最高裁の少数意見

最高裁の少数意見

大林啓吾/見平典 編
定価:6,600円(税込)
  • 在庫:
    在庫があります
  • 発行:
    2016年07月20日
  • 判型:
    A5判上製
  • ページ数:
    382頁
  • ISBN:
    978-4-7923-0598-7
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内容紹介

目  次

はしがき i

第1章 日本における最高裁判所の少数意見―記述的側面からみた少数意見 [御幸聖樹]   1
はじめに 1
Ⅰ 日本の司法制度 2
1 最高裁判所 2
2 最高裁判事 3
Ⅱ 日本における少数意見制 5
1 法的根拠について 5
2 意見の種類 10
3 少数意見の表示について 22
Ⅲ 日本における少数意見制の歴史 27
1 成立の経緯 27
2 展開 41
Ⅳ 少数意見の実際 43
1 少数意見の数の変遷 43
2 裁判官の出身母体と少数意見の多寡 44
3 少数意見のインパクト 44
おわりに 48


第2章 日本における最高裁判所の少数意見―実務家から見た少数意見 [喜田村洋一]   49
Ⅰ 少数意見の影響力?視野をどこまで広げるか 49
1 実務家にとって判例とは? 49
2 少数意見はなぜ有用か? 49
3 判例と異なる立法の可能性 50
Ⅱ 立法府及び行政府に対する少数意見の影響 51
1 少数意見が立法府や行政府に直接,影響を与えた事例 51
2 補足意見の影響 53
Ⅲ 最近の最高裁の憲法判断の特徴とそこから実務家が学ぶべきもの 55
1 最高裁の憲法判断の手法の特徴 55
2 実務家が学ぶこと 68
Ⅳ 少数意見から多数意見へ 70
1 非嫡出子相続差別違憲事件から何を学ぶか 70
2 議員定数配分事件から何を学ぶか 79
3 実務家は少数意見にどのように向かい合うか 84
Ⅴ 少数意見が教えてくれるもの 86
1 判決の射程は,どこまで及ぶのか? 86
2 裁判官たちは何を争ってきたのか? 88
3 先例の拘束力から脱却する方法を示す少数意見 90
4 争い方を示唆する少数意見には必ず注目 93
5 キャッチボールはできているのか??司法府と立法府の関係 96
6 アクティブ・コートの到来??多彩な救済(の提案) 99
Ⅵ 結語 102


第3章 アメリカにおける少数意見制の動態 [見平 典]   105
はじめに 105
Ⅰ アメリカの司法制度 107
1 概要 107
2 連邦最高裁判所 108
Ⅱ 司法意見の種類 117
1 判決を述べる意見 117
2 同意意見・反対意見 118
Ⅲ 少数意見制の歴史的展開 119
1 連邦最高裁判所の設立期 119
2 マーシャル長官期 121
3 19世紀中期から20世紀前期まで 127
4 ストーン長官期 130
5 20世紀中期以降 137
おわりに 139


第4章 アメリカにおける少数意見の意義と課題 [大林啓吾]   143
序 144
Ⅰ 多様な少数意見 146
1 反対意見 147
2 同意意見と結果同意意見 153
3 同意意見の機能的分類 156
4 相対多数意見 158
Ⅱ 少数意見の根拠と正当化 160
1 少数意見批判 160
2 正当化根拠 164
3 5つの機能 171
Ⅲ 少数意見の動態 174
1 少数意見から多数意見へ 174
2 多数意見の矯正 175
3 外部に向けた機能 178
4 憲法カノンと少数意見 179
5 司法の官僚化の懸念 181
Ⅳ 少数意見と判決のねじれ 181
1 相対多数意見によるねじれ 182
2 対立によるねじれ―ロバーツ・コートにおけるねじれ 184
3 全員一致の中のねじれ 187
後序 189


