物権法
法学叢書 9

物権法

松岡久和 著
定価:3,080円(税込)
  • 在庫:
    在庫があります
  • 発行:
    2017年03月17日
  • 判型:
    A5判上製
  • ページ数:
    338頁
  • ISBN:
    978-4-7923-2700-2
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内容紹介

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はしがき i
本書の特徴と参考文献 iii 第1章 物権法全体の概観
第1節 民法上の物権の分類と体系………1
Ⅰ 物権の総則と各則………1
Ⅱ 10種の物権………1
1 所有権 1
2 制限物権 2
(1) 用益物権 2  (2) 担保物権 3
3 占有権 4
第2節 物権の定義と機能………5
Ⅰ 物権の定義………5
Ⅱ 物権の機能………5
1 資本主義経済社会の基本としての2つの仕組み 5
2 有体物支配権としての物権 6
3 無体物の帰属決定と保護の必要性 7 第2章 所有権
第1節 所有権の内容………10
Ⅰ 所有権の意義と特徴………10
1 所有権の意義 10
(1) 民法の規定 10  (2) 独占的・全面的支配権 11
2 所有権の特徴 11
(1) 直接支配性・譲渡性 12  (2) 絶対性 13  (3) 排他性 13
(4) 優先的効力 13
Ⅱ 所有権の対象………14
1 有体物(85条) 14
2 不動産と動産 15
(1) 不動産 15  (2) 動 産 17
3 一物一権主義と物の単位・個数 18
(1) 一物一権主義の3つの意味 18  (2) 物の単位と個数 18
Ⅲ 所有権の歴史性と制限………19
1 近代的所有権と現代的所有権 19
(1) 近代的所有権概念の誕生 19  
(2) 現代的所有権概念への変化 20  
(3) 土地の特殊性 20
2 法令による所有権の制限 22
Ⅳ 相隣関係………23
1 概 観 23
2 相隣関係規定の全体的な特徴 23
3 2つの重要問題 24
(1) 囲繞地通行権と通行地役権・債権的通行権 24  
(2) 234条と建築基準法65条の関係 26
第2節 所有権を保護する制度………26
Ⅰ 所有権に基づく請求権の意義と根拠………27
1 所有権に基づく請求権の意義 27
2 所有権に基づく請求権の根拠 27
Ⅱ 所有権に基づく請求権の種類と要件・共通の特徴………28
1 所有権に基づく請求権の種類 28
(1) 返還請求権 28  (2) 妨害排除請求権 30  
(3) 妨害予防請求権 32
2 所有権に基づく請求権に共通する特徴 33
Ⅲ 所有権に基づく請求権の効力………35
1 所有権に基づく請求権の性質と権利内容 35
(1) 請求権一般 35  (2) 請求権の類型毎に注意するべき効力 38
2 返還義務を負う占有者の保護 39
(1) 果実と使用利益 39  (2) 必要費と有益費 40
(3) 物の滅失・損傷などの責任 40
第3節 共同所有………43
Ⅰ 狭義の共有………43
1 共有の意義と発生原因 43
(1) 共有の意義 43  (2) 共有の発生原因 44
2 共有者間の内部関係 44
(1) 持分権 45  (2) 共有物に関する意思決定の方法 46
(3) 共有物に関する費用負担など 50  (4) 共有者間の争い 51
3 共有の対外的関係 52
(1) 持分権とそれに基づく主張 52  (2) 共有関係自体の主張 54
4 共有関係の解消 55
(1) 分割の自由と制限 55  (2) 分割請求とその方法 55  
(3) 分割の効果 56
5 準共有 58
Ⅱ さまざまな共同所有………59
1 組合の財産関係 59
(1) 組合の所有権や債権 59  (2) 「組合の」債務 61
(3) 小 括 62
2 権利能力のない社団や入会の財産関係 62
(1) 権利能力のない社団の財産関係 62
(2) 入会の場合の財産関係 63
