「自己決定権」の構造

「自己決定権」の構造

上田宏和 著
定価:6,600円(税込)
  • 在庫:
    在庫がありません
  • 発行:
    2018年03月16日
  • 判型:
    A5判
  • ページ数:
    312頁
  • ISBN:
    978-4-7923-0628-1
在庫なし

書籍購入は弊社「早稲田正門店インターネット書店」サイトでの購入となります。

内容紹介

はしがき
初出一覧
序 章 問題の所在 1
Ⅰ わが国の憲法学における自己決定権の現状 1
Ⅱ アメリカ憲法学におけるLawrence v. Texasの意義 3
Ⅲ 「自己決定権」という表現 7
1 アメリカ憲法学におけるプライバシー権と自己決定との関連性  (7)
2 わが国の憲法学における人格的自律権論との違い  (9)
Ⅳ 
アメリカ憲法学における「自己決定権」に関する
従来の考え方の限界 11
1 「自己決定権」の意義の不明確性  (11)
2 「自己決定権」の保護範囲  (13)
3 「自己決定権」と実体的デュー・プロセス  (15)
Ⅴ Lawrence判決が加えた新たな視点 16
Ⅵ 
わが国の憲法学におけるLawrwence判決に関する主な先行研究 18
Ⅶ 本書の特徴 20
Ⅷ 本書の構成 22
第1章 
「自己決定権」の新たな展開
─Bowers v. HardwickとLawrence v. Texasの比較検討─ 25
概  説 25
Ⅰ Bowers v. Hardwick 26
1 事実の概要  (26)
2 法廷意見  (27)
3 その他の意見  (30)
Ⅱ Lawrence v. Texas 33
1 事実の概要  (33)
2 法廷意見  (34)
3 その他の意見  (39)
Ⅲ Bowers判決とLawrence判決の比較 40
1 私的な生活領域の規制と公的な生活領域との関連性  (40)
2 同性愛者の「自由」の意味  (44)
3 実体的デュー・プロセスへのアプローチ  (47)
Ⅳ 
従来の「自己決定権」理論と
Lawrence判決による新たな「自己決定権」理論 51
第2章 
「自己決定権」の意義
─プライバシー権から「自己決定権」への論理的展開─ 55
概  説 55
Ⅰ プライバシー権の展開過程 57
Ⅱ プライバシーの概念の展開 61
1 夫婦のプライバシー権から個人のプライバシー権へ  (61)
2 「私事の秘匿」から「自律」へ  (64)
Ⅲ プライバシー権の保護範囲 68
1 「自律」という新たなプライバシーの概念の明瞭化  (68)
2 プライバシー権の保護範囲の拡大?  (70)
Ⅳ プライバシー権をめぐる二つの保護理論 73
1 プライバシー権理論をめぐる合衆国最高裁の混乱  (73)
2 半影理論と実体的デュー・プロセス  (74)
3 プライバシー権と社会との関連性  (79)
Ⅴ アメリカ憲法学における「自己決定権」の意義 83
第3章 
「自己決定権」の保護範囲
─保護内容の共通性─ 87
概  説 87
Ⅰ 合衆国最高裁判例による「自己決定権」の保護範囲 88
1 「自己決定権」に関する内容が保護された判例  (88)
2 
「自己決定権」に関わる内容であっても保護されなかった判例 
 (91)
Ⅱ 保護内容の共通性 93
1 「人格性」の理論と「自己決定権」  (93)
2 「関係性」の理論と「自己決定権」  (99)
Ⅲ 「人格的関係性」の選択の自由の意義 106
1 「人格的関係性」の選択の自由の意義  (106)
2 平等保護を含意した実体的デュー・プロセス  (111)
Ⅳ 「人格的関係性」という新たな枠組み 114
第4章 
「自己決定権」の保護理論
─実体的デュー・プロセスの展開─ 119
概  説 119
Ⅰ Bowers判決の限界とLawrence判決の挑戦 120
Ⅱ 実体的デュー・プロセスの変化 125
1 Planned Parenthood v. Casey  (125)
2 Casey判決とLawrence判決の比較検討  (128)
Ⅲ 司法審査基準における視座の転換 133
1 
ローレンスH. トライブの「命名することができない『基本的権利』」  
(133)
2 ジェド ルーベンフェルドの反全体主義原理  (139)
3 
ランディ E. バーネットの「自由の推定」理論  (147)
Ⅳ 実体的デュー・プロセスの新たな展開 154
第5章 
「自己決定権」理論の再構成 157
概  説 157
Ⅰ 関係性志向の「自己決定権」の意義 159
1 「私的行為」の選択の自由の限界  (159)
2 「人格的関係性」を志向する意義  (162)
Ⅱ 関係性志向の「自己決定権」の保護範囲 165
1 「自己決定権」の保護内容の類型化の限界  (165)
2 「人格的関係性」という新たな枠組み  (167)
Ⅲ 関係性志向の「自己決定権」の保護理論 172
1 従来の「自己決定権」理論とその限界  (172)
2 関係性志向の「自己決定権」理論  (179)
第6章 結論と今後の課題 187
補論Ⅰ 
Windsor判決からみるLawrence判決の「論理」的継承 197
概  説 197
Ⅰ United States v. Windsor 199
1 DOMA制定とWindsor事件の背景  (199)
2 Windsor判決  (202)
Ⅱ Windsor判決の複雑性 211
1 Windsor判決の構造  (211)
2 Windsor判決は平等保護の判例か?  (214)
Ⅲ Lawrence判決における実体的デュー・プロセスの変化 216
1 同性愛問題をめぐる合衆国最高裁の判例の展開  (216)
2 Lawrence判決の特徴  (219)
Ⅳ Lawrence判決からWindsor判決へ 224
1 「人格的関係性」の概念と「婚姻」  (224)
2 公権力による制約の正当性の是非  (226)
結  語 229
補論Ⅱ Obergefell判決における同性婚と婚姻の権利 231
概  説 231
Ⅰ Obergefell判決までの道程 232
1 同性愛  (232)
2 婚姻(同性婚)  (235)
Ⅱ Obergefell v. Hodges 237
1 Obergefell判決  (237)
2 各反対意見  (246)
Ⅲ Obergefell判決の論理構造と評価 250
1 Obergefell判決の構造と特徴  (250)
2 Obergefell判決に対する批判  (252)
Ⅳ Obergefell判決における婚姻の権利論 255
1 婚姻する同性カップルの権利≠同性婚の権利  (255)
2 婚姻の権利と平等保護原則の相乗作用  (257)
結  語 259
補論Ⅲ 
同性婚をめぐるケネディ裁判官の法理論
─Lawrence, Windsor, Obergefell判決─ 261
概  説 261
Ⅰ 同性愛問題をめぐる合衆国最高裁判例の展開 262
Ⅱ 同性婚容認の萌芽─Lawrence判決とWindsor判決の比較 266
1 「婚姻」と「人格的関係性」との関連性  (266)
2 合憲性判断の視座の転換  (269)
Ⅲ 
同性婚の権利≠同性カップルの婚姻の権利
─Windsor判決とObergefell判決の比較 272
1 州の権限と同性カップルの婚姻の権利  (272)
2 同性婚に対する従来の憲法理論の限界  (274)
Ⅳ 
「自由」と「平等」の相乗効果(synergy)
─Lawrence判決とObergefell判決の比較 276
1 「自由」と「平等」の連関性  (276)
2 「歴史と伝統」の用い方  (278)
結  語 280

参考文献一覧 282
あとがき 292
事項索引 294
主要判例索引 297