未遂犯論の諸問題
原口伸夫 著
定価:6,600円(税込)-
在庫:
在庫があります -
発行:
2018年02月28日
-
判型:
A5判 -
ページ数:
428頁 -
ISBN:
978-4-7923-5235-6
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内容紹介
目 次
はしがき i
凡 例 ii
初出一覧 xiii
第1部 実行の着手
第1章 実行の着手論の現状と課題 3
第1節 実行の着手を論ずる意味 3
第2節 実行の着手をめぐる現在の議論状況 8
1 現在に至るまでの議論状況(概観) 8
2 実行の着手論における現在の対立の重点――「未遂の構造」についての理解の相違 11
第3節 近時の判例の動向――クロロホルム事件最高裁決定およびそれ以降の判決―― 20
第4節 クロロホルム事件最高裁決定において示された3要素の相互関係等 25
第5節 クロロホルム事件最高裁決定後の判例の動向についての評価 32
第2章 間接正犯者の実行の着手時期 37
第1節 わが国の議論の概観と行為帰属論 37
1 利用者標準説 37
2 被利用者の行動(あるいは事象の進展状況)も問題とする立場の理論構成の検討 39
第2節 行為帰属論とドイツにおける近時の議論状況 46
1 行為帰属論(全体的解決説) 46
2 手放し公式(修正された個別的解決説) 54
第3節 わが国の判例と未遂の処罰根拠 63
1 わが国の判例 63
2 未遂の処罰根拠 69
補節 間接正犯者の実行の着手時期――その後の動向 74
1 間接正犯者の実行の着手時期をめぐるわが国の近時の動向 74
2 行為帰属論(再論)――構成要件の規定する行為態様の考慮 83
第3章 実行の着手時期と早すぎた構成要件の実現 96
はじめに 96
第1節 クロロホルム事件最高裁決定における事実の概要および決定要旨 96
1 クロロホルム事件の事実の概要 96
2 クロロホルム事件最高裁決定における決定要旨 99
第2節 クロロホルム事件最高裁決定が提起した問題 100
第3節 実行の着手に関する判例のなかでのクロロホルム事件最高裁決定の位置づけ 102
第4節 早すぎた構成要件の実現とクロロホルム事件最高裁決定 128
第5節 まとめ――クロロホルム事件最高裁決定の意義―― 137
第4章 事後強盗罪の実行行為と実行の着手時期 139
第1節 事後強盗罪の実行行為 139
第2節 事後強盗罪の実行の着手時期 144
1 強盗罪の実行の着手時期との比較 144
2 実行の着手に関する一般的な議論からみた事後強盗罪の着手時期 147
第5章 規制薬物輸入罪の既遂時期・未遂時期 158
はじめに 158
第1節 当該薬物の規制法規違反と関税法違反 158
第2節 規制薬物の輸入罪の既遂時期――「輸入」の意義 159
第3節 輸入罪の実行の着手時期に関する近時の見解 164
第4節 輸入罪の実行の着手時期1――海路の場合 167
第5節 輸入罪の実行の着手時期2――空路の場合 172
まとめ 173
第2部 中止未遂
第6章 中止未遂論の現状と課題 179
はじめに 179
第1節 中止未遂の処分・効果 179
第2節 中止未遂の認められる根拠 180
第3節 「自己の意思により」(任意性) 182
第4節 「中止した」(中止行為) 186
第5節 既遂の中止 189
第6節 予備の中止 189
第7節 共犯と中止未遂 191
第8節 裁判員制度の影響 194
まとめ 196
第7章 刑法43条ただし書における「中止した」の解釈について 197
第8章 実行未遂の中止行為 209
はじめに 209
第1節 実行未遂の中止行為に関する判例の立場 211
1 宜しく頼む事例判決までの大審院判例 211
2 宜しく頼む事例判決 213
3 宜しく頼む事例判決以降の判決 214
4 小 括 217
第2節 実行未遂の中止行為に関する学説の状況 219
1 学説の整理 219
2 真剣な努力説と適切な努力説 229
3 因果関係必要説の射程 239
第3節 実行未遂の中止行為の要件 248
1 中止措置への人並みの法益尊重意思の具体化 248
