由 405
  3 ポスト「性革命」期の性表現の自由 406
 Ⅱ Fraser判決 408
  1 事実の概要 408
  2 下級審の判断 411
  3 連邦最高裁判決 412
 Ⅲ 検討 417
  1 先例との関係 417
  2 Fraser判決の意味 420
  3 後続事例との関係 424
  4 現代的課題 425


第4部 学校と子供の権利
Chapter 13 公立学校における身体検査等――The Story of Vernonia School District 47J v. Acton, 515 U.S.
646(1995) [津村政孝]  431
 はじめに 432
 Ⅰ 前提問題とVernonia 判決の背景 433
  1 前提問題 433
  2 Vernonia判決の背景 436
 Ⅱ Vernonia判決 440
  1 事実の概要 440
  2 下級審の判断と連邦最高裁における口頭弁論 443
  3 連邦最高裁の判断 445
 Ⅲ 考察 453
  1 学校における薬物検査や捜索に関するその後の判例 453
  2 判例の検討 455
 終わりに――学校の安全をめぐる状況 459


Chapter 14 親の子どもの教育方法と子どもの保護――The Story of Prince v. Massachusetts, 321 U.S. 158
(1944) [君塚正臣]  463
 はじめに 464
 Ⅰ Prince v. Massachusettsに至る事情 464
 Ⅱ Prince v. Massachusetts, 321 U.S. 158 (1944) 472
  1 事案 472
  2 ラトリッジ裁判官法廷意見 474
  3 ジャクソン裁判官結果同意意見 476
  4 マーフィ裁判官反対意見 477
 Ⅲ Prince v. Massachusettsの影響 479
  1 Prince v. Massachusetts判決以降の連邦最高裁の動向 479
  2 親の教育の自由 482
 おわりに 487


Chapter 15 正式な入国書類を持たない子どもと無償公教育――The Story of Plyler v. Doe, 457 U.S. 202
(1982) [大沢秀介]  491
 はじめに 492
 Ⅰ アメリカにおける公教育の展開 493
  1 公教育の展開 493
  2 NAACPと公立学校における人種差別 495
  3 MALDEFの活動 496
  4 ロドリゲス連邦最高裁判決 496
 Ⅱ Plyler事件に至る経緯 498
  1 テキサス州教育法21.031条の制定と訴訟 498
  2 MALDEFの対応 501
  3 外国人子弟教育訴訟事件 503
 Ⅲ Plyler判決 504
  1 平等保護条項とデュープロセス条項の保障の範囲 505
  2 平等保護と審査基準 506
  3 教育の重要性 507
  4 適切な違憲審査基準 508
  5 州の権限と違憲審査基準 509
  6 州のありうべき立法目的 511
  7 その他の意見 512
 Ⅳ Plyler判決の位置付けとその後 515
  1 先例との関係 515
  2 違憲審査基準との関係 523
 Ⅴ Plyler判決の影響と政治的意味 525
  1 学校区内の居住要件 525
  2 カリフォルニア州提案187 526
  3 連邦議会への働きかけ 527
  4 最近の反プライラー判決の動き 528
 結びに代えて 529


Chapter 16 公教育の助成と教育を受ける権利――The Story
of San Antonio Independent School District v. Rodriguez, 411 U.S. 1 (1973) [尾形 健]  533
 Ⅰ In the beginning... ――物語の始まり 534
  1 アメリカ公教育の展開 534
  2 テキサス州での展開 534
  3 エッジウッドのロドリゲス 535
 Ⅱ Rodriguez 判決――事案の概要と判旨 537
  1 事案 537
  2 テキサス州教育財政の経緯 539
  3 原審の判断 540
  4 連邦最高裁の判断 541
 Ⅲ 教育への公的助成と平等保護 556
  1 教育財政制度と憲法 557
  2 教育の基本的権利性 557
 Ⅳ Afterwards... ――物語のあと 561