3 共同相続財産 64 4 建物区分所有 66 (1) 分譲集合住宅に関する法 66 (2) 専有部分と共用部分・敷地利用権の一体性 67 (3) 管理組合による自治的管理 67 (4) 団体的制約とその実効性確保措置 69 (5) 復旧・建替え 70 5 共同所有の捉え方 72 (1) 伝統的な3分類説 72  (2) 3分類説への批判 72 第4節 所有権の取得………75 Ⅰ さまざまな所有権の取得原因と「所有権の取得」の規律………75 1 承継取得と原始取得 75 2 無主物先占等 76 (1) 無主物先占 76  (2) 遺失物拾得 77 (3) 家畜以外の動物の取得 77  (4) 埋蔵物発見 78 3 添 付 78 (1) 添付という制度の意義と限定性 78 (2) 不動産の付合 79  (3) 動産の付合と混和 80 (4) 加 工 81  (5) 添付の効果 82 Ⅱ 契約に基づく所有権の取得………83 1 所有権取得の根拠と態様 83 (1) フランス法とドイツ法の対極的な処理 83 (2) 日本民法の沿革に由来する解釈の多義性 85 2 売買契約等による所有権取得の時期 88 (1) 判 例 88  (2) 主要な学説 89  (3) 検 討 91 3 建物建築請負契約による所有権取得の方法と時期 97 (1) 判 例 97  (2) 学 説 97 (3) 複数の請負人が工事を行った場合 97 第5節 不動産登記制度と登記請求権………99 Ⅰ 不動産登記制度………99 1 不動産登記と不動産登記簿 99 (1) 不動産登記 99  (2) 不動産登記簿 99 2 登記のできる権利とできない権利 101 3 登記の種類 102 (1) 対抗力の有無による区別 102 (2) 形式による区別 102  (3) 記載内容による区別 102 (4) 物権変動以外の登記や仮登記 103 4 登記申請の手続 103 (1) 登記申請の方法 103 (2) 共同申請主義の原則とその例外 103 (3) 定型的審査と真実性の確保手段 104 (4) 登記の実行と順位 105 Ⅱ 登記請求権………107 1 意 義 107 2 種 類 108 (1) 債権的登記請求権 108  (2) 物権的登記請求権 110 3 中間省略登記請求等の可否 110 (1) 中間省略登記請求 110  (2) 真正な登記名義の回復請求 111 Ⅲ 登記の有効性………112 1 登 記 112 2 手続的有効要件 113 3 実体的有効要件 114 (1) 一 般 114  (2) 無効となる場合 115   (3) 中間者の同意のない中間省略登記 115 Ⅳ 登記の効力………116 1 対抗力 116 2 公信力の欠如とその対応策 116 3 推定力 117 4 権利保護力 118 Ⅴ 仮登記………118 1 仮登記の意義 118 2 仮登記の手続 119 3 仮登記の効力 119 第6節 不動産所有権取得の対抗と第三者………121 Ⅰ 対抗問題とは………122 1 対抗不能の意味 122 2 双方未登記の場合の権利関係 123 3 対抗力を生じる時期 124 Ⅱ 177条の「第三者」の範囲………125 1 無制限説と制限説 125 2 第三者の客観的要件 127 (1) 第三者に該当する者 127  (2) 第三者に該当しない者 130 3 第三者の主観的要件 132 (1) 善意悪意不問説から背信的悪意者排除説へ 132 (2) 背信的悪意者排除説の内容 133  (3) 背信的悪意者の類型 134 (4) 背信的悪意者排除説への批判 135  (5) 学説の状況 135 (6) 本書の見解 136  (7) 最近の判例のゆらぎ 137 (8) 転得者の処遇 138 第7節 登記を要する不動産所有権の取得・各論………140 Ⅰ 検討の前提………140 1 意思表示に基づく所有権取得についての補足 140 (1) 177条の「不動産」の意味 140  (2) 未登記の不動産 141 (3) 意思表示に基づく所有権取得 141 2 変動原因制限説と変動原因無制限説 141 Ⅱ 相続と登記………142 1 序 論 143 (1) 相続による所有権取得とその登記 143 (2) 生前相続と登記 144  (3) 相続介在二重譲渡 144 (4) 表見相続人からの譲受人 145 2 相続放棄と登記 146 3 共同相続と登記 147 4 遺産分割と登記 149 5 特定遺贈と登記 150 