2 宜しく頼む事例判例以降の下級審判決の分析 263
おわりに 270
第9章 共犯者の中止未遂 274
第1節 共犯者の中止未遂に関するわが国の学説および判例 274
1 43条ただし書の準用について 274
2 自分の寄与の因果的効果の解消と中止未遂の成否 275
3 共犯からの離脱の問題と共犯者の中止未遂の問題 281
第2節 共犯者の中止未遂の要件 282
1 ドイツ刑法24条2項 282
2 共犯者の中止未遂の要件の加重の理由 285
3 共犯事象の危険性による説明 286
4 心理的効果の残存の可能性 287
5 刑事政策説に基づく説明 289
6 印象説に基づく説明 291
第3節 結 論 294
第10章 共犯からの離脱,共犯関係の解消 297
はじめに 297
第1節 共犯からの離脱に関する判例の立場 299
第2節 共犯関係の解消・新たな共犯関係の形成 304
第3節 「因果性の遮断」の判断と「新たな共犯関係の形成」の判断 316
第4節 遮断しようとする積極的な措置の重視する見解 323
おわりに 325
第3部 不能未遂
第11章 不能犯論の現状と課題 329
第1節 不能犯の意義など 329
第2節 不能犯に関する学説 332
1 現行法下におけるこれまでの学説の動向(概観) 332
2 仮定的蓋然性説 338
3 具体的危険説 349
第3節 不能犯に関する判例 361
1 大審院時代,および,昭和20年終り頃までの最高裁時代の判例 361
2 昭和20年代の終り頃以降から昭和40年代までの判例の動向 365
3 最判昭和51年3月16日刑集30巻2号146頁(ピース缶爆弾事件) 374
4 ピース缶爆弾事件最高裁決定後の判決の動向 378
5 特殊詐欺事案におけるだまされたふり作戦と不能犯 381
6 判例の立場(まとめ) 388
第12章 不能犯論についての若干の覚え書 393
第1節 わが国の刑法学に影響を及ぼしてきた諸外国の不能犯論 393
1 八木先生の未遂犯論・不能犯論 393
2 諸外国の不能犯論(概説) 395
第2節 諸外国の不能犯論とわが国の不能犯論における相違についての若干の覚え書 401
1 不能犯を除く未遂犯論について 401
2 不能犯論について 403
はしがき i
凡 例 ii
初出一覧 xiii
第1部 実行の着手
第1章 実行の着手論の現状と課題 3
第1節 実行の着手を論ずる意味 3
第2節 実行の着手をめぐる現在の議論状況 8
1 現在に至るまでの議論状況(概観) 8
2 実行の着手論における現在の対立の重点――「未遂の構造」についての理解の相違 11
第3節 近時の判例の動向――クロロホルム事件最高裁決定およびそれ以降の判決―― 20
第4節 クロロホルム事件最高裁決定において示された3要素の相互関係等 25
第5節 クロロホルム事件最高裁決定後の判例の動向についての評価 32
第2章 間接正犯者の実行の着手時期 37
第1節 わが国の議論の概観と行為帰属論 37
1 利用者標準説 37
2 被利用者の行動(あるいは事象の進展状況)も問題とする立場の理論構成の検討 39
第2節 行為帰属論とドイツにおける近時の議論状況 46
1 行為帰属論(全体的解決説) 46
2 手放し公式(修正された個別的解決説) 54
第3節 わが国の判例と未遂の処罰根拠 63
1 わが国の判例 63
2 未遂の処罰根拠 69
補節 間接正犯者の実行の着手時期――その後の動向 74
1 間接正犯者の実行の着手時期をめぐるわが国の近時の動向 74
2 行為帰属論(再論)――構成要件の規定する行為態様の考慮 83
第3章 実行の着手時期と早すぎた構成要件の実現 96
はじめに 96
第1節 クロロホルム事件最高裁決定における事実の概要および決定要旨 96
1 クロロホルム事件の事実の概要 96
2 クロロホルム事件最高裁決定における決定要旨 99
第2節 クロロホルム事件最高裁決定が提起した問題 100
第3節 実行の着手に関する判例のなかでのクロロホルム事件最高裁決定の位置づけ 102
第4節 早すぎた構成要件の実現とクロロホルム事件最高裁決定 128