第5章 イギリスにおける法廷意見・少数意見・順繰り意見―伝統と現代的変容― [溜箭将之]   193
はじめに 193
Ⅰ ひとつの判決を素材に―ピノチェト事件 194
Ⅱ イギリスの司法制度 199
1 裁判所制度 199
2 法廷弁論・評議・判決 201
3 裁判官 203
4 判例集 205
5 国会主権と法の支配 205
6 憲法改革 207
Ⅲ 伝統と変容―順繰り意見・法廷意見・少数意見 208
1 順繰り意見の伝統 208
2 「法廷意見」形式の増加 210
3 最高裁判所設置に伴う変化 211
Ⅳ 少数意見の意義 212
1 少数意見の意義 212
2 順繰り意見から「法廷意見+少数意見」へ 215
Ⅴ 理論的分析 217
1 少数意見と順繰り意見 217
2 法的議論の方法論 218
3 分かりやすさと効率性 220
4 国際化の進展 222
おわりに 222


第6章 ドイツ連邦憲法裁判所の少数意見制 [柴田憲司]   225
はじめに 225
Ⅰ ドイツの司法制度―連邦憲法裁判所を中心に 226
1 連邦憲法裁判所の権限 227
2 法廷・合同部・部会 229
3 裁判官の選出・任期・定年 229
4 裁判の種類・形式 232
Ⅱ 少数意見制の概要 233
1 少数意見の種類 233
2 法的な位置づけ 235
3 公表手続 236
Ⅲ 少数意見の歴史的経緯(通説) 238
1 全史 238
2 連邦憲法裁判所法制定(1951年)?第47回法律家大会(1967年) 240
3 連邦憲法裁判所法の改正(1970年) 242
Ⅳ 少数意見の意義と課題 248
1 実例から 249
2 制度の要否をめぐって 255
3 現状 258
Ⅴ 少数意見制の理論的分析 262
1 少数意見制の歴史的経緯・再考①―司法官僚制の生成と確立の意義 263
2 少数意見制の歴史的経緯・再考②―判決理由の意義 269
3 若干の整理と分析 271
おわりに 280


第7章 カナダ最高裁判所の少数意見 [富井幸雄]   283
はじめに 283
Ⅰ カナダ最高裁判所:地位・権限・構成 285
1 制定法によって創設された裁判所 285
2 SCCの権限 288
3 多様な裁判官構成(diversity) 290
4 SCCの判決形成過程 292
Ⅱ カナダの少数意見の概念 295
Ⅲ カナダのおける少数意見の基盤 297
1 最終上告審としての宿命 297
2 コモンロー裁判所としての少数意見の伝統 298
3 制度的要件 300
4 カナダ的特徴―全員一致の傾向 301
Ⅳ 反対意見の現実と背景 303
1 反対意見者(dissenter)の2つの肖像 303
2 なぜ少数意見になるのか,あるいはunanimousにならないのか 307
3 少数意見制度への批判 310
Ⅴ 少数意見の意義と機能 312
むすび 314


第8章 ヨーロッパ人権裁判所における少数意見(個別意見) [江島晶子]   317
はじめに 317
Ⅰ ヨーロッパ人権裁判所の司法制度 323
1 背景 323
2 保障される権利 327
3 組織 330
4 裁判官 333
5 裁判手続 336
6 現状と課題―制度改革― 343
Ⅱ 個別意見の種類・特徴 345
1 条約上の位置づけ 345
2 個別意見に関する仮説 346
3 個別意見の状況 348
Ⅲ 個別意見の具体例(歴史的経緯を踏まえて) 351
1 フィッツモーリス裁判官(1974年-1980年在任) 351
2 ルカイデス裁判官(1998-2008年在任) 355
3 トゥルケン裁判官(1998-2012年在任) 358
4 ヌスバーガー裁判官(2011年-現在) 360
Ⅳ 個別意見の意義と問題点 361
1 個別意見の意義(一般論) 361
2 ヨーロッパ人権裁判所における個別意見の意義と問題 364
おわりに 367

事項索引 369