6 「相続させる遺言」と登記 151 7 小 括 152 Ⅲ 取消しおよび解除と登記………153 1 取消しと登記 154 (1) 問題の所在 154  (2) 判 例 155  (3) 学 説 159 (4) それぞれの難点と判例の再評価 160 2 解除と登記 162 (1) 判 例 163  (2) 学 説 164 Ⅳ 取得時効と登記………166 1 問題の所在 166 2 判 例 168 (1) 取得時効の完成時点の前後で処理を分ける判断枠組 168 (2) 正当化根拠 170  (3) 批 判 172 3 学 説 172 (1) 全体の傾向 172  (2) 当事者準則を重視する考え方 173 (3) 第三者準則で統一する考え方 174 (4) 類型的に処理を分ける考え方 175 (5) それぞれの難点と判例の再評価 176 Ⅴ その他の所有権取得原因と登記………178 1 強制執行や担保権の実行による所有権取得 179 2 公用収用による所有権取得 179 第8節 対抗問題の総括………180 Ⅰ 177条の適用に関する2つの基準………180 1 登記を要する所有権取得の基準 180 (1) 判 例 180  (2) 判例への批判 181  (3) 検 討 182 2 第三者を制限する基準 183 (1) 判 例 183  (2) 学 説 184 Ⅱ 対抗問題の法的構成………185 1 さまざまな法的構成 185 (1) 問題の所在 185  (2) 公信力説の登場以前の学説 185 (3) 公信力説 186  (4) 公信力説以後の学説の展開 186 2 検 討 187 (1) 従来の学説に対する批判 187  (2) 本書の見解 188 Ⅲ 登記の主張・立証責任………190 Ⅳ 公示の原則と公信の原則………192 1 対抗要件主義の基礎にある考え方 192 2 公示の原則の動揺? 193 (1) 地震売買と特別法による対抗力付与 193 (2) 登記による公示の限界 194 3 総 括 195 第9節 動産所有権取得の対抗と即時取得………196 Ⅰ 動産所有権取得の対抗………196 1 対抗要件制度の基本的な仕組み 197 (1) 177条との共通性 197  (2) 177条との違い 197 2 178条の適用に当たって問題となる点 199 (1) 動 産 199  (2) 譲 渡 200  (3) 引渡し 200   (4) 第三者 202 3 具体例への適用 203 Ⅱ 即時取得………204 1 制度の趣旨と関連規定の構造 204 (1) 制度の趣旨 204  (2) 関連規定の構造 205 2 即時取得の要件 207 (1) 対象物としての動産 208  (2) 有効な有償の取引行為 209 (3) 平穏・公然・善意無過失 210 (4) 取引行為に基づく占有の取得 211 (5) 処分者の処分権限の欠如 212 3 即時取得の効果 213 4 占有改定と即時取得 213 (1) 判例・学説の概要 214  (2) 主要3説 215 5 指図による占有移転と即時取得 217 Ⅲ 動産所有権取得における公示の原則と公信の原則………219 1 問題提起 219 (1) 178条と192条の機能分担関係 220 (2) 主観的要件の落差 220  (3) 対抗できない対抗要件? 220 2 解決案 221 Ⅳ 明認方法による所有権取得の公示と対抗………222 1 概 説 222 2 明認方法の内容 223 3 明認方法の一般的効力 223 4 明認方法と登記の効力の優劣 223 5 復帰的物権変動 224 6 立木所有権の留保 224 7 未登記の土地に植栽した立木所有権の対抗 225 8 小 括 225 第10節 所有権の消滅………226 第3章 用益物権と物権法定主義 第1節 用益物権………230 Ⅰ 制度の全体像………230 Ⅱ 地上権………231 1 意 義 231 2 成立要件と対抗要件 232 (1) 成立要件 232  (2) 対抗要件 232 3 存続期間 233 4 効 力 233 (1) 使用・収益・処分の権限 233  (2) 地代に関する規律 234 (3) 第三者に対する関係 234 5 消滅と事後処理 235 (1) 地上権の消滅原因 235 (2) 