第5節 まとめ――クロロホルム事件最高裁決定の意義―― 137
第4章 事後強盗罪の実行行為と実行の着手時期 139
第1節 事後強盗罪の実行行為 139
第2節 事後強盗罪の実行の着手時期 144
1 強盗罪の実行の着手時期との比較 144
2 実行の着手に関する一般的な議論からみた事後強盗罪の着手時期 147
第5章 規制薬物輸入罪の既遂時期・未遂時期 158
はじめに 158
第1節 当該薬物の規制法規違反と関税法違反 158
第2節 規制薬物の輸入罪の既遂時期――「輸入」の意義 159
第3節 輸入罪の実行の着手時期に関する近時の見解 164
第4節 輸入罪の実行の着手時期1――海路の場合 167
第5節 輸入罪の実行の着手時期2――空路の場合 172
まとめ 173
第2部 中止未遂
第6章 中止未遂論の現状と課題 179
はじめに 179
第1節 中止未遂の処分・効果 179
第2節 中止未遂の認められる根拠 180
第3節 「自己の意思により」(任意性) 182
第4節 「中止した」(中止行為) 186
第5節 既遂の中止 189
第6節 予備の中止 189
第7節 共犯と中止未遂 191
第8節 裁判員制度の影響 194
まとめ 196
第7章 刑法43条ただし書における「中止した」の解釈について 197
第8章 実行未遂の中止行為 209
はじめに 209
第1節 実行未遂の中止行為に関する判例の立場 211
1 宜しく頼む事例判決までの大審院判例 211
2 宜しく頼む事例判決 213
3 宜しく頼む事例判決以降の判決 214
4 小 括 217
第2節 実行未遂の中止行為に関する学説の状況 219
1 学説の整理 219
2 真剣な努力説と適切な努力説 229
3 因果関係必要説の射程 239
第3節 実行未遂の中止行為の要件 248
1 中止措置への人並みの法益尊重意思の具体化 248
2 宜しく頼む事例判例以降の下級審判決の分析 263
おわりに 270
第9章 共犯者の中止未遂 274
第1節 共犯者の中止未遂に関するわが国の学説および判例 274
1 43条ただし書の準用について 274
2 自分の寄与の因果的効果の解消と中止未遂の成否 275
3 共犯からの離脱の問題と共犯者の中止未遂の問題 281
第2節 共犯者の中止未遂の要件 282
1 ドイツ刑法24条2項 282
2 共犯者の中止未遂の要件の加重の理由 285
3 共犯事象の危険性による説明 286
4 心理的効果の残存の可能性 287
5 刑事政策説に基づく説明 289
6 印象説に基づく説明 291
第3節 結 論 294
第10章 共犯からの離脱,共犯関係の解消 297
はじめに 297
第1節 共犯からの離脱に関する判例の立場 299
第2節 共犯関係の解消・新たな共犯関係の形成 304
第3節 「因果性の遮断」の判断と「新たな共犯関係の形成」の判断 316
第4節 遮断しようとする積極的な措置の重視する見解 323
おわりに 325
第3部 不能未遂
第11章 不能犯論の現状と課題 329
第1節 不能犯の意義など 329
第2節 不能犯に関する学説 332
1 現行法下におけるこれまでの学説の動向(概観) 332
2 仮定的蓋然性説 338
3 具体的危険説 349
第3節 不能犯に関する判例 361
1 大審院時代,および,昭和20年終り頃までの最高裁時代の判例 361
2 昭和20年代の終り頃以降から昭和40年代までの判例の動向 365
3 最判昭和51年3月16日刑集30巻2号146頁(ピース缶爆弾事件) 374
4 ピース缶爆弾事件最高裁決定後の判決の動向 378
5 特殊詐欺事案におけるだまされたふり作戦と不能犯 381
6 判例の立場(まとめ) 388
第12章 不能犯論についての若干の覚え書 393
第1節 わが国の刑法学に影響を及ぼしてきた諸外国の不能犯論 393
1 八木先生の未遂犯論・不能犯論 393
2 諸外国の不能犯論(概説) 395
第2節 諸外国の不能犯論とわが国の不能犯論における相違についての若干の覚え書 401
1 不能犯を除く未遂犯論について 401
2 不能犯論について 403