工作物等に関する地上権者の収去権・土地所有者の買取権 237 Ⅲ 永小作権………237 1 意 義 237 2 成立と対抗要件 238 3 存続期間 238 4 効 力 238 5 消滅と事後処理 239 Ⅳ 地役権………239 1 意 義 239 2 成立要件と対抗要件 240 (1) 成立要件 240  (2) 対抗要件 241 3 存続期間 241 4 効 力 241 (1) 地役権者の使用権と承役地所有者の義務 241 (2) 対 価 242  (3) 第三者との関係 242 5 消滅と事後処理 243 Ⅴ 入会権………244 1 意 義 244 2 成立と対抗要件 245 3 効 力 245 4 消 滅 246 第2節 地上権・賃借権・借地権………247 第3節 物権法定主義………249 Ⅰ 意義と根拠………249 1 意 義 249 2 根 拠 250 (1) 自由な所有権の確立 250  (2) 物権の公示 250 Ⅱ 特別法上の物権………251 1 創設された新種の物権 251 2 物権的効力の付与 252 (1) 民法によるもの 252  (2) 特別法によるもの 252 Ⅲ 慣習法上の物権………253 1 物権法定主義の課題 253 2 判例の展開 254 3 法律構成 254 第4章 占 有 第1節 意義と機能………257 Ⅰ 意 義………257 1 「占有権」の中核としての所持 258 (1) 保護の対象としての所持=事実的支配 258 (2) 所持の有無の判断 258 2 占有意思 259 3 代理占有・占有補助者・占有機関 260 (1) 直接占有と代理占有=間接占有 260 (2) 間接占有の成立要件 261  (3) 間接占有の効果 261 (4) 占有補助者・占有機関 261 Ⅱ 機 能………262 1 占有と占有権原 262 2 占有と占有権 263 3 占有に結び付けられた多様な効果 264 第2節 占有の取得………265 Ⅰ 原始取得と承継取得………265 Ⅱ 相続による占有の承継取得………266 第3節 取得時効に関連する占有規定………267 Ⅰ 自主占有と他主占有………267 1 定 義 267 2 相 違 267 Ⅱ 瑕疵のある占有と瑕疵のない占有………268 1 瑕 疵 268 2 2つの推定 269 (1) 占有態様に関する推定 269  (2) 占有継続の推定 269 Ⅲ 2つの占有の選択………270 1 占有期間の合算と瑕疵の承継 271 2 瑕疵のない占有の承継? 271 Ⅳ 他主占有から自主占有への転換と相続………272 1 他主占有から自主占有への転換 272 2 他主占有の相続による承継 273 3 自主占有の推定との関係 273 第4節 占有保護請求権………274 Ⅰ いわゆる占有訴権………275 Ⅱ 請求権の種類と特徴………275 1 3種類の請求権と共通の特徴 275 (1) 3種類の請求権 275 (2) 故意または過失の要否および損害賠償請求権との関係 275 (3) 占有保護請求権の当事者および期間制限 276 2 各請求権の特徴 276 (1) 占有保持の訴えと占有保全の訴え 276 (2) 占有回収の訴え 277 Ⅲ 占有保護請求権と本権に基づく請求権の関係………278 第5節 占有保護の根拠………279 Ⅰ 議論の混迷………279 Ⅱ 実証的な試論………281 第6節 消 滅………284 Ⅰ 一般的な消滅原因………284 Ⅱ 間接占有の消滅………285 第7節 準占有………286 第5章 物権と債権 第1節 従来の議論と問題点………290 Ⅰ パンデクテン体系と物権・債権峻別論………290 Ⅱ 日本における物権・債権論………291 1 学説状況の概要 291 2 債権の保護の強化と物権の性質・効力論の変遷 291 Ⅲ 通説的見解の問題点………293 第2節 物権と債権の対置の再評価………296 Ⅰ 物権の絶対性と債権の相対性………296 Ⅱ 債権の効力としての所有権の承継………297 1 対抗要件未具備の所有権取得者 vs 不法占有者 298 2 対抗要件未具備の賃借権取得者 vs 不法占有者 299 Ⅲ 対抗関係における債権の相対性………299 1 賃借人 vs 買主 300 2 買主 vs 賃借人 301
事項索引 302 判例索引 307